季節の移り変わりと6月の終わり
こんにちは、石井健一です。 今週も、たまゆらタイムの時間がやってまいりました。
6月29日。 気がつけば、6月も終わりです。
今年も半分が過ぎようとしています。 梅雨空が続く毎日ですが、晴れた日には真夏を思わせる日差しも感じられるようになりました。
田んぼの稲は少しずつ背を伸ばし、山々の緑も一段と濃くなっています。 夕方になるとカエルの声が聞こえ、夏が少しずつ近づいていることを感じます。
1年の折り返し時点、少し立ち止まってこの半年を振り返ってみるのもいいかもしれませんね。 さて、この1週間にはどんな出来事や記念日があるのでしょうか。
6月末から7月上旬の記念日
まず、 明日6月30日は名護市の祓え、半年間の穢れを祓い、残り半年の無病息災を願う神事です。
神社で血の輪くぐりを行う地域もあります。 7月1日は国民安全の日、
事故や災害のない社会を目指して制定された日です。 そして、7月2日は1年の折り返しの日とも言われています。
1年365日のちょうど183日目にあたり、1月1日から数えても12月31日から逆算しても同じ183日になるんですね。
ここが1年の折り返し。 そして、3日はソフトクリームの日。
1951年のこの日、明治神宮外苑で開かれたカーニバルで、日本で初めてのコーンスタイルのソフトクリームが販売されたことを記念して制定されました。
蒸し暑い季節にはぴったりですね。 そして、7月4日はアメリカ独立記念日。
1776年にイギリスからの独立宣言が採択されたことを祝う国家の祝日であり、毎年7月4日と定められています。
そして、7月5日は江戸切子の日です。 江戸切子の代表的な伝統模様の一つである、七戸にちなんで、七戸の語呂合わせ。
2008年に江戸切子共同組合が制定しました。 こうして見てみると、季節の節目を感じる1週間になっています。
「星の王子さま」と作者サン=テグジュペリ
さて後半です。今日6月29日は星の王子様の日です。 1943年のこの日、フランスの作家サン・テグジュペリによる星の王子様がアメリカで出版されました。
世界中で翻訳され、日本でも長く読み継がれている名作です。 子供の頃に読んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。
けれど、この作品は子供向けの童話でありながら、大人になるほど心に響く不思議な物語でもあります。
今日は、その作者であるサン・テグジュペリについてお話ししたいと思います。 サン・テグジュペリは1900年、フランスで生まれました。
幼い頃から空への憧れを持ち、やがて飛行士になります。 今でこそ飛行機は安全で身近な乗り物ですが、当時はまだ航空機の例名機、飛行機に乗ることそのものが冒険でした。
サン・テグジュペリが乗っていたのは郵便飛行機です。 手紙を運ぶために夜の空を飛ぶ、砂漠を越える、山脈を越える。
今なら数時間で済む移動も当時は命がけでした。 天気予報も十分ではありません。無線設備も未発達。
遭難して発見されないことも珍しくありませんでした。 それでも彼らは飛び続けました。
なぜなら、郵便を待つ人がいたからです。 たった一通の手紙を届けるために命をかける。
今の時代から見ると少し信じられないような話かもしれません。 しかし当時の飛行士たちはそれを誇りにしていました。
サン・テグジュペリは後にこうした経験をもとに、夜間飛行、人間の土地、南方郵便機などの作品を書きます。
つまり彼は空を飛びながら作家になった人なんです。 そして1935年、彼はパリからサイゴンまでの飛行記録に挑戦します。
ところが飛行中にサハラ砂漠へ墜落。 相棒とともに砂漠の真ん中に取り残されてしまいます。
持っていた水はわずか。 昼は灼熱、夜は寒さに震える。
何日も歩き続け脱水症状で幻覚を見るほど追い詰められました。 実は星野王子様の物語はこの体験が大きく影響していると言われています。
物語の冒頭、飛行士が砂漠に不時着し、そこで不思議な少年と出会います。 その部分は作者の経験が重なっているんです。
そして第二次世界大戦が始まります。 その当時サンテグジュペルは40代。
飛行士としては決して若くありませんでした。 周囲からは危険だと言われます。それでも彼は空へ戻ります。
祖国フランスのために飛ぶことを選んだんです。 1943年アメリカ亡命中に出版されたのが星野王子様でした。
ところが翌1944年、彼は空軍の任務に就いていたんですが、偵察飛行に出発したまま帰ってきませんでした。
地中海上空で消息を絶ったんです。 長年その最後は謎に包まれていました。
近年になって機体の残骸が発見され、ドイツ軍機による撃墜説が有力とされていますが、今も完全には解明されていません。
半世紀以上経った後、地中海で彼のブレスレットや機体の残骸が発見され、ようやく最後の飛行の一端が明らかになりました。
まるで小説のような人生です。
「星の王子さま」のメッセージと現代への繋がり
ところで、星野王子様には有名な言葉があります。
本当に大切なものは目に見えない、という言葉です。
とても短い言葉ですが、年齢によって受け取り方が変わります。
子供の頃はなんとなく読んでいた言葉が、大人になると急に胸に響くことがあります。
お金、地位、肩書き、数字。
私たちは目に見えるものだけを追いかけがちです。
けれど、人生を振り返った時に残るのは、家族との時間だったり、友人との思い出だったり、誰かにかけてもらった優しい言葉だったりします。
そういうものは目には見えません。
しかし、確かに人生を支えてくれるものです。
サンテグジュペリは飛行士でした。
高い空から地球を眺めていました。
国境も見えない、人種の違いも見えない。
そこにあるのは同じ地球に生きる人々の暮らしだけです。
だからこそ彼は、人間同士が理解し合うことの大切さを強く感じていたのかもしれません。
そして2026年の今、私たちはAIやインターネットに囲まれて暮らしています。
便利になりました。
遠くの人とも瞬時に繋がれます。
情報も簡単に手に入ります。
しかし、その一方で、人と人との繋がりが希薄になったとも言われることがあります。
だからこそ、星の王子様が今も読み継がれているんでしょう。
80年以上前に書かれた物語なのに、今読んでも色あせない。
それは、描かれているテーマが人間そのものだからだと思います。
もし最近読んでいないという方がいらっしゃいましたら、ぜひもう一度手に取ってみてください。
子供の頃には気づかなかった言葉、若い頃にはわからなかった場面、
人生経験を重ねた今だからこそ見えてくるものがきっとあると思います。
そして、空を見上げた時、
遠い昔、郵便を届けるために命がけで飛び続けた一人の飛行士のことも、
少しだけ思い出していただけたらと思います。
番組の締めくくり
さて、お別れの時間が近づいてまいりました。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
お相手は石井健一でした。
それではまた来週この時間にお会いしましょう。
玉揺らのような優しい時間をどうぞお過ごしください。