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  2. アーティストと特許【第139号..

1️⃣特許法は著作権法と違い「アイディア」を保護するための法律です 2️⃣アーティストによるアートのための特許がいくつも生み出されています 3️⃣著作権は自動的に生じますが特許権は申請が認められてはじめて生まれます

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ニュースレター「STEAM NEWS」

金谷一朗(いち)

TEDxDejima Studioファウンダー・パイナップルコンピューター代表・長崎大学情報データ科学部教授

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サマリー

このエピソードでは、特許法によって与えられる特許権と特許になる発明について説明されています。また、アーティストが特許を取得した例やアート作品を保護するための特許申請にも触れられています。さらに、特許権と著作権の違いも説明され、マイケルジャクソンや野口五郎などのアーティストが特許を取得していたことも紹介されています。

目次

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いちです。おはようございます。このポッドキャストは、僕が毎週お送りしているニュースレター、スティームニュースの音声版です。
スティームニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースは、スティームウォートのりくみーのご協力でお送りしています。
改めまして、いちです。このエピソードは、2023年7月21日に収録しています。
このエピソードは、お届けしている週、ほぼ1週間、東京の早稲田大学と、そしてリーガロイヤルホテル東京に缶詰になっていまして、国際会議の運営に当たっていました。
番組後半では、その国際会議の話題もお届けできればと考えています。
さて、このエピソードでは、スティームニュース第139号から、アーティストと特許という話題をお届けしたいと思います。
実は、スティーム.fmエピソード126、そして127でも、特許に関する話題をお届けしているのですが、新しい切り口でお楽しみください。
特許法と特許権
特許といった場合、通常は特許法によって与えられる特許権のことを指します。
特許権は、特許になる発明を特許を受けられる者が、適切な出願書類を政府に出願し審査にパスすると得られるものです。
特許権を認められると、出願日から原則20年間その発明を独占することができ、
自分の特許を勝手に使っているものを訴えることができる上に、自分の特許をお金を取って他人に使わせることができるようになります。
では、特許になる発明とは何かというと、
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のものということになっています。
なんだか難しそうですね。
簡単に言うと、特許になる発明とは自然法則を使うもので創作であって技術的思想なんですね。
これ何が特許にならない発明なのかというふうに裏返しで考えていくとわかりやすいかもしれません。
自然法則に従う必要があるので、例えば永久期間のように自然法則に逆らうものは特許申請ができません。
また、製作でなければいけないので発見は特許申請ができないということになります。
例えばこれこれの物理法則を発見しましたというだけでは特許にならないんですね。
また最後に技術的思想でなければならないというふうに指定されているので、
アニメのキャラクターデザインとかは特許にはなりません。
また特許法では先ほどの条件に加えて産業上利用可能性があること、新規性を有すること、
そして進歩性を有することなどの条件を加えています。
進歩性というのは少し難しい考え方なのですが、これは先行技術の単なる延長ではないことを求めるものです。
進歩性についてはですね、このエピソードの中盤でホリエモン特許を取り上げたいと思いますので、
そこで改めて説明をさせていただこうと思います。
アーティストの特許
さて、アーティストが生み出した特許について見ていきたいと思います。
歴史的ミュージシャンマイケルジャクソンは、ミュージックビデオ、音楽の付属品から芸術にまで高めたアーティストです。
彼の作品の一つにスムーズクリミナルがあります。
彼は重力を無視するかのような踊り、通称半重力傾斜、ゼログラフィティを行います。
僕はこのマイケルのダンスの映像を初めて見た時に、これはカメラによるトリックだと思ったんですが、そうではなかったんですね。
彼はライブステージでもこの半重力傾斜という踊りを踊るんです。
こちらyoutubeにオフィシャルビデオが上がっていますので、ぜひ検索してみてください。
マイケルジャクソンスムーズクリミナル、オフィシャルビデオでは7分のところからこのゼログラフィティを見ることができるんですが、
ぜひ6分30秒から30秒間だけ見ていただくといいのかな。本当は全編見ていただきたいんですが、せめて6分30秒からの30秒間見ていただくと、マイケルの凄さがわかると思います。
この半重力傾斜ゼログラフィティを実現しているのが、マイケルによる特許、半重力イリュージョンを作る方法と手段です。
これ米国特許になっていました。いましたというのは特許がすでに切れちゃってるんですが、これどういう特許かというと、靴の裏側にフックを仕込んでおいて、
ステージからボルトが突き出てくるんですね。踊りながらこの靴をステージのボルトに引っ掛けて靴をステージに固定するんです。
そうすると後は筋力で、排気の力で地面に向かって傾斜していってまた元に戻るという信じられないムーブを見せることができるんですね。
でこの特許なのですが2005年に消滅しています。 つまり全てのミュージシャン全てのダンサーはマイケルの真似をしても合法なんです。
とはいえ誰かが真似をしてもマイケルのパロディになってしまうところに、マイケルジャクソンのアーティストとしてのあるいはパイオニアとしての偉大さが
ありそうですよね。 次は日本人ミュージシャンに目を向けてみましょう。
歌手の野口吾朗さんは音楽家の他に情報記述者としての顔も持っています。
彼は音楽ライブの映像をデジタル配信するサービス
テイクアウトライブの発案者で、本サービスを実現するためのいくつかの特許を取得しています。
テイクアウトライブではアーティストは qr コードのようなデータコードをユーザーへ販売します。
ユーザーはデータコードを携帯電話やスマホで読み込んでライブ映像へアクセスします。
この時データコードとユーザーの電話番号、あるいは携帯電話の固有番号がひも付くので、ユーザーはライブ映像を
販売したり、譲渡したりすることができなくなるんですね。 これは実に賢い仕組みで
現在のスマホ向けのアプリストアが行っているのと基本的には同じメカニズムですね。
この特許なんですが日本で iphone が発売された2008年に野口五郎さんより出願されています。
こういうのを先見の銘と言うんでしょうね。 さて現代アートと特許というのも実は深い関係があるんです。
アート作品の特許申請
クリエイター集団として名高いチームラボも特許を取得しています。 その名もお絵かき画像表示システム。
ユーザーが描いた絵をコンピューターで読み取って絵をアニメキャラのように動かすシステムです。
チームラボの皆さん雑な説明でごめんなさい。 しかしですねこういったアート作品を保護するために特許が必要なのかという議論がね
あるんじゃないかと思います。 アート作品を保護する法律といえば著作権法の方が有名ですししかも一般的です。
著作権法が保護するのは 思想または感情を創作的に表現したものであって
文芸、学術、美術、または音楽の範疇に属するものとされています。
なお1985年 昭和60年
阪神タイガースが優勝した年の法改正でコンピュータープログラムも著作権法の保護対象になっています。
まあということはですねこれ以前の任天堂ファミコンであるとかあたりの
ゲームプログラムなんかは厳密に言うとプログラムそのものは著作権の保護対象にはなっていなかったということですね もちろんそのあの手この手を使って保護対象には
事実上なっていたのですがプログラムコンピュータープログラムが著作権法の保護対象になったのは1985年からということになります
というわけでチームラボが制作する ちっちゃな声で言うと僕たちも制作する
コンピュータープログラムを駆使したアート作品もまた著作権法で保護されている とは言えないんですね
プログラムは保護されているのにアートは保護されていないのかというふうにね なっちゃうんですがこれ理由があります著作権法は表現を保護する法律であって
アイディアつまり思想を保護する法律ではないんです アイディアを保護してもらおうと思ったら特許申請をするしかないんですね
例えばまあチームラボの例で言うとチームラボが開発したプログラムそのものは著作権法で 保護されています
ただしそのプログラムが実現していることをつまりアート作品は 著作権法では保護されていないんです
これが絵画写真などとの違いまあるいは音楽映画との違いですね 絵画写真音楽映画
舞台なんかもそうでしょうね これらの表現というものは著作物として著作権法の保護対象になっています
ただしその表現が伝えたアイディアそのものはこれは著作権法の保護対象にはなっていません
アイディアは著作物ではないからです アイディアは著作物ではないから
ではアイディアを保護しようと思えばどうすればいいかというとこれは特許を申請するしか ないんですそして認められれば特許権が認められれば
保護されますというわけでチームラボが特許権申請を行ったというのはまぁこのような 事情があったんじゃないかなと
僕は想像をします
最後にもう一つ例をあげますね堀江門特許 堀江門こと堀江孝文さんも興味深い特許申請をしています
彼が申請したのは web ブラウザーのエラー画面を広告にするというものです web ブラウザーのアドレスバーに例えば
googlegoogle.com と打ち込むべきところ
googlegoogle.com と打ってしまうことってまぁないですか
僕はたまにあります そんな時 web ブラウザーはサーバーが見つかりませんというページを表示するんですが
特許権と著作権の違い
その代わりに広告を表示しようというものです 念のためお伝えしておくと google.com はこの
タイプミスを想定していて大が1個多い google.com は自動的に google.com にリダイレクトされます
ただ大の数が増えていくと g の後に大が5つとかだとこれエラーになるんですね 以前はですねこれリチリに
google.com にリダイレクトされていたんですが今はしていないみたいです そのせいでしょうかね
もっと大が多い大を10個ぐらいつけて google.com ってやるとなんか知らない会社のページに飛んでしまいます
知らない会社と言ってごめんなさい でも知らないんだもんって感じです
あの 興味のある方はね大の数増やして試してみてください
でこの特許申請なのですが進歩性が認められず
拒絶査定になっています ホリエモンは特許の勉強に申請しただけだったそうでそのまま不成立にしています
ただし特許権が認められなかったからといってその発明が無意味なものだったということ にはなりませんし
逆に特許権が認められたからといってその発明に何かしかの効果があるとも限りません 商品広告に
特許取得と高らかに歌い上げているものがありますが それは必ずしも商品の性能や効能を保証するものではありません
世の中にはたくさんのそして意外な特許がまだまだあります また折に触れてご紹介しますね
というわけでこのエピソードでは主にアーティストと特許の関係についてお話をしてきました
マイケルジャクソンでやっぱりミュージシャンとしても一流 シンガーとしても一流パフォーマーダンサーとしても一流というところで
いやほんとねすごい人だったんだなぁと思うんですが このパフォーマンスのために
まあ独特の音発明をしてそれを特許化しているというところもユニークな存在だったん じゃないでしょうか
日本に目を転じると野口五郎さんね 情報技術者としてもやはり先見の面があって
本当にあの卓越した 人物だったんじゃないかなというふうに思います
チームラボの特許でご説明させていただいた特許権と著作権の違いあるいは
アイディアと表現の違いこれは我々 情報技術者
計算機科学者にとっても大きな違いであって 例えば
有名なアルゴリズムって言われているものがあるんですね 何か問題を解決する手段としてのアルゴリズムというものがあって
それを実現するためのコンピュータープログラムがありますよということがね よくあるんですねそのコンピュータープログラムは例えば教科書に載っていたりとかネットに置いてあったりとかするわけなんですが
コンピュータープログラムに関しては明示的に書かれていない限り著作権によって保護されていますから 勝手にコピーして使うことはできません
ただそのコンピュータープログラムを読んで人間が読んで これこれこういうことをしたいんだなというふうにアイディアを汲み取って自分で書き直すこと
プログラムを書き直すことこれは著作権によって保護されていない行為なので ok なんですこれはアイディアは著作権が保護しないので
真似ることが許されるわけです でところがですね現代アートではそのアイディアそのものが作品であることがあるのでそこを
守るためには特許権を請求しないといけないということになるわけですね そこらへんさすがチームラボということになるでしょうかね
アーティストの特許取得
計算機科学の分野では比較的まあその アイディアはもちろんのことプログラムそのものも
オープンソースと言いまして自由にね使うようにまあ完全に自由ではないんですが その使う側にも義務が生じるんですが
自由に使えるようにしましょうという運動は 比較的よく見られますまあひょっとしたらそれはどうせアイディアはコピーされるんだから
じゃあもうプログラムそのものもコピーさせてあげようじゃないかという ところもあるかもしれません
ここらへんの話はメールでお送りしているニュースれたスティームニュースの 第139号の今週の書籍でご紹介させていただいている本
女子大生前の特許ファイルに詳しく書かれていますので よかったらですねまずはのニュースれたスティームニュースを
ご登録いただいてそこからリンク飛んでいただけるといいかなというふうに思います ニュースレターはね
無料でお届けしていますのでぜひ登録をしてみてください さて番組最後に今今週あったことを少しご紹介して
かなと思います 今週ですねまあ僕たちが主催させていただいたのが日米先端工学シントジウムという
まあこれはクローズとなぁ 国際会議なのですが
日本側の若手工学研究者30名アメリカ側の若手工学研究者 30名を
3日間缶詰にして 徹底的に討論させるという
まあ 素晴らしいというかちょっとクレイジーなイベントで2001年から始まっているんですね
もうこれで22年目ということになります これがですね年々レベルが上がっていって
今年は本当にねレベルが高くて
ちょっとまだね僕咀嚼しきれてないんですが徐々に このニュースレターそしてポッドキャストでそのエッセンスをお届けしていこうと
思っていますぜひご期待ください というわけでこのエピソードも最後まで聞いてくださってありがとうございました
ニュースレタースティームニュースの方でも ご支援を
くださっている皆様本当にありがとうございます また次のエピソードでお目にかかれることを楽しみにしております
Itchyでした
ご視聴ありがとうございました
24:58

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