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お聞きの皆様、おはこんばんちは、現役リフォームプランナーの寸尺かんなです。今日は一部の方からリクエストをいただいておりました山岸亮子についてお話ししようと思います。
山岸亮子は漫画家で、今70代、だからちょうど段階世代ですね、この人はね。
花野二十四年組と言われる、ちょうど同じ年代の女性の漫画家から大量に天才が同時に出てきた時代があったんですよね。
例えば萩生本とか竹宮圭子とか大島由美子とかね、こういった早々たる、それ以外にもキラ星のごとくね、すごい人が大量に出てきた時代があったんですけれども、
そのうちの代表的な漫画家の一人になります。 山岸亮子の代表作といえば、やはり日出るところの天使っていうね、これは歴史、もう絵画、漫画ですね。
もう聖徳太子のことを描いてるんですけれど、聖徳太子の本当の史実というよりは、これをね非常に美しい美青年にして、
今でいうBL漫画仕立てにしつつ、何とも言えない独特の世界観の漫画を描いていて、これがね最も有名だと思います。
もう一つはアラベスクっていうね、これもバレー漫画の先駆けですね、その後ダンスを描いた漫画っていうのはたくさん傑作が生まれてるんですけれど、
その中でもこのアラベスクっていう漫画が、やはりねこのバレー漫画の草分け的な存在だったんじゃないかなと思います。
そういったね、長いシリーズもの、長い連載ものも有名なものが今言ったような形であるんですけれど、私はねこの辺も面白いんですけれど、実は山岸亮子の本領は短編にあると思ってるんですよね。
これはね多くの人が、ツールの人はみんな山岸亮子の短編漫画には本当に影響を受けている人多いと思うんですけれど、しかもですね、その中でも恐怖漫画が本当に怖いんですね。
例えばですね、私の人形は良い人形とかね、塩の声とか、紙隠し、なんだろうね、いっぱいあるんですよね。
あとね今言う天神からくさとかね、これもすごかったですね、あと岸墓神とかね、もうあの傑作ぞろいなんですよ。
私は割と最近にですね、山岸亮子スペシャルセレクションっていうね単行本をほぼ全冊揃えました。
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これは山岸亮子の短編を中心とした傑作シリーズをですね、全部まとめているものになるんですけれど、これは今のところね、何冊出てたかな、10冊以上出てますね。
これをね、コツコツとまとめてたんですけれど、まあすごいですね。
今回山岸亮子を、私が今までの配信で何度か山岸亮子に確か触れたんですよね。
それで先日トークイベントに行った際も、お会いした方から、ぜひね山岸亮子のこと話してほしいというふうに言っていただいたりなんかしたので、
そうかと思ってね、やはり山岸亮子が好きな人は多いんだと思って、今日ちょっと話をしようと思います。
これはね、本当に山岸亮子は、彼女が何がすごいかということ以上にですね、
今、私たち中村厚彦さん界隈のコミュニティの中では、今いろいろテーマが出てますね。
例えば、中学受験の弊害であったり、教育虐待、毒親、最近はもうマザコンとかね、あとその性的に抑圧された男性のインセルとかね、
あとは最近はロリコンね、あのやっぱり小児性愛者、ペドフィリアっていうんですかね、英語でね、
こういったテーマを早くもですね、あのほとんど網羅していた漫画家なんですよね。
あとは私が大好きというか、私の社会研究課題でもある不倫ですね。
このね、歳史がある男性と若いキャリアウーマンの不倫っていうのをね、いっぱい書いてるんですよ。
で、この山岸亮子は、だからちょうど今77歳ぐらいで、1947年生まれなんで、本当にうちの母親と近い段階世代なんですよね。
この人が、だからちょうどバリバリ働いて、漫画を書き、いろいろ世相を見ていたんですよね。
だからこの時代に、この山岸亮子がいろいろ世の中を見て、いろんな、要するにね、このまさに中村さんの言うところのね、
社会病理っていうのを鋭くね、えぐってる漫画ばっかりなんですよね。
ものすごく怖い恐怖漫画、あとサスペンスがいっぱいあるんですけれど、これはね、単なる怖い怖い話っていうのにはとどまってないんですよね。
だからこそ傑作なんですよね。何が怖いかというかというと、これは全てやはりね、人間の話だから怖いんですよね。
山岸亮子が描く恐怖漫画っていうのはね、全部人間の話ばっかりなんですね。
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例えば私が大好きな、天神唐草っていう漫画があるんですけれど、これはね、結局ね、ものすごく厳格な両親に育てられたお嬢さんが主人公なんですよね。
ものすごく厳しい父親で、父親の言いなりになっている弱い母親に育てられている、気の弱い女の子が主人公なんですよね。
つまり、過不調性の中でものすごく厳格に育てられた女の子が、最終的に女性として自立できないまま大人になってしまって、人格が破綻するっていう物語なんですよね。
最後は気が狂って終わっちゃうっていうね、本当に救いがない漫画なんですけれど、めちゃくちゃ面白いんですよね。
あとはですね、キシボジンっていうね、この漫画はですね、まさに今話題になっている中学受験の話ですね。
このすごく教育熱心なお母さんがいて、2人の子供のうち上のお兄ちゃんはすごく勉強がよくできるんですよね。
下の女の子はあんまり勉強ができないんですよ。
で、このお兄ちゃんばっかり可愛がってですね、お兄ちゃんはこのお母さんの期待を一心に背負って、すごくね、マザコンのいい子として育つんですよね。
途中までは母親の期待通りにね、いい高校までは行くんですけれど、やっぱりね、いい大学までは行くんですけれど、結局ね、いいとこ行っちゃうと自分よりはるかにレベルが高い人たちがいるわけですよね。
で、ものすごく無理していい大学に行ってしまったがために、結局ね、自分より全然勉強しないで入ってきているような人たちがいるわけですよね。
こういった人たちとも全然ね、競争にならなくて、結局早々に20歳になる前に、人生が終わってしまうんですよね。
つまりもう、自分の実力を知ってしまって、人として折れてしまって、もう立ち直れなくなるっていうね、非常に悲惨な物語なんですよね。
で、一方の、この母親からあまり可愛がられない、期待されず、で、あなたは逆に優秀なお兄ちゃんと違って、
バカだけど女の子だから、女の子は別に勉強なんかできなくてもいいじゃないということで、
いろいろね、お手伝いさせられたりとか、女としての性役割を押し付けられて苦労する女の子なんですけど、実はこの女の子の方が、実は能力が高いんですよね。
ですけど、親の目からはそれが見えないっていうね。
それによって家族が崩壊していく物語が、この騎士墓神だったりですね。
あとはものすごくね、小児性愛というか、子供が、大人が子供を性的対象に見ているっていうね。
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だから、その性家外の、子供が性家外に会う話、および子供自体がですね、非常に異様な色気を持っていて、大人を誘惑してくるっていう話もすごくたくさんあります。
すごく不気味なんですよね。これはね、怪しい、セクシーな漫画としてもちろん描かれているわけではないです。
いわゆる萌え漫画みたいな、そういうものとは全く違って、ちょっと非常に不気味なんですけれど、たくさんあってですね。
この頃から、子供が性的対象になり得るっていうことの危険な側面みたいなのを告発しているんだと思うんですけれど、
それを決して、説教臭い社会派漫画としてではなく、恐怖漫画として描いてるんですよね。
あとは、恐怖漫画じゃないんですけれども、おそらくね、これはレディースコミックっていうね、女性のためのちょっとエッチな月刊雑誌になるのかな、月刊漫画がね、ある時期流行ったんですよね。
不倫ものっていうのもすごくたくさん描いてるんですよね。これは全然エッチ漫画として描いてるのではなくて、やはりね、その妻子がある男性と恋愛する若い女性の苦労を描いてるんですけれど、これもね、単なる不倫の恋愛だけを描いているわけではなくて、やはりね、その背景に、その裏側に日本の家族の問題をやはりね、隠しテーマとして、
入れ込んでるんですよね。つまり、外で恋愛する男性と家に閉じ込められて家事・育児を一定に引き受けている女性とのいびつな夫婦関係、および、そこでどんどんどんどん母親が夫がいないためにね、過剰に子供に関心がいってしまうというね。
この辺は山岸亮子がこういった漫画を活発に描いてた時期っていうのが、1970年代後期からだいたい1990年ぐらいなんですよ。まさにバブルの頃あたりを中心に描いてるんですよね。
つまりね、今いろいろ問題になっていることですよね。これね、全部同じなんですよ。今と。全くね、抱えている問題が一緒なんですよね。やはり、多少違うのは、この時代ほど今は過不調性ではないですね。
今の3、40代の人たちはおそらく共働きがほとんどだという違いはあります。まだ私の世代は、男性が働き手で、女性が家に入って家事・育児をやるという家庭がまだまだ多かった世代です。
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だからそういったところの違いはありますけれども、相変わらず子どもをちょっとでもいい、学校に入れたい、ひいてはもっと良い、より良い人生を送らせてやりたいというね、親の期待が子どもに一心に集まっている感じとかですね。
あとやはりですね、こういう歪な性的に抑圧されて、ちょっとやっぱりおかしな人になっていくとか、あとその精神的に精神疾患になりがちだったりとかね、そういったことも実はこれは家庭における親子関係の歪みから精神を病んでたりとかするという問題があるんですよね。
こういったことを早くも山岸良子はこの1970年から1990年ぐらいの間にもう書いてるんですよね。つまりもう今私たちがいろいろ見ている問題というのは、ずっと戦後経済がどんどん復興して核家族を中心とした家族及び管理教育になってからの日本がずっと背負ってきていることなんですよね。
あとね、このしょっちゅう書いているこのね、小児性愛の問題ですね。ここも早くも子供の絵だ、なんていうかな、昔から小さな子供を性的に見るっていうことを、それはね、あるんだと思うんですね、その文化というか。
あとそういうことを子供が好きな人、子供をエロチックな目で見てる人というのは一定数、ジャニーみたいな人はいて、そういう人たちがアーティストになって絵を描いたりね、そういうことをしているというのもあるし、実際カソリック教会がいろいろ子供たちに性的虐待を行ってたということが割と最近に分かったりとかですね。
この小児性愛の問題というのは根深く昔から古今東西にあるんですけれども、日本ももちろんあってですね、こういったことを少女漫画の山岸良子がもうすでに描いているというのはね、すごい画期的で、ここまでね、この題材に少女漫画家で描いている人たぶんいないんじゃないかなと思いますね。
つまりこういった欲圧、明らかにここにはやはり裏のテーマがあって、変質者が、初めから変質者がいっぱいいるという話じゃなくて、そんな単純な話じゃないんですよね。
やはり性的にすごく欲圧されていると、そういうふうに小さな子供とかね、絶対自分に背いてこない弱者に制服させようという気持ちが動いてくるので、必ずしも小さな子供が性的に魅力があると本気で思っているというよりは、
自分に絶対屈服できるというか、絶対自分に逆らえない小さな存在として子供たちを性的な目で見るということがおそらく起こるんだと思うんですよね。
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この辺はもちろん私、別に精神科医でも何でもないので、詳しく言うことはできないんですけれども、多分そういうことだと思うんですよね。
山岸良子がこういった不倫、毒親、それから性的虐待、小児性愛、いろいろ狂っていく中年少女であったり、こじらせている男性が性的加害をするとかね、そういったテーマを早くもこれほど書いているということが何が理由なのかというと、
やはり歪んだ家族ということが題材の一番根幹にあるんだなというふうに私は思っているんですよね。
結局非常に閉鎖的なこの4人だけが家族として寄り集まっているところから、さらにこの中にずっと朝から晩まで会社に行って仕事をしていると称して家庭に関わっていない男性がいて、
そこに母親と子どもだけが残されて、ここでいびつな何かおかしな家族、親子関係を構築してしまい、そうすることによってどんどん母親が子どもたちを性的に結果的に抑圧する結果になり、そしておかしな子どもが大人になっていくというね、そういうテーマをずっと描いているんですよね。
これは今読んでも、逆に今この日に書かれた年月日を見てびっくりしました。こんなに昔に書いてたんだっていうね。絵柄も綺麗ですし、テーマも現代に読んでも何ら遜色がない、今また改めて読まれるべき漫画家なんじゃないかなというふうに思いましたね。
本当にね、この昭和の花の24年組はもちろんですし、この前後もね、本当にすごい人たちがいっぱい出てきてるんですよね。日本の少女漫画からはね。
それこそ去年の、源氏物語の作者の紫色部の話。光る君への、あれもですね、山戸脇っていうね、すごいハイカラさんが通るとか、いろいろ有名な漫画を書いたことで知られる山戸脇がね、描いた浅木夢美子っていうね、源氏物語を漫画化した素晴らしい漫画もあったりとか、私が好きだったのは里中まち子とかね。
あと、ベルバラ描いた池田梨央子とか、すごい人たちがもういっぱいいて、どれもね、今読んでも素晴らしいんですよね。なんですけれどもね、この山岸亮子がね、描いてた、あの当時描いてたテーマっていうのはもうかなりね、今にも共通してるというか、ただ怖いのがですね、結局今もある意味ね、あまり変わってないんじゃないかっていうことなんですよね。
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結局教育虐待もなくなってない。で、こういうなんでしょう、やはり性的に抑圧されることによって人格や精神が歪められる人、大人が一向に減らないとかね、いろんなことがね、何ら変わってないっていうことはね、なんかいろいろ考えさせられるし、それともう一つはね、やっぱりこういう漫画家とか、
クリエイターの人っていうのはね、やはりこういう自分たちの作品の中にいろんなね、その当時彼らの目で見た社会病理をね、捉えてたんですよね。ただこういったものっていうのはデータ化されたりとか、すごい何かNHK特集とかで組まれたりとかしにくいテーマですよね。
人口の何パーセントの人が婚外恋愛してるかとかね、不倫してるかとか、愛人が何人いるかとか、パートナー以外とね、どれだけの性的関係持ってるかとか、あとその、それこそ性的虐待なんていうのはどれぐらい把握、今でもね、どれぐらい把握できてるかわからないですよね、こういった問題は。
ですけれども、やはりね、こういうフィクション、漫画とか小説とかっていうのはね、フィクションだと思って軽視する人がいるんですよね。ノンフィクションは好きだし、ドキュメンタリーも好きだけれども、こういう架空の物語は興味ないと、これはただの想像の産物だって言って、敬意を払わない人っていうのが一定数いるんですけれど、やはりね、とんでもないなと思うんですよね。
少なくともこうやって山岸亮子の漫画を今改めて読んでみて、全部、今も共通している社会問題じゃんと思うんですよね。だから山岸亮子が当時この漫画を描いてた頃には、こういったことはまだ社会病理として誰も問題視してませんでした。
この70年代、80年代、90年代、2000年代初期は、こういったことは何も問題視されてませんでしたけれど、今まさにね、この中村敦彦さんのコミュニティを筆頭にですね、こういった問題がいよいよ社会病理として脚光を浴びているっていう事実がね、だからやっぱりクリエイターはすごいなっていうね。
だから中村さんもすごいんですよ。社会病理をずっと見据えている。誰もまだ気づいてないうちから、何かここがおかしいぞっていうことをかぎ分けて、そこをくんくんくんくんによって、やはり掘り起こしていくっていうことがこの人たちの仕事なんですよね。
そういった人たちがかぎつける、何かこういうテーマとか、何かここだけの話なのかなと思ったら、実は違うんですよね。そういったことを改めて感じさせられました。
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だから自分自身の身に起こっていることは、自分だけのものだと思っているととんでもなくてですね、やはり自分も社会の一員で、自分の話は社会の話って誰かが言ってましたよね。まさにそういうことなんだということがね、山岸良子を読んでいて改めて感じました。
はい、あとで概要欄におすすめ一覧を書いておこうと思いますので、ぜひ読んでみてください。今ね、文庫とかも出てたり、お求めやすくなってます。あとデジタルでどんどんね、山岸良子の漫画はデジタルでも売られるようになってきているので、機会があれば、ぜひね、この長編の漫画も素晴らしいんですけれども、
この短編はね、本当に読み応えがあります。おすすめですので、また手に取ってみてください。はい、それではごきげんよう。