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スピーカー 2
小学6年生の目の前に最新型のノートパソコンを置いたと想像してみてください。
彼らがキーボードに向かって指1本で文字を探しながらポチポチって打つ。
スピーカー 1
ええ、かなりゆっくりとしたペースですよね。
スピーカー 2
そうなんです。そのスピードなんと1分間に15文字未満なんですよ。
実はこれ今の日本の小学生の半数に見られる残酷な現実なんです。
今日の徹底深掘りへようこそ。
いやー、衝撃的な情景ですよね。
スピーカー 1
しかもデータを見るとさらに驚きますよ。
スピーカー 2
と言いますと?
スピーカー 1
JAPET&CECの令和4年のデータによれば、
自分で調べる場面で毎日ICTを活用している学校は、わずか2割程度にとどまっているんです。
スピーカー 2
1人1人の端末があるにもかかわらずですか?
スピーカー 1
ええ、その通りです。
スピーカー 2
そこで今日私たちが、今これを聞いているあなたと一緒に深掘りしていくのが、
JIGAスクール構想の第2期、いわゆるNEXT JIGAと、
2026年に向けた教育DXの全貌です。
複数の市場レポートや、実際の授業支援ツールの使用などを読み解いていくんですが、
これは単なる学校のパソコンが新しくなるよっていうニュースじゃないんですよね。
スピーカー 1
そうですね。新しいテクノロジーを導入した際に、
組織や人間がどういう摩擦を起こして、どう適応していくのかという、
非常に普遍的なビジネスの課題そのものです。
スピーカー 2
だからこそ、あなた自身の職場でのDXや、
日常で新しいツールをどう定着させるかという課題に直結するインサイトが山のように隠されています。
スピーカー 1
ええ、本当にそう思います。
スピーカー 2
まず、さっきの15文字未満が、毎日使う学校が2割っていう第1期の現状についてなんですが、
私これまでの状況って、なんか電気の通っていない街に、
何百万台もの最高級ランニングマシンを運ったような状態だったんじゃないかって思うんです。
ああ、それは非常に的確な例えですね。
スピーカー 1
ハードウェアという箱は全国津々浦々に投下されたわけですから。
しかし、それを動かす金の銀フラ、つまり十分なネットワーク回線とか、
指導する教員のスキルが足りていなかった。
そして何より、どう使うかという運用ルールの整備が全く追いついていなかったんです。
スピーカー 2
でも、少し疑問なんですが、今の子供たちってデジタルネイティブですよね。
はい。
生まれた時からスマホやタブレットに触れているはずなのに、
なぜキーボード入力となると急にフリーズしてしまうんでしょうか。
スピーカー 1
そこには消費するデジタルと、想像するデジタルの決定的な溝があるんですよ。
スピーカー 2
決定的な溝ですか?
スピーカー 1
ええ。子供たちはスマートフォンのタッチパネルやフリック入力、
あるいは動画をスマイプして消費することにはなけています。
スピーカー 2
確かにめちゃくちゃ早いですからね。
スピーカー 1
そうなんです。
しかし、物理キーボードを使って自分の思考をテキスト化したり、
複数のデータをスプレッドシートで整理して想像する経験は、
意図的に訓練されない限り身につきません。
なるほど。スマホでYouTubeを見るスキルと、PCで資料をまとめるスキルは全くの別物だと。
スピーカー 1
そういうことです。
中高生であっても、複数のデータを示した図を正しく読み解ける生徒は2割程度しかいないという指摘もありますし。
スピーカー 2
だから、端末というハードが揃っても、情報リテラシーというソフトが欠如しているから、宝の持ち腐れになっているんですね。
スピーカー 1
はい。だからこそ、2025年から2026年にかけて本格化する第二期は、
単なる端末の買い替えではなく、利活用の進化へと恥を切らざるを得ないんです。
スピーカー 2
そこで、その第二期に向けて具体的に何が起きるのかという話になるんですが、
資料を見ると、第一期で導入された約1,000万台もの端末が、2025年度に1,020万を迎えるんですよね。
スピーカー 1
そうですね。更新のピークが来ます。
スピーカー 2
これ、ロジスティックスとしてとんでもない規模じゃないですか。
スピーカー 1
ええ。まさに国家レベルの巨大プロジェクトです。
そしてここで、調達におけるゲームのルールが大きく変わるんですよ。
スピーカー 2
ルールが変わる。
スピーカー 1
はい。第一期は市町村がそれぞれバラバラに端末を調達していましたが、
第二期からは都道府県単位での共同調達が原則化されます。
スピーカー 2
ほうほうほう。
まあ、国から1台あたり上限5万5,000円の補助が出る形になりますね。
都道府県単位でまとめて買うと。
スピーカー 2
えーと、確かに使用書を一つに絞れば、役所の事務負担は減りますよね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
10万台単位で一括発注すれば、スケールメリットで安く買えそうですし。
でも、ちょっと待ってください。
はい。
スピーカー 2
これ、今まで各学校に出入りして、Wi-Fiが繋がらないとか画面が割れたって時に駆けつけてくれていた地元の電気屋さんや地域のITサポート業者はどうなるんですか?
スピーカー 1
ああ、そこですね。
スピーカー 2
都道府県規模の巨大な入札になったら、広域の巨大ベンダーしか参加できなくて、地元の業者は弾き出されてしまいませんか?
スピーカー 1
まさにそこが、調査データでも最も危惧されているポイントなんです。
ギガ第一期で端末を納品した地域事業者のうち、今回の共同調達に単独で応殺すると明言できた企業はごくわずかでした。
スピーカー 2
ですよね。もし巨大ベンダーが落札して、コールセンターが東京にしかない状態になったら、山門部の学校で端末が壊れた時、誰が助けに来てくれるんですか?先生たちはパニックになりますよ。
スピーカー 1
その通りです。
広域ベンダーは端末を安く大量に用意できても、全国の教室の分厚いコンクリート壁のせいでここだけWi-Fiが弱い、といった現場の泥臭い事情までは把握しきれません。
スピーカー 2
はいはい。
そこで今、広域ベンダーと地域の販売店がコンソーシアム、つまり共同事業体を組む動きが急務になっています。
スピーカー 2
なるほど。調達は巨大ベンダーが担って、導入後のセットアップ用保守サポートは地元の企業が担うというエコシステムを作るわけですね?
スピーカー 1
そういうことです。
スピーカー 2
完全に分業するわけですね?でも仮にサポート体制が組めたとしても、修理に出している間その子はどうやって授業を受けるんですか?
スピーカー 1
えー。
スピーカー 2
第一期では、端末が手元にない間、学びが止まってしまうという深刻な問題がありましたよね。
スピーカー 1
その反省から、第二期ではルールの変更がありました。新しい要件として、自動生徒数の15%以内の予備機の整備が必須化されたんです。
スピーカー 2
おー。15%の予備機ですか?
スピーカー 1
え、なんとこれも国の補助対象に組み込まれました。
スピーカー 2
それなら壊れてもすぐに代替機を渡せますね。これでハードウェアの問題は一件落着と言いたいところですが、なんか裏がありそうな気がします。
スピーカー 1
鋭いですね。予備機をただ棚の奥にしまっておくのは、実は最悪の運用なんですよ。
スピーカー 2
どういうことですか?
スピーカー 1
いざという時に、数ヶ月ぶりの電源を入れたら、バッテリーは完全放電して劣化していますし、
スピーカー 2
あー、確かに。
スピーカー 1
さらにOSのアップデートが何時間も始まって、結局授業で使えないという事態に陥ります。
スピーカー 2
なるほど。日頃からローテーションで使えますなど、予備機を生きた状態に保つ運用負荷が学校側にのしかかるんですね。
スピーカー 1
はい。買った後の運用が一番重いわけです。
さらに言えば、新しい端末が千万台来るということは、古い端末が千万台ゴミになるということですよね。
うわー、そうか。
スピーカー 1
そこで指摘されているのが、データ消去の罠です。
適切なデータ消去のプロセスを踏まずに、安易に廃棄や上等してしまう自治体が多いという懸念があります。
スピーカー 2
子どもたちの学習履歴やパスワードが残ったまま廃棄されたら、取り返しのつかない大惨事になりますよ。
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
ライフサイクル全体をデザインするという意味では、OS選びも重要になってきますよね。
Chrome OSとかiPad OSとかWindowsとか。
スピーカー 1
そうですね。調達方針を組んでいる自治体のデータを見ると、Chrome OSが約57%と過半数を占めて圧倒的です。
57%ですか。
スピーカー 1
はい。ついでiPad OSが約28%、Windowsが約15%という状況ですね。
スピーカー 2
Windowsが15%は意外ですね。ビジネスの世界では圧倒的ですが、なぜ教育現場ではChromeOSがここまで強いんでしょう。
スピーカー 1
簡潔に言えばコストパフォーマンスと管理のしやすさです。
Chrome OSは基本的に処理をクラウド側で行うという設計思想なので、端末自体のスペックが低くてもサクサク動くんですよ。
スピーカー 2
なるほど。上限5万5千円という厳しい予算内に収めやすいんですね。
スピーカー 1
そういうことです。でもWindowsも黙ってはいませんよ。
スピーカー 2
と言いますと?
スピーカー 1
Windows GAは今、強力なAI機能を武器に巻き返しを図っています。
将来的な社会での実用性や、ローカル環境でも高度な処理ができる点をアピールして、あえてWindowsへ乗り換える決断をする自治体も出てきています。
スピーカー 2
安さのChromeか、AIと将来性のWindowsか、これって本当に自治体のビジョンが試されますね。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
さて、ここまではハードウェアや調達の仕組みというインフラの話をしてきました。
でも、ここで絶対に避けられない巨大なボトルネックが現場で発生しますよね。
スピーカー 1
教員ですね。
スピーカー 2
そうです。インフラが整っても先生たちがそれを管理できなければ意味がありません。
おっしゃる通りです。授業の準備だけでも大変なのに、先生パスワード忘れましたとか、Wi-Fiが繋がりませんというトラブルシューティングに追われてしまって、
スピーカー 1
先生たちは本来の教育業務以外のIT管理に謀殺されています。
この教員の疲弊を解決するためのキーワードが次世代コームDXなんです。
次世代コームDX。具体的に何がどう変わるんですか?
最も大きな変化は、クラウドの本格活用とネットワークの統合ですね。
スピーカー 2
ネットワークの統合。
スピーカー 1
これまで、日本の学校のネットワークはセキュリティを極端に重視するあまり、成績などを扱う公務系ネットワークと、インターネットに繋がる学習系ネットワークが物理的に完全に分断されていたんです。
スピーカー 2
ちょっと待ってください。それって例えるなら、先生が成績処理をするためには、職員室の奥にある絶対に持ち出せない頑丈な金庫の前にわざわざ座りに行かなきゃいけなかったということですか?
スピーカー 1
そう、まさにその金庫です。セキュリティは強固ですが、出張先や自宅からはもちろん仕事ができませんし、教室のタブレットから公務システムにアクセスすることもできませんでした。
スピーカー 2
それは不便ですね。
スピーカー 1
そこで、次世代公務DXでは、ゼロトラストセキュリティという概念を導入して、この物理的な分断をなくします。
スピーカー 2
ゼロトラスト、つまり何も信頼しない、物理的な金庫をなくす代わりに、どこからアクセスしてきてもあなたは本当に権限のある先生ですか?と、毎回厳格にチェックする仕組みですね?
スピーカー 1
ええ、その通りです。
スピーカー 2
でも、それって先生からしたら、ファイルを開くたびに二段階認証を求められたりして、逆に手間が増えるんじゃないですか?
スピーカー 1
そこが導入の設計の腕の見せ所なんですよ。確かに裏側では厳格なチェックが行われますが、表面にはシングルサイン用や生体認証を組み合わせます。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
だから先生は、一度のログインで複数のクラウドサービスに安全にアクセスできるようになるんです。
堅牢なパスポートチェックさえクリアすれば、職員室でも自宅でもシームレスに仕事ができる。これが働き方改革に直結するわけです。
スピーカー 2
裏側は厳格でも、ユーザー体験は滑らかにするわけですね。ただ、校務はそれで良くても、授業中の負担はどうですか?
スピーカー 1
授業中と言いますと…
スピーカー 2
40人の子供たちが一斉にタブレットを開いて、それぞれ勝手なウェブサイトを見始めたりしたら、先生はコントロールしきれませんよね?
スピーカー 1
そこで力を発揮するのが、ネットサポートスクールのような授業支援ソフトの存在です。
スピーカー 2
ほうほう。
スピーカー 1
これを使えば、先生の手元の端末から全員の画面をサムネイルで一覧モニタリングしたり、全員の画面に一斉に資料を配布したりできるんですよ。
スピーカー 2
ああ、なるほど。先生、今のPDFどこにあるかわかりませんみたいな不毛なやり取りをなくせるわけですね。
はい。さらに強力な機能として、特定のウェブサイトへのアクセス制限や、全員のキーボードとマウスを一時的にロックして画面を暗くすることも可能です。
スピーカー 2
強制的に先生の話を聞く時間を作れると。
スピーカー 1
そうなんです。ここで非常に重要なポイントがあるんですが、これらの機能はインターネットを介さずに、教室内のローカルなネットワーク環境、つまり眼上で完結できるんですよ。
えっ、なぜそこはクラウドじゃないんですか?今のご時世、全部クラウド経由でコントロールした方が先進的に聞こえますけど。
スピーカー 1
ネットワークの帯域の問題があるからです。例えば、全校生と専任が一斉にクラウド経由で画面共有を行えば、学校のインターネット回線は瞬時にパンクしますよね。
ああ、確かに。
スピーカー 1
しかし、教室内の閉じたLANで通信を行えば、インターネット回線に負荷をかけず、遅延なくリアルタイムで確実な制御が可能になるんです。
スピーカー 2
なるほど。クラウドの利便性とローカルの確実性、この2つを適材適所で使い分けることが、現場が崩壊しないためのリアルな最適解なんですね。
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
これでようやくネットワークの基盤が整い、先生の負担も軽減されました。では、いよいよ核心です。子どもたちはその環境で何を学ぶのか。
スピーカー 1
そこが一番重要ですね。2026年は次期学習指導要領改定の答申が出る極めて重要な年です。日本の教育の次の10年を決定づけると言っても過言ではありません。
具体的には、2024年度から段階的に始まっている英語のデジタル教科書に続き、2026年度からは算数や数学でもデジタル教科書の本格導入が予定されています。
スピーカー 2
でも、デジタル教科書って紙の教科書をただPDFにして画面に映すだけじゃないですよね。それなら意味がない。
全く違います。デジタル教科書の最大の価値は、多様性とアクセシビリティへの対応なんですよ。
スピーカー 2
アクセシビリティ。
スピーカー 1
例えば、視覚障害や独自障害のある子どものために、文字のフォントや背景色を変更したり、すべての漢字にルビー、つまりフリガナを振ったりできるんです。
スピーカー 2
紙の教科書では全員が同じフォーマットに合わせるしかなかったのが、デジタルなら教科書が子ども一人一人の特性に合わせてくれるわけですね。
スピーカー 1
ええ。さらに、MOXCBTという文科省のシステムを使ったテストのオンライン化、つまりCBTも本格化します。
スピーカー 2
えーっと、CBTってテストの回答をキーボードで打ち込むだけですか?
スピーカー 1
いえいえ、CBTの真の力はアダプティブ、つまり適用型の評価にあるんです。
スピーカー 2
適用型。
ええ。アルゴリズムを用いて、例えばある生徒が基礎的な問題を間違えたら、次にさらに根本の概念を問う問題が自動的に提示されるんです。
スピーカー 2
なるほど。システムが合わせてくれるんですね。
スピーカー 1
そうです。逆に正解し続ければ、より高度な応用問題に分岐していく。
一人一人の理解度に応じた個別最適化された学びが実現するわけです。
スピーカー 2
それはすごい。ついに教育が工業化モデルから脱却するんですね。
でも、ここでどうしても触れなければならない最大の懸念があります。生成AIです。
スピーカー 1
はい。避けられないテーマですね。
スピーカー 2
今聞いているあなたも絶対思っているはずです。
子どもたちがAIに作文や読書感想文、数学の計算プロセスまで書かせてしまったら、自己ら思考する力は完全に衰退してしまうんじゃないかって。
スピーカー 1
そこが重要な問いを提起していますよね。
AIが瞬時に最もらしい正解を出力してしまう世界では、知識を単に暗記したり、フォーマット通りに出力することの価値は暴落しました。
スピーカー 2
ええ、確かに。
スピーカー 1
だからこそ、JPET&CECのハンドブックでも強く主張されているのが、情報モラル教育と情報活用能力の抜本的な向上なんです。
スピーカー 2
でも、AIを鵜呑みにしちゃダメだよって口で言うのは簡単ですが、どうやってそれを教えるんですか?
スピーカー 1
非常に示唆に富む例があるんですよ。スペインでサッカーのコーチをされ、ジュニア世代の指導経験も豊富な蔡益由利子氏の本からの引用なんですが。
はい。
スピーカー 1
素晴らしいパスワークやスペースを作る動きというのは、不確定な要素を瞬時に把握し、行動に移す認知能力から生まれる、と彼女は語っています。
スピーカー 2
ああ、確かに。実際の試合中って、誰も今、だ、右のスペースでパスを出せ、なんて毎行指示してくれないですよね。自分で瞬時に判断しなきゃいけない。
スピーカー 1
ええ。そしてその能力を伸ばすには、コーチが次はこう動けと一方的に伝達するのではなく、常に子供自身に今なぜその動きをしたのかと振り返らせ、考えさせることが重要だというんです。これを教育に置き換えてみてください。
スピーカー 2
ああ、なるほど。これまでの学校教育が決められたフォーメーションを間違えずに実行する練習だったとすれば、
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
これからの教育は、AIやクラウドという常に状況が変わり続ける予測不能なピッチの上で、自分たちで正解を作っていく力を育てる場所になるんだ。
スピーカー 1
そういうことです。だからこそこれからの教師は知識の伝達者としての役割から降りなければなりません。その代わりに、子供たちが自ら問いを立てて動くためのファシリテーターへと進化することが求められているんです。