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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、ナビゲーターの高段者ウェブマガジン、みもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるをテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第109夜をお届けします。今夜のお便りをご紹介します。
ペンネームピスタチオさんからいただきました。バタやんさん、こんばんは。
こんばんは。私は活字が苦手で、読み切れる自信がなくて、あまり本を買っていませんでした。
でもラジオなら聞いているだけで、読んだ気持ちに慣れていいなと思いました。
面白そうだと思って読み始めても、途中で話の筋がわからなくなってしまったり、
登場人物がわからなくなってしまったり、集中力が途切れて、最後まで読み終えられないことが多いんです。
バタやんさんは忙しい中でどうやって本を読んでいるんですか。読み切れるコツなどあれば教えてください。といただきました。
ありがとうございます。そうですね、すごいよくわかりますよ。私も読み切れてない本がたくさんあります。途中でわかんなくなっちゃって。
あと何回読んでも頭になかなか入ってこなくてとか、この本を読んでいると必ず電話がかかってきたり、なんかいろいろトラブルが起こったりして、中断しちゃって全然進まないみたいな本もあったりして。
読み切れるコツって確かに私も知りたいです。というわけで、ピスタチオさんからのご質問にお答えして、
今夜の勝手に貸し出しカードは、三宅花穂さんの読んだふりしたけどぶっちゃけよくわからんあの名作小説を面白く読む方法という本にしました。
これはですね、面白く読む方法っていうタイトルにある通り、本をどうやって楽しむかっていうことを教えてくれる本なんですね。珍しいですよね。
この本の始めにのところに書いてあるんですが、ちょっと今めくりますね。
読みます。小説の書き方の本は本屋にたくさん売られていますが、小説の読み方の本はなかなか本屋で見かけることはありません。
不思議だと思いませんか。物を書く人よりも読む人の方がずっと多いはずなのに。
でもこれって小説を書くのはめっちゃ難しいけれど、読むのは誰にでもできると思われているからじゃないでしょうか。とあります。
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確かに小説を書く、あるいは文章を書く方の本はたくさんありますけどね。読み方を教えてくれる本とか、読み方を教えてもらう機会って確かにすごい少ないですよね。
でも小説を分かったふりせず面白く読むのって実はコツが必要なんだぞと、この著者の三宅さんはおっしゃっていて、なるほどそうだなと思いました。
国語とか現代文の授業なんかで作者の意図はとか、それが何を指しているのか、下の選択肢から選べとかね、そういう正しく読み取る
スキルっていうのはもちろん国語で習ったりしますけど、楽しいかどうか面白いって思えるかどうかっていう感受性のところは
その人たちに委ねられている、人から習う機会ってなかなかないけど、確かにコツってあるだろうなぁと思ったりしますね。漫画も慣れも
必要ですよね。読み慣れてないとどんな順番で読んだらいいかわからなかったりして。
そんなわけで今日はこの読んだふりしたけどぶっちゃけよくわからん、あの名作小説を面白く読む方法のメソッドを
ちょっと一部紹介していきたいと思います。この本はですね、夏目漱石の我輩は猫であるとか
三島由紀夫の金閣寺とか、古くからの名作だったりとか
最近のベストセラーの3体、SF小説の3体ですとか、そういう有名な小説を一冊一冊紹介しながら一つの読む技術を紹介しているんですね。
一つ目が
カラマーゾフの兄弟、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟を紹介していまして、読む技術があらすじを先に読んでおくと紹介されています。
これ私一番 あのありだと思いましたよ。すぐやってみれるからピスタチオさんにも皆さんにもおすすめなんですけど
あらすじを知っちゃうとつまんなくなるのはミステリー小説の犯人ぐらいじゃないかなと私は思っていて、筋を知っちゃってるから面白くなくなっちゃうかというとそんなことはないと思っているので
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途中離脱しないコツとしてはあらすじを知った上で読むっていうのは一番手っ取り早い気はしますね。
なんか私舞台を結構お芝居を見に行くんですけど、前知識なく見に行くこともあれば結構サイトだったりを読み込んでから行く時もあるんですけど、すごい楽しみにしていてもなんかどういう話なのか全然わかんなくて途中で眠くなっちゃうことも結構あって
予備知識はあった方が楽しめるかなって最近は思っていますね。なんかモチーフになっていることだったりとか何かをオマージュしてたりとかっていうので知った上で見れた方が深みが増したりね。
野田秀樹さんの野田マップの舞台とかだといろんなモチーフが掛け合わさったりしているので、獣語とロミオとジュリエットとか何かを比喩してたりとかそういう設定も少し知識があった上で読んだ絵を読むんじゃないや見に行った方が寝ないですよなと思ったりしています。
最近はやっぱりすごく売れている本平台にこうタンって積み上がっているような本だともうすぐにネタバレあらすじっていうようなのがサイトに上がっているので、そういうのも良くないとも思いつつ結構読んじゃってから読むのもありかなと思ったりしています。
私のポッドキャストではあんまり筋の最後の最後までネタバレしないように気をつけてはいますけれども、筋を知った上で読む面白さもあると思ってますし、例えばこの2人はすごい仲良しのラブラブのカップルだけど、この彼氏はこの後戦争で死んじゃうんだよなとか知った上で読む面白さもあったりするかなと思います。
少しこの本から話がそれるんですけど、ミモレではミモレ編集室っていうコミュニティサイトを運営していまして、そちらで講談社のうちの会社の文芸の編集の人に講義に出てもらって、小説の読み方の話なんかをしてもらったことがあるんですね。
で、その時に文章小説を構成する3つの要素として、1つ目が描写、2つ目が会話文、3つ目が説明文っていう3つの要素があるっていう話をしていて、なるほどって思ったんですよ。確かに描写と会話と説明で成り立っているじゃないですか。
で、そういう話を聞いてから小説を読むと、この人は描写が結構たっぷりするタイプの人で、ゆっくりスローモーションで舐めるような話が進んでいくんだなとか、もっと脚本、ドラマの脚本みたいに会話会話会話で話がどんどん展開していくタイプの人だったり、説明があって会話、説明があって会話みたいな感じで、割とスピーディーな展開の人なんだなと。
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ということが読みながら分かったり、1冊の中でもすごくゆっくり舐めるような描写のある部分と、会話でトントンと進む部分とかっていうふうに、緩急がついているんだなということが分かって、またすごく面白いなって思いました。
皆さんもその会話でトントン行くタイプが好きか、じっくり描写が長く細かく部屋の様子だったり、人の服とか風景とか、描写するのを味わうのが好きかとか、お好みもあると思うので、そういうふうに読んでみるのも面白いなって思いました。
でもその3つの要素があるとかっていうことを知らなくても、別に今までだって私も面白く小説は読めてたと思うので、ただ知ってると視点が増えるとまた違う楽しみ方があるし、自分の好みと作家さんの特徴みたいなのも知れたりして面白いなというふうに思いましたね。
あとやっぱり文芸の演習の人たちは、ただ読んで感想を言うとか感想を持つだけじゃダメで、論理的にどこがどうだからどうした方がいいとかっていうことを言わなきゃいけないから、この読み方のスキル、読む技術もいろんな技を持ってるんだなって思って、改めてすごいなというふうに思いました。
ちょっと本から話が逸れてしまいましたけど、描写と会話と説明をちょっと皆さんもチェックしてみてください。
さて今日は、読んだふりしたけどぶっちゃけよくわからんあの名作小説を面白く読む方法から紙フレーズをご紹介します。
小説家は小説なんて小面倒くさいものを書くのだろう。作家たる者、小説を書かずにはいられないからとか言えるとなんかかっこいいし、芥川賞受賞スピーチでもやるのかオイラというテンションになるけれど、実際のところ小説じゃないと伝わらない思想が作家の中にあるからじゃないかと思うというふうにありました。
これはカミューのペストを紹介した章なんですけど、読む技術は作者の考え方を楽しむというふうに紹介されてますね。
その小説じゃないと伝わらない思想が作家の中にあるからというのは、なるほどと思いました。
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先日ご紹介した早見一雅さんの八月の母だったり、井上レゾンさんの生川だったり、わりとノンフィクションでも扱われそうな社会的なテーマも小説だからこそ描けることがあるっていう感じがすごくした2つの小説でしたね。
作家の中の問題意識とか社会に対して思っていることがあって、それをエッセイでは描けないことが小説だと伝わるっていうのはありそうな気がしますね。
あとこの本の中で夏目漱石の我輩は猫であるは、漱石はシャイだったから猫の視点を通じて気持ちを伝えることしかできなかったんじゃないかみたいな分析が書かれてるんですけど、
そういうふうに視点を何か人間じゃないものにすることもできるし、14歳の少女の視点で描くとか、その事件の様子を大人の視点じゃなくて子供の視点で描くとか、視点が一個の事件に対して視点がどんどん切り替わっていろんな人の目から見たこの一つの事件っていう描き方ができたり、
そういう自由さが小説の方がノンフィクションよりあるから、より伝えたかった思想がクリアになるっていうこともあるのかなって思ったりしましたね。
この本の中にはいろんな楽しむ技術、楽しむ手法が紹介されていて、これを読んで思ったのは楽しみ方はいろいろなので、その楽しみ方でなるほどって思うところとかがあれば必ずしも読破するっていう、読み切る、読み終えるっていうことが必須でもないのかなっていうふうに思いました。
さっきお話しした会話と描写と説明というところでいうと、この人のこの描写はすごいなって思うところだったり、この会話の応集、ここのシーンのお母さんと二人のやりとりが秀逸だなって思うところだったり、
最後、この貼られた伏線を回収する、畳み掛ける説明の部分がすごいなって思ったり、一個そういう面白って思えるところがあれば必ずしも最初から最後まで読み切ることが読書なわけでもないのかなと思ったりしました。
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この本はですね、小難しげな小説も面白く読める方法を紹介してくれるハウツー本のような題材、タイトルになっていますが、読んでいただくと結構読書好きの人にとっての高度な、割と高度なそういう解釈もできるんだねっていう話がたくさん出てきて、
簡単に読めるようになりますよっていう話じゃないじゃんっていうところがまた面白い本でした。
ビスタチオさんにもぜひ楽しんでいただけたらと思います。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は皆様からのお便りをもとに色々なテーマでお話したり、本を紹介したりしております。
ミモレのサイトからお便り募集していますので、ぜひご投稿ください。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。