映画『ロスト・ハイウェイ』の紹介
デヴィッド・リンチ監督のですね、追悼上映ということで、2週間限定でね、有楽町の門川シネマかな、あそこで見てきたんですけども、作品はですね、ロスト・ハイウェイ、1997年公開なんですが、
5人ぐらいしか入ってなかったかな。 怖かったね、客の顔を見るのも。どんな猟奇的な人が来てるんだろう、みたいな。
お互い様だろうっていう。 君もその一人だよ。 その一人なんだけど、怖ええな、客が怖ええよって思って、ドキドキしながら見たんですけどね。カップルで来てる人もいてね。
デートムービーとは程遠いですね、デヴィッド・リンチ監督によるサイコスリラー映画ですよ。
一言で言うと、意味がわかんねえよっていう映画なんですよ。デヴィッド・リンチ武士というかね、なんか怖ええし、みたいな気持ちにさせられる作品ですね。
これをですね、ストーリーをここで順番に語るだけで、映画を見た僕と全く同じ気分になれるというですね、そういう今からお話をさせていただければなと。
つまりネタバレです。ネタバレなんですけど、意味がわからないよってタケシカは最後に言うっていうね。
どうしたんだ、浮かない顔して。
浮くときはしないよね。
もっと、「それでそれで?」みたいな、そういうのくれよ。
だって言っちゃ悪いけど、一切興味がない話をこれからされるわけでしょ。
亡くなられたんですよ、1月に。
それは惜しい人を亡くしたかもしれないけれども、申し訳ないけど、僕の人生に一つもかすってないからさ。
いやいや、僕の青春なんですよ。
いや、わかってるよ。そりゃ知ってるけど。
ロストハイウェイはね、デヴィッド・リンチ監督にはまって、レンタルビデオで大学生のときに見たんで、20年ぶりぐらい。
ほんと断片的にしか覚えてなくて。
でもその断片が今見ても、やっぱぶっ刺さる感じでとても良かったんでね。
ちょっとその辺も加えて説明していければいいと思うんですけれどもね。
まずストーリー。
主人公はサックス奏者のフレッドっていうね。
ビル・プルマン演じるフレッドという男がいるんですよ。
かっこいい感じのね。
ただEDなんですね。
妻とうまくいってなくて。
そういう夫婦がいるんですよ。
そして朝ね、ピンポンって鳴らされて、インターホンでね。
誰?って出たら、インターホンからディック・ロラントは死んだと言われるわけですよ。
ディック・ロラントイスデートって言われるわけですよ。
男の声でね。
ディック・ロラントがまず誰かずっとわからないんですよ、これが。
怖いですよね。
そんなことをインターホン越しに言われて。
なんだろう。
怖いですよねって聞いたら負けじゃねえか。
謎が謎を呼ぶわけですよ。
ディック・ロラントって誰だよ。
そうやってインターホン鳴らされて、外に行くとVHSのビデオテープが玄関前に置かれている。
アテナとかもなく封筒に入って、ビデオテープが入ってるわけですよ。
これを再生すると、フレッドの家の前を撮影してるんですよね。
意味はわかんないわけ。
家の前がただ撮られてて、不気味というか気持ち悪ってなるわけよ。
っていうのが始まるんですね。
それが冒頭導入で、奥さんとうまくいってない。
なんかビデオテープ届いて気持ち悪い。
ある夜、パーティーが行われる。
奥さんの友達のゲイっぽい感じの黒人男性のパーティーに呼ばれて。
主人公のフレッドはあんまノリ的じゃないわけよ。
奥さんはノリノリで酔っ払ってたりしてさ。
家ではそんなノリノリじゃないのに、こういうとこでは明るいんだなみたいな。
すれ違いも感じつつ、バーカウンターに強い酒を取りに行くんですよ。
そしたらそこで、白塗りの目をかっぴらいた謎の男が話しかけてくるわけですよ。
これは僕はまず断片的に覚えてたことの一つね。
白塗りの、歌舞伎役者みたいに塗った目をかっぴらいた男。
この人が近づいてきて、久しぶりですねとか言うわけ。
フレッドは知らないの、その人のことを。
え? 誰? みたいな。
どこかでみたいなことを聞くわけ。
その白い男がね、私は今あなたの家にいますとか言うわけ。
どういうこと? って言って。
なんかの冗談? よくわかんないよって言うんだけど、電話を差し出してくるわけ。
その白塗りの男がフレッドに電話を差し出して、話してみてください。
話してみてくださいっていうか、あなたの家にかけてくださいと。
かけてみるわけ。
そしたらその男の声で、今あなたの家にいますって言って出るわけ、電話に。
意味わかんないよね。
急いでこんなパーティーちょっと帰ろうって気分悪いって言って、奥さん連れて家に帰る。
もちろん家の中には誰もいない。
え? なんだよ? って言って。
そこで場面がバッて飛んで、ビデオテープがまた翌朝なのか届いてるわけ、続きが。
家の外の映像から家の中に入ってきて、
段々階段を上がってきて、寝室まできて。
で、フレッドが奥さんをバラバラにして殺害してるっていうのが、たぶんそういう映像がね、ぐちゃぐちゃな映像が出てきて、
気づいたらフレッドは刑務所に入れられてると。
で、お前がやったんだろうみたいなことを言われて殴られたりして、
トントン拍子で、「死刑!」ってなるわけですよ。
一人殺しただけで? みたいなのもありながら、
もう混乱してるわけ。フレッドも混乱してるし、見る人も、
何? 何が起きたの? みたいな。
フレッドはね、もう頭痛がするとか言って、眠れない頭痛がするとか言って、幻覚が見えだして、
で、次に俺がまた断片的に覚えてた映像が入ってくるわけ。
それは夜、砂漠のね、砂漠に一軒だけポツンと建ってる小屋が火事になってるんだけど、
どんどん火事が収まっていくわけ。逆再生なんだね。
爆発的に火が燃え盛るところの逆再生だから、最後シュンって火が収まるわけ。
それが面白くて、俺20年前にギラギラ笑ってたんだけど、
今回もすごい、うわーって我慢しなきゃみたいな気持ちになって、
そのスンっていう収まり方がめちゃめちゃ面白い。
そういう幻覚が見えた後、これ次の展開なんですけど、
フレッドの顔が別人になってるわけ。
監修がある朝、フレッドの巡回しててね、フレッドの読挙簿を覗いたら、
とんでもないことになってますとか言って、署長に連絡して、
どうしたんだって言ったら、もう見て、自分の目で確かめてくださいって。
署長も見に行って、バーって見たら、全く別人になってる。
フレッドが、ここ物語の折り返しに入ってるんだけど、フレッドがピートになるんだよ。
誰?って言うね。
ここまで一切出てきてない若者、ピートになるんですね。
ピートは別人だから釈放されるわけ。
自宅に帰ってくる。両親に連れられて。
両親が、革ジャンのペアルックで手繋いで迎えに来たりするんで、ちょっと変なんだけど、
そこはいいとして、ピートはフレッドからピートになって、釈放されて、自宅に帰ってくる。
ピートの人生の変化
っていう展開があります。
ピートは自動車の整備工として働いていると。
一生懸命働いててね、工場長とかにも好かれててさ、ピートが帰ってきたぞ、みたいなことを言われて、
一生懸命働いてる良いやつなんだけど、また不穏なことが起こるわけね。
得意さんのエディっていう老人がいるんだけどね。
この人がどうも裏社会の人っぽいんだよね。
怖いんだよ。
いかちい車乗ってきて、これを直してくれとか言って、
直したらお前は腕がいいなとか気に入られてるんだけど、
なんか巻き込まれそうな感じで不穏なんだよね。
で、案の定、そういう直した車でちょっとドライブしねえかって言ってたら、
煽り運転をされて、そこで人が変わったように激怒するわけね、エディがね。
その起こり方が、ああ、ギャング、裏社会のそういうギャングなんだな、みたいなのをわずからされて、
ゾッとするわけ。この人とちょっと付き合ってたら大変なことになるぞ、みたいな。
煽り運転して追い越してった。車を先行っていいよ、みたいにさせた後、後ろからガッツリ追突して、
崖から落とす寸前ぐらいまで行ってね。
で、車から降りて、相手の窓ガラス割って、説教するわけ。
時速56キロの制動距離わかるかと。
車6台分だぞ。去年5万人死んでるんだぞとか言いながら、
交通安全の本を買え!とか言ったりして、めちゃめちゃ面白いわけよ。
怒ってる怖さと言ってることの真っ当な感じがすごいおかしみで、
そこが名シーンなんだけどね。
ただただ、でも、切れたら何するかわかんねえみたいな。
そういうお得意さんがいますよと。
お得意さんが、次の日また車直してくれっていう時に、
アリスっていう高級少婦みたいな愛人を一緒に乗せてきて、
そこでアリスに自動車整備工のピートがビビビと来るんですよね。
それで密会とかしちゃうわけ。
向こうからまたアリスから電話かかってきたり、
整備工場に会いに来たりして、
グラグラなんだけど、手出したらまずいじゃん。
手出しちゃうんだよ。
そうやって関係持っちゃって。
それでバレるわけですよね。
バレてるかどうかわかんないような釜をかけられたりしながら、
この女に手を出すとかはしちゃいけないよなみたいな、
そういう言い方をされたりして、
もう冷や汗かきながら、そうですよねとか言って。
アリスももちろん女の方もバレてるって言って、
もう逃げましょうみたいになる。
どうせだったら金を盗んで逃げましょうってことを言って、
ギャングのエディとつるんでるやつの家に行って、
夜中忍び込んで金を奪うっていうね。
もうこの辺からピートの彼の人生は後戻りできない感じになってて、
破滅に向かってくからもうやめとけよって見る側は思うんだけど、
そこで金を盗んで、
結局そこの家の人も事故なのか何とも言えない感じで殺してしまうんだよ。
バッて鉢合わせになって、気絶させようとしてね、
思いドンキで殴って、
じゃあ逃げようってなったんだけど、
意識が戻って、
飛びかかってきたのを、
なんかよくわかんないよ。
弔え投げしたのか何なのかわかんないので、
体が飛んでってん。
ガラスのテーブルで、
頭がテーブルに刺さって、
本当にそういうことってあり得るのかわかんないぐらいの、
テーブルがおでこに半分以上めり込んで、
殺してしまうっていうね。
これも断片的に覚えてることの一つね。
あの死に方だけは嫌だみたいな。
机の角に頭ぶつけて死ぬとか、
そんな生優しいものじゃなくて、
半分以上刺さって、
頭にめり込んで死ぬというですね、
とんでもないシーンが出るわけですね。
ここは実は全然重要じゃない。
今の話はね。
今の話は全然重要じゃない。
逃げますと。金持ってね。
愛の逃避行ですよ。
ここでねまた、
タイトルの伏線回収みたいな感じでね。
ハイウェイをね、
かっ飛ばして逃げて。
またその映像がね、
暗闇の中、地面しか、
ライトに照らされた地面しか見えない。
それ高速で走ってて、
車線だけがボンボン流れていくみたいな。
ユニクロのシャツにもなってて、
コラボTシャツで。
10年くらい前に買ったんですけど。
いまだに時々着たりしてさ、
ロストハイウェイって書いて。
かっこいいんだそれは。
今のも重要な話じゃないんだけど、
砂漠に逃げるんですよ。
その砂漠っていうのは中盤でね、
サンドラとアリスの不思議な関係
刑務所に入ったフレッドが見た幻覚の場所と一緒。
小屋があるわけ。
その中に、
白塗りの男がいるわけなんだけど。
白塗りの男と話をどうこうする前にね、
唐突に砂漠で、
ピートとアリスが追っ始めるわけですよ。
砂漠でだよ。
服全部脱ぎ捨ててさ、
始めるんだけど、
奇妙なんだけど、
美しいラブシーンでね。
見入ってしまってさ。
なんなの?って。
感覚的には、絶対そんな砂のあるところでしたくないじゃん、とは思うじゃん。
いろいろ大変そうだけど、みたいな。
ただ、それとは裏腹に美しいシーンなんですが、
意味深な会話をして、
ピートは君の全部が欲しい、みたいなことを言うんだけど、
アリスがあなたには絶対にあげない、みたいなことを言うわけ。
そして、いなくなるわけ、アリスが。
アリスがいなくなった。
残されたピートの顔がフレッドに戻ってる。
意味がわかんないですよね。
戻った。戻りました。
そして、白塗りの男と一緒に、
エディを殺しに行くわけですよ、フレッドは。
エディってギャングね。
最後、拳銃ぶっぱなして、
エディを殺して。
そこでね、名言はされないよ。
名言はされないんですけど、
エディって言われてたけど、
その人は、ディック・ロラントなのね。
で、警察に追われるわけ。
フレッドはね。
で、警察に追われながら、
自宅に戻ってきて、
でも、入らないのね。
自宅に入らないで、インターホンだけ鳴らして、
ディック・ロラントは死んだって言って。
インターホンに告げて、
また逃げて、
ハイウェイをね、走って逃げると。
で、エンディングなんですよ。
ループ構造の話ではあるんだけど、
何なのって最後まで思いながらさ、
もうスピードで置いてかれたんだよね。
理解が。
というお話でした。
フレットの絶望と変化
はいはい。
どうですか?
えっと、どうですか?
よくわからないっていう君がね、
言葉をね、8回使ってた。
それ以上に、
やっぱり僕は見ていながらね、
鑑賞しながら、
君わかんねーよって、
ずっと言い続けてたんですよね。
そういうお話。
ただ、なんだろう、
そういうハイウェイを、
夜中のハイウェイを買っ飛ばすあのシーンとか、
幻覚が見える直前の不気味な予兆とか、
めちゃめちゃかっこいいんだね。
スタイリッシュカルトムービーなんですけど、
それを総合的に見て、
好きって。
白塗りの目をかっぴらいたおじさんとかも、
存在だけで好きなのに、
さらに電話をかけたら、
俺んちにもう一人そのおじさんがいるっていうね。
嫌すぎるだろーっていう。
そういう面白さ。
最高でしたね。
あとは、ギャングの途中で言ったけど、
エディさんの交通マナーへの意識の高さね。
そういうね、細部も好きだし、
全体通して通停してる、
なんとも言えない雰囲気。
面白えなーっつって。
面白えなーっつって、
映画館を後にしましたね。
いやー、良かったんじゃないか。
なんか俺はね、
たけし君に期待したのは、一緒に、
確かに意味わかんないねっていうのを、
共有したかったんですけど、
めっちゃ俯瞰で見てるなっていうね。
訳わかんないって言ってる俺が見られてる感じがする。
僕の中では、
コウヘイ君が共有したい訳わかんなさっていうところが、
君の説明の下手さで来るのか、
実際そうなのかが判断できない。
それは判断はできると思いますね。
だから、どっちかというと、
僕はコウヘイ君の説明が下手なんだなみたいな。
さてさ、まずフレットがピートになったって何?って話だよ。
それは俺が聞きたいんだよ。
それは俺がデビット・リンチに聞きたいんだけど。
そういうふうに思ってるところが、
実際映画として起こったことなんだろうなと思ってるから、
コウヘイ君は悪くないんだろうなと思ってるし。
1個だけ説明できてない重要なポイントなんですけれども、
サックス奏者のフレットは奥さんを殺害してしまった。
映画の核心とデビッド・リンチの手法
これは事実なの?
これは事実だと思われます。
どこからが幻覚とかパラレルワールドなのかは分からないんですけど、
これは事実っぽいです。
説明してなかったことっていうのは、
その奥さんと後半パートで出てくるピートの相手、アリス。
ギャングの愛人ね。
これは同じ人が演じてるんです。
同じ人物として受け取っていいんじゃないかと。
ここが説明としては抜けたね。
もう少しこの前半と後半って、
全くわけ分かんないというよりかは、
なんか共通してて、
女性奥さんとアリスっていう、
同じ人が演じてるっていうのの、
ここを糸口に紐解いていく話なんだろうなとは思うわけ。
ここは結構重要なことを俺は説明してなかったんで、
説明が下手という素知りは、
甘んじて受け入れなければいけないっていうね。
割と重要ポイント。
一番重要なんじゃねえの。
もっと説明してないところで言うと、
その二人の、さらに奥さんとアリスの共通点。
この共通点もある。
つまり二人とも、
途中フレットが行ったパーティーの主催者、
黒人のゲイみたいな男性と、
後半でピートが金目のものを奪いに行って、
殺した男性っていうのは同じ人。
この人は何をやってるかっていうと、
俺のビデオの制作なのかな。
プロデューサーみたいな、
AV監督みたいな。
つまり奥さんとアリスは、
同一人物なのかもしれないけど、
そのポロのビデオに出てる、
AV女優。
という設定があるんですよ。
これも説明してなかったっていうね。
てめえこと多いな。
はい。
ということは、
それが発覚した原因で、
フレットは奥さんに絶望して、
そういう事件を起こしたのかもね。
これは妻を持つ男性としては、
これきっつい話やで。
そうだね。
理解もできるわけですよ。
フレットに対して斬殺した上で、
人格が破綻して、
ピートになっちゃうっていうのも、
ひょっとしたら理解できるかもしれない。
そういう話なんじゃねえかな。
現実逃避が半分なんじゃねえかな。
でもやっぱり、
妻もアリスとして生まれ変わって、
妄想してるけど、
やっぱり破滅しましたっていうね。
うまくいきませんでしたっていう。
またフレットに戻るという話なのかな。
いう解釈ではあるんですが、
これはわからないですね。
これの、
余談としては、
たけしくんにさらに興味ないことを
言ってしまうけど、
この次が大傑作、
マルフォーランドドライブに
繋がるわけなんですけど、
今度はハリウッドを舞台にした、
これも前半と後半で、
主人公が、
どうなってんだこれ、みたいなことになる
話なんですよ。
つまり、
ロストハイウェイで、
この手法が完成されて、
自作、
マルフォーランドドライブで、
もう一回同じことやっちゃったっていうね。
デビット・リンチャーお気に入りの手法なんですね。
今回見たね、
ロストハイウェイは、
嫁がAVに出てて辛いっていう、
そういう話ですよ。
20年前は、
マルフォーランドドライブの方が、
さらに洗練されててかっこよくてね、
仕掛けもすごくて、
マルフォーランドドライブの方が
最高傑作だなと思ったんですけど、
今ちょっと自分の40で、
嫁がいてってなってから見る、
ロストハイウェイはやっべーぞってなるね。
難解、
だけど、
かっこよくて、
理解したくなるっていうね。
いやー、
全く伝わんないもんだね。