食の多様な価値の認識
この番組では、食をテーマに、食にまつわるニュース、人物などから変化し続ける現在地を学び、食の未来像をあらゆる視点で探っていきます。
MCを務めますのは、たべものラジオの武藤太郎と、
アンロックスの田中裕孝。
アンロックスの岡田亜紀子です。
はい、本日もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
では本日は前回からの続きですね。はい、では田中さん、引き続きよろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。で、前回ですね、食の進化がなぜ起きているのかということについてお話ししました。
で、食に起因する社会課題がたくさんあるよということを多面的にお話ししましたけれども、
今日はもう一つの理由ですね。
それは、食に多様な価値があるということを皆さんがですね、気づき出したというようなことがあります。
食の多様な価値ですね。
はい、で、なぜ今までこの食の進化が、例えば戦後起きてきたのかということを考えるとですね、
これよく、すいません、ちょっと言い直しますと、今新しく食の多様な価値があったというよりも、
実はこれまでも食というのは人々を幸せにしてきたんですよね。
例えば戦後ですね、この時短とか安いとか便利とかおいしいとか健康とか安全な食というものを実現してきたのは、
実は食に関わる企業の方々がものすごく貢献してきたということなんですよね。
で、それによって平均寿命が伸びたりとか、あとは経済成長が実現できたりとか、
あとは社会進出ができたりとかですね、それによって実は食というものはすごく満たされたというかですね、
人々の生活は幸せになったんですよ、豊かになったんですよ。
それっていうのは戦後に伸びてきた、今僕らたちがよく知っているような大手職員企業さんとかですかね。
そうです、そうです、そうです。
なのでこれ私たちはよく見せるのが、このロングテールニーズみたいな言い方をするんですけど、
この左側が高くなっていて、右側に行くほどどんどんどんどん小さくなっていく、
いわゆるロングテールというチャートをお見せするんですけれども、
これまでの戦後の食というものは、この左側の大きな市場の中でイノベーションが起きてきた。
たくさんの人が欲求するようなものの塊みたいなイメージですか。
そうです、そうですね。それは何でかっていうと、最大多数の最大幸福じゃないですけども、
その当時やはり人々はそもそも低栄養だったとか、あるいは食べ物自体が実はあまり安全でない時代とかもあったわけじゃないですか。
あるいはそんなにおいしくないとか、ただそういったベーシックなニーズのところをしっかりと満たそうというところで、
この100年ぐらいですかね、イノベーションが進んでですね。
それによって、例えば本当にこの日本なんかだと、1週間24時間365日ですね。
本当にいつでもどこでも素晴らしい食べ物が手に入るというのが当たり前になってきた。
ところが、今なぜ新しい食の進化を求められているのかというと、今までこの戦後ですね、
求めてきたようなものに人々がそれだけだと満たされなくなってきた。ある種それが当たり前になってきて、
例えば、もっと自分に選択肢が欲しいよねとか、もっと平たく言うと、
現代のニーズの変化
寿命は伸びたと、ただ健康寿命とか、もっと自分が幸せと感じるようになるとか、これウェルビングという言い方をしますけれども、
そういったところにニーズが映ってきたりとか、あとは経済成長ができて、
稼ぎが増えたらいい時代から、なんかお金を稼いでも幸せにならなくなってきたので、
例えばSDGsへの関心の高まりとかですね、なんか違ったところにもっともっと価値を求めようとか、
あるいは体の健康から心の健康とか社会的な健康というところに人々の求めるものが変わってきたときに、
これよくスマートキッチンサミットとかも立ち上げたときに議論出てたんですけど、
時短というものがこれまでの家電とか調味料の価値だったんですけど、
時短じゃなくてもっと時間かけてもいいんじゃないのとか、
あとは、例えば自分が地産地消のものを食べて応援したいとか、あるいは文化を継承したいとか創造したいとか、
もっと言うと食を通じて人の繋がりをもっともっと生み出していきたいみたいなことに人ってニーズが持ち出したんですよね。
最近になって特にその代替プロテインとかで見えてきたのは、食がアイデンティティであると。
これなんかもう、どうなんでしょうね。宗教食とかがそのアイデンティティとしてだったのかっていうのはあると思うんですけども、
やっぱり私はビーガンなのはこういった主張だからだとか、私は例えばフレキシタリアンなのはこうだからとかですね。
昔はなんかね、太郎さんとかも多分若い頃とかなんかベジタリアンという人がいて、
なんか野菜しか食べないすごい不思議な人がいるけどもよくわからんみたいな感じだったと思うんですけど、
でも最近だと、なんか私はこういったお肉は食べませんとか、こういった主義主張を出すことによって自分自身が何かしら社会に貢献するみたいな、
そういったようなことを食に求める方が出てきたというのがやっぱりすごく大きくて、
多分ね、そういったような人たちって昔からいたんですけど、世の中に的に言うとすごいマイノリティだったわけですよ。
それよりももっと大きな課題を解かないといけないというような状況があったんですね。
なので、そういったニーズはどちらかというと、それぞれ草の根で個別でやればいいんじゃないのっていうようなところだったんですが、
世の中の多くの人がこういうですね、新しいところに対してニーズを持つようになってきて、
これ私たちはこの多様な価値のクラスター化みたいなことを言うんですけど、群化してきたんですよ。塊になってきたんですよ。
そうすると、やっぱり今までの食べ物だとちょっと満たされなくなってきたので、より自分に合ったようなもの、あるいは自分がよりやりたいことに寄せたいみたいな話が出てきて、
そういう新しい食のサービスを求める声が出てきたというのが一つありますね。
あれですね。ちょうど100年くらい前ですね。1921年だったかな。世界最初のファーストフード店が出始めた頃。
ハンバーガーチェのホワイトキャッスルだったかな。あの辺がファーストフードの走りの形をパッケージングを作って、
それがこのわずか100年ちょっとの間にとんでもない量に増えていったっていうのを考えると、
時代的にそういう安くて早くて手軽な食事というのが求められたからこそその時流に乗って塊軍が出てきて、
みんながそれがいいからファーストフードがバーッと盛り上がったんだけど、現代時の僕ら、特にこの2025年の段階では、
ファーストフードばっかり食べてる人のことをちょっと揶揄するようになってきてるわけですよね。
これが多分田中さんたちがおっしゃる多様化だし、あとね、僕の経験というか今まで観測してきた感じだと、
30年くらい前だとね、オタクってすごいマイノリティで、それこそ日本だとタク八郎さんみたいな人が出てきて、
ちょっと気持ち悪いみたいなことをテレビの番組で面白かしく持ち上げられた時代があったじゃないですか。
でも今って、私も実はオタクそういうの好きなんだよね。オタクなのかもって言えなかった人たちが、
え、あなたも?いや俺もだよって言って、その人たちが群化してって、
なんか食べ物ラジオ的に言ったら食文化オタクがクラスター化していったりとか、
食の世界でも発行のことが大好きって、よくよく考えたらとんでもないマニアックなオタクたちがクラスターになって、
一つのジャンル築いてたりとか、昔で言ったら少し揶揄されるような意味でオタクだったりとか、
あいつは食い道楽だとか美食家だからなって、ちょっとからかい半分で言われてたような人たちがある種広まって、
みんながそれを楽しんでいこうね、今までのファストフード的なでっかい塊だけじゃなくていいんだよっていう許しをもらったような感覚って僕は捉えましたけど。
なるほどね、あとあれですね、そういう人たちが特にネットとかSNSとかで発信しろになって、
なんだ同じことを考えてる人こんなにいるんだっていうことで繋がり出したっていうところも僕大きいと思いますよ。
そうですね、それSNSとあといいか悪いか別として匿名性の効能の一つかもわかんないですね。
そうするとなんか今まで、これやりたいこととかはそうだと思うんですけど、
新しい市場の可能性
例えばノンアルとかっていうのもね、よく事例として出てくるんですけど、10年前とか15年前は全然史上なかったけど一気に増えてきて、
これなんかも飲み会とか行ってお酒が飲めないっていうことを言い出せないとか、なのでみんなこっそり、私も知り合いでお酒を飲む練習をしてるとかですね、いたんですよね。
だけどなんか、いやいやそれ別に飲まなくてもいいんじゃないとか、実は私も思ってましたみたいな話になってきて、
なんかそういうニーズがどんどんどんどん言えるようになってきたっていう社会的な変化もすごくあるような気がしてますけどね。
どんどん多様になってってるということはその分だけ課題も多様化していくってことじゃないですか。そうでもないですか。
そうですね、ただなんか課題っていうのは結構、それこそ分かりやすいので、これなんか石井よしさんがよく言うことなんですけど、ペインポイントは分かりやすいのでみんな合意しやすいって言うんですよ。
なので例えば、最近だと女性のPMSの課題とかっていうのは、言えなかったけど言ったら私も私もみたいな形で、実はそれなりに規模はあると。
これどう見るかですけど、私たち重要なのは課題は多様化するんですけどね、職に関わる課題っていうのは、実は例えば10%の人が課題と抱えていると言ったら普通だとちっちゃいなって思うんですよ。
ところが職っていうのは1日3回、365日すべての人がするので、これよく新規事業のビジネスとかしてると、その課題の頻度とかカバレッジとか人口の何パーセントですかみたいなこと言うんですけど、だいたいその全人口の毎日起こるような体験ってないんですよね。
そうなんですよ。そうすると、365日1日3回って、これ世界中の人が職の回数とか数えると、岡田さん八丁回とかって確かね、昔数えてたよね。
そうするとですね、八丁回する食事のうち、例えば10%の回数を自分のやりたいこととか新しいニーズに寄せて100円例えばあげたら一体いくらになるんですか。マーケットのポテンシャルとかも試断したことが昔あって。
10万回かも。
え?
10万回じゃない?
違う違う。1年間に食事をする回数の総数。
あ、1年間。1人じゃなくて。
そう、人が一生に食事をする回数は11万回ぐらいなんですよ。
で、なんですけど、1年間に世界中の人が食事をする回数って、70億人×3×365とか確かしたはずなんですけど、そうすると80、あれ?八丁回80?ちょっとごめんなさい、瞬間で計算出てこないんですけど。
とにかくね、規模が違うんですよ。なので、課題は多様化しても実はそこは大きな池になるんじゃないかって話もあるし、あとはやっぱりやりたいこと自体もそういう形で考えると結構塊になるんじゃないのかなっていうのがありまして。
はい。それって食品メーカーとか飲料メーカーの方だとそれがそもそもデフォルトというかそれが当たり前だったと思うんですけども、他の業界からするとそれほど顧客接点があるところはすごく魅力的で。
だから旅行業界の方々とか教育とかエンタメとかいろんな業界の方が何か新しいところに挑戦しようとした時に、食と絡めると一気に顧客接点が増やせる可能性があるっていうふうに見えますね。
確かに。いかに自動車時代になったとはいえ、回数とか時間数で言ったら食の方が大きいってことですよね。
うん。あと年齢も問わず。
はい。確かに。2、3歳には食べてますもんね、当たり前ですけど。
食の価値観の多様化
そうなんですよ。なのでやっぱりすごい大事なポイントは食っていうのは世界中の人が1日複数回やる体験なので、とんでもなく面で考えると可能性があるっていうことと、
さらに私たちがサーベイとかもね、全職税シグマクシンとかもやったりもしたんですけど、そもそも食にどんな価値求めてますかっていうヒアリングをするとですね、世界6カ国でやったんですよ。
日本とアメリカ、イタリア、中国、タイ、インドネシアなんですけど、そうすると新しいことを学びたいとか、もちろんね、健康でいたいとかね、楽しみたいとかいろいろオーソドックスなニーズはあるんですけど、
周りとつながりたいとか、歴史転倒を感じたいとか、自己表現したいとか、環境に貢献したいとかっていう数字も、日本だいたいその辺の数字は10%ぐらいなんですけど、他の国は2、30%とか。
日本の10%も低いかと言われると、先ほどの全人口が毎日する行為と考えるとちっちゃくないんですよ。
確かに。
なので、この、ただ一対一対応しなくていいと思うんですよ。
例えば一つの食べ物にその複数の新しいことを学ぶ要素とか、周りとつながり要素とか、環境の要素とか、自己表現の要素とかっていうのを重ねることができるじゃないですか。
なので、一つの食事とか食材とか食品とかに多様な価値を重ねると、実はそれって食費以外からも出てくる、お金が出てくる可能性があるっていうのがすごい大きなポイントですね。
なるほど。
はい。だからそこがやっぱり今、幸せになっていくための選択肢として、多様な目的に対応し得るもので、なので他のお財布からも出せるっていう、これスマホ的なもので、
スマホがね、テレビとかね、デジカメとかね、いろんな機能を奪ってたじゃないですか。電話とかも含めて。そのようにいろんなものの価値が集約する、機能が集約してくると。
その分、食べるもの以外からのお金も流入してくるよねっていうところが、実はビジネスとしても面白いと思っているっていうのが、もう一つの動きですね。
だからこの辺を特に捕まえているのは、やはり日本とかすごい強いなっていう感じもしますけども、この辺が大きく食の進化が今進んでいる要因かなというふうに思っています。岡田さんそんな感じですかね。
テクノロジーと価値観の変化
なんかまさに食べ物ラジオさんのエピソードを聞いて、時間が経つとまた価値が変わってくるっていうような、そういう事例もあるなっていうふうに気づいたんですよね。
お茶の会を聞いた時に、昔はこれは病気を治すためか、途中からはこれは作動が発展していったみたいなところを考えると、ある種人に会うためか、何かそこで物事を決めたりするためっていうこともあるし、
もちろん機能性のところもあって、今お茶するっていう言葉もまだあると思うんですけど、そういう人に会うためっていうことを考えると、時代の変遷によって同じものでもいろんな価値を帯びていくっていうところがあるなと思っているので、ロングテールも多分時代によっても変わっていくかなというふうに思いますね。
なんかあれですよね、今回のフードテックの話と絡むんだと思うんですけど、テクノロジーが大きく発展すると、いわゆるパラダイムシフト、価値観って思いっきり変わるじゃないですか。何て読んだったんだっけな。中世とか近世くらいのヨーロッパだと医学が発達していないので、呪術みたいなお祈りで治そうとしていた。
現代人から見るとなんか未開だなみたいな感じ思っちゃうんですけど、でも当時の医学技術からすると、病気を治せるなんて人間の職業ではないので、ありえないぐらいの感覚で、あと弱っていくしかない状態を待つときに無償で牧師さんがわざわざやってきて、天国の世界でも生きていけるようにという、今でいうケア医療みたいなことをやってくれていた非常にありがたい存在だったわけですもんね。
それがグーテンベルクが書籍を同行して、ニュートンが出てきて物理学が発達して、医学がどんどん下科とか何かが発達したら、あれ何やってたんだっけっていう古い過去のものになって、科学とか医療科学とか健康みたいなものが、価値観がぐるっと大きく書き変わったみたいなことが起きたと思うんですよね。
それでいくと、今のIT技術ももちろんそうですし、フードテックがこの先どんどん進展していけば、たぶん今僕らが持ってるこれいいよねって感じてる価値観も、昔そんなものを信じてたんだ、だっさって言われる可能性もあるし、逆にあの頃は良かったなって言われる可能性もあるしっていうぐらい変わるもんなんだっていうふうに思ったですよね。
なんかそのポイントで私たちがこれからのフードテックの未来っていうのを考えたときに重要だなと思っているのは、今の時点ではコストがめんどくさいことって思っていても、もしかしたら将来はそれが価値になるかもしれないっていうことがあると思っていて、
さっき田中さんがその時短っていうことっていうのはもちろん求められているんだけれども、本当はもし時間がふんだんにあるんであれば思いっきり楽しみたいと思ってるかもしれないですよね。例えば料理とか家事とかそういうものっていうのは。
今あまり考えられないかもしれないんですけど、それ自体に楽しみをもしかしたら見出せるかもしれなくて。そういう考え方っていうのがこれから出てくるかもしれないなって思っているんですよね。それがちょっと私たち考えるっていうのが、リジェネラティブっていう考え方っていうのはそれに近いかなっていうふうに思ってます。
というのも今、食の課題を解くためっていう意味もあって、サステナビリティっていうところが非常に重要で、地球を壊さないように畜産とか物流とかいろんなことを解決していかないといけないんですけれども、サステナビリティって要は地球を環境を汚染していくところをできるだけ減らすっていう。
今マイナスのところをゼロにするという、ネガティブをゼロにするっていうところの話なんですけれども、それって新しい価値はあんまり出なくてですね。
今やっている現状をやっていることをできるだけ地球を汚さないように壊さないようにやるっていうことで、コストだけ増えるっていう話です。
それだけだと非常に苦しくて、人の善意に頼るみたいなことでしか解決できないんだけれど、私たちは地球を汚さない、環境を壊さないっていうことのプロセスの中に楽しみとか面白いっていうことを見つけないといけないんですよね、どちらかという。
だから、そのためには自分で何か作ってみるとか、あとは自分で料理をしてみるっていうこともそうだし、自分で何かを生み出していくとか、そういうことって多分非常に重要で、そこに価値を感じるようになると、多分お金の払い方が全然変わってくるだろうなと。
そうですね、なんかポジティブな未来見たいですよね。なんだろう、欲しがりません、勝つまではみたいなのだと、やっぱ苦しいですもんね。
今これ頑張ったら、こういうチャレンジしてたら、この先はエネルギー無限大に使えますとか、今もう豊かだけどもっともっと豊かな食生活を楽しめますとか、そういう目標に向かっている方が気持ち的には楽しいですよね。
はい、それがすごく高級な料理を食べるみたいなことっていうよりは、すごく小さなシンプルなものでもいいから自分で作れるとか、そっち側の方に面白さを感じるっていうこともあるんじゃないかなと思って。
めっちゃわかる。そうなんですよね。僕、料理人をやってるので、あまりにも料理をしすぎて休みの日、実は料理したくない人なんですよ。なんですけど、最近ちょっと気持ち変わってきてまして、子供と一緒にキッチン立つとか、それめちゃくちゃ楽しいんですよね。
本当に玉ねぎ洗って皮剥いてとか、大根洗ってとか言うとキキとしてやってくれて、父ちゃんできたよみたいなので、もうその時間が私服の時間で、この時間もっと増やせたらいいのに、この喜びを知ってる人がもっとたくさんいて、その人たちが時間がないからできないっていう言い訳を消してあげられるようなテックなり社会の仕組みなりになったらいいなとは思いますね。
フードテックで実現しようとしていることって、時にはお金がある人、余裕がある人向けの話かなっていうふうに言われることもあるんですけど、そういうことよりはもう少し一人一人の力をつけるみたいな。
いざわのりこ先生が、賄い力っていう言葉が好きなんだよねってちょっとおっしゃってたことあるんですけど、なんかその言葉もすごく面白いなと思っていて。
賄い力というのは。
先生が多分おっしゃっていたのは、料理なり何なりっていうのを誰かに振る舞ってあげる。それがすごく豪華な話っていうよりは、そこにあるもので人を喜ばせるとか、そういったことの力っていうのがやっぱり大事なんじゃないかっていうことをおっしゃってたと思うんですけど。
なんかあれですよね、料理人の方々も言いますよね、この賄い飯みたいなことって。
実に基本的ですね。
それってなんか多分そのためだけに料理を用意して作ろうっていう話じゃなくて、どちらかというと、そこにあるものをどうやって美味しく、でもそんなにそのめちゃくちゃ豪華にやるっていう話ではなくて。
でもなんかあったかくて、なんかみんなで一緒に食べれてっていうようなものだと思うんですけど。
なんかそういうところに価値があるんだ、実はっていう。
そこを気づかせてくれるようなテクノロジーの使い方っていうのが、これから求められるんじゃないかなっていう気がするんですよね。
面白いですね。
なんか今の話って、それこそ千利休が言ってたような、なんか事前に用意しておくと、千利休って嫌がったらしいんですよ。
そうなんですか。
たまたま旅の帰りに立ち寄ったはずだから、何も用意されてないはずだったんですよ。
そしたらたまたまその家のご主人がかまぼこか何かを用意してきたんですって。
で、かまぼこって当時すげえ高級なハイテックフードなんで、1日ですぐできるものじゃないし、買ってこなきゃいけないようなものだったのになぜかあると。
これ不思議だなっていうので、すぐ利休は察知をして、こいつ先に知ってやがったなって。
分かっちゃったんですよね。
で、事実お弟子さんとか何かの都合で、先に聞いてたらしいんですよ。
でもこれってわびさびの理念から外れる。
賄う文化から外れるので、どん引きしてちょっとやぼよができたって言って、お酒の前に帰っちゃうんですよね、あの人。
で、これなんで僕知ってるかっていうと、もちろん食べ物ラジオで勉強したのもあるんですけど、
この精神を僕ら料理人は、特に日本料理の料理人は言われるんですね。
そうなんですか。
今の若い世代は分かんないですよ。
僕の師匠やその上の師匠筋から言うと、我々料理人の技術とか知恵とか発想力とか思考っていうのは、あるものをどうにかするためにあるんだと。
事前に計画して設計図を描いて作り上げるのは、これは誰でもやりゃできるんだと。
行き当たりばったりの臨機応変に対応するたびに、俺たちは日々精進してるんじゃないのかねっていうのが、僕は言われましたね。
まさに湯沢先生のおっしゃってる賄い力の集大成なのかなと思います。
なんか面白いですね。古き良きものの考え方って言われてるじゃないですか、これって。
これを実装するために最新のテックが入ってきて何とかするっていう、この新旧融合感が僕ちょっと面白いと思いました。
フードテックのいろんなサービスを見ていると、何か正解があってそこに近づけようとするっていうことか、今あるものでより良くしていくかみたいな、
そういうものがあるかなと今お話聞いていて思って。
例えばレシピのサービスにしても、よく海外であるのは、いろんな体のデータとかを考えると、あなたはこれを食べるべきであると。
これを食べようとすると、これとこれとこの材料が必要で、これはここで買えますとか、用意しますよっていうような、
なんとなく正解みたいなものがあって、これを食べるべきっていうものがあってそこに近づけるみたいな。
日本の食文化の特性
でも日本でそういう同じようなサービスを考えようとすると、どちらかというと今冷蔵庫に何があるかなっていうふうに最初に見て、
そこからある種正解に近づけるかもしれないんですけど、正解もたぶんたくさんあって、
自分の体だけではないし、あとは季節も感じたいとかたぶんいろんなものがあって、いろんな変数があるなっていうふうに思うんですよね、日本のサービスを考えるときに。
だから余計難しくなるんですけど。
そうっすね。実際に僕、料理人としての頭を動かしたときに、そうだなって思いました。
魚に電話して、あれが欲しいって言う前に今何があるから始まって、じゃあこれとこれちょうだいって言うと朝5時ぐらいに電話かかってくるんですよ。
なかったけど代わりにこれありますけどどうですかって言って。前の日にこんだけ書いてるんですけど、もう変わるんですよいきなり。
で、その時に慌てないためになんかどうしたらいいかなっていうのが大変でもあるんですけど、割と楽しいんですよね。
で、おそらくそういう季節に応じて何があるって聞いたときに、今日はこれがあるっていうものを聞いていくことで、もしかしたら自然に多様なものを食べて健康でいられたのかもしれないし。
確かに。
で、それはやっぱり季節があまり変わらない国だとやっぱりそれは成り立たなかったりもするわけなので、そこはなんか日本のこの国のこの気候の恩恵みたいなところもあるのかもしれないんですけどね。
ちょっとそろそろ時間も不安になってきた頃なんですけど、もう一つだけ今の観点で投げ込みをさせていただきますと、
今の話とちょっと共通するところとして、やっぱり私はもともとスマートキッチン家電とかが最初できたときに、はっと思ったのが、なんかあれって自分が魔法を使えるようになる気がしたんですよね。
例えば、当時低温調理機とかプレシオンクッキングみたいなのもあったときに、自分のように料理とかが得意とかするタイプじゃないんですよ、私はね。
いろんな人にすごい食痛で料理するんでしょうとか言われるんですけど、逆にそういった人間じゃないからこそそういったニーズがわかるっていう部分がありまして。
そうすると、なんか自分自身がすごいエンパワー強化されるみたいな、自分のいわゆる装備品が増えるみたいな感覚があったんですよ。
なので新しいいろんな自分の武器ができるとか、どんどんどんどん能力が拡張していくみたいな感覚があって。
前回もお話ししたフードテックとかテクノロジーっていうのは、壮大な社会課題を解決するために、もうこれやらなければいけないっていうところは、これマスターだと思うので。
それはそれでもうやろうと。ただ、そこってある種、もうやるっていうところはみんな見えてるので、想像性がすごいあるかと言われると、
それはそうだけど、その後じゃあ何我々やりたいんだっけって時に、やっぱり一人一人の人間がすごい進化というか、ある種、何ですかね。
昔は人間って、例えばゴールデンカムイとかっていうアニメとか見てても、やっぱり人間の感性とか知識とかってすごかったじゃないですか。
それがこの工業化の中で歯車になっていくと、その底の中で最適化するので、実は人間ってその感覚とか感性とか能力がどんどんどんどん個としては落ちていく。
ただ種としてはすごいいろんなことできるんだけど、個人としての能力はすごい下がっていくときに、結局課題に解決のところだけをやりきってしまうと、
その先にある未来が実はものすごくつまんなくなるというか、自分たちがこんなものを作りたかったんだっけ、みたいな未来になっている可能性がすごいあるような気がしていて。
ただ、作りたい未来を考えるときに、それなりにその一人一人と考える人が、これできそうだなっていうところを感覚ないと、いい未来って作れない気がしてて。
これ、WillとCanとシューズのマトリックスみたいなのがあるんですけど、Canが小さいとWillもわからないし。
できることがないとやりたいことも浮かんでこない。
どんどんどんどん遠くなっちゃうんですよ。どんどん微小化していくんですよ。
なので、私はこういったテクノロジーがいろんなを通じて人が食という領域にいろいろ介入できると。
例えば食材も調達できます。調理もできます。
あるいはフードロストなくそうに自分もこういった形で貢献できますとか。
そういういろんな拡張していけると、それぞれがこんな未来ができるんだねとか、こんな未来が描けるんだねとか。
主体的に今あるテクノロジーとか科学技術を使った豊かな未来を構想することができるんじゃないかなっていうふうに思うので。
なのですごく大事な観点としてはこのフードテックっていうのは何かを代替するものというよりも
皆さんを強化する、エンパワーするものなんだよみたいな考え方を持てるとすごくいいなというふうにやっぱり思ってまして。
なので私たちが選んでいく記事とかもそういったいろんなもののつながりでこれが来る来ないというよりも
未来の食体験の可能性
こういうのができるとしたらこれ使ってみようかなとか。
これとこれとこれとこれを組み合わせるとこれが世の中に実装されきった時にどういった未来が作れるんだろうみたいなことを考える力が身につくといいなというふうに思ったりもします。
確かにできることが増えていくとやりたいと思う未来ってどんどん変わっていきますもんね。
作家少年が将来はJリーガーになりたいっていう感じなんでしょうけど
例えばあったとして高校生くらいになって全国大会でベスト8ぐらいに入ってくると将来はスペインで戦いたいとか
そういうふうにだんだん夢が拡張されていったりとか場合によっては違う方向に行ったりとかって選べるようになりますもんね。
そうだと思います。
法が使えるようになったらそういうエンパワーメントもできるようになりますもんね。
岡田さんどうですか最後になりますかコメント感想あれば。
そうですねそのリジェネラティブっていう言葉をさっき出したんですけど日本語で言うと再生性みたいなそういう意味で
よく再生農業とかそういう言い方で意味にすることあると思うんですけど農業をやりつつ土とかそういうところは壊さずに
どちらかというと自然の力を壊さずもっと強くしていこうみたいなそれと農業と両立させていこうみたいな
そういう意味で使われるかなと思うんですけど東京大学の中島ひろき先生がおっしゃっていた言葉がすごいわかりやすいなと思って
一石二鳥そのそういう一つのことなんだけれどもたくさんのいいことが起こるみたいなそういうやり方っていうのがやっぱりこれから求められていくと
いうことをおっしゃっていてずっとお話ししてるんですけど職には多様な価値があるから一つのものでも見方によって
お茶みたいに機能的なところから人をつなげるところまであるみたいなそういう多面的なそのものの見方ができればできるほど
もしかしたらテクノロジーがなくても人って力をもらえるものなのかもしれないんですけどそういったことを考えながら
ここに向けてフードテックっていうものが貢献できればいいなっていうふうに思うしある種テクノロジーって時々やっぱり副作用というか
最初はそんなこと思わず良かれと思って作った技術なんだけど後から全然それがダメだったっていうことに気づくみたいなこともたくさんある話なので
それはやっぱり社会全体として気づかないといけないなと思っていて1企業だけに見直せる話ではないなっていうふうに思うんですよ
だからそういう意味でも今フードテックに関していろんなトレンドを見たり企業の動きとかも見てるんですけど
私たちも生活者一人一人もそういうものを一応ちゃんと見ていきながらフードテックに求められることって何なのかっていうのを考えられるようになるといいなっていうふうに思いました
そうですねなんか日本の食文化って例えば健康的でとか言われるじゃないですか海外から
健康的で例えば環境にも良くて美味しくて社会にも貢献できて心も豊かになってっていうN兆一石二鳥じゃなくてN兆分どんどん増えていく欲張りなんですね
だけどその欲張りを今まではできなくて実現できなかった部分も多かったけど今ならこの明るいテックの未来ならできるかもしれないっていうチャレンジしていったらいいかなみたいなイメージですかね
なんか最後に僕このフードテックのことを考えていたときにちょっと過去のフードテック何があったんだろうって考えてみたんですね
日までいかないですよそんな何万年とか前までいかないですけど少し昭和とか大正明治江戸とかまでちょっとずつ遡って考えていってみたんですね
そういえば換気扇ってフードテックの一つだなとかガスコンロもそうですよね電子ジャーもそうだけどその前のガス炊飯器も絶対テックだったはずなんですよね
もっとかまどの時代からうんと変わってきたでも現代人はもう電気炊飯器のことをフードテックと認識できなくなってますよね
そうですねもう当たり前ですからね
まさか換気扇をテックだと思わないですもんね多分フードテックっていうかサイエンステクノロジー全般がそうなんですけど社会実装ができた後ってテックだったことを忘れるんだと思うんですよね
でそして豊かになっていくだから僕いろんな方とお話をしたりとかもっと身近なレベルでですね本当に知識がある興味があるではない方々とお話をしているとフードテックよくわかんないとか
大体肉そういうのちょっと自然っぽくないんだあんまり好きじゃないですとかいう方いらっしゃるんですけど実は我々もとっくにフードテックの恩恵に預かっていてでそれでもやっぱり自然との結成性をある程度維持し続けていられてるわけじゃないですか
なのでもっと未来は明るいんだよとかそんなに堅苦しく考えなくても身近なもののただの次のステップだよっていうのは多くの人に伝わるといいなぁと思いましたねはいという感想を持ちでそういう感想でしたはい
いいですねなんかあのフードテックは未来から来るものじゃなくて過去から面々とつながっていてこういうふうにありたいと思うあの食の未来を考えるきっかけというような形で皆さんと会話をしていけたらいいかなというふうに思いますので
はい考えることそのものも楽しいですからねと思いますねはい本当に何がねどうなるかってわからないのでとにかくできることできないことをちゃんと理解していくというのが大事かなというふうに思っていますはいなんかそういった現在地とそしてこんな未来一緒に考えていくというようなことでやっていけたらなというふうに思いますねはいはいそれでは最後にメンバーのみんながそれぞれに気になっていること言ってきて体験したこと食べて欲しかったことなどなど気になっていることや
みんなにシェアしたいことを紹介していくコーナーです名前はいずれ決まりますので今回は田中さんですよろしくお願いしますはいよろしくお願いしますえっとですね私ちょうど先週ですね柔らか3 d 競争コンソーシアムというものに
てまいりまして長いこれは3 d フードプリンターなどで有名な山形大学の古川教授が7年前に立ち上げたコンソーシアムなんですけれどもどんなことを議論するかというといわゆる3 d プリンターとかですねあの3 d フードプリンターなどに取り組む皆さんがいろんな領域から集まってまさに
垣根を超えて一緒に最先端の技術を使ってどんな職の未来やモビリティの未来とかが作れるのかという職だけじゃないんですけどもそういった研究者の方事業者の方々が集まる場でした
でなので私もある種職の未来を語るという文脈で行きましたし あとあのフードロボットのプレイヤーの方とかですねあとあの食品部会とかいくつか部会があってですね
食品部会は何か来年はすごいこういった 4 d のなんかグミを作っていくんだみたいなことを発信されたりとかですね
未来のフードテックのビジョン
なんかあのちょっと何を言ってるかわからない部分はあったんですけどもとにかく感じるのはやっぱりワクワクする未来とか作りたい未来をその具体的な技術研究とともに考えるそれを垣根を超えてやろうぜというですねでもここに参加している人たちがなんか笑顔になるような楽しい場にしたいんですよねっていうので
ブーブー言ってねみんなクスクスみたいないやまあまあこういう未来をワクワクしながらもうちょっと真面目にちょっと緩くみたいな
でも具体的に研究はガチでやるみたいなあの研究者の方々が集まっている場に行ってきてですねなんかこういうところがやっぱり増えてきているのでまあ今回のねあのディスカッションの中とかでもあの未来の話とかあのしましたけれどもなんか良い場に行けたなぁという思ってこれちょっとショーあのまあオープンなイベントでしたのでこういったイベントがちらほらやってますので皆さんもですね
あの垣根を超えた何か協議をしたいという時にあるいは垣根を超えて何か未来を考えたい時にこういう場に行かれるのもいいのかなというふうに思いましたのではいちょっと行ってみたの経緯あの体験談でしたけどもご紹介でした以上ですはいありがとうございますじゃあ今後もこういうコラム的なね発信も最後の負けでつけていけたらなというふうに思っております
はいということで今回は以上となります放送でご紹介したフードテックに関する情報をもっと知りたいという方はアンロックスが配信する無料メールマガジンフードテック合図でお読みいただけますメールマガの申し込み詳細に関しましては番組の説明欄をご覧くださいまたこの番組では皆様からの感想や質問お仕事のご相談を受け付けています
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