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はい、アートテラー・とにスのそろそろ美術の話を。この番組は私、アートテラー・とにスが、アートに関わる方をゲストにお迎えして、トークを繰り広げるポッドキャスト番組です。
本日は銅版画家の山城有未iさんをゲストにトークをしていきたいと思います。
はい、ということで、ご出演いただきありがとうございます。
ありがとうございます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
山城有未さんとの出会い
山城さんとは関係がだいぶ深いといいますか。
はい、長いです。
長いですよ。何年?知り合って10年ぐらいは経ちますか?
10年経ちますね。
そうですね。
何か若手の作家が何人かいる?
三越、日本橋三越ですかね。
何か僕がトークするみたいな。
そうそう、アートテラー・とにスさんのトークショーっていうのを見ましたね。
なんだかわかんないのが出てきて。
その時ちょっと初めて。
いやいや、それはもちろんもちろん。
アートテラーっていう職業があるんだっていうところから。
その頃はしかもバイトやってたし。
コンビニで夜勤を週3でやってた頃で、
多分その時からの知り合いで。
ことあるごとに何か。
多分三越で出会ったんだけど、
山城さんが結構主戦場にしてる西山賀郎さん。
西山賀郎の山田社長と仲いいのもあるし、
それもあって、要所要所でお会いするというかね。
展覧会見たりしてる関係性だし。
あと、とににも言ってますけど、作品を2点購入持ってて。
買っていただいて。
僕の机のところに作品が1点。
いつも見てる状態。
誕生日に購入いただいたっていう、とにさんの。
自分の誕生日に買ったんだ。
自分へのお祝いで。
そういう関係性で。
だからいつかこの番組出てほしいなと思ってたんです。
ありがとうございます。
実はちょっと前に僕が主催しているオンラインサロンのゲストにも出ていただいて、
1時間の予定が、1時間半ぐらいずっと。
そうですね。
あれ、こんなに喋ってていいのかなって、ちょっと時計を見ながら。
そういう関係性なので、
今日は自しての出演ということでよろしくお願いいたします。
一応、肩書きというか、自己紹介をって言われたらどう答えるんですか?
一応版画館と言ってはいるんですけど、
油彩も描いてはいますね。
版画は版画でも同版。
同版画。
しかもこの番組では以前、
2023年の8月のアーティストライブトークの4回目に
池田敏子さんと木谷義明さんというお二人が特別演で登場していただいて、
この時にもいくつか同版画の技法を紹介していただいたんですが、
山城さんその中、エッチングとか、
エングレービングとかその辺が出てきたんですけど、
山城さんはジャンルとしては?
ネゾチントです。
これがちょっと笑っちゃいけないんだけど、
なかなか選ばない、すごい大変な技法を選ばれているっていうね、
そこですよね。
意外といないですよね。
周りに。
そうですね、少ない感じ。
ネゾチントっていうと、僕はよく行く美術館で、
三瀬浜口洋蔵っていうね、山城コレクションの浜口洋蔵さんで知っているから、
そこでこんなに大変な技法なんだって知って、
こんなことを現代でやる人いるのかなと思ったら、
その時にたまたまイベントで若手作家のうちの一人がネゾチントをやっているというか、
とんでもない人だなって思った印象がすごく強くて。
そうですね、最初の絵を描き始めるというか、
彫り始めるまでの段階に偉い時間を使うという技法なんですよね。
今回初めて聞く人ももちろんいらっしゃると思いますので、
改めてネゾチントってどういう風にやっていくのか、
手順を教えていただけたら嬉しいです。
ネゾチントの制作過程
ネゾチントは黒の技法とも言われていて、
まず真っ黒い面を作るところから始まるので、
真っ黒い面を作るのがベルソーとかロッカーとか言われる道具を使っていくんですけど、
これがなんて説明したらいいか難しいけど、
まず銅版画があるじゃないですか、銅版画の銅版。
ここに一般的には線を引くと、線を引いたところが黒になるわけですね。
溝が黒くなるっていうのが銅版画なんですけど、
ってことは一般的には白地に黒になるって考えたらいい。
普通のエッチングだったりエングレービングだったりは、
白い面、ツルツルの面に線を彫っていって、
そこにインクが詰まって、白地に黒のものができるって感じだけど、
ネゾチントは逆で、カッターで作ったりもするんですけど、
カッターで作る際は、例えば5×5の銅版があったら、
そこに隙間なく縦にビッシリカッターの線を引いていく。
それを縦横斜め斜めを全部で大体16方向ぐらい。
線をいっぱい開けていくとそこに詰まるっていう理屈だから、
そのたくさんの線で黒い画面埋め尽くすっていう発想ってことですよね。
もう手で触った時にザラッてなる感じの面をまず作って、
それで黒い面ができて、そのザラザラを削り取っていく。
霧みたいな道具で削り取っていって、白い部分、光の部分を彫っていくっていう。
もう一回戻すってことですね。白くしたいところは。
そうなんですよ。わざわざ黒くして。
めちゃくちゃ面倒くさいし、なんでそんなことをするんだろうっていう。
しかもこれあれですよね。この技法はもう廃れちゃったんですよね。
そうなんですよ。昔写真がなかった時代に、
印刷物に肖像画を載せるために使われていた技法があって、
もう写真ができてきて一度廃れて、
それを先ほどおっしゃってた浜口洋蔵さんとか長谷川清さんとかが、
アートとして復興させたっていう。
日本人がフランスに行って、そのフランスの廃れた技法を。
すごいじゃん。
すごいですよね。これ、理屈を今聞くとすごさが分かっていただけると思うんですけど。
平和人なんですよね。
特に日本ではあんまりそのすごさが伝わりづらいのが、
日本は木版画の国だから、木版は黒字にしろですもんね。
彫ったところが白くなるわけじゃないですか。
半個と一緒だしっていう。
だから黒字に何かあっても、木だったらできるってことですもんね。
そうですね。あんまり感動は薄いな。
でもさっきの5×5cmって言ってましたけど、そこに線を引いていく作業。
これだいたいどれくらいかかるんですか?
5×5だったら、ずっとやってると手が懸垂炎になるんで、
2、3日空けながらやりたいなって、いろいろ作業挟みつつ。
でも2、3日はただただひたすら版を作るための時間。
そこから始めていく。
そうですね。社教みたいな。
修行だと思って。
だから銅版画家っていろんなエッチングとかやる人がいるけど、
ネゾチントの特殊性
中でも特殊じゃないですか。
そうなんですよね。
描き始めるまでの負荷がすごい。
描かせてもらえない。
でもさすがに面倒くさいなよりも、やっぱり選んだ以上は、
意外とその作業も好きだったりするんですか?
やっぱりあれなんですよ。社教と一緒なんですよ。
みんななんであんなことやるんだろうって思わないですか?
社教自身も。
でもまだ書いてる文字も違うし、やりたいとは思わないけど、
メゾチンとの線を引けってベルソーとか伝わってやってるっていうのと、
社教だったらまだ社教の方がやりがいある感じがするけど、
一緒なんですか?
ずっと同じ般若心経を何枚も書いたりする人とか、
同じだなって思いながら。
じゃあ結構やってると無になる?
たぶんそうですね。無に。
これはやればやるほど線が増えていくわけじゃないですか?
やればやるほど黒い色は深くなっていくんですか?
そうなんですよ。私は16回やってるけど、
もっとやってる人は30何回やってるとか聞くんで、やばいです。
変な話、最初から線引いてるやつとか世界道とかで売ってないんですか?
あるんですよ。
あるんですけど、機械でやってるらしいんですよ。
結構メゾチントをやってる人でも黒が違うんですよ。
インクが違うからじゃなくて?
インクは違うのもあるけど、
掘った質感、掘った後の質感というか画面の質がみんな違ってて、
それはたぶんその人の目立ての癖なんですよね。
それを目立てって言うんですね。
そうです。さっきの黒くしていく手を目立てって言うんですよね。
一般的な人だったら黒字の部分はそんな見なくて、
モチーフは見て作画だなとか思うかもしれないけど、
やってる人がすると黒い字の部分で、
誰々さんだなとかだいたいわかるから。
話すとこういう人なんだ。
ちょっとすいません。深い話ですけど、なんとかならないんだけど。
色調が暗い色か明るい色かだけじゃなくて、
その段階だけじゃないですか。また質感が違うんですか?
質感違うんですよね。不思議。
ザラッとしてるなとかテカッとしてるなみたいなこと?
いや、絵が違うんですよ。不思議なんです。
山城さんご自身は自分ではどういう?
結局私は自分がスタンダードだと思っちゃってるから、
この人は自分とはこういうふうに違うんだなっていう目線でしか見れないですけど。
でも違うんだ。
違うんですね。雑だと思ってます。自分の場合。
でもアンミカが白が200色あんねんみたく言ってたけど、
メゾチントの黒はもう200色以上。
黒はやばい。
アンミカさんが見たら。
やばいって思う。すごい数あると思う。
それは例えば、違うわけじゃないですか。人によって。
山城さんがモチーフによって、ちょっとこれはこういう感じの黒字にしとこうかなとか、
これはもう少しこうしとこうかなっていう。自分でも変えたりはするんですか?
なんか字は一緒なんですけど、
ピンクはやっぱりこの絵はちょっと寒色系の黒がいいとか、
ちょっと昔を思い出しそうな感じのセピアがかった黒がいいとか、
一応黒も全部作ってます。
作ってるんですか?
普通に売ってる黒をそのまんま使ってるハンガーはないです。
調整してる?何か色混ぜたりとかしてる?
そう、だいたい3色ぐらい混ぜて黒を。
めんどくさいこと。さらに。
だから作品見比べてみると違うんだ、一個一個が。
そうなんです。
この字の作るだけでも大変なのが、これでちょっと皆さん伝わっていただけたと思うんですが、
じゃあここにモチーフ。ちょっとモチーフの話はこの後別に改めてするとして。
じゃあモチーフ書きました。
じゃあインクをどう詰めるってことですよね?
自分でご自身で作られたやつをどうしていけばいいですか?今度は。
掘って作って、そこにヘラ、ゴムベラで私は黒インクを詰めて、
寒冷車。多分これはもう全部の銅版が共通なんですけど、寒冷車っていうガサガサしたガーゼみたいな。
レースのカーテンみたいな感じの。今ちょうど見えてるんですけど、なんかああいう感じじゃないですか。あれとは違う。
もっと目が荒いんですよ。でも格子状ののが見えてるぐらい。
柔らかいんでしたっけ?ちょっと張りがある。腰があるみたいな。
ちょっと硬めで、ものすごく細かい網戸みたいな感じですね。
あれ普段何に使うやつなんですか?
僕も確かにメドチンと体験を山沢でやらせてもらった時に見ましたけど、
カシャカシャしてる。
そこでしか見ないもの?
そうですね。私もあそこでしか見たことがない。
じゃああれは画材屋さんで売ってるんだ?
画材屋さんか、もしかしたら布屋さんでも売ってるのかもしれない。
で、その管理者でゴシゴシしていくみたいな。
インクをあれは半分は詰めていて、余分なものは拭き取っていく。
だから多分目が荒いのは拭き取って中に入っていく。インクを引っ張らずに。
でもあまりにインクが残っちゃうと今度ベチャッとなっちゃうから、いい感じで減らしたいんだ。
で、これを拭き取っていって、そこにさらにもっと細かい、それこそさっき言ってたちょっとツルツルのカーテンみたいな。
それは人権っていう。
人権。どういう字を書くんですか?
絹ですか?
人の絹。
なんで人なんですかね?
人が作った絹。
人工の絹というか、開口じゃなくて。
なるほど。
それで拭き取っていくというか磨いていくというか。
画面を人権で使って。
管理者で拭き取れなかった荒い部分を人権でツルツルやっていくみたいな。
で、いよいよプレスキーに入れる。
そうですね。で、普通のエッチングだったりは、そこでプレスキーいけるんですけど、
メゾチンと黒と白の際に結構インクが溜まることがあって、
そのままでもいけるんですが、やっぱりちょっとぼやっとした印象に。
モチーフがぼやっと、輪郭線の部分というかぼやけちゃう。
気にしなければ気にならないんだろうけど、一応ちょっと緊張感を持たせるために、
毎回キワを爪楊枝で全部拭き取る。
細かい作業はそこにあるんだ、もう一回また。
そうなんですよね。だから一枚刷るのも、結構印刷的に考えている方もやっぱり刷りっているけど、
ちょっと大きめの絵でいろんなモチーフがあったら、それを結局全部白の際、爪楊枝でやってるんで、
一枚刷るのにも結構時間かかってるんですよね。
でもこういうことを知らないと、版画ジャンみたいに思われちゃいがちじゃないですか。
やっぱり一般的に、一点物は素晴らしく、版画は複製物で、
版画かってちょっと下に見られる感じだけど、やってることは。
普通に考えたらドローイング、もちろんドローイングも大変だと思いますけど、
ドローイングで線を引く、一本引くよりは結構なんですよね。
結構ですよ。
そうですよね。
結構ですよ。
うわー、それをやってるんだ。
そうなんです。
で、やっと次に行ける。
はい。で、またさらにちょっと、そのまますると、結局目が、
メゾチントって結構細かいので、それがハーネミューレっていう紙に、
ハーネミューレ。
ハーネミューレっていう用紙なんですけど、ちょっと厚みがあるから銅版画でよく使われている紙で、
それだと全部の表情を擦り取ってくれないんですね。
紙が厚い分。
何だろう、目が粗いというか。
だからその、何だっけ、がんぴ紙っていう。
よく日本画で使うやつですよね。
そうです。薄い和紙なんですけど、それを大和糊で銅版の方に貼り込んで、濡らして、
貼り込んで、糊、余分なのを取り、プレス機の上に置いて、さらにその上にハーネミューレを置いて、ローラーにゴロゴロって。
最初的に作品はそのハーネミューレに移るってことですか?
そうですね。
がんぴ紙はどこに行っちゃうんですか?
がんぴ紙が結局ハーネミューレに貼り込んで。
ああ、そうなんですか。
じゃあ僕の家にある作品も、うまくやっちゃったら、がんぴ紙だけテレビに撮れるんだ。
そうなんですか。
でもそれがわかんないくらいプレス機で圧かかっちゃってるから、わかんないんだ。
なんかちょっとこう、何だろう、画面がつるっとしているというか、ベルベット調というか。
それはがんぴ紙を一枚噛ませているから。
これは一般的なメトジンターの皆さん、それとも山城さん流編み出したやつ?
なんか細かくやっている人とかは結構使っている人がいるかな。
じゃあ浜口洋人とかってやってない?
いや、浜口洋人さんやってない気がする。
じゃあそうなんだ。
そうなんです。
めんどくさいことしてます。
そうです。
しかもこのまま教えてもらったのに、プレス機がだから結構な圧かかる。
そうなんですよ。
じゃないですか。
古いんだよね、すごく。
足でハンドルを回る。
もうすごい力作業なんですよね。
だからなんですけど、俺知らなかったけど、最初に本当は実は目立てする前にもう一個やる作業があるんですよね。
プレートマーク。
プレートマーク。
プレートマークっていう。
これだから同半の四つの面という四辺を斜めに切り落としていくという。
削っていくっていう。
そうですね。
何だっけ。
ヤスリ的なもの?
ヤスリ、そうです。金ヤスリで。
ヤスリ出なかったんですか?
そうです。
ハーネミュレ出たんですか?
そんなに使わない。
ヤスリでなんでそういうことをするかっていうと、本当に細かいけど横から見たときに多分最初の段階だと何もしないと四角だから段差ができている状態なわけですよね。
0.8ミリの刃を使っているんですけど。
そうするとそこにブレスがかかるとその段差に引っかかって紙が破ける可能性がある。
結構破けます。
だからここに斜め線を入れると。
斜めの坂道を作ってあげる。
ローラーがその上に行ってそして坂道を下って向こうに行くようにすれば厚に負けないというか。
そのためのそれも自分で。
それも全部自分で。
おそらく作家の方みんなやってる。
だからそれも版画の番買うときにはなってないんですか?
みんなそうしたいだろうに。
ですよね。
じゃあその版を作る会社作ったら売れるかも。
版画がごよたしなんのか。
ありそうですけどね。
でも山城さんは作るのも結構楽しい。
私はその工程が多分一番好き。
一番好きなの?
一番好きですね。
一番最初にやる作業ってことですか?
私は目立てしてから最後に。
じゃあそれが目立て終わったっていう喜びも加算されてる。
そうなんですよ。
やっとこの作業に入る。
なるほどなるほど。
で、ようやくだから完成する。
そうなんです。
で、1個の版からだいたいどれくらいエディションというか。
だいたい今20。
それ以上擦ってくるとすぐ擦り師の方とかが擦ればきっとそれ以上擦れると思うんですけど。
なんとなくやっぱりちょっと黒がもやっとしてきたり。
もうやっぱ圧でやっぱりダメになってきちゃうものがある。
そうですね。圧とやっぱり管理者の摩擦。
このあたりでやっぱり銅そんなに強くないので。
で、かなりメゾチントって細かいから溝も浅い。
グラデーションを作れるような技法なんで。
やっぱりちょっとそういうグラデーションが少し汚れてくるので。
同じ作品としては出せるのが20までかなっていう。
その後その版はどうしてるんですか?
一応あるんですよね。
なにそのなんかフワフワフワって。
どうしたらいいかなと思いながら。
普通どうしてるんですか?一般的な。
もうそれ以上擦れないように。それこそ×って傷をつけちゃう作家とか。
もう銃なら銃しか作らなかったよって証明のためにもあって。
とかもう穴開けちゃう人とか。
じゃあもう同じ作れないように。
それはしない?やっぱり心が痛む?
なんか同版の方が結構綺麗なんですよね。
たまにこっちの方がいいねみたいなこと言われることたまにあるんですけど。
それ思わせてるの?
なんかわかるなみたいな。
ちょっとやっちゃえずにいるところはあるんですよ。
じゃあ未だにずっと制作してきたもの残してある?
ずっと残ってます。
なんかインク詰めて固めて展示とかしようかな。
でもそれ見てみたいです。
でもちょっと話戻すと20個作るじゃないですか。20番作る。
なんかその変な素人考えだと1番の方が近い方が価値が高いと思ってしまう気がするんですよ。
番号が若ければ若い方。
でもエディション1を集めてるっていう人はいますね。たまに。
これはでも関係ないですかあんまり。
そんなに。
そうですねなんか個人的におすすめなのは3以降から10ぐらいまでの3が安定してきた。
ちょっと今一瞬いいですか自分ごとで。
うちの2なんですよ。
両方。
1でもないし安定もしてない。
なんかそんなのもらったの?
安定するよーみたいな時は。
なんか若ければ若い方がいいかと思いきや意外とそうなんだ。
なんかやっぱりインクが最初詰まり始めは。
確かにやっぱり安定してきた方がこなれてきた方がね。
絵としては安定はするけどフレッシュさは前半が。
M1もそうですよねトップバッターはなかなか優勝できないみたいなこと言いますね。
慣れてきたあたりがちょうどヒーズから。
温まってくる感じなんでしょうね。
でもこれ聞いたことによって皆さんもご選び。
それでも指定できるんですか買うとき。
でもあんまり指定はされたことないですね。
そっかそっか。
展示しているやつはそのまま。
たまにエディションすごいいっぱい作ってみたいな。
そういう版画の企画だったりとかあるときは受けたかなーぐらいですね。
でもよく何か例えば水谷浜口さんもそうですけど
自分で撮っておくやつもあるじゃないですか。
作家用のAP。
あれ何の役なんでしたっけ?
アーティストプリント。
あれは一発目なんですか?一枚目?
やっぱりその安定してきたいい感じのやつを自分用に撮っておく。
結構最後の方かもしれないですね。
山城さんもだからAPを持ってて。
うーん。
なんでぼやかしてる?
持ってないやつもあるかもしれない。
あんまりいらないんですか?だから版がいいから。版の方で。
いや、でも最後のやつ撮ってるかな。
APって入れずに売り切らずに最後の撮っておこうかなとしてるかもしれない。
でもこれはちょっと版画家の特権というか、油彩だとなくなっちゃうじゃないですか。
だから作家がどんだけ自分で気にしたら売らないっていう選択肢がないけど。
版画家はそれはちょっといいですね。
それはできる。
油彩を描き始めたのがここ3、4年ですけど。
あ、いなくなるんだっていうことに。
気づいて。
最初びっくりしました。
そっかみたいな。
当たり前のことのようだけど、版画歴が長いから。
そうなんですよ。多分10年近く版画ばっかりやってて。
あ、そうか。え?って言ったらもう壁めっちゃ埋まってたのに。
作品。
出て行ってくれないと困るんですよね、次がね。
そうね。これ聞いて山城さんのためにじゃあもう絵買うのやめとこうなって言われちゃうね。
めっちゃ困ります。
めっちゃ困る。
いや、確かに。
じゃあちょっとここからはいよいよ。
これで皆さんメソシンとの技法が大体わかったところで、山城さんの作風というかモチーフはどういうものを。
山城有未さんの作品のテーマ
モチーフは結構日常で目についたものとかを描くんですけど、
大体モチーフというよりも描きたい感情みたいなのが先にあって、
それをモチーフをいろんなところから集めてきてモチーフを組み合わせることで、
私の中でこういうそういう感情を形にするというか、そういう感じでやってるんですけど。
女の子よく出てきますよね。
確かに。
動物とか。
猫とか。
猫がすごい出てくるんですけど、そんな好きじゃないんですよ。
別に猫が好きだから猫描いてるわけじゃなくて、
表したい感情の代弁者というかモチーフとして猫を選択してるっていう。
なんか猫ってちょっと人っぽいというか、怪しい生き物感のイメージがあって、
猫のモチーフと意図
私が描く猫全然かわいくないんですよね。
確かにとか言っちゃいけない。
別にかわいいと思って描いてるわけじゃないからですもんね。
愛婚的な感じ。
そうですね。怪しい何か。何を考えているのかわからない生き物みたいな。
少女は自身の動揺だったりするんですか?
なんかやっぱりちょっと済んじゃってるんだろうなぁ感は。
心の中に?
多分済んでるかなぁみたいなのがちょっとありますね。
だから例えばそのモチーフを描き溜めとくんですか?
やっぱりだから画家と違って描きながらやっていくなんて到底この技巧じゃできないわけじゃないですか。
そうですね。
だからもう要するに制作し始める時には、だからもう彫り始めてる時にはもう頭になきゃいけないですもんね。
そうですね。
すっごい簡単な感じの絵を、絵というか絵好きする。
本当にもうなんだろう。本当にもうなんかこんなぐらいの。
今ちょうど台本に描き始めましたけど。
なんか本当にこんぐらいのやつを描いて。
アーティストの方がこんぐらいのって言いながらやったら、そうは言ってもこんぐらいじゃないだろうと思いきやこんぐらいの絵が。
俺でも描けそうなやつが。
制作プロセスと銅版画の描き方
本当にこんぐらいの。
本当にこんぐらいのものを描くんで最初。
こんなイメージっていうのが頭にできて、このぐらいのを描いて、次その銅板に直接もう鉛筆で描いて。
面がザラザラだから。
描けるんだ。
そうですね。描けるからこれが大体こういう感じに。
はいはい。これは後ほど番組ホームページ上げさせていただきますけど。
じゃあ今台本に描いたスケッチは今本当にこんな感じですけど。
本当にこんぐらいの。
こんなのってですけど、その銅板に描く時にはもう本番に近いぐらいのものは描くんだ、そこに。
そこにもう急に直接こうなります。
今これ紹介してもらっている絵は真ん中に少女がいて、その上を月が三日月から半月になり満月になり、また三日月に戻るのが上をこう描いているような感じですけど。
これはどういうイメージなんですか?
なんかなんだろう、一個の世界にいろんな時間が存在しているような、なんか追想っていうタイトルを一応つけたんですけど。
こういうのはその制作、例えば個展があるから制作しなきゃなのか、それとも普段から考えてて、これ制作いけるかも?どういうタイプ?
どっちもなんですけど、やっぱり普段考えてることを落とし込むというか。
なんかやっぱりモノクロの世界というか、特に黒の世界だから、一見ネガティブなようなイメージがあるかと思いきや、
たぶんその作品もしかしたら山下さんがやるかもしれないですけど、僕がお迎えした作品はミルクティー。ミルクティーのカップのところにちっちゃな牛が入ってる。
もしくは牛がでかくてカップがでかいのかわからないですけど、そのまま直でミルクが入るとか。
あと前に見た作品だとコロナ禍でソーシャルディスタンスでブレーメンの音楽隊が、普通は4つの動物が縦に重なるのがソーシャルディスタンスしてるとか。
微妙に離されてて、全員ちょっとしょんぼりしてる。顔も動物も。
なんかちょっとユニークというかユーモアがあるなって印象があるんですけど、それは結構意図的にちょっとユーモ、面白い方がいいなって思って作ったりするんですか?
いや、本当にパッと思いついたやつをそのままやってるんですけど、内容は画面が黒いだけで、そんな暗くないんですよね。
実際は。
暗い絵って思われがちなんですけど、意外と明るい絵描いてる。
本人的には。
見えないんですけどね。
ダークな印象とか。
今喋っていただいて、たぶん皆さんイメージがわかってきたと思うけど、喋らないと山城さん暗い人なのかなと思う。
本当に。でも逆に喋らずに会場にいたら、すごい作品の雰囲気そのままだねみたいなこと言われるんですよ。
でも喋っちゃうと、ねーみたいな。喋らないとねー、あれなのにねーみたいなこと言われるから、そういうことなんだろうな。
でも俺も最初は作品だけまず見てて、たぶんその10年前の仕事の時に。
で、たぶんアーティスト写真とかも。アーティスト写真も結構アーティスティックな感じじゃないですか。
俺フジ稽古みたいな人が来るのかなと思ってて、振っても答えてくれないのかなと思ったら、やっぱり意外とめっちゃ喋れそう。
作風もやっぱそっちなんですね。
そうだよね。中身出ちゃってるんですね。
じゃあ結構基本的には明るい気持ちのものを描いてるんですか。
そう、なんかもう比較的、やっぱり暗い気持ちを込めた絵って暗くなるじゃないですか。
まあいいんですけど全然、そういうのが好きな人も全然いるし。
でもなんかこう、割と作品を通してコミュニケーションを取りたいと私は思っている方なので、
やっぱりこうなるべくニュートラルな気持ちで喋りかける、語りかけるじゃないけど、
そういうのが作品から出ているといいなと思いながら作ってます。
でも僕は本当に山下さん作品のファンというか好きだからあれですけど、そういう気持ちでやってたら、
本当にすごい率直な意見で言うと、じゃあ色を使えば良くないと思うけど、
そこはあえてその色を使わずに黒で行くっていうのがあるんですか、こだわりみたいな。
なんか元が、最初大学に入った時に油彩家で入ったんですけど、油彩ってやれることがありすぎて。
逆にね。
もう何をやったらいいのか。
選択することが多すぎて。
もうどんな色でも使えるし、何でもかけちゃうし、幅が広すぎて、
自分が何を伝えたいのか何をやりたいのかっていうのがわからなくなってきてたところに、
ちょうど同班を授業でやって、すごいシンプルだなと。
逆にそぎ落としていくことで伝えたいものが絞られるというか、
人間何でもやっていいよって言われたら、何やればいいかわからない人結構多いじゃないですか。
確かに。だから俳句の論理ですよね。
5・7・5って言われれば何か考えやすいけど、自由律俳句師みたいなのをみんなやれって言われても、
どこから手つけていいやみたいになっちゃう。
作品のイメージとユーモア
やっぱりある程度の制限の中で見えやすくなってくるものっていうのが黒の世界、
シンプルだからこそ深いというか、入り込めるものがあるなっていうのは。
なるほどね。でもそれは確かに受け取る側もそうかもしれないですね。
黒一色の世界だからこそ他のものがカラフルだと色のイメージとかも足されちゃったりするけど。
でも私も割とそうなんですけど、見る側の人も勝手に色が見えてくれるらしいんですよ。
モノクロだけど、夢とかでもモノクロで見る人とカラーで見る人っているらしい。
でも実はモノクロなのにカラーに見えているとか、実はカラーなのにモノクロに見えているとか、
もしかしたらあるのかもしれないなと思っていて、それと一緒で見てくれる人の受け方って、
結構モノクロってかなり幅が広がるんじゃないかなって。
確かに。なんかそう言われて、メドチントで何度も話している浜口洋蔵さんも好きで、
浜口さんはまたちょっとさらにすごい人だから、カラーメドチントっていうその4倍ね。
その半を赤青黄色の黒で4回やってるから異常者だと思うんだけど。
好きなんだけど、確かに浜口洋蔵さんの作品は4色使ってカラーメドチントなんだけど、
よりモノクロな感じがする。で、山城さんは一般で半としては黒だけなんだけど、
家に飾ってあって毎日見てるかもしれないけど、山城さんの方がカラフルに感じるわ、確かに。
なんか不思議なんですよね。
本当だ。
黒の世界の可能性というか。
でもカラーはカラーで、やっぱり色で伝わる魅力みたいなのもあるんで、
それも好きだから油彩もやっては見てるんですけど。
ここ最近ね、油彩にもチャレンジしててっていう。
やっぱりね、その黒の世界っていうのも面白いものがあるなと。
そうね、そう言われて、近々山城さんが展覧会があるということで、
ちょっとその告知もここから行こうかなと思うんですが、いつあるんですか?
3月29日金曜日から4月6日の土曜日まで大阪の淀屋橋にある音がろう。
オツと書いて音がろう。
そうなんです。
で、古典が。大阪ではこれまでもここはやったことはある?
結構何回もやってて、それこそ大学ぐらいの時に声をかけられたんで、10年近い。
で、毎年のように何年かに?
そうですね、数年に1回ぐらいで。
当然新作展みたいな形。
そうですね、新作展の時もあるし、今回、去年制作した分とかも合わせてっていう感じで、
同班メインの油彩数展を持っていこうかなと。
せっかくなので、どの作品もお勧めだと思いますけど、この作品特に見てほしいっていうのはちょっといくつか。
さっきお見せした月のギャップ、あれ一応新作で、あれ見てほしいなっていうのと、
あと、積木の中に、積木のお城の中にウサギがいる絵もちょっと気に入ってて。
これこの前、僕画像でも見させて、たぶん実物も積木のもの見たと思うんですけど、
これあげていいですか?
大丈夫です。
ぜひ皆さん確認していただきたいんですけど、木目がもう異常。
ようこれを本当に同班画です。木版画じゃないのに、木目がすごいですよね、ちょっとあれは。
木目好きですね。
黒い世界の可能性と制作の変化
床の木目も一個一個ちゃんとですもんね。
そこはちょっとぜひ皆さん同班。普通に考えたらそこ彫ってるだろうと思うけど、逆ってことですもんね。
周りを彫ってそこを白く残してみたいなのって考えてみると大変ってことですよね。
周りが黒で、白いところを彫っていってる。
木目じゃないところを白くしていくってことですもんね。木目が黒だから。
そうですね。
まじで見たら気が遠くなる。それをやってる別に木目を見せたいわけじゃなくて、メインはモチーフというかね。
そうですね。狭くなったお城にいつまでもいるウサギ。出ていく勇気がなかなか出ないっていうウサギを描いている絵です。
これはどこから発想したんですか?
これはタロットから。
そうなんですか。
タワーのカードの意味合いみたいなところから持ってきて、
それが壊れることによって次の物事が始まっていくみたいな。
壊れることは必ずしも悪いことではないみたいな。
そのウサギのお城のタイトルも、「崩壊は始まりの合図」
積み木の絵なんですけど、そういう重たいタイトル。
見た目かわいいけど色々と込められてるやつ。
でもそれはやっぱり、制作に時間がかかるから、ノリでは作れないじゃないですか。
たぶん結構考えて考えてやらないと、もったいないですもんね。
そうですね。
制作時間もかけられる。
半作るのに時間かかっちゃいますからね。
でも例えばやっている最中に、もう少しこうした方がいいなとか。
例えば絵画だったらできるじゃないですか。
同版画の場合はもうできないんですか?
すごい前半であれば、目立てし直すっていう方法があります。
すごい前半であれば。
たまにはあるんですか?
たまにあります。
でももうそういうわけにも、基本はしたくないから結構始める前の段階で、
例えば女の子を描くって言ったら、じゃあ女の子はどんな服着てるのかとか、
どんな髪型してるかとかも、だからもうすごい考えなきゃいけない。
そうですね。
最初に。
最初に一応もう半に直接下絵を描いて追っていく。
ただ、部分的に目立てをし直すっていうのも頑張ればできるんで、
たまにどうしても顔が気に食わない。
どうしても可愛くないってなった時に、
頭から上だけ全部目立てして、首ない。
製作中の姿はだいぶ狂気的だけどね。
まあしょうがないよね。
そこを上からやり直すっていうのはたまに。
でもやっぱりちょっと範囲が弱くなっちゃって。
やりすぎない方がいい。
なるべくやりたくない。
それこそ少女の作品がいくつか見させてもらってるけど、
基本無表情というかあまり笑顔とか怒り顔とか感情がないような印象を受けるんですけど、
それは結構意図的に?
なんですかね。
本人的には笑わせてる、笑顔にしてるとかはあったりはするんですか?
嬉しそうとかはあります。
まあ無表情っぽいですけどね。
あんまりだからもうわかりやすく笑顔とかにさせない?
ならないですね。
一度にっこりさせた絵を描いたことあるんですけど、怖かったですよね。
逆に?
怖いなってなりました。
そうか。
やっぱり黒い画面の中でにこって笑ってると、ちょっと恐怖な。
ホラーっぽくなっちゃう。
嫌いじゃないんですけどね。
その辺はちょっと抑えめにしてるんで。
そのうちに出したいと思ってにこっとしてる。
あともう一個思うのが、それこそ作風がいろいろとあるというか、
例えば画家とか、版画家もそうだと思うけど、お気に入りの題材とかあったら何度も擦るじゃないけどね。
あんまりそういうタイプじゃないですよね、山城さん。
そうですね。私自身も飽きるというか、同じこと考えてても仕方ないなというか。
でも飽きるんでしょうね。
やっぱり自分の中でもここ10年間やってきて変わってきたなって思うところはありますか?
やっぱりもう1年前の自分は別人だと思ってるんで。
でも1年前と全然違うって。
ごめんなさい、ずっと追ってきて見てるけど、そんなに僕はそこまで大きく変わってる?
本当ですか?
喋ってても本人いつもの通りだしというか、いつもノリだし。
でも自分の中でこういうとこ変わったなって思うところって、例えば去年の自分とかも違うな?
でもやっぱり考え方の中心みたいなところが移動してきているというか、なんだろうな。
でも以前よりもちょっと自分を信じて描けるようになってきたかなという感じはあります。
それは具体的にどういうことですか?
こういうことは自分だったらできるから難しいことにチャレンジしようみたいなイメージではなくて。
結構今もそうなんですけど、絵を描く際にすごい迷うんですよ。
絵を描く人って割と簡単に描けるみたいなイメージがあるらしいんですけど、
もう吐きそうってぐらい、割と描くまでに迷って、毎回描くの怖いし、本当にできるんだろうかっていうので、
描いている時間よりも描くのを迷っている時間の方が長いんじゃないかなっていうぐらいなんですけど、
割とそこがスッといけるようになってきたというか、
去年わからなかったことが少しずつわかってきたじゃないけど、すごい抽象的ですよね。
自分は描けないから、絵を描ける人はもうパンパン描けるのかなと思って。
全然、全然描けないですね。
制作過程の悩みと選択
それはうまく描けるかなっていう悩みなのか、
それともアウトプットしたものがやっぱり内面のものだから、人にちょっと見られると恥ずかしいじゃないけど。
そうですね。こんな絵を描いてていいのかなとかもあるし、
もちろん技法的にも、こんなんじゃダメだよなっていうのは結構毎回なるし。
でもその悩んで選択する時に、特にこの技法が面倒だって話を今日ずっとやってきたからあれだけど、
こっちの方が楽だな、こっちにしちゃった方が、例えば一個モチーフない方が楽だし、
楽だなと思って選択することはあるんですか?さすがにないんですか?
いやーでもどうだろうな、背景が黒のままの方が楽ちゃ楽なんですよ。
ただ、ここグラデーション欲しいなとか、思いついちゃってからだったら、
もしこれこっちの選択してなくて、後々すごい後悔したら嫌だなって思うので、一応やります。
もうめんどくさいなって分かっててもやるんだ。
はい。
ちなみに今更ですいません、版を作るのに数日かかるって話だったじゃないですか。
はい。
そのモチを描き始めてからどれくらいかけてるんですか?
描き始めてからの方が短いかもしれない。
そうか、悩む時間の方が長いから、いざ始めちゃったらもうぽっとというか。
あとはもう本当に、版が常に光で反射している状態で彫っているので、
わからないんですよ、だいたいどんな感じに彫れているのか。
そっかそっか。
手のこのぐらいザラザラするから、このぐらいの色かなみたいな。
それはもう長年培ってきてやってきたことが。
本当にあとは試し釣りの繰り返しでやっと形になるというか。
でもそれこそやりすぎちゃったらもう戻せないんですよ。
そうなんですよ。
だからここぐらいかなっていうのに、だからブレーキをちょっとずつ近づけていくような制作方法なんだ。
そうなんですよ。最初1枚目釣った時、1回ものすごいがっかりするんですよ。
メゾチントの魅力と次回展覧会情報
この作品ダメかもしれないってなって。
そこから調整して2、3枚目ぐらいで、いいんじゃないかみたいな感じになってくる。
そんだけでも悩みながら、調整しながらできてるんだ。
改めてなんですけど、本当にこの面倒な制作でも、また次やりたいわけじゃないですか。
何がそうさせるんですか、この技法。
やっぱり擦り上がった時に、それまでコツコツやったことが全部その画面に出る瞬間みたいな。
それはやっぱり気持ちいいってなる。
メドチントって、アクアチントだったりエッチングだったりでちょっと出る偶然性みたいなのとかってゼロで、やったことしか出ない。
なるほど。
努力したねみたいな感じのが画面にガッて黒と白みたいな感じで出てくるのはやっぱりいいなって。
だから逆のいい偶然もないってことだもんね。
そうなんですよ。
悪い偶然もない画面、いい偶然もない画面。
いい感じになったバグみたいなところとかない。
ないからそう。
考えたらもうじゃあ全部が愛おしいんだ。自分の努力が全部ちゃんと形になる。
詰まってるんですよね。
もう直接技法というか、そうですね。
それはだから絵画でもできないし、他の版画でもできない。
それまでは反射する何かだった。
ド版のね。
すごい見えづらくて苦労させられてた棒の板が、ちゃんと絵になってる感じはすごい体験してほしいですね。
それがやっぱり自分には山下さんのショーにあってたのもあるんだ。
もともと油彩を描いてた時にも、大学最初油彩描いてた時も白いキャンバスが怖くて、最初黒に塗りつぶして白って上から描いてたんですよ。
最初からそういう。
最初から結構メゾチントだったから、あれこれいつもの描き方と一緒だなって思って、割とメゾチントはスッと入ってる。
なるほどね。
メゾチントがあってよかったですね、この世に。
本当に。
この技法があった、よかったって思える人がいたんだ。
ありがとう。
ありがとう、メゾチント。
じゃあ改めて山下さん展覧会が3月29日から4月6日まで大阪の本賀堂で開催されているそうです。
ご本人も初日は在郷。
います。
関西方面でこれ聞いてらっしゃる方いらっしゃればぜひぜひ。
でもこのうちまた都内とか、こっちでは予定はあるという。
年末付近から都内が。
ですので、これは山下さんのホームページなりフィックスなりをフォローしていただけたらなというふうに思います。
次回も山下さんをゲストに美術についての話を続けていきたいと思います。