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このエピソードでは「じゃんけん」についてお届けします.平安時代のじゃんけんには蛇がいた?志村けんは天才?サザエさんじゃんけんに勝つ方法は?などなど,じゃんけんにまつわる話題と,近年はビッグデータ解析と呼ばれることも多い統計学をご紹介します.

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(音楽)
いちです おはようございます このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター steam news の音声版です
steam news では科学技術工学アート数学に関する話題をお届けしています steam news はsteam boat の陸民のご協力でお送りしています
(音楽)
改めましていちです このエピソードは2022年の3月5日に収録しています
このエピソードではsteam news バックナンバーの33号から サザエさんじゃんけんに勝つ方法をお届けいたします
じゃんけんは学術的には三すくみ剣と呼ばれる遊びの一種です 三すくみとは
石はハサミに勝つハサミは紙に勝つ 紙は石に勝つというふうに絶対的な勝者がいない状態を表します
ご存知の通り石はグー ハサミはチョキ 紙はパーというふうに呼びますね
三すくみになる組み合わせであれば三すくみ剣は成り立つので必ずしもグー チョキ パーである必要はありません
じゃんけんはですね漢字では石の剣 石剣と書くんですがこれは石
ハサミ 紙を使うからですね
この石ハサミ 紙の組み合わせなんですが明治時代に入ってから
普及したそうなんです 三すくみ剣自体は平安時代から遊ばれていたそうなんですが
石ハサミ 紙ではなくてなんとですねカエル 舐めくじヘビの3つだったそうですこれを虫剣と呼んだそうなんですね
カエルは親指 舐めくじは小指
ヘビは人差し指で カエルは舐めくじに勝ち舐めくじはヘビに勝ち
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ヘビはカエルに勝ちます まあこれはこれでちゃんと遊びとして成立してますよね
16世紀頃には長崎に住む中国人の間から カズ剣という別の種類の遊びが日本人へ伝えられます
これはですね密かに指を何本か立てておいて 2人で同時に見せ合うところまではジャンケンと同じなんですが
見せ合うと同時に合計の本数の予想を言い合うんですね 江戸時代ではこのカズ剣の方が主流になっていて
長崎県あるいは 紀陽県とも呼ばれていました
紀陽は長崎の中国風ネーミングなんですね 京都のことを楽陽というようなイメージです
京都に行くこと上落って言いますけれども それは楽陽に登るということですねそれと同じように長崎のことも
紀陽というふうに呼ぶのが知識人の間で流行っていたわけですね ちなみになんですが横浜のシューマイ弁当の紀陽県さん
ご主人が初代がですね長崎ご出身だそうで 長崎の紀陽なんだそうです
現代のじゃんけんの形はこの長崎県で使われた 0,2,5がそれぞれグー、チョキ、パーに転用されたものとみられています
なお三宿県やカズ県は東アジアの遊びでヨーロッパでは見られませんでした
僕は子供の頃ですねアメリカにじゃんけんがないことを知ってひどく興味を覚えたことがあります
じゃんけんなしでどうやって勝負を決めるんだということですね まあもっと正確に言うと僕子供の頃は関西にいましたから
じゃんけんじゃなくてインジャンですね でまぁそのアメリカにインジャンがない
どうやってその勝ち負け決めるんだっていうのね 興味持ったんですけれどもじゃんけんのことをじゃんけんはね今あの英語圏にも一応あります
なんかちょっとオリエンタルな遊びとしてなんでしょうね 現代の英語圏ではロックペーパーシザーズ
なんですねそのままですよね日本の石 紙ハサミこれを直訳したわけですね
ロックペーパーシザーズ 東アジアに比べればまだまだ普及はしてないようなんですが
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2018年イングランドの女子サッカーリーグである fa 女子スーパーリーグにおいて
主神がコインを忘れたために コイントスの代わりに両キャプテンによるじゃんけんが用いられました
なおこの主神なんですがコインを忘れてしまったので3週間の出場停止を喰らえました
さて話を戻します ジャンケンのグーちょきパーは綺麗な3すくみになっていますから
どの手を出しても勝ちやすさは同じです ジャンケンには引き分けがあるのでこの手を出しても勝率は3分の1になります
とはいえですね人間は体のある生き物ですから 緊張すると手をギュッと握ってしまう傾向があります
そのためじゃんけんをプレイする前にはある程度緊張をほぐしまたじゃんけんのタイミングを揃える必要があります
じゃんけんの前に最初はグーってありません この最初はグーはどうしてもグーを出しがちになる傾向を緩和してまた本番のタイミングを揃えるための儀式なんじゃないかなと僕は
にらんでいます最初はグーを考案したこれおそらく志村健さんなんだそうなんですけれども いや天才なんじゃないかなと僕は思ってます
2002年世界各地のじゃんけん系ゲームのルールを統一するために the world lock paper scissors society wrps が結成されました
まあ日本語訳すると世界グーチョキパー協会になるんですが 2017年からツイッターアカウントも運用しているようです
wrps によるとじゃんけんのタイミングを合わせるためにヨーロッパでは3回アメリカでは2回まず手を縦に触れということがね
言われているんですけれども これは冗談じゃないでしょうかね
じゃんけんといえばこのエピソードのタイトルにもさせていただいているんですが サザエさんじゃんけんが有名ですよね
サザエさんテレビアニメの方のサザエさんは1969年から続いているんですが1991年から次回予告にサザエさんじゃんけんが入るようになりました
もう30年以上ですよね このサザエさんじゃんけんなんですが
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高い確率で勝つ方法があります じゃんけんっていうのはまともにやると勝率3分の1なんですがそれを超える方法があるんです
そのために僕たちは統計学を学ぶ必要があります
1903年 H.G. Wellsは将来統計的思考が読み書きと同じように良き社会人として必須の能力になる日が来ると予言した
これはですね書籍統計学が最強の学問である 冒頭に書かれている言葉なんですね
1903年 H.G. Wellsは将来統計的思考が読み書きと同じように良き社会人として必須の能力になる日が来ると予言しました
1903年ですからまあおよそ120年前ということですね 世界最初のコンピューターである2-Z3が1941年の誕生ですから
コンピューターや電卓のなかった時代のことですもちろんエクセルもありません H.G. Wellsはサイエンスフィクションの父とも呼ばれる作家
思想家で タイムマシンや透明人間を題材にした作品を書いています
核兵器や今のウィキペディアを着想していたとも言われています
別の例をご紹介します人類は19世紀のロンドンで史上初めて 統計学の力を使って満タン位の人命を奪う原因への戦いを望みました
原因不明の疫病防止するための学問を疫学と呼ぶのですが この世界で最初の疫学研究は19世紀のロンドンで
コレラという疫病に対して行われました この疫学の中で統計学は大きな役割を果たしました
この当時コレラはイギリス全土で大流行し 合計数十万人もの死亡者を出したと言われています
特にロンドンの双方地区では下水道が発達しておらず 地域がお水にまみれていたため
ロンドン政府がお水をテムズ川に投棄したのですが これがかえってコレラの大流行を招いてしまいました
現在疫学の父と呼ばれているジョン・スノーという外科医はコレラで亡くなった人の家を訪れ 話を聞いたり付近の様子をよく観察しました
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そして同じような状況下でコレラにかかった人とかかっていない人の違いを比べました
このように仮説を組み立て大規模にデータを集め コレラの発症非発症と関連していると考えられる違いについて
どの程度確からしいかを検証しました スノーは家屋1万件あたりのコレラ死亡者数が
利用している水道会社によって大きく違うことを発見しました 水道会社Aを利用している家では水道会社Bを利用している家よりも8.5倍も死亡者が多かったんですね
スノーはとりあえず水道会社Aの水を使うことをやめることを提案しました ドイツの細菌学者ロベルト・コッホがコレラ菌を発見する30年ほど前の
ことです スノーの主張は当時科学的ではないあるいは確実な証拠がないと学会からは
退けられました 一方でスノーの助言に従ってコレラに汚染された水の使用を止めた街ではコレラの
感染が止まりました 液学というデータと統計解析に基づき最善の判断を下そうという考え方は
スノーの発見から100年ほどかけて医学の領域においては書くこともできないものになりました 現代の医療の最も重要な考え方として
エビデンスベースとメディスン 日本語にすると科学的根拠に基づく医療というものがありますがこの科学的根拠のうち最も重視されるものの一つが
妥当な方法によって得られた統計データとその分析結果なんですね これはですね原因と結果を結びつけようとする古典的な科学とは異なる態度なんです
エビデンスは因果関係の議論をひとまず置いておいて 最善の答えを提示します
従ってエビデンスに反論しようとすれば理屈やもちろん経験ではなく 統計学的にデータや手法の限界を指摘するか
自説を裏付けるような新たなエビデンスが必要になります 疫学における議論は正しい正しくないという評価ではなく重い軽いあるいは強い弱いという議論になります
エビデンスに基づく政策には他にアメリカにおける教育改革が知られています その最たるものはワークスクリアリングプロジェクト
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まあ略して wwc プロジェクトです wwc プロジェクトではどのような教育方法が価格的に推奨されるのかを明らかにし
公開しました それによると例えば生徒の成績に基づいて教師を競争させてボーナスの査定に反映させるというアイデアは
むしろ悪影響であることがわかりました また映画マネーボールをご覧になった方は統計学をうまく使えば
貧乏球団でもメジャーリーグにおいてプレイオフで優勝争いに絡めるということをまあお聞きになったん じゃないでしょうか
マネーボールで有名になった野球における統計解析をまとめた教科書としてはメジャーリーグの数理科学が有名です
その理論はセイバーメトリックスとして知られています セイバーメトリックスは従来の野球の伝統的価値観をしばしば覆すものであったため
メジャーリーグに受け入れられるにはまあしばらく時間がかかりました またといえばチーム最強打者はメジャーでは3番日本のプロ野球では4番に置くことが多いんですが
例えば2番打者にチーム最強打者を置くということも 最近では増えてきてるんですねこれはセイバーメトリックスの影響の一つです
もう一つの事例を経済学に見ることができます 1929年にニューヨークの証券取引書で株価の大暴落が起こりました
世界標高の始まりですね アメリカでは失業率が25%に迫りました
当時の政府はニューディール政策と呼ばれる一連の政策を計画しました ニューディール政策のゴールは不況を脱することであり失業率を低下させることでした
そこでまず正確な失業者数を把握することが必要になりました 当時は失業者数は300万から1500万人という雑な推計しかなかったんですね
当時のアメリカの人口は1億2000万から1億3000万人程度だったと考えられているんですが
今からおよそ100年前にその全数を調査することは到底不可能でした ましてアメリカですからね
一つの州が一つの国に匹敵するぐらいの広さと人口を持ってますから それが約50州もあったわけですよね
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このような課題に対して当時唱えられたアプローチは失業者全員に登録カードの輸送を義務付けるというものと
全人口から無作為に0.5%程度を選んだサンプリング調査を行うという新しいものでした
実際には両方の方法がとられ後者のサンプリング調査の方が正確だったことがわかっています サンプリング調査には会議的な人がいまだにいます
そこで理想的なサンプリング調査が理想的な全数調査よりもどの程度不正確なのかを議論しておきたいと 思います
全人口1億2000万人の0.5%すなわち60万人が失業している状況を考えてみます
全人口の0.5%すなわち60万人をサンプリング調査すると 全員が失業者であったという可能性は
ほとんどありません どのぐらいあり得ないかというと
一応64兆で10万回以上割った程度の確率なんです 言い換えると200回に1回しか当たりの出ないくじで
60万回連続して当たり続けるのと同じ確率です これはまあ極端な例だったんですが
10万人程度のサンプリング調査で 真の値から1%もずれないことが
保証できます これはよくスープの味を見るのにスープ全部を飲まなくても良いというふうに例えられます
現在はほとんど全ての学問において統計学を使わざるを得ない時代です
ではなぜ今統計学が花開いたんでしょうか 先ほどお話ししたように統計学の芽生えは100年も前のことですし
主要な統計解析の手法は1960年に出揃っていました これだけ統計学がパワフルなものであるならば
なぜもっと前からね使われなかったのかという疑問が出てくると思うんですが これは
コンピューターとデジタルネットワーク技術が21世紀になってようやく低コストで大量に手に入るようになったからなんです
20世紀までの統計学は紙とペン それに一部の人にしか使えなかった大型コンピューターによるものでした
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しかし現在ではデータの量の多さ計算の複雑さというのは問題にならなくなりました これが統計学が21世紀になってから花開いた
理由です そしてせっかく花開いたのだから新しい名前をつけようという動きもあります
統計学は時々統計解析ですね統計解析は時々 ビッグデータ解析とも呼ばれます中身は同じものです
最後にサザエさんじゃんけんに戻ります なぜ統計学を駆使するとサザエさんじゃんけんに勝つことができるのか
そろそろ想像がついた頃じゃないでしょうか 実はサザエさんじゃんけんには統計的な偏りがあります
宝くじであるとか 大学入試のマークシートは統計的な偏りが生じないように設計されています
サイバーセキュリティの基礎となる暗号技術でも統計的な偏りのない乱数を作ることが鍵になっています
しかしですね サザエさんじゃんけん研究所公式ウェブサイトが公開している
サザエさんじゃんけん博書によるとサザエさんじゃんけんの手は アニメ制作会社の担当者が思いつきで決めているそうなんですね
まあそのために3回連続した同じ手はほぼないといったような人間臭さが表れています
例えば2008年10月から2009年12月の間ではある週にグーが出て次の週にチョキが出た場合3周目にハーが出る可能性は67%に達していました
つまりサザエさんがグーチョキと出した翌週ならば こちらがチョキを出すと67%の確率で勝てたということですね
このような法則を駆使してサザエさんじゃんけん研究所は1996年のサザエさんじゃんけん開始から
2354%の勝率を誇っています 統計学のパワーを感じていただけたんじゃないでしょうか
ニュースレター steam news ではこういった身近な科学とアートに関する話題を毎週お届けしています よろしかったら登録してみてくださいでは次のエピソードでお会いしましょう
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いちでした
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(♪~ED)
ご視聴ありがとうございました
24:58

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