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2025-03-09 06:50

#112 貧乏人の経済学(プア・エコノミクス)

『貧乏人の経済学(プア・エコノミクス)』という途上国支援に関する本が面白かったので紹介する回です。


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サマリー

『貧乏人の経済学』はアビジット・バナジー氏とエステル・ディフロ氏による著書であり、途上国や貧困地域の人々の行動を分析しています。経済学の理論だけでは理解できない現実の課題について深く掘り下げています。

貧乏人の経済学の紹介
ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
今回はですね、貧乏人の経済学)プア・エコノミクスという本があって、面白いのでそれを紹介するという回です。
著者はアビジット・バナジーとエステル・ディフロで、二人は夫婦です。
バナジー・ディフロ夫妻は、2019年にノーベル経済学賞を受賞しています。
それでこの本、貧乏人の経済学は、2011年に出た本で、
途上国や貧困地域における人々の行動や意思決定をランダム化比較試験によって実証的に分析しました。
従来の途上国支援というのは、開発経済学みたいな貧困を解消するための理論があるんだけど、その理論だけが先行しあっていた形でした。
経済学の理論は、人々は合理的に振る舞うはずなんだっていう前提があるんだけど、
実際、現実世界では、途上国の人々は合理的には振る舞ってくれない、それはなぜだっていう課題がありました。
だから、途上国支援という文脈において、実際の現場や貧困層がどのような行動原理を持っているかを検証しないといけないというニーズがあって、それに答えたのがこの本です。
例えば、よく聞く話だと思うんだけど、途上国の貧困層にお金を渡しても無駄遣いしてしまうという問題があります。
一般論としては、それは貧困層は教育を受けていないからそうなってしまうんだ、だから学校を建てるなどして教育を受ける機会を提供することが大事なんだみたいな話によくなると思うんだけど、
それじゃ分析として浅すぎる、もっと深く考えてみましょうっていうのがこの本の趣旨です。
じゃあ、なんで彼らは無駄遣いしちゃうのかというと、お金の使い道を調べてみるとですね、よく見られることとして家族がみんな食べ物が足りていないのに食べ物を買わずにテレビを買っちゃうわけですよ。
じゃあ、なんで食べ物よりテレビを優先しちゃうかというと、途上国の人たちも僕たち先進国の人と行動原理が一緒なんです。
完全に僕たちと同じ弱さと欲望を持っていて退屈に耐えられないんですよ。
現場をめちゃくちゃリアルにイメージしてみると少し想像できると思うんだけど、途上国の村の生活って退屈そのものです。
本から引用すると、映画館もコンサートホールもなく、座って行き交う見知らぬ人々を眺める場所もない、大して仕事もない。
ある人は1年間のうち70日間は農業、30日ほどは建設業で働きます。
残りの時間は牛の面倒を見つつ、仕事が来るのを待って暮らしています。
すなわちテレビを見る時間はたっぷりあるということです。
このように、そもそも安定して働ける場所がないから時間を持て余してしまうし、仕事がある時も農業や建設業でクタクタになって働いたのに何の楽しみもないんじゃ報われないですよね。
教育と子供たちの行動
彼らによって当然楽しみや娯楽が必要だということです。
もちろん生産性だけ考えれば、ひたすらお金を貯めて専門性を高めるための勉強をした方がいいわけだけど、
それって僕たち先進国の人間もできてないことじゃないですか。
僕たちも学生だったら、起きてる時間はずっと勉強していた方が生産性が高いんだけど、やっぱりついついYouTubeを見たり、友達とカラオケに行ったりしてしまいます。
これって無駄遣いですけど、息抜きなしに生きていくなんて辛すぎるし、死んでしまいたくなるじゃないですか。
途上国の人も同じ弱みを持っていて、テレビを買うとかDVDプレイヤーを買うとかしないと、人生が辛すぎて死んでしまいたくなってしまう。
それは途上国も先進国もなく同じ行動原理にのっとった挙動なわけだから、無駄遣いを非難するのは少し酷な話だよね。
こういう話がずっと展開されます。
あと印象的だったのは子供と学校の話です。
一般論としてユニセフの広告とかで、学校に行きたくても行けない子供たちがいますってよく言われるじゃないですか。
だけどあれは上積みの成功した子供だけをピックアップしてフューチャーしたものです。
これをプロパガンダって言うとちょっと言葉が強すぎるかもしれないけど、まあ一種のプロパガンダと言います。
取り組み自体はもちろんいいことなんだけど、勉強が好きで成功した子供たちもいる一方で、その裏には普通に勉強が嫌いで、学校に行きたくない子供たちもいっぱいいるそうです。
これは結構印象的でした。でもまあそうだよねって思いました。
さっき言ったように、途上国の人も先進国の人も同じ行動原理を持ち、同じ欲望と同じ弱みを持っているわけで、
小学校中学校の時、勉強するより遊んだり他のことをする方が好きだったじゃないですか。
それに途上国の学校教育も先進国の学校教育と同じようにエリートを育てようとする傾向があって、
エリート教育についていけない、あるいは評価されない子っていうのは当たり前に勉強が嫌いになります。
割合的にも、多分勉強が好きな子供より勉強が嫌いな子供の方が多いと思うし、
途上国で学校を建てても、なかなか子供たちが勉強しないっていうのも、
それは子供って勉強が嫌いなものだし、言われてみればそうだよねっていうのが印象的でした。
以上のこういうリアルな具体例、行動原理の話がこの本の片面です。
で、もう片面の話を次回したいと思います。
というわけで、次回に続きます。
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