オーパーツの紹介
いちです。おはようございます。今回のエピソードでは、オーパーツって本当にあるのという話題をお届けします。
このポッドキャストは僕が毎週メールでお送りしているニュースレター、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2025年3月15日に収録しています。
ニュースレター、スティームニュース、そしてこのポッドキャスト、スティームfmは、スティームボート乗組員のご協力でお送りしています。
というわけで、冒頭から私ごとで恐縮なのですが、エジプト調査から日本へ帰ってまいりました。
今回はですね、アビドスという町に滞在していたわけなんですが、ここどんなところかというと、
ギザから南へ600キロぐらいですかね。まあ車で7時間半ぐらいのところ。
王家の谷があるルクソウルからは、西へ200キロぐらいになるんでしょうかね。まあ車で3時間ぐらいのところにあります。
ここに小さなピラミッドがありまして、ただ非常に古いピラミッドがありまして、そこの調査をね、
参加してきました。これは河合幸典先生、エジプト考古学者の河合幸典先生の調査隊のメンバーとしてね、
僕も参加してきたもので、今週ね、エジプトから長崎に帰ってきたというところです。
なので今回のエピソードはですね、実は現地からお送りしたニュースレター、スティームニュース第224号の話題でもあるのですが、
考古学者にとって、まあ夢というよりは、どうでしょう、悪い方の夢なんじゃないでしょうかね。
大パーツというね、テーマについてお届けをしようと思います。
大パーツというのは、あるはずがないものという風にね、お考えいただくのが一番いいんじゃないかなと思います。
その時代にね、あるというのはちょっと考えにくいなというもの、それが大パーツなんですね。
考古学者を恐怖にも落とし入れる大パーツ。大パーツとは、場違いな人工物の英語、
アウトオブプレースアーティファクツの略なんですね。どういう風な略かというと、アウトオブプレース、
OOPですね。これにアーティファクツのアートをとって、大パートに複数形のSですね。
アウトオブプレースアーティファクツ、これを略して大パーツという風に呼ぶわけなんですね。
日本語訳では、時代作語異物というようなことも言うのですが、まあ大パーツの方がね、通りが良いかなとも思います。
これはその時代や文明の技術では製造が不可能と考えられる出土品や古代の加工品を指します。
お断りしておくと、大パーツの大半は場違いではなく、僕たちの勘違い
ということがね、多いです。で、これもちろん例外はあるんですが、その例外は何かというと、
まずインチキなんですね。なので大パーツ、その場違いな出土品、場違いな人工物というものは、まず存在しないと考えて
エジプトの壁画
良いんです。 で、僕たちがあの冒頭で申し上げた
調査している場所、アビロスという町には、
セティ一世葬祭殿あるいは神殿というね、 まあ日本でいう神社ですかね。時代はもっともっと古いんですが、
神社があります。どんな神様を祀っているかというと、オシリスという神様、そして王様セティ一世をですね、
祀った神殿、神社があるわけなんですが、そこにね、壁画が描かれています。
壁画といっても壁に刻んだレリーフというものなんですが、そのレリーフに
びっくりするような絵が描かれていたんです。 これね、あのアビロスに行っていただくと、まあ簡単に行っていただくとって言ってますけれども、
行くの大変は大変なんですけれども、見ることができます。 もちろんあの画像を検索してもらうと見ることもできますし、
僕が毎週お送りしているニュースデータ、スティームニュースの第224号にも画像をね、
掲載しているので見ていただくことができるんですが、この古代エジプトの壁画に
ヘリコプターが描かれているんですよ。 ヘリコプター。
びっくりですよね。5000年以上前にヘリコプターあったのっていう話ですよね。 それもただのヘリコプターではなくて、
ここもびっくりなんですが、アメリカのテレビドラマ、もちろんあの日本でも放送されたテレビドラマ、
超音速攻撃ヘリ、エアーウルフに登場する 架空のヘリにそっくりなんです。
いやーこれびっくりですよね。古代エジプトの王様が、セティ一世が、エアーウルフ、超音速攻撃ヘリを軍隊に持っていて、
戦っていたとしたら、まあそれはさすがにオーパーツですよね。 実際セティ一世、戦争には強かったそうなのですが、どう考えてもですね、いくら後にね、
油田が見つかるエジプトとはいえ、 ヘリを飛ばす燃料ももちろんないですし、ヘリを作る技術もないですし、
何だったらそのヘリという概念すらなかった時代ですから、
この絵は何なんだということが、考古学者たちを悩ませたということになるんですね。
ちなみになんですが、ヘリコプターの起源、これは東洋の竹トンボというふうに言われています。
ただし、人が乗るヘリコプター、 つまりは現在のヘリコプターですね、これのコンセプトを考え出したのはルネサンスのレオナルド・ダ・ビンチというふうに言われています。
レオナルドはそういう意味でも天才ですね。 実際にヘリコプターが実用化されたのは、もうつい最近20世紀に入ってからとなりますから、
そんなね、紀元前13世紀を生きたセティ一世、
さっき5000年前と言っちゃいましたけれども、4300年前ですね。 セティ一世がヘリを持っていたというのは、ちょっと考えにくいというか、絶対考えられない話なんですね。
このヘリコプターの壁画なんですが、実際にはですね、この古い壁画の上に漆喰を塗って新しい壁画を描き直した場所だったんですね。
その漆喰、これは古古学者プラスターというふうに英語で呼ぶんですが、このプラスターが剥がれ落ちて、下地とそれから上から書いた
小型文字が重なってしまって、偶然ヘリコプターに見えてしまったというものなんです。 実はね、このヘリコプター周辺にはどう見ても潜水艦に見える
小型文字風の記号だとか、見方によってはこれ円盤型のUFOじゃないかなぁと思うような記号も残されていて、まさにオーパーツの方向のような壁画なんですが、ただヘリはね、これどう見てもエアウルフなんですよ。
超音速攻撃ヘリエアウルフ。このドラマで使われたエアウルフは、実際にはベルという会社のヘリコプターのカウリングをちょっと工夫して
架空のヘリに仕立て上げているんですが、もうシルエットがねそっくりなので、ここ学者頭を悩ませたんじゃないかなという
アンティキティラ島の機械
これは偶然の一致です。 こういったね、偶然未来の形になってしまったというのがオーパーツ
とされてしまうということよくあります。 もう一つ、今度は違ったオーパーツと呼ばれたことのある
人工物の話をね、してみたいと思います。 オーパーツとして数えられることも多いのが
古代ギリシャのアンティキティラ島の機械なんですね。 この機械は1901年にアンティキティラ沈没船から回収されました。
翌年にギリシャの考古学者 ヴァレリオス・スタイスによってアンティキティラ島の機械が複雑な内部構造を持つことが発見されています。
これもですね、スティームニュース第224号に写真を載せていますが、こちらもね、あの有名な人工物なので
wikipedia なんかでも写真を見ることができます。 おそらくね、ブロンズですね、精銅製の機械でもう錆びています。
錆びて緑色になっているんですが、大きなね、歯車とか文字盤とかが見ることが写真からできます。
で、この沈没船、アンティキティラ沈没船がいつの時代のものかというのは諸説があるんですが、古くて紀元前4世紀とするもの、それから新しくても紀元前1世紀とするものですね。
まあ紀元前1世紀から、ごめんなさい、紀元前3世紀の間ですね。
の間じゃないかというふうに言われています。一つね、興味深い説はローマの将軍スラですね。
紀元前86年に乗船していたんじゃないか、そして沈没したんじゃないかとする説もあります。
これはね、スラの記録に乗っていた船が沈没してというのが、紀元前82年の出来事でというふうに書いてあって、出航した土地も一致しているので、これ紀元前82年の沈没はこのことじゃないかとする説もあるんですね。
このスラなんですが、もちろんその後ね、生き延びていてということは、沈没船に巻き込まれずにローマまでたどり着いているので、スラは無事だったという、無事かどうかわからないですけれども、とにかく生き延びたということなんですが、このスラが乗っていたかどうかは正直わかりません。
で、このアンティキティラ島の機械、こちらも製作年は不明なのですが、こちらもですね、紀元前1世紀から紀元前3世紀の間ではないかと言われています。
で、この機械、30個以上の歯車を持っていて、一番少ない説で30個ですね。多い説だと200個以上歯車があったんじゃないかというふうに言われています。
天体の運行を計算するために作られた太陽系儀、今でいうプラネタリウムのようなものですかね。超高度な星座早見版みたいなところかもしれません、だったというふうに考えられています。
この機械ですね、さらにウルード氏の計算もできました。なんと日食月食の予測もできたというふうに言われています。
アンティキティラ島の機械は、その後千年間に作られたいかなる機械よりも高度なものだったんですね。
少なくともヨーロッパではですね。で、これこそ大パーツだと語られることが多いアンティキティラ島の機械なんですが、実際には古代ギリシャ人がこの種の機械を作る技術を持っていたこと、
ヨーロッパではその後高度な技術力が失われたことを仮定することは無理な話ではないことから間違いというわけではないんですね。
実際アルキメデスが同様の機械を製作していたという話が古代ローマの政治家キケロによって残されています。
またルネッサンス以前のヨーロッパの技術水準で言ったら、これは古代ギリシャを頂点にずっと下り坂なんですね。これは遺跡とか言っていただくとわかるんですが、古代ギリシャの遺跡ってやっぱりね、きっちり作られてるんですが、その後だんだん雑になっていくんですよ、ルネッサンスまで。
東ローマ帝国時代とか雑になっていきます。僕建築素人なので偉そうなこと全然言えないんですが、この素人目に見ても雑になっていきます。なので技術がね、日本の場合だと技術って時代とともに向上していくというイメージがあるんですが、
ことヨーロッパに関しては、特にキリスト教以降悪くなっていくということを考えると、技術が受け継がれなかったというのもあるありがちな話かなとは思います。東アジアでもね、実際その技術が受け継がれなかった一例としては、僕は妖変天目ジャワンをね、挙げられるんじゃないかなと思います。
現在ね、日本にだけ3点、国宝として3点、有敵天目まで入れるとあと数点あるんですが、これなかなかね、現在再現できてない。いやもう最近なんか安定的にね、再現できるようになったというニュースも読んだことがあるんですが、
長い間作ることができなかった妖変天目ジャワンのように技術が失われていくということは、実際にあるんだということなんですね。
アビドスのヘリコッター、こちらは偶然にも姿が現在の文明に似てしまったものでした。エジプトでは他にもデンデラの電球というね、これもちょっとユニークな名前なんですが、電球そっくりの壁画があるんですよ。
でもこれも偶然現在の文明に姿が似てしまったもので、電球を描いたものではないです。オーパーツの多くは過去に現在を見ようとする態度から偶然ね、生じているのかもしれないです。
オーパーツの謎
一方のアンティキティラ島の機械はこのヨーロッパで技術が衰退していったことからオーパーツに見えてしまったものでした。これはひょっとしたらこのナスカの地上絵というのも、それを描く技術が失われて久しいためにオーパーツに見えてしまうということと関連があるかもしれません。
まあそんなこと言ったらね、洋辺天目蛇丸だってオーパーツといえばオーパーツですね。このようなオーパーツとは別に、ここ学者を悩ませる深刻な問題があります。
それが、遺跡の中に他の時代のものが混じってしまうコンタミネーション、汚染という問題です。地表面は考古学者にとって高都合なことに上へと積み上がっていくので、地層と年代には強い対応関係があります。
そこで例えば、古代ギリシャ時代の地層からは古代ギリシャ時代の遺物が出てくるという風に、相場は決まっているんですが、時々違うものが出てきます。
僕自身の個人の体験を言うと、今回のネアビロスの調査ではないのですが、昔、もっと奥地の遺跡の調査で、イジップなんですが、ローマ時代の地層からファミコンのカセットが出てきたことがあるんですよ。
ファミコン、初代ファミコンです。びっくりですよね。ローマ時代の子供がファミコンで遊んでたかというと、そんなことはないわけで、これは誰かが捨てたわけですね。
その地層の中から出てきたのが、掘った中で埋もれて出てきたのか、それとも掘った砂の中に紛れ込んじゃったのか、ちょっとわからないんですが、結局そのあたりに遺跡には落ちてたというわけですね。
これは誰かが、現在の誰か、ファミコンですからね、1980年代か遅くとも90年代でしょう。誰かが捨てたか、土に埋めたかということ、砂ですね。砂に埋めたのかということなんでしょうね。
この時代が微妙に混ざるというのは、実際によくあるんです。この20世紀とローマ時代が混ざるというのは極端な例ですが、隣り合う時代が混じる、地層が接していますから混じることはあるんですね。
例えば古代エジプト、ファラオの時代と、それからプトレマイオス朝、ギリシャの時代、あるいはグレコローマ時代、ギリシャローマの時代が混ざるということも十分あり得ますし、またそのローマの時代と後のテルシャの時代混ざったりとか、ということもあるわけですね。
極端な話を言うと、20世紀と混ざるということもあり得るわけです。風が砂漠に吹くと、その砂が巻き上がってしまって、地層を混ぜちゃうこともあるので、この大きく混ざり合うということが起こり得るわけなんですね。
なので、コンタミネーション、これが時代を混ぜるということが起こり得るわけで、そして混ざると元に戻せないので、これは科学者にとっても非常に悩ましい問題なんです。
混合遺物の実例
これがコンタミネーションだと証明することは非常に難しいんですね。もう膨大な証拠を積み上げないといけないので、そのために、もちろん証拠の積み上げはやるんですが、手間も時間も取られるということなんですね。
なので、コンタミネーションも含めると、オーパーツとは言わないですが、アウトオブプレースな人工物というのは、しょっちゅう出てくるということになります。
というわけで、エジプト調査から帰ってきて、考古学者と一緒に仕事をさせていただいていたわけなんですが、その考古学を踏まえてのオーパーツの話題をお届けをしてみました。
実はですね、週1回お届けしているニュースレター、スティームニュースのほかに調査中はですね、日記ニュースレターというのを別口で運用していまして、サブスタックというウェブサービス、メール配信サービスを使って日記をお送りしています。
ちょうどリアルタイム、ほぼリアルタイムで、エジプト出張、これからエジプト行きますよ、大学のキャンパスの猫ちゃんに挨拶してきましたみたいな話題から、
現地ではどんなSIMカードを買ったらいいかとか、そんな話も毎日お送りしていました。正確に言うと、出張中以外も勢いで毎日お送りをしているんですが、
出張中はね、ためになるのかな、これからちょっとエジプト行ってみたいなという人向けに参考になる情報をお送りしています。こちらですね、ちょっとあんまりこの公にできないことも書いているので、一部有料、ペイウォールを立てさせていただいているんですが、
ほとんどの部分、無料でお読みいただけるようにしていまして、ペイウォール立てているのはね、別にこれでお金儲けようと思っているわけじゃなくて、本当に公開できないことなので、どうしても読みたい人向けと、あと自分の記録用にペイウォール立てているんですけれども、ご興味のある方は是非ね、無料で読める部分だけで十分だと思いますので、
メールアドレス登録していただく必要があるんですが、過去バックナンバーもね、ウェブから読むことができますので、お読みいただければなと思います。
大エジプト博物館というね、グランドエジプシアミュージアムというのが、今年ね、ソフトオープンという部分オープンしまして、そこに行ってきた展末なんかも書かせていただいています。
これね、車で行った方がいいですよっていう話なんですね。ホテルいくら近いからと言って、歩いていけるわと思って、結構大きい博物館なので遠くからでも見えるんですよね。近い近いと思って歩いていこうとすると、結構大変な目に遭うというね、お話も書かせていただきました。
あとね、エジプトはね、あのウーバー使えるんですけれども、ウーバーでね、僕は何事も経験だと思ってバイクタクシーを呼んで、これがまた結構ね大変だったというね話もさせていただいています。
そんなね、エジプトの話、あと今回ね宿泊が、ちょうどね調査隊の宿舎をね、今手配しているところなんですが、ちょっと一時的なね、宿泊ということで近隣のホテルを使っていたんですが、そこでね、
エジプトで手に入るもので、オムライス作れないかというので、シェフと交渉して作り方YouTubeとかで見せて、作ってってお願いしたけどダメだった。
で、じゃあこれとこれ作ってって言ってテーブルでオムライス風のご飯を作ってみたという話もね、写真入りでご紹介しています。
これね、うまくいったんですよ。本当にね、あのテーブルでオムライス作れたんですよ。何を頼んだかっていうと、エジプトはね、あのジャポニカ米のご飯があるので、ご飯とそれからチキンとケチャップとオムレツ持ってきてってお願いして、バラバラに持ってきてってお願いして、
あまりね、行儀のいい話ではないのですが、お皿の上でね、チキンをほぐしてご飯と混ぜてオムレツ乗っけてケチャップ乗っけたら、あら不思議とオムライスになりました。
想像以上にね、オムライスで美味しかったんですよ。なんか懐かしい味がしたんですよ。ケチャップの力かもしれないんですが、とにかくね、オムライスになりました。というような話もね、もう一つのニュースレターで、世界差の旅っていう風なね、名前をつけてるんですけれども、そちらでね、お送りをさせていただきました。
スティームニュースの方は、相変わらず週1回の配信を続けています。ちょうどね、このポッドキャストをお送りしているタイミングでは、マーフィーの法則という内容でお送りしていますので、またね、こちらもポッドキャストエピソードにしてみたいと思っています。
というわけで、今回のエピソードも最後まで聞いてくださってありがとうございました。良い週末をお過ごしください。スティームFMのイチでした。
スティームFMのイチでした。
スティームFMのイチでした。