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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。
今回は、人類のとある性質についてです。
タイトルの呪われた部分というのは、フランスの哲学者であるジョルジュ・バタイユの著作名です。
このジョルジュ・バタイユは1897年生まれで、1962年まで生きていたフランス人で、
この時代は第一次世界大戦に第二次世界大戦に東西冷戦に、まさに戦争の時代でした。
戦争をしまくっていて、まるで人類が破滅に向かっているかのようですが、
バタイユは、人類は過剰になると破滅に向かっていく性質があると指摘しました。
今日はこの辺りの話をしたいと思います。
過剰というのは、現代思想における一つのキーワードでして、
そもそも前提として、人間はあらゆる意味で過剰になりやすい生き物です。
文化的な過剰とか、富の過剰とか、いろいろあるはあるんだけど、
最も顕著であるのが生命の過剰です。
というわけで、具体例を出していきます。
まず、タイトルの呪われた部分とは、死に関する話です。
人類の死因の最たるものは、戦争、飢餓、疫病の3つです。
そしてこれらの死因は、根源的には全て人口増加が原因にあります。
戦争というのは、資源の奪い合いです。
ここでいう資源が何になるかっていうのは、時代時代によって異なるんですけど、
原始的なモデルの方がシンプルでわかりやすいので、
1万年前、人類が農耕を始めた時代を例に出します。
農耕の特徴は、食べ物を大量生産できる点にあります。
食べ物が大量にあると、当たり前なんですが、人口は一気に増えます。
この増え方がポイントで、トマス・ロバート・マルサスっていう人が、
人口論っていう本で指摘してるんだけど、
人間って気化球数的に増えるんですよ。
気化球数っていうのは、等比数列じゃないっていうことで、
X軸とY軸のグラフがあったとしたら、
Xが1上がったらYも1上がる。
1増えたら1増えるっていうような比例のグラフではない。
そうではなくて、2上がったら4増えて、次は8増える。
16、32、64っていうふうに、
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そういうグイーンって上がっていくグラフを描く形で、人間は増えます。
一方で、食料生産、農耕というのは、
1増えたら1増えるような増加の仕方しか基本的にできないんですよ。
農耕の場合、増やすっていうのは、
新しい畑を開拓・開墾するということです。
考えてみれば当たり前なんですが、
今畑を1つ持っていて、新たに畑を1つ増やしたとしても、
食料の増加っていうのは、1上がるだけだよね。
畑を1つ増やしたから、食料生産も1増えるっていう、
Xが1上がったらYも1上がるという、こういう上昇の仕方しか基本的にはできません。
ハーバー増し法とか例外はあるんですけど、
基本的にはこのような構造です。
したがって、畑を増やすスピードよりも、
どんなに頑張っても、いずれ人口増加のスピードの方が上回ってしまいます。
4、8、16、32、64って増えていったら、
どんなに頑張って畑を次々と開墾していったとしても、
いずれは食料生産が間に合わなくなるということです。
そうすると、食べ物が足りないわけですから、飢饉が発生することになります。
ただし、人間は当然、意思があるから、
飢饉を受け入れて黙って餓死するということはしません。
どうせ何もしなかったら、飢え死にするだけだから、
多集団が住んでいる地域を襲撃して略奪するという現象がまずは発生することになります。
これが戦争です。
以上が、人口の過剰が飢餓と戦争をもたらす呪われたメカニズムでした。
さらに、疫病というものが存在するから立ちが悪いのだけど、
それは次回に続きたいと思います。
では、次回もよろしくお願いします。