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ノオト・ブク子
あなたは、本の飢餓という言葉を聞いたことがありますか?
ノオト・ブク太郎
食料とか水の飢餓ではなくてですね。
ノオト・ブク子
本、つまり情報へのアクセスが立たれてしまっている状態のことなんです。
ノオト・ブク太郎
今日は、この深刻な問題の解決に、最前線で取り組んでいるNPO法人エファジャパンの活動を、あなたと一緒に深く掘り下げていきたいと思います。
今回の情報源は、エファジャパンのプログラムマネージャー、鎌倉さんへのインタビュー音声ですね。
ノオト・ブク子
ええ、彼の話からは、カンボジアやラオスでの長年の活動、それから記憶に新しいノトハン島地震の被災地支援まで、本当に多岐にわたる取り組みが見えてきました。
ノオト・ブク太郎
彼らが立ち向かう本の飢餓とは一体何なのか、そしてその先に見据える誰もが自分の物語を描ける社会というビジョン、今日はその確信に迫っていきましょう。
まずそのエファジャパンですけど、2004年の設立ですから、もう20年以上活動を続けている団体なんですね。
ノオト・ブク子
20年ですか、長いですね。
ノオト・ブク太郎
主な活動地は、カンボジア、ラオス、ベトナムといったところです。
ノオト・ブク子
具体的にはどういった活動をされているんですか?
ノオト・ブク太郎
特に力を入れているのが、障害のある子どもたちへの教育支援ですね。
例えば、彼らが学校の後に安心して学べる放課後教室を運営したりとか。
ただ彼らのアプローチで非常にユニークなのが、アクセシブルな電子書籍の開発と普及なんです。
ノオト・ブク子
アクセシブルな電子書籍、そこが今日掘り下げるべきポイントになりそうですね。
その活動が冒頭で触れた本の飢餓という問題に直結してくると。
この言葉は非常に強い響きがありますけど、単に本が足りないということではないんですよね。
ノオト・ブク太郎
そこがすごく重要な点です。この本の飢餓という言葉は、世界亡人連合が提唱した概念でして。
物理的に本は存在していると。書店とか図書館にちゃんと並んでいる。でも目が見えない。
あるは他の障害があることで、そこに書かれている情報にたどり着けない。
この状態を飢餓と表現しているんです。
ノオト・ブク子
情報を目の前にして、ただ手をこまねいているしかないと。
ノオト・ブク太郎
そういうことです。
ノオト・ブク子
ソースの中でも鎌倉さんが指摘していましたが、ラオスとかカンボジアでは近年、紙の本の出版自体は増えているそうですね。
増えてるんです。
でもそれが障害のある子どもたちが利用できる形になっていないという何とももどかしい現実があると。
ノオト・ブク太郎
その通りです。せっかく出版された本が、それを最も必要としている子どもたちの手元で全く活かされていない。
ノオト・ブク太郎
この世界的な課題に対して、エファジャパンはテクノロジーを使って読める形の教材を届けるという方法で真っ向から挑んでいるわけです。
ノオト・ブク子
そのための中心的な技術がマルチメディアデイジーという企画の電子書筋なんですね。
電子書筋というと私たちはキンドルみたいなものを思い浮かべますけど、それとはどう違うんでしょうか。
ノオト・ブク太郎
いくつかの決定的な違いがあります。
まず音声で読み上げている部分のテキストがリアルタイムでハイライトされるんですよ。
ノオト・ブク子
あ、色が変わったりするわけですね。
ノオト・ブク太郎
そうです。だから今どこを読んでいるかが視覚的にすぐわかる。
さらに文字のサイズや色、それから読み上げの速度を読む人一人一人の特性に合わせて自由に変えられるんです。
ノオト・ブク子
速度の調整ですか。普通に考えるとわかりやすくするためにゆっくりっていうのはわかりますけど、早くするっていうのは少し意外です。
ノオト・ブク太郎
そこが非常に興味深い点でして。
はい。
鎌倉さんの話では、発達障害のある子どもたちの中にはゆっくりした音声よりもむしろ3倍速とか4倍速といった、我々が聞くとも早口に聞こえる音声の方が、かえって情報を集中してキャッチしやすい子もいるそうなんです。
ノオト・ブク子
それは全く逆の発想でしたね。
私たちが障害がある子のためにゆっくり丁寧にって考えてしまうこと自体がある種の固定観念だったのかもしれないですね。
ノオト・ブク太郎
そうかもしれないですね。
ノオト・ブク子
一人一人に最適化できるっていうのは、これはもう紙の本には絶対に真似できないデジタルの強みですね。
ノオト・ブク太郎
ただ、この素晴らしい技術を普及させる上で、非常に大きな壁が立ちはだかるんです。
壁ですか?
カンボジアのクメール語とか、ラオスのラオス語といった、いわゆるマイナー言語には精度の高い合成音声、つまりテキストをなめらかに読み上げるためのエンジンがほとんど存在しないという問題です。
ノオト・ブク子
ああ、なるほど。日本語とか英語ならもう人間が話しているのと遜色ないような音声エンジンがたくさん開発されてますけど。
確かにそうですよね。無理やり読み上げさせてもイントネーションが不自然だったり、正しく発音されなかったりする。それじゃ子どもたちも内容に集中できないですもんね。
ノオト・ブク太郎
まさに。ここでエファジャパンのアプローチの真骨頂が見えてくるわけです。
ほう。
彼らは日本から最先端で高価なプログラムとか技術を提供するっていう道を選ばなかった。
ノオト・ブク子
選ばなかった。
ノオト・ブク太郎
それでは外部の支援がなくなったら活動が止まってしまいますから。
ノオト・ブク子
依存を生むだけになってしまうと。
ノオト・ブク太郎
そうなんです。そうではなくて、誰もが使えて誰もが作れる仕組みを現地に根付かせることを目指したんです。
ノオト・ブク子
誰もが作れる?
ノオト・ブク太郎
具体的にどうしたかというと、現地の人たちが普段から仕事で使い慣れているあのマイクロソフトワードを使ってですね。
ノオト・ブク子
えっと、ワードですか?あの文章作成ソフトの?
ノオト・ブク太郎
そうなんです。あれを使ってほんの少しの作業でマルチメディアDG形式の電子書籍に変換できるシステムをなんと構築したんですよ。
ノオト・ブク子
ワードでですか。つまり特別なプログラミングの知識がなくても、普段使っているソフトの延長線上でアクセシブルな本が作れてしまうっていうことですか?
ノオト・ブク太郎
そういうことです。合成音声がないなら自分たちで音声を録音して、それをワードの文章に紐づければいいと。
ノオト・ブク子
ああ、なるほど。
ノオト・ブク太郎
この発想の転換によって、外部の専門家に頼ることなく、現地の先生とか親たちが自分たちの手で自分たちの言語のアクセシブルな本を持続的に増やし続けることができるようになった。
ノオト・ブク太郎
500冊です。あなたの家の本棚にある本の数の方が多いかもしれない。
ノオト・ブク子
そんなレベルですか?
ノオト・ブク太郎
さらに悲劇的なのは、鎌倉さんの話では内戦前に活動していた作家の実に9割がその内戦で命を落としたり、行方不明になったりしたという事実です。
9割?
ええ、これは単なる破壊行為ではない、文化そのものを根絶やしにしようとする文化的なジェノサイドです。
本の飢餓の最も悲劇的な形と言えるでしょう。
ノオト・ブク子
その歴史を考えると、物理的な本とは別に、データを遠隔地に保存したり複製したりできるデジタルの重要性もまた違った側面から理解できますね。
ノオト・ブク太郎
まさに文化を守るための砦にもなり得る。
ノオト・ブク子
そしてこのエファジャパンの活動は、そうした海外だけでなく、日本国内、特にノト半島の被災地でも展開されているんですよね。
ノオト・ブク太郎
はい、ブックカフェという活動です。
ブックカフェ。
被災地の立て出し会場とか、イベント会場の隣にテントを張って、誰がも自由に本を手に取って、少しの間、くつろげる空間を提供しています。
ええ。
これについて、鎌倉さんが話してくれた、ちょっと忘れられないエピソードがあるんです。
ノオト・ブク子
どんなお話だったんですか?
ノオト・ブク太郎
ある女性が、地震で家も全壊して、もう生きる気力も失いたけていたそうなんです。
はい。
彼女が、がれきの中から唯一持ち出せたのは、毛糸と編み物のかぎ針だけだった。
でもそれを使って何かを編む気力も起きずに、ただ仮設住宅の隅に置いていたと。
ええ。
そんな時、彼女がフラッと立ち寄ったブックカフェで、編み物本を目にしたそうなんです。
その表紙を見た瞬間、あ、自分は物を作りたかったんだっていう、心の奥底にしまい込んでいた気持ちをふっと思い出したと。
ノオト・ブク子
ああ。
ノオト・ブク太郎
その本を手に取ったことが、彼女が再び前を向いて歩き出す大きなきっかけになったそうなんです。
ノオト・ブク子
本が、災害というあまりに大きな出来事によっておしぎ殺されてしまっていた、その人本来のやりたいこととか好きなことを思い出させてくれたんですね。
ノオト・ブク太郎
そうなんです。
ノオト・ブク子
それはまさに、被災地で失われかけた自分物語を取り戻す手伝いをしているということですね。
ノオト・ブク太郎
本当にそう思います。しかもブックカフェは、ただ静かに本を読むだけの場所ではないそうで。
ほう。
鎌倉さんは笑いながら話してましたが、羽生ゆずるさんの写真集を囲んで、やっぱりイケメンよね、なんておばあちゃんたちが会話に花を咲かせることもあると。
ノオト・ブク子
いいですね。
ノオト・ブク太郎
そういう何気ないコミュニケーションが生まれる場にもなっている。それこそが心の回復につながっていくんですね。
ノオト・ブク子
いやー、ここまで聞いてこの活動に本当に心を動かされました。きっとあなたも同じように感じているかもしれません。
この活動についてさらに情報を得たり関わったりする方法についても、鎌倉さんは話していましたね。
ノオト・ブク太郎
はい。まずはウェブサイトでエファジャパンと検索してみてください。活動の詳細がよくわかります。
ノオト・ブク子
はい。
ノオト・ブク太郎
そして、月に2回発行されるメールマガジンに登録すると、カンボジアやノトといった現地の生々しいけれど希望のある最新情報が届きます。
ノオト・ブク子
そして、より深く関わりたい場合は、エファパートナーというマンスリーサポーター制度もありますね。
ノオト・ブク太郎
ええ。月々1000円からの継続的な支援で、この活動を支えるパートナーになれるとのことです。
ノオト・ブク子
というわけで、今回はNPO法人エファジャパンの活動を通して、本の飢餓という課題を深振りしてきました。
ノオト・ブク太郎
ええ。浮かび上がってきたのは、彼らがやっていることは単に本というものを届けているのではないということ。
彼らが届けているのは、本を作る力そのものであり、自分の人生の選択肢を増やすための権利なんですね。