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ユーザーのコンピュータスキルの分布:ユーザーのスキルはあなたが思う以上に低い:インクルーシブUI/UX:デジタル格差を埋める設計指針(レベル1未満からの抜け出し方/抜け出させ方)
2026-09-03 18:20

ユーザーのコンピュータスキルの分布:ユーザーのスキルはあなたが思う以上に低い:インクルーシブUI/UX:デジタル格差を埋める設計指針(レベル1未満からの抜け出し方/抜け出させ方)

レベル1未満のデジタルリテラシーからの脱却と支援:包括的ブリーフィング・ドキュメント

エグゼクティブ・サマリー

現代社会において、デジタル技術は生活とビジネスの基盤となっているが、依然として多くの人々が「レベル1未満」または「レベル1」という極めて低いデジタルリテラシーの段階に留まっている。2025年版IMD世界デジタル競争力ランキングにおいて、日本は30位に甘んじており、特に上級管理職の国際経験やビジネスの俊敏性、デジタルスキルの習得において世界最下位レベルの評価を受けている。

一方、2026年の脅威動向を見ると、AIを悪用した「完璧なフィッシングメール」や「ディープフェイク詐欺」が急増しており、サイバー犯罪の被害額は年間10.5兆ドルに達すると予測されている。デジタル弱者はこれらの高度な攻撃の格好の標的となり、組織全体のセキュリティホールとなるリスクがある。

本資料は、デジタルリテラシーが低い段階(レベル1以下)にある個人がいかにして脱却し、また組織がいかにして彼らを導くべきかについて、最新の技術動向、スキル標準、UI/UXデザインの観点から包括的に分析・提案するものである。

1. デジタルスキルにおける「レベル」の定義と現状

リテラシー向上の第一歩は、現在の立ち位置を正確に把握することである。PIAAC(国際成人能力調査)による「ITを活用した問題解決能力(PSTRE)」の定義に基づくと、スキルレベルは以下のように分類される。

デジタルスキルの段階的定義

レベルスキルの定義と具体的な能力
レベル3複数のステップやアプリケーションを跨ぐ複雑なタスクを解決できる。ツールの機能を駆使し、情報の評価と統合が可能。
レベル2特有のアプリケーション(オンラインフォームなど)を利用でき、ページを跨ぐナビゲーションを伴う問題解決が可能。
レベル1電子メールやブラウザなど、馴染みのある技術を利用できる。ナビゲーションやコマンドの実行はほとんど必要とされない。
レベル1未満極めて限定的なスキル。アイコンの認識や簡単な操作はできるが、目的を持った問題解決には至らない。

現状の統計的背景

  • 日本市場の課題: オンラインサービスの活用(1位)や無線ブロードバンド普及率(2位)は高いが、ビッグデータ分析(67位)や企業の機会・脅威への対応速度(69位/最下位)が極めて低い。
  • リテラシーの分布: 調査によると、約13%がレベル1未満、31%がレベル1に位置しており、全人口の約4割以上が日常的なデジタル課題の解決に困難を感じている可能性がある。

2. 脱却を阻む障壁:心理的要因と高度化する脅威

低リテラシー層が次の段階へ進むのを妨げる主な要因として、以下の2点が挙げられる。

「知識の呪い(Curse of Knowledge)」によるコミュニケーション不全

専門家や指導側が、相手も自分と同じ基礎知識を持っていると思い込んでしまう認知バイアスである。このバイアスにより、専門用語(API、キャッシュ、認証など)を多用した説明が行われ、低リテラシー層は困惑し、自信を喪失して学習を放棄する悪循環に陥る。

AIによる攻撃の巧妙化

2026年現在、AIが悪用されることで、かつての「不自然な日本語」によるフィッシングは消滅した。

  • AIフィッシング: 全メールの83%がAI生成であり、クリック率は従来比135%増となっている。
  • ディープフェイク: わずか3秒のサンプルから音声を複製可能であり、ビデオ会議でのなりすまし詐欺(香港Arup事件では約38億円の被害)が発生している。
  • 低リテラシー層への影響: 「目で見て確認する」「声で確認する」という従来の防衛策が無効化されており、技術的背景を知らない層にとってデジタル空間は極めて危険な場所となっている。

3. レベル1未満からの「抜け出し方」(個人向け戦略)

技術の「理解」よりも、まず「仕組みによる防御」を固めることが先決である。

推奨される7つの防御策

優先順位対策内容具体的なアクション
1多要素認証(MFA)全アカウントで認証アプリを設定。不正アクセスの99.9%を防止。
2パスキー(Passkey)パスワードに依存しない認証へ移行。フィッシング耐性が極めて高い。
3パスワード管理パスワードマネージャーを使用し、使い回しを完全に廃止。
4自動更新OSやアプリの自動更新を有効化し、脆弱性を放置しない。
5合言葉の設定家族や同僚と「アナログな合言葉」を決め、AI音声詐欺に備える。
6VPNの利用公衆Wi-Fi利用時のパケット傍受を防止。
73-2-1バックアップデータのコピーを3つ持ち、2種類の媒体に保存、1つは遠隔地へ。

4. レベル1未満からの「抜け出させ方」(組織・設計者向け戦略)

組織として低リテラシー層を底上げするためには、個人の努力に依存しない構造的なアプローチが必要である。

デジタルスキル標準(DSS)ver.2.0の活用

経済産業省・IPAが策定した最新の指針では、AI時代の到来に合わせ、特に以下の領域が強化されている。

  • データマネジメント類型の新設: データの品質管理や基盤整備を担う人材を独立させ、「データを使える状態に保つ」責任を明確化。
  • AIガバナンスの組み込み: AIの倫理、リスク管理、ガイドライン整備を研修カリキュラムに必須化。

非IT習熟者に配慮したUI/UX・アクセシビリティ設計

システムを設計する際、以下の原則を徹底することで、スキルの低いユーザーでも迷わず利用できる環境を構築できる。

  1. シンプルさと最小限の選択肢:
    • 認知負荷を軽減するため、一度に提示するオプションを最小限にする。
    • 複雑なタスクを小さなステップに分割する「チャンキング」を導入する。
  2. 専門用語の排除(プレイン・ランゲージ):
    • 「同期」→「保存」、「ダウンロード」→「移す」など、直感的な言葉に置き換える。
    • ボタンには「ここをクリックしてファイルをアップロード」といった具体的な指示を添える。
  3. 包括的デザインとアクセシビリティ:
    • タッチターゲット: 指のサイズを考慮し、少なくとも44px(10mm)以上の大きさを確保する。
    • タブ順序: キーボード操作ユーザーのために、論理的な移動順序(左から右、上から下)を設計する。
    • 視覚補助: 高コントラストの配色を採用し、画像には必ず代替テキスト(alt属性)を付与する。
  4. ガイダンスとエラー回復:
    • 入力フォームには常に表示される説明ラベルを配置(プレースホルダーに頼らない)。
    • エラー発生時には、具体的な解決策を提示する(例:「パスワードを忘れましたか?」のリンク提示)。

5. 結論:AI時代の「全員参加型」セキュリティと教育

2026年における最大の脅威はAIそのものではなく、対策を怠る「人間の怠慢」と、リテラシーの格差から生まれる隙である。日本企業の多くがセキュリティ予算の不足(63.2%)やスキルの不足を訴えているが、まずは「多要素認証の徹底」や「パスキーの導入」といった、スキルの高低に依存しない基盤の構築を優先すべきである。

レベル1未満の層を放置することは、組織全体の脆弱性を放置することと同義である。彼らを「技術についてこれない人々」として切り捨てるのではなく、インクルーシブな設計と適切なステップアップ支援を通じて、安全なデジタル社会の参加者へと導くことが求められている。

感想

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サマリー

日本のデジタル競争力は世界的に低迷しており、特にビジネスの俊敏性やビッグデータ活用で最下位レベルにあります。OECDの調査では、成人の約4割が「レベル1未満」または「レベル1」のデジタルスキルに留まり、若年層でもこの傾向が見られます。この背景には、開発者側の「知識の呪い」による使いにくいUI/UX設計と、AIによる巧妙なフィッシングやディープフェイク詐欺の脅威があります。個人は多要素認証やパスキーで防御を固め、組織は経済産業省のデジタルスキル標準2.0に基づいた実践型学習やジョブ型人事、そして非IT習熟者に配慮したUI/UX設計を通じて、デジタルリテラシーの底上げを図る必要があります。AI時代において、この構造的な問題に対処し、全員がデジタル社会の安全な参加者となることが、企業の競争力とセキュリティの鍵となります。

導入:日本のデジタル競争力とITスキルの現状
スピーカー 1
あのこれを聞いているあなたにちょっと想像してみて欲しいんですが、 世界最高峰のエンジンを積んだフェラーリをあなたが持っているとしますよね?
スピーカー 2
フォーフェラーリですか。いいですね。
スピーカー 1
えーものすごいポテンシャルです。でもそのフェラーリが止まっているガレージのシャッターの開け方がわからなくて、毎日ずっと外から眺めているだけだとしたらどうでしょう?
スピーカー 2
なるほど。宝の持ち腐れというかちょっと笑えない状況ですね。
そうなんですよ。笑い話みたいですけど、実はこれ、今の日本のビジネスパーソンが置かれている状況と全く同じなんです。
スピーカー 1
日本の大人は世界で一番賢い、なのに日本のデジタル競争力は世界最下位レベル。この矛盾、なぜ起きていると思いますか?
スピーカー 2
まさに今日私たちがディープダイブするデータは、その開かないガレージの正体を浮きおもりにしていますよね。
スピーカー 1
はい。今回手元にあるソースは、2025年版のIMD世界デジタル競争力ランキング、それからOECDの国際成人力調査であるPIAC、
さらにトレンドマイクロやIPAの最新サイバーセキュリティ動向、そして経済産業省のデジタルスキル標準、いわゆるDSSバージョル2.0に関する膨大なレポートです。
かなり多岐にわたる資料ですね。
スピーカー 1
そうなんです。で、今回のディープダイブのミッションは、多くの人が陥っているITスキルのレベル1未満という衝撃的な現実を直視することです。
そこからどうやって自分自身が抜け出すか、そして企業や開発者がどうやって周りの人々を抜け出させるか、この解決策まで一緒に解き明かしていきたいと思います。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
デジタルスキルの実態:レベル1未満の衝撃
スピーカー 1
早速なんですが、先ほどお話しした矛盾のデータから見ていきましょうか。
スピーカー 2
そうですね。まず、スイスの国際経営開発研究所IMDが発表した2025年版の世界デジタル競争力ランキングなんですけど、これ対象の69カ国地域中でスイスが1位に浮上しているんですが、日本は30位にとどまっています。
スピーカー 1
30位ですか。まあ高くはないですね。
はい。でも注目すべきはその中身でして、ビッグデータや分析の活用、それから企業の機械と脅威に対する対応の速さ、つまりビジネスの親民性ですね。この項目において、なんと日本は69位、つまり最下位に沈んでいるんですよ。
スピーカー 1
えっと、最下位ですか。
スピーカー 2
そうなんです。
でもここでもう一つのソースであるOECDのPIAC、国際成人力調査の結果を見るとちょっと頭が混乱してくるんですよね。
スピーカー 2
と言いますと?
だって日本の成人は読解力と数的思考力において先進国の中で圧倒的な世界1位じゃないですか。しかもITを活用した問題解決能力でも1位だっていう結果が出ていますよね。
スピーカー 2
はい。確かにそのデータはあります。
スピーカー 1
基礎能力は世界トップクラスなのに、デジタルをビジネスで活用するだになると最下位になるってこれどういうからくりなんですか。
スピーカー 2
まあそのITを活用した問題解決能力で1位という見出しには実は非常に重大な注釈が隠されていまして。
注釈ですか。
スピーカー 2
はい。この1位という結果はコンピューターを使った調査を実際に受けた人たちの中での1位に過ぎないんですよ。
スピーカー 1
えっとちょっと待ってください。ってことはコンピューターでのテストをそもそも受けなかった人たちが大量にいるってことですか。
スピーカー 2
まさにそこなんですよ。実は日本の成人のうちなんと15.9%がそもそもパソコンでの受験を拒否して紙のテストを選択しているんです。
スピーカー 1
15.9%もですか。
スピーカー 2
ええ。これはOECD平均の10.2%を大きく上回る数字です。つまり日本国内で高いITスキルを持つ層とパソコンに触れることすら避ける層の間で極端な二極化が起きているというのが現実なんですね。
スピーカー 1
なるほど。じゃあ全体で見るとどうなるんですか。
スピーカー 2
OECD全体で見ても成人の14%がITスキルのレベル1未満。そして29%がレベル1に該当しています。
スピーカー 1
そのレベル1未満というのは具体的にどれくらいのスキル感なんですか。
スピーカー 2
認知的な推論とか情報の変換みたいなものを必要とせずに、汎用的なインターフェース上の単一の機能しか使えない状態と定義されています。
スピーカー 1
単一の機能というと。
スピーカー 2
例えばメールアプリを開いてこの地震メールを削除するという数ステップのタスクならできるといったレベルですね。
ああ、例えるなら電子レンジの温めボタンはポチッと押せるけど、ワット数を変えたりとかオーブン機能を使うためにメニューをナビゲーションしたりすることは一切できない状態ってことですね。
スピーカー 2
非常にわかりやすい例えですね。まさにそれです。
複数の機能が絡むともうどうしていいかわからなくなってしまう。
与えられた明確な一つのタスクしかこなせないのがレベル1未満なんです。
スピーカー 1
なるほどなぁ。でもこれちょっと聞いてて思ったんですけど、よくある誤解としてこれは高齢者だけの問題だろうって思いがちですよね。
そう思われがちですね。
スピーカー 1
確かに今の若い世代なら生まれた時からスマホを使いこなしているし、いわゆるデジタルネイティブだから心配ないんじゃないかなって。
そこなんですが、今回のソースにあるアメリカの16歳から19歳の若年層を対象としたピアックのデータが、そのデジタルネイティブ神話を見事に打ち砕いているんですよ。
スピーカー 1
え、どういうことですか?
スピーカー 2
スマホを日常的に使っているはずのこの若い世代でも、レベル1未満が18%、レベル1が47%を占めているんです。
スピーカー 1
半分以上じゃないですか。
スピーカー 2
そうなんです。高度な情報処理ができるレベル3に到達しているのは全体でわずか4%しかいません。
スピーカー 1
若い世代でもそんなに少ないんですね。じゃあスマホの操作とパソコンでの問題解決能力は全く別物ということですか?
スピーカー 2
その通りです。
スマホでSNSをスクロールしたり、おすすめの動画を次々と見たりする消費的な操作と、複数のアプリケーションを横断して情報を探し出し、
仕事上の課題を解決する能力というのは、根本的に使う脳の機能が違うんですよ。
デジタル格差を阻む障壁:UXの課題とAI脅威の進化
スピーカー 1
はあ、なるほど。でもふと思ったんですけど、これってユーザー側のスキル不足だけが原因なんでしょうか?
もしかしたらシステムやアプリを開発している側が知らず知らずのうちにユーザーを突き放しているという側面もあるんじゃないですか?
スピーカー 2
まさに。今回のレポートの中でも非常に重要な指摘として挙げられているのがそれです。
UX、つまりユーザーエクスペリエンスの設計そのもねに問題があるんだと。
スピーカー 1
設計者の問題ですか?
スピーカー 2
はい。先ほど高度なスキルを持つレベル3は人口のわずか5%程度だと言いましたが、システムの開発者やデザイナーのほとんどはこの5%の技術エリートに属しているんです。
彼らは一種の知識の呪いにかかっている状態だと言えます。
ああ、自分が簡単にできるから一般の人も直感的に操作できるはずだって勘違いしてシステムを作ってしまうわけですね?
スピーカー 2
はい。人口の約4割を占める定理テラシー層のユーザーというのは、そもそも画面を見る時の視線の動かし方からして技術エリートとは異なります。
スピーカー 1
視線の動かし方が違う?
スピーカー 2
はい。開発者は画面の構造を瞬時にスキャンして重要なボタンとかメニューを見つけ出しますよね。
でも定理テラシーのユーザーは画面上の文字を左から右へ、まるで畑を耕すように1行ずつ独目、つまりプラをしているんです。
スピーカー 1
畑を耕すように1行ずつ、じゃあ画面全体を構造として捉えられていないんですね?
スピーカー 2
そうなんです。だとしたら開発者が何気なく画面の端に置いた便利な機能もそもそも目に入っていない可能性が高いんです。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
だからこそ、開発者が何十年も繰り返し続けている些細なUXのエラーが彼らにのっては致命的になります。
例えば、強制的に新しいウィンドウを開く設計ですね。
スピーカー 1
あー、リンクをクリックすると別タブが開くやつですね?
スピーカー 2
はい。システムが勝手に別画面を開くと、ブラウザの戻るボタンが無効になりますよね。
これだけで多くの一般ユーザーは完全に迷子になってしまうんですよ。
スピーカー 1
唯一の命名である戻るボタンを切られてしまうわけですね。
スピーカー 2
他にも、訪問済みのリンクの色が変わらない設計だと、
ユーザーに自分がすでにどこを見たかを頭のワーキングメモリーの中だけで記憶させることを強制してしまいます。
スピーカー 1
確かに、紫に変わってくれないとどこをクリックしたか忘れちゃいますよね。
スピーカー 2
さらに、OS標準とは違う独自のスクロールバーをデザインしたりすると、
低リテラシーのユーザーはそれをスクロールバーだと認識できません。
結果として、ページの下にある重要なコンテンツを完全に見落とすことになります。
スピーカー 1
そう考えると、レベル1未満の人たちって単に勉強不足なわけじゃなくて、
デジタルの世界そのものが彼らにとって透明な壁ららけの迷路みたいになっているんですね?
スピーカー 2
その通りです。
スピーカー 1
画面の文字を一行ずつ必死にかぐやすように読むだけで、脳の処理能力を使い果たしてしまう。
ってことはですよ、もしそこに悪意のあるメールが届いたとしても、
裏側の仕組みを疑う余裕なんて残っていないんじゃないですか?
スピーカー 2
そこが私たちが直面している最も恐ろしい現実へとつながっていきます。
今回のソースにあるサイバーセキュリティの動向を見てみましょうか。
スピーカー 1
はい、お願いします。
スピーカー 2
トレンドマイクロの調査によると、経営者やセキュリティ責任者の65.7%が、
生成AIの普及が外部からの攻撃リスクの増大につながると回答しています。
また、IPAが発表した情報セキュリティ重大脅威2026では、
AIの利用をめぐるサイバーリスクが初登場で3位にランクインしました。
スピーカー 1
初登場で3位ですか?具体的にAIってどう悪用されてるんですか?
スピーカー 2
最も象徴的なのがAIフィッシングですね。
現在、フィッシングメールの約82.6%がAI生成コンテンツを含んでいると言われています。
スピーカー 1
8割以上がAIですか?
スピーカー 2
はい。従来のフィッシングメールって日本語がちょっと不自然だったりして、
注意深く読めば見抜くことができましたよね?
スピーカー 1
ええ。あなたのアカウントがロックされましたみたいな、変な直訳調のやつですよね?
スピーカー 2
そうです。でも今はターゲットの取引先やプロジェクトの用法を
AIがSNSなどから自動で収集して、完璧なビジネス文脈のパーソナライズされた文面を作成してくるんです。
結果としてクリック率は従来の最大4倍に達しています。
スピーカー 1
4倍ってすごいですね。
今回のソースを読んでいてハッとしたんですけど、
そもそもメールという仕組み自体が1970年代に作られた古いプロトコルをベースにしているんですよね。
送信者の身元を完璧に証明する構造になっていないというか。
スピーカー 2
おっしゃる通りです。システム自体がそういった構造的な弱点を抱えているにも関わらず、
これまでは不自然な日本語がないか目で見て確認するという個人の注意力に依存してきたわけです。
スピーカー 1
なるほど。
でもAIがその表面上の不自然さを完璧に消し去ってしまった今、
スピーカー 2
裏側の仕組みを理解していないレベル1以下のユーザーにはもう防御する手段がありません。
彼らは表面的な視覚情報に頼るしかないからです。
スピーカー 1
表面的な視覚情報に頼るしかない。
それが最悪の形で現れたのがソースにあったディープフェイク詐欺の事件ですよね。
スピーカー 2
ええ、イギリスのアループ社で2024年に起きた事件ですね。
これ本当に怖かったんですけど。
スピーカー 2
ビデオ会議に参加した最高財務責任者、つまりCFOですね。
これが実はディープフェイクでリアルタイムに合成された偽物だったんです。
スピーカー 1
まさか上司の顔と声で支持されるなんて思いもしないですよね。
スピーカー 2
そうなんですよ。
担当者はいつものCFOの顔と声で直接送金を支持されたため、
全く疑うことなく約38億円、2600万ドルを振り込んでしまいました。
スピーカー 1
ビデオ会議で直接支持されたらもう人間には絶対に見抜けませんよ。
しかも今ってそういう詐欺の手口がどんどんビジネス化しているんですよね。
スピーカー 2
ええ、ダークウェブではこういったディープフェイクを作成するツールや
ランサムウェアの攻撃システムが月額数百ドルで提供されています。
スピーカー 2
いわば詐欺のサースですね。
スピーカー 1
詐欺のサースかですか。
スピーカー 2
クラウドのサブスクリプションサービスのように
悪意さえあれば誰でも高度なサイバー攻撃ができてしまう時代なんです。
スピーカー 2
AIを活用したランサムウェアの被害額は
世界で年間740億ドルに上ります。
日本の警察署のデータでも
セキュリティ投資に余裕のない中小企業がターゲットになり
データを暗号化するだけでなく
公開すると脅す二重強括が状態化しています。
レベル1未満からの脱却戦略:個人と組織のアプローチ
スピーカー 1
なんか聞いてて絶望的な気分になってきました。
レベル1未満の社員がそんな高度な攻撃を見抜けるわけがないじゃないですか。
スピーカー 1
では企業はどうやって会社を守り
そして社員をこのレベル1未満の状態から抜け出させればいいんでしょうか。
スピーカー 2
まず大前提として
目で見て確認するという個人の注意に依存する防御ラインは
完全に崩壊したと認識することです。
だからこそシステムレベルの対策が不可欠になります。
例えばゼロトラストアーキテクチャの導入ですね。
スピーカー 1
ゼロトラストって言葉最近よく聞きますけど
具体的にはどういう仕組みなんですか。
スピーカー 2
ホテルのセキュリティをイメージしてみてください。
スピーカー 1
ホテルですか。
スピーカー 2
昔はフロントさえ通過すれば
あとは自由に館内を歩き回れましたよね。
これが従来のファイアウォールなどのセキュリティです。
スピーカー 2
でもゼロトラストは
全ての部屋のドアの前に警備員がいて
部屋に入るたびに毎回必ず身分証を確認する仕組みなんです。
スピーカー 1
あーなるほど。
スピーカー 2
たとえすでに建物の中にいる人物であっても
決して信用つまりトラストしない
スピーカー 2
だからゼロトラストと呼びます。
そういうことですか。
スピーカー 1
最初のフロントを突破されても
被害を一部屋だけに食い止められるわけですね。
スピーカー 1
システムで守るべきところはシステムに任せると。
でも同時に働く人たち自身のITスキルも底上げしないと
ビジネスの俊敏性は世界最下位のままですよね。
スピーカー 2
おっしゃる通りです。
そこで鍵になるのが
経済産業省とIPAが策定した
デジタルスキル標準DSSのバージョン2.0です。
スピーカー 1
はいはい。
スピーカー 2
これはすべてのビジネスパーソンが身につけるべき
リテラシーを定義したものなんですが
企業がやってしまいがちな失敗例にも強く警鐘を鳴らしています。
スピーカー 1
失敗例っていうと
あのとりあえず全社員にeラーニングの動画を見せて
ITパスポートの資格を取らせようみたいなアプローチですか。
スピーカー 2
まさにそれですね。
動画の視聴や資格取得をゴールにしてしまうと
実際の業務の課題解決には全く活かせれません。
レポートが強く推奨している解決策は
実践型学習PBLへの転換です。
PBLプロジェクトベーストラーニングですね。
スピーカー 2
ええ。
研修できれいに整えられた教科書通りのデータを使っても意味がないんです。
実際の現場のデータというのは
全角と半角が混在していたり入力漏れがあったり
とにかく汚いんですよ。
スピーカー 1
ああ、整ったプールで泳ぎ方を教わるより
最初から波のある海に飛び込んで
ドーク臭いデータのクレンジングとかエラー処理も含めて
実践的に学ぶ必要があるってことですね。
スピーカー 2
その通りです。
スピーカー 1
でも全員にいきなりそれをやらせるためのモチベーションって
どうほたてばいいんでしょうか。
スピーカー 2
レポートが指摘しているのが
企業側の評価システム
つまりジョブ型人事への移行です。
スピーカー 1
ジョブ型人事。
スピーカー 2
住内の年効上列型だと
長く会社にいれば自動的に給料が上がるため
新しいITスキルを苦労して身につけるインセンティブが働きませんよね。
しかしジョブ型はこのスキルを持っているから
このポストと報酬を与える
というスキルベースの評価になります。
これが自発的に学ぶ強力な動機づけになるんです。
スピーカー 1
なるほど。評価の仕組みそのものを変えるんですね。
じゃあもう少し現場レベルで
私たちが周りの人たちを助けるためにできることってありますか。
スピーカー 2
UXの改善とナレッジの共有ですね。
例えばシステムで何か間違えたときに
ただ無効な認証と冷たくエラーを出すのではなく
メールアドレスとパスワードを確認してくださいと
具体的に次にすべきことを案内するようにUIを直す。
スピーカー 1
親切な案内にするわけですね。
スピーカー 2
そして社内ウィキなどを活用して
このシステムはこう使うというノウハウを共有し
チーム全体で最初のハードルを下げてあげることです。
スピーカー 1
ここまでお話を伺ってきてすごく腑に落ちました。
レベル1未満というのは個人の怠慢ではなく
使いにくいUXや実践的な教育機械が欠如しているという
構造的な問題だったんですね。
スピーカー 2
まさに構造の問題です。
スピーカー 1
AIが進化する今この基礎的なスキルを
組織全体で底上げしていくことこそが
最強のセキュリティ対策であり
企業の競争力の源泉になるわけですね。
スピーカー 2
DXというのは一部の天才が引っ張るものではなく
組織全体のリテラシーの底上げがあって
初めて成立するものなんですよ。
結論:AI時代のセキュリティと全員参加型社会
スピーカー 1
いやー今日はたくさんの気づきがありました。
では最後にこれを聞いているあなたに
一つの強烈なパラドックスを投げかけたいと思います。
スピーカー 2
パラドックスですか?
スピーカー 1
はい。
今回読み解いたソースのあるマーケティング研究の中に
非常に興味深いデータがありました。
スピーカー 1
それはAIの仕組みを理解していない
技術的知識の低いユーザーほど
AIを全能の魔法だと錯覚し
無批判にその回答を妄信してしまうというものです。
スピーカー 2
なるほど、仕組みを知らないからこそ
魔法に見えてしまうんですね。
スピーカー 1
そうなんです。
もし私たちが同僚や社会に蔓延する
レベル1未満のPCスキルを見て見ぬふりして放置したまま
ただ便利だからという理由だけで
最新のAIツールだけをどんどん導入し続けたら
一体どうなるでしょうか?
スピーカー 2
恐ろしいですね。
スピーカー 1
私たちはより賢くて効率的な社会を作っているのでしょうか?
それとも、かつてないほど騙されやすい社会を
自らの手で作り上げているのでしょうか?
最初のフェラーリの話に戻りますが
ガレージの開け方すら知らない人に
いきなり自動運転のスイッチだけを渡してしまうようなものです。
その車がどこへ向かうのか
少し立ち止まって考えてみる必要がありそうですね。
スピーカー 2
本当にその通りですね。
今回もディープな情報を一緒に読み取えていただき
スピーカー 1
ありがとうございました。
次回もまた、世界の最前線から新しい知見をお届けします。
それではまた。
18:20

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