シックスナインで集中できないのは、普通のことなのか。「注意が分散するから感じにくい」と示した研究は、探しても一本も見つかりませんでした。
名前は誰でも知っています。数字がそのまま名前になっている、たぶん唯一の行為です。ところが、その最中に何が起きているかを測った研究は、探しても見つかりませんでした。経験している人は九割近くいるのに、誰も測っていない。今回は「無い」ことを確かめたうえで、では何が言えるのかを10分ちょっとでお話しします。
誰も測っていないのなら、誰にも採点はできません。
- ✅ 「シックスナインは注意が分散するから感じにくい」と示した研究は、探しても一本も見つからないこと
- ✅ 経験したことがある人は男性87.1%・女性86.8%。差の大きさを測る指標はゼロ(チェコ・21,038名)
- ✅ それでも、ふだんの性的な接触に占める割合は男女とも真ん中の人で10%——したことはあるが、毎回はしない
- ✅ 気持ちよさの評価は男性のほうが高く、13の体位のなかでも男女の開きが大きいほうだったこと
- ✅ 注意の負荷を上げると腟の血流反応は下がる。ただし「その場の申告」には出ず、性的な悩みの有無でも下がり方は同じだったこと(オランダ・41名)
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参考文献・関連リンク
今回のエピソードで参考にした研究です。いずれも海外のもので、日本の数字ではありません。
なお、この行為そのものを対象にした研究は、医学論文データベース(PubMed)を検索しても見つかりませんでした(2026年8月・当方調べ)。以下は、体位の調査と、注意やオーラルセックスについての周辺の研究です。
- Kamasutra in Practice: The Use of Sexual Positions in the Czech Population and Their Association With Female Coital Orgasm Potential (2020) — Sexual Medicine。チェコ・21,038名(男性11,225・女性9,813/18〜86歳)。シックスナインの生涯経験は男性87.1%・女性86.8%で、差の大きさを表す指標は.00。過去5年の使用頻度は男女とも全性的接触の中央値10%。快感度の評定は男性のほうが高く、13体位のなかで男女差が大きいグループでした。ただしオーガズムとの関連を調べた分析の対象は挿入をともなう9体位のみで、シックスナインは入っていません。SNS・メディア広告から集めたオンライン標本で、無作為抽出ではありません。
- The Effects of Increasing Neutral Distraction on Sexual Responding of Women With and Without Sexual Problems (2006) — Archives of Sexual Behavior。オランダ・41名(性的な問題のある方20・ない方21)。映像を見ながら数字の課題で注意の負荷を上げると、腟の血流反応と、行為後にふり返って答えた興奮が低下しました。ただしリアルタイムの主観的な興奮には有意な低下は出ておらず、下がり方は性的な問題の有無にかかわらず同じでした。シックスナインを調べた研究ではありません。実験室の課題から、実際の性行為のことは導けません。
- Sexual practices at last heterosexual encounter and occurrence of orgasm in a national survey (2006) — The Journal of Sex Research。オーストラリア・16〜59歳の全国代表の電話調査(総数19,307名)のうち、この関連の解析に使われたのは5,118名(男性2,858・女性2,260)。行為の種類が多い場面ほど、またクンニリングスを含む場面ほど、女性がオーガズムに達した割合が高いという関連が報告されています。関連であって因果ではありません。一人につき「直近の一回」をふり返って答えてもらったもので、シックスナインを取り出して調べたものでもありません。
- Development and validation of the female genital self-image scale (2010) — The Journal of Sexual Medicine。米国・1,937名(オンラインで集めた標本)。自分の性器の見た目を肯定的にとらえている女性ほど、口での行為でオーガズムを経験したことがある割合が高かったと報告されています(P<0.001)。これも関連であって因果ではありません。「性器を好きになればイケる」という話ではありません。
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夢野アートは、夢野カナエの体験と、性科学・セクシャルウェルネスの知識をもとに、性のお悩みや快感の仕組みを明るくわかりやすく発信するブログ・ポッドキャストです。
「快感を科学する」をテーマに、あなたの毎日が少し楽しくなるヒントをお届けします。
【ご注意】
※番組内で「研究は見つかりませんでした」「文献はありません」とお伝えしている箇所は、収録時点で私たちが調べた範囲での結果です。あとから見つかることもあります。新しい情報が出たときは、番組や記事で訂正します。
本エピソードは、性に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医学的診断や治療を目的としたものではありません。ご紹介した研究はいずれも海外のもので、日本の数字ではありません。標本の少ないものも含まれます。
「同時にすると集中できない」ことを、この行為そのもので測った研究は見当たりません。これは「そうならない」という意味でも、「あなたのせいだ」という意味でもありません。痛みや不快感があるときは続けないでください。気になる症状が続くときは、婦人科・泌尿器科へご相談ください。
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