2023-09-17 07:29

#35 エポケーと現象学

判断中止(エポケー)という概念=思考法があります。知的に誠実な態度を保つスキルであり、とても役に立つと思うのでお勧めです。

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ストーリーとしての思想哲学
思想染色がお送りします。前回に続きましてエポケーについてです。 前回は古代ギリシャにおけるエポケーについて話したんですが
この概念は2000年くらいの時を経て、現象学という学問において再利用されます。 したがって再利用される前の
古代ギリシャにおけるエポケーと現象学におけるエポケー 同じ名前ですけど、2種類のエポケーがあるということになります。
今回は現象学そのものについてと現象学におけるエポケーについてしゃべってみたいと思います。
エトムント・フッサールという1859年生まれのドイツ人の哲学者がいて、この人が現象学という学問を確立しました。
現象学ってめちゃくちゃ難しいことで有名な学問で、いきなり難しい哲学の話になるから
可能な限り簡単に話します。 まず、現象学の現象ってなんだって話ですけど
これは人間の意識のことです。 例えば目の前に何でもいいんですけど机があったとして
目で机を見ると脳内で認識されて机の像が結ばれますよね。 この脳内で結ばれた像
つまり意識上に浮かび上がるという現象について扱う学問ということです。 人間の意識という
かなり壮大なものを扱う広範な学問ですが、 これが大流行して派遣を握るんですよ。
なぜそんな風に現象学が大流行したのでしょうか? 僕たちが哲学って言って思い浮かべるのは西洋哲学ですから
西洋、ヨーロッパの歴史を俯瞰しないとイメージがしづらいと思います。 そのヨーロッパの哲学の歴史っていうのは
まず古代ギリシャの哲学者たちは 宇宙の基本的な構造とか自然法則
あるいは道徳的な問題などに興味を持って研究していました。 中世哲学では宗教や神学的な問題が中心であって
神の存在や人間の魂などが議論されました。 ルネサンス期には
人間中心の視点っていうのが強調されて 人間の能力や知識、美術、政治などが研究されました。
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そこから科学が一気に伸びて 科学変調の時代が来た。
科学っていうのは客観的観察の結果ですから つまり客観だけが重視される時代が来たわけですね。
そうすると必然的に主観の問題というのが残ります。 科学がわーって脚光を浴びて客観ばかりが注目を浴びていたけど
主観の問題にも焦点を当てなきゃねって言ったのが哲学であり 現象学という形で浮上してきたというふうに言えるかと思います。
はい、それで 現象学におけるエポケの話なんですけど
現象学では全ては意識現象であるというふうに捉えます。 例えば目の前にサンドイッチがあったとして
自然的態度って言うんだけど普通に考えると サンドイッチがあるという客観的な事実があるから意識上にサンドイッチが現れていると考えますよね。
でも現象学では主観と客観が逆転します。
意識上に現象している主観的なサンドイッチっていうのがあっても これが本当にそういう形
味、匂いがするかって証明しようがないんですよ。 普通に考えるとそんなもん証明するまでもないだろうって思うかもしれないんだけど
これは厳密には理論上証明ができません。 だからこそエポケが必要で
目の前のサンドイッチが実はないとか全然違う形をしているとか そんなことはないだろう
そんなことを言い出したらキリがないし、へ理屈じゃないかって 普通はそのように思うんですけど
でもそれって価値判断しちゃってるよねっていう指摘をしています。 つまりこの現象学の話をしているとき
今は厳密な理論上の話をしているわけだから そういういやそんなへ理屈じゃんとかそういう価値判断は中止して
そこはエポケーして判断を中止して 一旦その辺は保留して論を推し進めようねっていうのが現象学におけるエポケーです
要するにこういうことです。 これは大事な話だから
ツッコミを入れずに最後まで聞いてみて 全く新しい理論だから受け入れるには抵抗があるかもしれないけど
それでも価値判断を保留して一旦聞いてみて エポケーっていうのは
こういう態度 こういう知的に緊急な態度のことですね
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それで このような知的に緊急な態度というのは意図的にやろうと思わなければできないです
何か受け入れるに抵抗がある理論を聞いた時っていうのは 心の中で無意識に
この理論 なんか嫌だなーっていうふうに思っちゃうんだけど
でも自分に まあでもエポケーして聞いてみるかっていうふうに自分に言い聞かせないと
この無意識的な抵抗っていうのを打ち破ることはかなり難しい
こういうことを現象学は示唆しています
というわけで 2つのエポケーについて紹介しました
哲学の概念っていうのは奥が深いですから
たかだかエポケーという概念一つを紹介するのに 結構長くなっちゃったと言えば長くなっちゃいましたけど
でも前に紹介したことがあるグラデーションとかスペクトラムとかの概念に並んで
すごい便利な概念だと思うからおすすめです
今回はここまでです 次回もよろしくお願いします
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