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ストーリーとしての思想哲学
【思想染色】がお送りします。
今回はですね
人はきっと何者かになれるみたいな一般論ってあるじゃないですか
この何者かになるとは何なのかというのを切り口として
哲学の進歩史観
それから実存主義という概念を紹介します
何者かになれるっていうのは
自分は今は没個性的なその他大勢かもしれないけど
いずれその他大勢ではない
オンリーワンな人間になれるんだという信念ですよね
なんとなく我々にはこういう感覚ってあるよね
youtube の広告でも
好きなことで生きていくっていうキャッチコピーもありますが
こういう現代的な信念っていうのは
どこから湧き出てきたのでしょうか
まず根本的なところ
根底には進歩史観という歴史観があります
歴史観とは歴史をどう捉えるかっていう観念で
進歩史観はヘーゲルっていう哲学者
ゲアルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルっていう
1770年生まれの哲学者が主な論者です
進歩史観とは何かっていうと
人類の歴史が一貫して進歩向上していくという信念
つまり人類が文明や知識を向上させて
道徳的に進化していくというこういう信念のことです
これって実は新しい観念で
人類の歴史を長いスパンで俯瞰してみると
未来はきっと今よりも悪くなるだろうっていう歴史観の方が普通なんですよ
でもこの時期フランス革命だったり産業革命だったりを経て
未来はきっと今よりも良くなる
良くすることができるんだっていう感覚が現れてきました
また別の言い方をすれば
いずれは地球は天国とかユートピアみたいなところになるはずで
ユートピアみたいな状態を目指して
一方向的に世界が進化していっているんだっていう
こういう直線的な歴史観です
これは古い歴史観ですけど
未だに僕たちが生きている社会の常識だとか
世界観の根底にこういう感覚ってありますよね
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シンポシカンやこのヘーゲルっていう人の哲学が下地にあって
後に出てきたのが実存主義です
実存主義っていうのは真実の自分の在り方とか
生き方を追求していくべきだっていう思想です
というのも第二次世界大戦とか
資本主義社会における大量生産みたいなのは
個人の確立化を推し進めました
社会が人間はこう生きるべきなんだと規定して
戦時中だったら
人間は国を守るために戦うべきだと役割、ロールを規定したし
平時でも人間は親の職業を継いで
生まれた地域で職業を全うするべきだっていうロールモデルが普通でした
そのカウンターとして
戦争とかそういう大きなものに
個人が押しつぶされるのは間違ってる
小さな個人であっても
自分の人生は自分で自由に決めて良いのだと考えたわけです
つまり実存主義は
社会が規定する
人間はこう生きるべきだというロールモデルを解体して
どう生きるべきかは自由に自分で決めろと言ったわけ
ただしここで言う自由っていうのは
主体的に人生を掴み取れっていう意味であって
別に優しい思想というわけではありません
むしろ100%主体的に
物事を自分で決めろって言ってるわけだから
どちらかというとストイックで厳しい考え方でもあります
この
人は主体的になるべきだ
自由をフル活用して
人生を掴み取るべきだっていう世界観も
やっぱり僕たちの生きる社会の常識だとか
世界観の根底に存在しています
これらの思想が
僕たちの社会に
ほとんど隅から隅まで浸透しきった状態が
今であるかと思います
小学校とかでも言われるレベルですからね
学生の皆さんには無限の可能性があるとか
頑張って勉強すれば何にでもなれるんだとか
そういう風な教育が
当然のように行われる背景には
このような思想があるという話をしています
はい
我々の常識というものは
このようにして構築されてきたと言えるわけですが
実音主義だって
第二次世界大戦へのカウンターや反省から出てきた
戦後思想ですから
さすがにもう古くなってます
そもそも全ての人が
何者かになれるんだっていう信念を
素朴に信じられない人もかなりいるはずです
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というわけで
実音主義にはですね
その後に来るのが構造主義って言うんですけど
この構造主義は
僕たちの社会には
未だにまだ浸透してないなという感覚があります
でも理論上
実音主義的な素朴な信念の次に来るのは
構造主義であるはずなんですよ
今回はここまでです
次回 構造主義の話に続きます