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2024-02-11 23:26

#S2-23 藝大卒展と自己鑑賞対話(前編)

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みなさんは、美術鑑賞、お好きですか?

今回は、今年、東京藝術大学の卒業・修了作品展を2回観に行ってきたので、印象的だった作品と、作品鑑賞で自分が感じたことを咀嚼・振り返ってみます。その前編です。


この番組は、西暦3000年の、未来を生きる人類に向けて、現代人が日々感じることや、ワクワクする未来への想いを発信し、今を生きる皆さんと一緒に、未来に音声を残そうとする番組です。

BGM素材:DOVA-SYNDOROME、効果音ラボ

X@echo3000_radio https://twitter.com/echo3000_radio

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みなさんは、美術作品、お好きですか?
先日、上野の東京芸術大学の卒業終了作品展、通称卒展に行ってきました。
これはですね、毎年、藝大の卒業生の方が集大成となる美術展示を、東京藝大とお隣にある東京都立美術館、そちらに展示をするというものになっておりまして、一般の方でも無料で展示を回ることができるというものになっています。
以前、エピソードでお話したことがあるんですけども、2年前に東京芸大に入学するまでを描く漫画、ブルーピリオドというものに、ごハマりをしまして、美術館巡りが趣味の一つになりました。
それからというものを、毎年10軒近く美術館とか行くようになりまして、美術鑑賞をするたびに自分自身の鑑賞の仕方であったり、作品の見方というのが、すごく変わってきているというような実感があります。
今回なんですけども、この芸大の卒典初めて行ったんですけども、この鑑賞を通じて自分が作品から感じたことであったり、巡らせた考えというものを、
2024年の自分の鑑賞方法、そして現代人の鑑賞方法として、鑑賞当時に書き残したメモを見返しながら、自分自身との対話ということをしてみようというふうに思っています。
聞いてくださっている皆さんも、僕と鑑賞方法の違いとか、視点の違いがあるかなというところが見えてくると思うので、新しい美術鑑賞のヒントであったり、今後美術鑑賞を楽しむための何かのきっかけになると嬉しいなというふうに思っています。
おそらく今回は結構長い話になりそうなので、前半パートでは美術館全体の感想であったりとか、特に気になった、特に印象的だった作品のお話というところをさせていただいて、
後編の方で、当時自分が作品鑑賞をしながら感じていたメモを見返しつつ、当時自分の考えていたことというところを咀嚼をしながら、2024年の自分の鑑賞方法というところを残していけたらいいなというふうに思っています。
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では早速なんですが、まずざっくりと措置展全体の様子であったり、全体を通じて印象的だった作品などをお話ししていこうかなというふうに思っています。
実は今回なんですけども、この措置展の会期が1月28日から2月2日だったかなと思うんですけども、2回見に行きました。
というのもですね、会場の広さもさることながら圧倒的な作品数でしたので、到底1日では回れるようではありませんでした。
最初回った時にたくさん歩いたんですけども、足の裏が痛くなるほど回りまくっちゃってですね、ちょっと1日は無理だということで、また別の日にもう一度同じところを見たりっていうのもあったんですけども、
見回ったということで、大体9時間ぐらいかけて芸大、そして東京都美術館の中をですね、回ってきました。
そんな中で印象的だった作品がいくつかありましたので、まずその話を今回全編の方ではしていけたらいいなというふうに思っています。
作品膨大にあるので、5個ほどに絞ってお話をさせていただきたいなというふうに思っているんですけども、まずはですね、堀内真希子さんの「Mother, Father, Sister and I」という作品ですね。
作品名のところに簡単な説明が書かれていたんですけども、人の心がもし見えたとしたら、それは奇妙で怖くて、でもどこか悲しげで、憎しみきれないような愛おしい姿になるんじゃないかということで、家族とは何かというところに焦点を当てて制作した作品となっています。
実際に作品をお見せしながらお話ししたいなというところもあるんですけども、音声ですので簡単に言葉で説明をさせていただくと、4体の大きな人形が家族写真のように並んでるんですね。
それぞれの姿が異形そのものという形で、左からまず1体目は座っているような体勢なんですけども、ロボットのような形ですね。
頭はダンボールをかぶったような四角い形をしていて、頭の耳の部分にブリキのネジみたいなのがついていたり、頭の上にはお魚とか風車とか木の小さいモニュメントみたいなのがついていたりするようなキャラクターが一番左側にいまして、
続いて左から2番目については、熊のようなぬいぐるみをかぶっているキャラクターが、頭の部分は耳の垂れたちょっと怖いワンちゃんみたいなフードをかぶっているオコジョみたいな顔をしていて、
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胸のあたりに覗き窓みたいなのがあるんですけども、そこから目が出ているという、これもまたちょっと変わったキャラクターというか人形になってまして、続いて3体目のキャラクターですけども、
こちらは特撮の昭和の仮面ライダーとかですかね、そういったところに出てきそうな悪役の魔女みたいなキャラクターの女性のような姿をした人形が立っていまして、これはですね、体にこれなんて言ったらいいんでしょうかね、脈みたいな模様がついているというようなものになっています。
最後一番右側のキャラクターは、これは座っている体勢になるんですけども、無機質な人間の体の頭と関節の部分からイソギンチャクのような触手が生えているというようなものになっています。
これだけ聞くと、それぞれのキャラクターが奇妙な姿をしているというふうに見えるんですけども、全体としての色合いというのは同じような着色がされていてですね、白からクリーム色にかけた色で着色されているんですけども、
それぞれの人形というかこのキャラクターたちの輪郭部分であったり、影にあたる部分については青まではいかないけれど、藍色みたいな色で着色をされていて異形の恐ろしさはあるんですけども、どこか温かみのあるような不思議な感覚がある作品になっています。
こちらなんですけども、会場入り口の入ってすぐのところに飾ってあったので、すごく印象的でオーラみたいなものを感じましたね。
そして見た目自体はそれぞれのキャラクター全然違うんですけども、これらが同じ家族であるというところはなんだか伝わってくる。同じ血が繋がっているというのかっていうのはすごくあってですね、本当に人の心をそのままオーラとしてまとっているような作品でした。
これがすごく印象的だったというところは、最初作品のタイトルを見ずに見たときは、なんかすごいものがあるぞっていうところで、おどろおどろしたみたいなところもありつつ、柔らかさもあるものだったんですけども、このタイトルを見たときに家族関係であるというところ、自分を表した家族であるということがあって、すごい納得をしたなというところがあったんですよね。
これはもう目で見たときには本当に変わった姿をしてるんですけども、頭の中でフィルターを通すとこれが一つの家族の集合体なんだなっていうところでの作品のタイトルと説明を見たときにすごくマッチをしているというか、なるほどなというふうに感じました。
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そして2作品目なんですけども、これはちょっとタイトルと作者を失念してしまったんですが、和室のような展示のところにあったものなんですけども、フグの作品なんですが、フグそれぞれが七福神の姿をしているというような作品になっていまして、
横の方に紙と物を書けるものが置いてあったんですけども、願いとかを書いた紙をフグに食べさせるといいことがある、みたいなことを言われていまして、すごい作品としても展示としても素敵だなと思ったところと、
あとは新しい信仰が生まれる瞬間みたいなものをこの作品から感じまして、もちろん七福神というものは古来からそういったご利益のある神様として祀られているものではあるんですけども、
人々が何かに対して願いを込めるというところを、作品を作る段階だけじゃなくて、作品を展示するというところも含めて実現するというところにすごく面白さというところと、日本人らしさみたいなものを感じたというところで、すごく印象的でした。
そして3つ目なんですけども、ジャレンフーさんという作品のプレイシンクという作品ですね。これなんですけども、AIを使った作品になるんですけども、説明の方を簡単に読ませていただくと、
深海のエリアというのは80%ぐらいが現在でも探索されていなくて、そこでは約70%ぐらいの生物が発見されていないというふうに言われているらしいんですよね。
その神秘的なエリアをどうやって体験することができるのかというところをコンセプトという形にしていて、既存の深海生物の写真1万枚をデータセットとしてAIを学習させて、
それに基づいて新しい深海生物を作って、その名前であったりどういった行為をするのか、生息環境というところを一緒に生成をするという説明文みたいなものですかね、出すというところをやって、
それに基づいて既存の生物学に基づいて分類をするというようなものを展示をされていました。
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これが印象的だったところとしては、もちろん僕自身がこれまでAIとかっていうところを学問としてもそこですし、仕事としてもやってきたということもあったので、
美術というところに科学というものが取り込まれながら、科学と美術というものは正直今まで美術作品は美術作品だし、科学であったりとか現代の中で使われている暮らしを豊かにするものというところは、
デザインとかでは接合することはあるかもしれませんが、美術作品としてくっつくことっていうところをあまり意識したことがなかったんですけども、こういった形で境界線というものはなく、
このAIを使った展示というものも美術作品というか卒業制作作品として展示がされるというところにすごい面白さというものを感じたというところですね。
どうしても美術作品とかっていうものは昔からの歴史であったりとか、これまでの流れというところを踏まえて何を書くのかっていうところなのかなっていうのを結構偏見として持ってたんですけども、
そういうわけではなくて、本当に今この時代にあるものを使いながら作っていくっていうところもあるんだなというところで結構面白かったです。
実はこの作品の他にもですね、まさにチャットGPDとかを使ったですね、物語を作って絵を作って作品にするみたいなのもあって、この卒展を通じて美術だけじゃなくて、いろんな領域との接合っていうところをすごく感じたなというのを思っています。
4つ目なんですけども、北野愛美さんという方の皮膚を切るという作品です。
これはですね、近い将来自分好みの皮膚、本当に体の皮膚ですね、を切る時代が来るとしたらというところで起こり得るかもしれない未来を想像して提案をするという作品でした。
これがですね、制作した目的なんですけども、人と異なることっていうのが受け入れられるようになってきた現代でも、やっぱり皮膚病であったり皮膚に対する痣とか傷とかがある当事者側っていうのはやっぱり他人の目が気になっているという状況は続いているので、
なかなかそこを技術として改善するというところができていないというところもあるので、現代の技術ではまだあまり想像ができていない未来を想像することで、皮膚病であったりとか未来について考える機会につながるといいなということで作品されたということなんですけども、
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実際にどういったものかというので、マネキンに対して皮膚みたいなものを着させていたりとか、2050年と2080年と2100年の人工皮膚のデザインみたいなものがされていました。
ちなみにその2050年、2080年、2100年っていうところでどういったことが書かれたかと言いますと、2050年では皮膚に近いような人工皮膚っていうものを使用した服を着ることで、皮膚病の方でも負担の小さい負があるだろうというお話、
2080年では自己修復をする人工皮膚によって、形状を変えながら自己修復することで負担をかけない負ができるだろうというところ、そして2100年ではイカやタコが皮膚の色とか形を擬態するように皮膚の色を自由に変えられることで他の人と違う皮膚の色っていうのを楽しめるんじゃないかというふうに書かれていました。
この作品が印象的だったのは、もちろんこのポッドキャストの番組というものが未来を想像すること、現代人の思いを未来に届けることというところで何か近いものを感じるからっていうのはもちろんあるんですけども、
それ以外に自分の内在する思いを作品に起こすだけじゃなくて、遠い未来っていうところをイメージしながら美術作品として起こすというやり方もあるんだなというところで、
美術作品というものが過去の系譜をたどったアウトプットだけじゃなくて、将来に基づく新しいイマジネーションでありアウトプットを出すというところがあるんだなというところで、新しい視点だなというふうに思うことができました。
最後5つ目なんですけども、菅沼庵さんという方の私のハムスターともう一つの旅ということで、この卒展の展示期間中にこの菅沼さんのペットのハムスターが回し車で走った距離を計測をしまして、
昼の時間帯に飼い主である菅沼さん自身が同じ距離を移動するというようなリレー作品という形で展示がされてまして、実際にこの作者である菅沼さんがライブ配信で会場で歩いている様子が配信されてまして、会場から話しかけることができるというような作品が展示されていました。
この作品を見て感じたのは、作品というものは展示される段階のものが完成ではないんだなというところですよね。
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もちろんいろんな油絵であったりとか、実際に制作された作品というものは展示はされているんですけども、展示がされている期間に作品が更新され続けるというのは、なかなか今まで経験のないものだったので、作品とは何かというものを改めて考えさせられる作品だったなというふうに僕も思っています。
もしかしたらその作者それぞれにおいては、作品が出来上がった瞬間が完成の人もいれば、作品を会場に展示した瞬間が完成の人もいるし、展示された作品が人々に見られることによって完成する人もいるし、
作品がこれから未来に向かって展示され続けて朽ちていくというところまでが完成というふうに扱っている人もいるかなと思うんですけども、僕たちのような鑑賞者というものが必ずしも見ている瞬間というものがその作品そのものであるというわけではないんだなというところをこの作品から感じることができました。
どうなんでしょうね、この私のハムスターともう一つの旅と題されたこのライブ配信を含めた一連の作品というものは、この展示期間が終わった瞬間作品の完成となるのか、それとも完成が更新され続けるのか、それともハムスターが走った、そして私がその分歩いたという概念というか、
その行為自体が作品というものの完成形というものになるのか、僕も頭がゴンガラがってきちゃったんですけども、作品は展示されるだけではないんだなというところを気づかされたという意味ではすごく印象的だった作品だったなというふうに思っています。
ここまでが特に印象的だった作品になるわけなんですけども、結構ここまででも長く喋ってしまった気がするので、一旦今回はここまでとしまして、次回は天井回っている最中に僕は作品の感想ではなく、その作品に関して見ている中で自分自身が感じたりとか書き留めたメモっていうのがあるんですけども、
その当時感じたことっていうのをこの収録の段階でよく咀嚼をしてみることで、自分がこの2024年でどういうふうに作品を見ているのかとか、あとはどういうふうに作品を見ていったらいいんだろうなっていうところを少し自分自身と対応したいなというふうに思っていますので、ぜひ次回も聞いていただけると嬉しいなというふうに思っています。
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ということで、2024年2月の現代人でした。
ということで、エンディングです。
今回は、芸大卒典で鑑賞した作品から、自分が印象的だった作品を5つ紹介しました。
美術鑑賞ってやっぱり楽しいですね。
この本編の収録後、今回紹介をした作品の選定について、少しメタ的な視点で見てみると、やっぱり僕自身がこれまで興味関心であったり、学んできたことっていうものがやっぱり影響を受けていて、選んでいるなというところを感じてしまいました。
やっぱり解説しやすい領域、説明しやすい領域っていうところを選びがちなバイアスっていうのはあるんだなというところを今回収録後に気づくこともできました。
もちろん自分がこれまで経験したことを踏まえて、いいなとか素敵だなと思える感性も大事かなというふうに思っているので、これからまたいろんな作品を拝見しながら、美術鑑賞を楽しんでいきたいなというふうに思っています。
次週なんですが後編ということで、自分自身が鑑賞中に感じていたこと、考えていたことというところを改めて咀嚼をしまして、
2024年の現代人、そして自分が美術鑑賞というものをどういうふうにやっていたのかというところを自己対話をしてみたいなというふうに思っています。
どうぞお楽しみに。
番組では皆さんからの感想をお待ちしております。
ハッシュタグエコー3伝で皆さんからのコメント、感想をお待ちしております。
ぜひよろしくお願いします。
ということで今回は以上になります。
現代人の皆さんも未来人の皆さんもまた次回お会いしましょう。
ではね。
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