1. ストーリーとしての思想哲学【思想染色】
  2. #59 進化心理学/行動遺伝学6..
2024-03-03 06:53

#59 進化心理学/行動遺伝学6 思想とは中立的に付き合おう

進化心理学と行動遺伝学という身も蓋もない系の学問があるので紹介します。

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ストーリーとしての思想哲学
【思想染色】がお送りします
前回の続きです
遺伝決定論の前提として
人間の人生は仕事の占める割合が大きい
そして良い仕事は能力の高い人々に占有されており
生まれ育ちが良くなければ、もはや割の合わない仕事しか回ってこないんだっていう
こういう観念がありそうだよねっていう話をしました
では、割に合わないとは何でしょうか?
割に合わないとは、要はやりたくもない仕事をやらされて
しかも大した給料をもらえないという状態のことを指すかと思います
これをさらにブレイクダウンして考えてみると
やりたくもない仕事をやらされているということは
自分の適性と業務のタスクがフィットしていない状態とも言えます
人によって適性って違うから
1日中エクセルで数字を見ていても苦にならない人もいれば
数字は苦手だけど論文を読み続けていても苦にならないという人もいます
あるいは精密な工芸品をクラフトするのが苦にならない人もいれば
知らない人と積極的にコミュニケーションするのを苦にしない人もいますし
デザインする時の写真のレタッチをするのが全然苦にならない人というのもいます
遺伝的には集中力も遺伝するということでしたが
じゃあ集中力って何って話です
集中力とは気づいたらずっとやっていた
つまり苦にならないという状態です
でもエクセルで数字をずっと見ているのが苦にならない人も
写真のレタッチをずっとやっているのは苦痛かもしれません
それは各タスクによって脳みその使う場所が少しずつ違うからです
このね、なんか気づいたらすごい時間経ってたっていうのがこれが適性です
この超ミクロレベルの自分の適性を見つけられたら
あとは自分の適性にフィットするタスクを仕事にすれば少なくとも
やりたくもない仕事をやらされている状態、すごく嫌な状態からは逃れられることになります
もう一度別の表現で言い直しますね
そもそも集中力と呼ばれている概念を疑うんです
集中力という言葉はビッグワードですから、言葉にとらわれないでください
ある時には集中力があるけど、ある時には集中力が全然ないというのが普通です
で、自分はどんなタスクをしている時に気づいたら結構時間が経っているのか
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要は、自覚しないまま、自覚しないままに集中状態に入っているか
で、これを自覚するって結構むずいと思うんですけど
集中状態って自覚せぬまま入るものですから
これって好き嫌いとは関係ないんですよ
好きだから集中するんじゃなくて
別に好きでもないけど気づいたら集中してしまっているっていうのが適性というものです
これ見つけるの超難しいと思うんですけど
別に好きでもなんでもないけど
なんとなく気づいたら自覚しないままに集中状態に入ってしまっているものは何なのか
この超ミクロレベルの自分の適性を見つける
能力主義に立ち向かうにはこの観点が大事なんじゃないのかなぁと
一応の僕の陣定勢を出してみました
多分これからいろんな人がもっとたくさんの陣定勢を出していって
で、社会全体で能力主義とか遺伝決定論に立ち向かうって
こういう流れがこれから来るんだろうなという
そういうふうに考えています
まとめますと
遺伝というものは全体の傾向を示すマクロの目
上空からのいわゆる鳥の目としてはとても有用なわけだけど
ミクロとマクロは徹底的に分けて考えないと
決定論的な思想に汚染されて
絶望的な世界観になってしまいます
それは行動遺伝学が悪いわけじゃなく
行動遺伝学のデータを恣意的に切り取った
フェイクニュースなどが面白おかしくばらまかれて
この間違った思想に汚染される若者を減らしたいって
こういう立場から僕は喋りましたから
その点バイアスがかかっていたかと思います
でもやっぱり進化心理学や行動遺伝学の一部のデータを抜き取ってきて
いかにもそれらしいストーリーを作るっていうのは良くないですからね
いわゆるニヒリズム、虚無主義に陥ったところで
それを焚きつけた人は責任取ってくれませんから
最後に哲学者のマルクス・ガブリエルが
進化心理学批判をしているのでそれを紹介します
ガブリエルはこう言っています
人間が生きていることの意味への問いを立てるという課題が哲学にはあります
その際哲学は
私たちが無意味な物質宇宙に存在しているなどとあらかじめ前提してはなりません
そのように前提すると
私たちは単に知性を持った肉人形に過ぎないか
せいぜい宗教的幻想か
刑事上学的幻想を抱いた殺人猿に過ぎないということになってしまいます
丸ごと引用しましたがこう言っています
僕は進化心理学も行動遺伝学も素晴らしい学問だと思いますけど
あまりにも遺伝というものを重視しすぎれば
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人間は単なる遺伝子にプログラムされただけの肉でできた人形ということになってしまいます
それはそれで否定しませんけど
その世界観で生きるのって辛くないっていう観点も持っておくのが
まあ公正とか中立ってもんじゃないのかなぁと思います
というわけで進化心理学と行動遺伝学の話はここまでです
また次回もよろしくお願いします
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