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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします
今回のテーマは、欲望です
欲望とは何かというテーマは、人間の根幹に関係する極めて深いテーマだと思います
人間というのは、欲望する生き物です
快適な住宅を得たいという欲望とか、他者から認められたいという欲望とか
ブランド物の高級品が欲しいといった欲望まで
もう無数の、数多の欲望が僕たちにはあります
これらの欲望が全くない人間というのは、寄せ人とか、先人とか呼ばれるような人々です
一般的な人間とは欲望するものであり、欲望とは人間の根幹に関係するものだと言えます
欲望について、特に分析している学者には
ルネ・ジラール、アレクサンドル・コジェーヴ、ジャック・ラカンなどの人たちがいます
彼らの哲学は少しずつ異なりますが、概して言えることはですね
人間的欲望は、模倣的欲望である
人間は物を欲望するのではなく、他者の欲望を模倣するのだということです
人間の欲望は他者の欲望であるというフレーズもあるんですが
要は何もないところから、自分はAが欲しい、Bが欲しいという欲望が発生してくるのではなく
自分の周囲にいる他者が、Aを欲望すれば自分もAを欲望するし
他者がBを欲望しているならば、自分もBを欲望するようになるということです
他者と物との関係性をコピーして、自分の欲望は獲得されるわけです
ちょっと概念的すぎてイメージがしづらいかもしれないので、もうちょっと具体的に言うと
ジラールが言っているのはですね、例えば
少女時代に読んでた小説のヒロインの欲望を自分も欲望するといった模倣の仕方です
三角形的欲望とか言い方をするんですが、今の例だと少女がシンデレラを読んだとしましょう
少女は私も素敵な王子様と結婚したいという欲望を持つわけですが
その欲望を持つに至るには、小説のヒロインの欲望が間に挟まってます
つまり、初め少女は特に何も欲望をしていないんだけど
小説のヒロインの欲望を模倣することで、少女も素敵な王子様と結婚したいという欲望を持つに至るわけ
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別の言い方をすれば、欲望するっていうのは他者になり変わることを欲望するということでもあります
その欲望が他者と競合しない場合はいいんです
シンデレラのような小説のヒロインが相手だったら
相手は架空の存在ですから、利害関係の競合という現象は発生しません
でも欲望が現実に存在する他者と直接競合するような場合は、利害対立や争いが起きます
例えば、学校のクラスで人気のある異性をなんとなく自分も好きになるという現象はよく起こりがちですけど
そういう時に対立は起こるという、そういう話です
まあ当たり前っちゃ当たり前なんですが、ジラールはそんなことも言ってますので一応紹介します
最近ですね、ジラールの欲望の模倣理論をテーマにした
欲望の見つけ方という本がビジネス界隈で流行ってました
確かに欲望の模倣理論はビジネスに転用可能だと思います
だってモデルとか広告とかインフルエンサーっていうのは
自分のライフスタイルとか持ち物をフォロワーに真似させて
それで欲望を植え付けるということをやってますから
割とがっつり欲望の模倣理論を応用しています
さらに言えば、そういった仕掛け、欲望を煽って欲望を植え付けようとしようとする側
他者の欲望を煽って高い給料を稼いでいるビジネスマン自身も
高所得者に憧れる他者の欲望っていうのを模倣して
それで自分も高所得者になろうとしているわけですよね
今回はキリがいいのでここまでにします。
次回もよろしくお願いします。