00:02
それでは、今回も講義を始めてまいりましょう。
古文や漢文が書かれたり、読まれていたりした時代というのを、
実は4つの文類に分けて呼ぶことがあります。
それは、上代・中古・中世・近世の4つなんですね。
この4つというのは、どのように分けるかというと、
まず上代は、上に代と書いて、
この上代というのは、ざっくり奈良時代くらいまでのことを、上代と言っています。
次の中古は、真ん中の中に古いと書いて、中古です。
中古社の中古と一緒ですね。
中古というのは、ざっくり平安時代のことを指します。
そして次が中世。中世というのは、ざっくり鎌倉・室町時代のことを中世と言っています。
最後が近世。近いに世界の近世ですね。
近世というのは、江戸時代のことを言うんですね。
そういう分け方をしているんです。
もちろん日本史の中では、もっといろんな細かい分け方とかありますけれど、
やっぱりこういう分け方というのは、いろいろと異動がありますよね。
いろんな考え方とか、研究者の立場とかがあると思うんですよ。
私もそこまで詳しくはないところもあるんですけれど、
この分け方というのは、非常に曖昧なところもあったりするし、多種多様なんですが、
便宜上、文学の世界においては、4つに分けているんですね。
じゃあ、なぜこの4つに分けているか。
分類するというのは、物事を非常に分かりやすくしますよね。
そういった意味では、分類する、分けるということは非常に効果的なんですけれど、
古文や漢文が使われていた時代というものを考えた時に、
4つに分けると非常に分かりやすいというんですね。
じゃあ、どうして分かりやすいかというと、
それぞれに特徴があるからなんですよ。
まず最初が、常題です。
常題というのは、言ってみればギリギリ文字があるくらいのレベルの時代ですね。
ですから実際には、常題に書かれたものなんかはほとんど残っていません。
常題に大体書かれたというか作られたとか、
そのくらいにあるのかなというのの代表例が、
例えば万葉集とか古事記とかその辺のものになってまいります。
ただ、この辺も実際どうなっているのかは、よく分からなかったりするんですね。
03:06
もちろん、記録上はこれくらいに成立したんですよというのは分かるんですけれども、
なかなかそれが本当にどういうものだったのかというのはちょっと分からなかったりもするんですね。
どうしてかというと、やっぱり文字にして残すということ自体が、
まだまだ限られた人たちのものだったということもあるでしょうし、
それ以上にもうだいぶ昔のことですからね。
場合によっては本当にある意味では、
もしかしたら紀元前とかにもいろんな物語が余れていたりとか、
いろいろな人がいろんな言葉を語ったと思うんです。
ただ、それが何らかの形で現代まで残るというのはかなり大変なことだと思うんですね。
実際には当時のことっていうのは、
例えば交渉文学、交渉というのは口伝えで伝説を人に語って、それを語り継いでいくということなんです。
そういったもののうちいくらかが残っているというか、
そのうちのいくらかが何らかの形で奇跡的に残ったものの一つが、
古事記とか万葉集とか日本書紀とかそういったものだということなんですね。
そういったほとんど奇跡的に残っているようなものが、
この上代に書かれた文学だということになってまいります。
さて次は中古になりますね。
中古、つまり平安時代です。
この頃の文学として特に有名なのは、やはり女房文学というものでしょう。
女房というのは、現代でも奥さん、妻のことを女房ということがありますけれども、
その女房というものは平安時代においては宮中にお仕えする女性のことを言いました。
この宮中にお仕えする女性が書いた文学を女房文学なんていうことがあります。
例えば源氏物語とかさらしな日記とかかげろう日記とか、
そういったものが代表作でしょうね。
そういったものを描いたものが非常に現代でも有名なものとして残っていると。
とは言ってもですよ、当時の文学が女性のものだったかというと、
そういうわけでもおそらくないんですね。
詳細についてはこれからお話ししたいと思いますけれども、
そういった宮中にお仕えする女性の作品が特に有名な時代。
少し言い換えると宮廷生活、宮中が舞台となっているものが描かれるのがこの平安時代であります。
06:03
同じように宮中の生活ぶりがうかがえるものに和歌集というものがありますね。
そういった直線和歌集のようなものもこの平安時代に作られていくことになります。
さてお次は中世です。
中世はざっくり言うと鎌倉室町時代、つまり武士の時代というイメージですけれども、
ただ文学上は特に大事なのは仏教の時代ということですね。
仏教、例えば平家物語やつれずれ草なんかがこの頃に描かれたものですね。
これらというのは仏教の影響が非常に強い。
そもそも文学においてこのお坊さんたちというものは非常に影響力が強いんですね。
そもそも大陸から漢字が入ってきた背景には仏教の伝来がありました。
それらを駆使しようとしたのもお坊さんたちでした。
またお坊さんたちは自分たちの教えを記録して残そうとしたり、それを大衆に広めようとしたわけですね。
そういったことを考えてみたときには、文学とお坊さんたちというのは深く関わっているということが伺えるわけです。
そういった仏教背景として様々な思想ですね。
いろいろな物事の考え方とか、特にお坊さんたちのいろいろな考え方、仏教というのも様々な考え方があるんですね。
そういったものがいろいろな死生観とか、死ぬ生きるの考え方とか様々なものが描かれていくのがこの中世という時代だと思います。
さて最後が江戸時代、これを近世と言いました。
近世というのは特徴としてはですね、この頃になってようやく一般の人たち、町民に対してこの文学が開かれていくんですね。
多くの人たちが文字を読み、そして物語や思想を楽しむことができるようになりました。
そういった町民文化の中で盛んになっていく文学というのがこの近世文学です。
例えばですね、恋愛の物語とか、あとは怪談の物語とか、あとは滑稽な笑い話とか、そういったものが描かれて多くの人がそれを文学として楽しむようになっていった。
そんな時代になります。
またそれだけではなくて俳句、俳諧というものですね、俳句がまた出てくるというあたりも特徴としてはありますね。
この頃になってくると、現代までに残っている文献もいっぱいあるんですね。
09:03
なので、おのずから作品数も多くなりますし、資料も多くなってまいります。
それより前ですとね、戦乱の世の中があったりとか、あとはそれぞれの、単純に古いとかね、そういうことがあって残らないことが多かったと思うんですけれども、
江戸時代くらいになってくると、非常に多くの文献が残っているということも、これまた江戸時代の特徴になっていくわけですね。
ということで、このように4つの時代区分、上代、中古、中世、近世というように大雑把に分けることによって、それぞれの文学の特徴というのが見えやすくなるということなんですね。
ただこれ注意したいのは、やっぱりどうしても我々って分類しちゃうと、それに当てはめて考えようとしてしまうんですね。
やっぱり、例えば上代であっても上代らしくないものとか、近世であっても近世らしくないものなんていうのがいっぱいあったわけですね。
そういったものも踏まえてちゃんと見ていくというか、あまりディフォルメしすぎない、単純化しすぎないということも大事なのかなと思います。
ただ、この4つに分けることで非常にクリアになるというか、整理しやすくなることもまた確かですので、この4つの言い方というのを使っていきたいと思います。