疫病神の由来と疫病除け
ひょっとして、妖怪古伝をお探しですか? いやね、私もこれからそこへ行くところなんですよ。
よかったら、ご一緒しましょう。江戸の時代から庶民に怖がられながらも、愛され続けてきた妖怪。
このポッドキャストは、そんな妖怪を毎回一つ取り上げて紹介し、ここのオーナー自らが勝手に作ったバカバカしい妖怪の物語が聞ける。
それがこの妖怪古伝なんです。 さあ、着きました。私が扉をお開けしましょう。
薬病神。薬病神は、世の中に薬病をもたらすとされる邪神。家々の中に入って人々を病気にしたり、災いをもたらすと考えられている。
医療の普及していなかった古代日本では、病気は目に見えない存在によってもたらされると信じられており、特に流行り病、治療不可能な重病は、物のけ、怨霊、悪気によってもたらされると言われてきた。
一方、人間の目に見える姿として、薬病神は老人や老婆などをはじめとした人間の姿をとって出没すると考えられており、単体または複数人でさまよい、人間を訪れ薬病をもたらすなどと言われた。
薬病除けのために、正規や小津天皇、角大使を屋内または戸に張り付け、ご夫とする信仰や俗信があり、薬病神を避けるものとされてきた。
父の病気に苦しむレン
クリスマスイブ、小学生のレンは一人マンションの部屋でスマホゲームで遊んでいた。
3ヶ月前、レンの父が原因不明の病気になり、意識が戻らず入院したまま、母は仕事とそのつき添いでほぼ家にいなかった。
つまんないな、最近学校では病気がうつるぞってからかわれるし、家に帰ってきても僕一人。
どうしてお父さんあんな病気になっちゃったんだろう。
レンがスマホをベッドに投げて暗くなった部屋の天井を見ていた。
すると天井の隅に小さいおじさんのようなものが浮いていた。
でもよく見ると透けて見えて生き物ではないようだ。
レンの視線とそのものの目が合うと声をかけてきた。
よう坊主、寂しそうだな。
そりゃそうだな、親父が病気で母親もなかなか家に帰ってこなけりゃ、そりゃ元気も出ねえな。
お前誰だよ、どうして僕の両親のことまで知ってるんだ。
俺は薬病神、聞いたことあるか。
悪いな、上からの命令でお前の親父を病気にさせている。悪く思うなよ。
なんでだよ、僕の父さん何も悪いことしてないじゃないか。
どうして病気にならなきゃいけないんだよ。お願いだから治してくれよ。
仕方ねえんだよ、お前の親父の前世の行いとか、先祖とかの関わりとか、お前には分からないことが色々あるんだよ。
疫病神とサンタの贈り物
なんでだよ、父さんを元に戻してくれよ。
お母さんも隠れてずっと泣いてるんだ。
お父さんを治してください、お願いします。
だめだ、だめだ。悪いが俺が勝手にここを離れるわけにはいかねえんだ。諦めてくれ。
レンは目を腫らして薬病神を睨んでいる。
しょうがねえな、お前の親父は治してやれねえが、今日はクリスマスイブだ。
なんかお前の欲しいものをプレゼントしてやるよ。
ああ、俺だって鬼じゃねえ。まあ鬼じゃねえけどな。
どうしてだよ、お前は薬病神だろ。人を病気にする以外、人にいいものをあげられるなんて聞いたことない。
へっ、何も俺が何かやるって言ってるんじゃねえ。俺にも仲間がいるんだ。
えー、貧乏神とか死神とか。
それでな、最近SNSで知り合ったんだが、サンタってやつがいて、いいやつなんだこれが。子供にプレゼントをくれるらしいんだ。
お前もこの靴下に手紙書いて入れてみろ。俺がサンタに渡してやるから、せめてもの罪滅ぼしだ。
レンは泣きながら鉛筆で書いた紙を畳んで靴下に入れた。薬病神は少しにやりと笑って、暗闇にふっと消えていった。
そして次の朝、レンの枕元には少し大きめの段ボールが置いてあった。
まさか本当に?と思って、レンは急いで段ボールの蓋を開けてみた。
涙がレンの頬を伝った。
父の目覚め
ほほー、サンタのやつちゃんと希望のものをプレゼントしてくれたんだな。
ところで中身はなんだ?すると何かが段ボールから飛び出した。
それは犬だった。
なんだよ、よりによって欲しかったのは俺の苦手な犬だと?
こりゃ叶わん、逃げろ!
そう言うと、薬病神は天井に消えていった。
レンには薬病神の顔が心なしか笑っていたように見えた。
そこに隣の部屋の母のスマホが鳴った。
母が急いで電話に出た。母は泣きながらレンを抱きしめていった。
お父さんが目を覚ましたって、レンは小さくつぶやいた。
サンタさん、ありがとう。メリークリスマス。
いかがでしたか?今日の妖怪話は。
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