インタビュー音声から音声概要を生成したもの
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サマリー
岩手県宮古市では、豊かな自然があるにもかかわらず、子どもたちが地域資源にアクセスできない「見えない壁」が存在します。NPO法人みやっこベースは、この壁を壊すため、商店街の空き店舗を改装した「みやっこハウス」を運営し、子どもたちの第三の居場所を提供しています。また、自然体験の機会を創出し、文化やリテラシーの体験格差を解消しようと努めています。資金調達の課題には「わんふくチャリティー」で、デジタル世代との隔たりには大人がゲームを学ぶことで対応。理事長の早川氏は、未来のためではなく「今を楽しむこと」を重視する哲学を持ち、それが結果的にUターンを促し、地域への愛着を育むと語っています。
宮古市の「見えない壁」と課題提起
目の前にものすごくきれいな海が広がっていて,で,歩いてすぐのところに豊かな自然があるのに,なんか一度も釣竿を握ったことがないとか,波打ち際で遊んだことすらない子供がいる。
しかもそこが海産物で有名な港町だとしたら,これちょっと信じられないですよね。
そうですよね。物理的にはすぐそこにあるのに,まるで見えない分厚い壁みたいなものに阻まれていて,結果的に自分の住んでいる町にアクセスできないっていう状態になっているわけです。
今回の深掘りではまさにその見えない壁の正体とそれを壊そうとしている人たちの記録を読み解いていきます。岩手県宮古市で活動するNPO法人、宮古ベースの理事長、早川昭氏のインタビュー音源に基づくセッションです。
地方都市が抱える若者の流出とかコミュニティの衰退っていう複雑な課題に対してですね,子供たちの居場所づくりというアプローチがなぜ本質的な解決策になり得るのか?今回のミッションはそのヒントを抽出することにあります。
これを聞いているあなたも自分の地元とか今住んでいる場所に対して何にもない場所だなってネガティブに感じた経験あるんじゃないでしょうか?
きっと多くの方が持っている感覚ですよね。
ええ。どんな規模の組織とかコミュニティの課題にも応用できる視点がたくさんあるのでぜひ再度まで一緒に考えていきましょう。早速入っていきたいんですが。
宮古市が抱える構造的な問題
お願いします。
まず宮古市という環境の特殊性から見ていきたいんです。ここ抱えている問題の背景がすごく独特で。
はい、そうですね。
資料によると宮古市の面積って全国で11番目に広いらしいんですよ。
相当な広さですよね。
なのに人口は約4万4千人しかいないと。
つまり広大な土地に対して人が極端に分散して住んでいる状態なんですね。
ええ。
それが学校とかのコミュニティの規模に直接影響を与えてしまうんです。
まさにそこなんです。少子化とか党廃後の影響で小規模な学校が多くて、1学年が12人から22人以下。
暮らす甲斐のない学校がほとんどというデータもありましたね。
そうなんです。しかも驚いたのが、小学校が11校か12校あって、中学校が11校。
はい。
これ、小学校から中学校に上がるときに複数の学校が混ざることがあんまりないらしくて。
なるほど。
結局9年間、人間関係が完全にコテリ化されちゃうそうなんです。
9年間ずっと同じメンバーですか?
これって例えるなら、同じ5、6人のメンバーと9年間ずっと同じ脱出ゲームの部屋に閉じ込まれているような状況ですよね。
すごくリアルで息苦しい例えですね。
もし一度でも人間関係でつまづいちゃったら、もう逃げ場がなくなってしまうっていうか。
ここで重要なのが、面積が広大であるがゆえに、学校が点在していて、さらに公共交通機関も少ないという点です。
なるほど。移動の手段がないと。
そうなんです。子供が自力で別のコミュニティにアクセスできないっていう構造的な問題があるんですね。
あー、都会なら電車に乗って隣の町に行くとか、ちょっと離れた塾で新しい友達を作るとかできますけど。
それが物理的に難しい。これが不登校の大きな要因の一つになり得ると分析できます。
さらに厳しいのが、周りの大人の存在ですよね。
資料を読むと、大人が日常的にこの町には何もないとか、早く都会に出た方がいいみたいな、そういう否定的なムードを放っているそうなんです。
逃げ場のない環境にいる子供たちにとって、その言葉はものすごく重くのしかかりますよ。
みやっこベースの解決策:居場所づくりと体験格差の解消
じゃあその逃げ場のない環境っていう課題に対して、都ベースがどんな解決策を提供しているのか。ここが次のポイントなんですけど。
いわゆる第三の居場所づくりですね。
はい。商店街の空き店舗を改装して、都ハウスという場所を平日の放課後に開放しているんです。
小学生から高校生、あとは不登校の子供たちの支援の場としているそうです。
素晴らしい取り組みですね。
さらに、公共交通機関が少ないから、今後は出張型で別の学校へ出向く居場所づくりも模索中はしんです。
子供が移動できないなら、大人の側から出向くということですね。
そうなんです。ここでさっき冒頭で話した体験格差の話につながるんですよ。
海の街なのに釣りをしたことがない子供がいるというお話ですね。
ええ。都市って消費型の娯楽施設はないけど、海とか山、川の自然資源はめちゃくちゃ豊富じゃないですか。
はい。大自然が広がっています。
なのに、親がアウトドウ好きじゃないと、そういう経験がゼロの子がいるって。
なんか、自然ってタダでそこにあるのに、大人のナビゲートがないと子供にとっては存在しないのと同じになっちゃうのかなって、ちょっと驚いて。
ここがすごく重要なポイントで、都会の体験格差ってお金を払う体験格差ですよね。
ええ。習いごとに行けないとか。
一方で、地方特有の格差というのは、文化とかリテラシーの体験格差なんです。
文化とリテラシーですか?
はい。例えば、ものすごく高性能なパソコンが目の前にポンと置かれていても、パスワードの入力方法もソフトの使い方も大人が教えてくれなかったら、ただの箱ですよね。
ああ、なるほど。アイコンは見えてるけどクリックできないみたいな。
その通りです。自然という資源へのアクセス権を、大人が開放してあげないと子供はそこに入っていけないんですよ。
だから、都ベースは今年2026年の6月から、未就学児とか小学校、低学年向けに月に1回自然遊びをする、都遊び隊っていうのを開始したんですね。
ええ。まさに大人がアクセス権を開放する取り組みです。
活動を支えるための挑戦:資金とデジタルの壁
でも、ちょっと現実的な話をしていいですか?
もちろんです。
こういう居場所作りとかって理想は素晴らしいんですけど、経営的なハードルがめちゃくちゃ高そうだなと思って。
NPOが必ずぶつかる資金の壁ですね。
そうです。子供の居場所って参加費を取れないじゃないですか。だから、事業活動をやればやるほど人件費とか家賃でお金が出ていくっていう。
支援すればするほど赤字になるという経営的パラドックスですね。
なんか、お客さんが来れば来るほど赤字になるレストランを経営してるようなものですよね。熱意だけじゃ絶対に回らない。
そこで彼らが昨年から始めたのが、わんふくチャリティーという仕組みです。
市内の3つの飲食店で、特定のメニューを頼むと数十円が都ベースに寄付されるという仕組みですよね。
これの秀逸なところは、支援を日常の消費活動に組み込んでいるというデザインなんです。
普通にボキンボコを置くのとは違うんですか?
人間って特別な良いことをしようとすると、少し心理的なハードルがありますよね。
まあ、ちょっと身構えちゃいます。
でも、美味しいものを食べるという日常の行動に組み込まれていれば、無理なく持続的に支援できるわけです。
なるほどな。あとは、資金だけじゃなくてデジタルの壁っていうのも資料にあって、これがまた面白かったんですけど。
スタッフ間のコミュニケーションのお話ですね。
ええ。NPOの大人たちはスラックを使って連絡を取ってるんですけど、施設に来る子どもたちはスマホとか任天堂スイッチで遊んでいて。
特にスマブラなどのゲームですね。
はい。大人がそのゲームの内容を理解していないと、画面の占有とか孤立みたいな状況を把握できなくて、適切な介入ができないと。
だからこそ、子どもと関わるために大人が本気でスマブラを学ぶ必要があるというエピソードですね。
なんかこれ、ゲームは遊びだからやめなさいじゃなくて、子どもたちの共通言語として歩み寄ってる感じがすごいなって。
まさにそこです。ゲームを単なる遊びと切り捨てるのではなく、重要なコミュニケーションツールとして捉える姿勢が居場所づくりには不可欠なんです。
早川氏の哲学と地域への長期的な影響
こうやって資金繰りとかデジタルの壁とか、いろんな苦労をしながら活動を続けているわけですが。
はい。
資料の最後の方で、理事長の早川氏の哲学に触れられていて、ここが私すごく引っかかったというか、考えさせられたんです。
どのような哲学ですか?
早川氏って福岡県の北九州市出身で、東日本大震災のボランティアを機に都に来たんですよね。
ええ。今月でちょうど都生活15年になるとのことでした。
で、都ベースを設立して13年。そこで彼が言っているのが、未来のためとか復興のために今を頑張るんじゃなくて、今の楽しいことが何より大事だと。
今の選択肢を狭めてはいけないと語っていましたね。
そうなんです。でも、これってちょっと見方によっては無責任に感じませんか。
と言いますと?
いや、地方の衰退とか復興ってものすごく思い堅いじゃないですか。なのに、今を楽しむことを最優先にするって、なんか現実逃避しているような。
なるほど。もっと将来のために歯を食いしばるべきではないかと?
そうそう。そう言いたくなる気持ちもわかるんですけど。
でも、実はそれとそが最も効果的な戦略だと私は分析しています。
えっと、どうしてですか?
思い出してください。都ベース設立当時の13年前、ただ純粋に楽しんで活動していた高校生たちが今どうなっているか。
あ、30歳前後になってUターンしてNPOのスタッフとして戻ってきている。
そうなんです。未来のために今の犠牲を強いるのではなく、今を肯定された子どもは大人になってからその場所に帰ってくるんですよ。
わあ、これってものすごく強力な証拠ですね。
ええ、楽しかったという記憶こそが何よりも確実な地域への愛着を育てるんです。
だから早川氏は個人的な目標として2030年に向けて映画の続編を作りたいって言ってるんですね。
2005年に市民の手で作られた映画、夏タイムシーンに乗っての続編ですね。
はい。倒産とか閉店が続くネガティブなムードの中で、みんなで新しいものを作り上げる過程を生み出したいとSNSでも発信しながら。
つまり、都ベースの取り組みというのは単なる子ども支援にとどまらないんです。
というと?
大人が自ら変わって今を楽しむ姿勢を見せることで、地域全体のムードを変えていくという壮大なプロジェクトなんですよ。
なるほどな。これを聞いているあなたも自分の職場とかコミュニティで、未来のためにって言いながら今の犠牲を強いていないかちょっと振り返ってみてほしいんです。
ええ、どうしても成果を急いでしまいますからね。
そうなんですよ。私たちはよく次世代に何を残せるかって深刻に悩んじゃいますけど、もしかしたら最大のギフトって完璧な課題の解決策なんかじゃなくて、ただ今のこの場所を楽しんでいる大人の後ろ姿を見せることなのかもしれないですね。
それが一番子どもたちの心に残るのかもしれません。
あなたは今、自分のいる場所を本気で楽しめていますか?ぜひこの問いを少しだけ考えてみてください。
10:57
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