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2024-12-03 10:42

#709 英語では語末の子音が聞こえないことがあるという from Radiotalk

主要参考文献
キャットフォード, J. C. (竹林滋・内田洋子・設楽優子 (訳)) (2006)『実践音声学入門』東京: 大修館書店.
Roach, Peter (2009) English Phonetics and Phonology: A Practical Course. 4th Edition. Cambridge: Cambridge University Press.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

英語の発音において、語末の破裂音が聞こえない現象がしばしば見られ、その結果、単語の区別が難しくなる問題について考察されています。この中で、韓国語の内破音や英語の母音の質の変化についても説明され、新たな言語の適応現象が浮き彫りになります。

語末の子音が聞こえない現象
英単語の発音で、最後の子音の音が聞こえないということがしばしばあります。
もちろん、地域差なんかもあるとは思いますが、例えば、猫のキャットっていうのが、キャットっていう風に、最後のTの子音が、トゥっていうのが聞こえずに、キャットみたいに。
日本語だと小さいツーのようにね、速音ですね。速音のように聞こえることがあります。
ただ、このキャットと言っても、キャットと言っても、意味には何の変化もなくて、両方猫という意味を表しています。
こういう単語の意味の違いに関わらない音の差というかね、音の違いのことを異音というふうに言います。
この子音が聞こえなくなる現象は、特に破裂音でよく起こるんですよね。
破裂音というのは、今のキャットのTの音もそうだし、あるいはPとかKで書かれるような、そういった音が破裂音と言われるものです。
BGMです。
始まりました。深夜15のツボ。皆さんいかがお過ごしいでしょうか。ロメーシです。
今言った英語の特徴、その語末の死音が聞こえないみたいなね、現象は多分皆さん知ってるというかね、気づいてるんではないかと思います。
逆に日本語の発音の特徴として、語末というか、あるいは音節末を死んで終わるっていうことがないので、だからキャットっていうふうに母音のOをつけたりして発音しがちなんですよね。
で、本当はそこに母音はないので、キャットというか、あるいは破裂音Tを破裂させずにキャットという発音になります。
この語末の破裂音を破裂させないというのは、専門的には内波音と言われて、有名なのは韓国朝鮮語にあります。
例えばビビンバの最後のバっていうのはパっていう発音なんですけど、ごはんという意味なんですよね。
で、本当はパップっていうふうに最後にPのシーンがあるんですが、その最後のシーンは破裂させずに口を閉じるだけって感じになるんですよね。
これでごはんという意味になります。
ただ、この破裂をしない破裂音、内波音は後ろに母音が来た時に復活するっていうのがあって、
韓国朝鮮語の場合だとごはんっていうのは今言ったようにパッなわけですが、ごはんがっていうふうに後ろに助詞のようなものがつく場合、
韓国朝鮮語だとイっていうのが日本語のがに当たるんですよね。
ですのでごはんがっていう時はパビっていうふうにビっていうのがここで復活するんですよね。
で、英語に話を戻すとキャットっていうのはキャっていうふうに、韓国朝鮮語と同じようにね、破裂音を破裂させないということがあります。
その結果、語末のシーンが聞こえないということになるんですよね。
で、そうなると単語の区別ができなくなるんじゃないかというね、そういった問題が生じます。
例えば背中のバックっていうのと、カバンのバッグっていうのは、英語で言えばバックとバッグで前半一緒なんですよね。
ローマ字で書けばBAまでは一緒で、最後のクーとグーというこの最後の破裂音だけで単語の区別をしています。
でもしそれが聞こえなくなっちゃったら、背中とカバンっていうのが英語で単語が区別できないということになってしまいます。
韓国語の内波音
これは当然言語にとって大変なことで、背中を蹴ったなのかカバンを蹴ったなのかで罪の重さが変わるというか、コミュニケーションに支障を来すということになります。
ここで面白いのが、その語末の破裂音が聞こえなくなったその代償として、母音の質がちょっと変わるっていう現象があるんですね。
具体的に言うと、語末のシーンが無声音の時にはその前の母音が短く発音されるという現象があります。
これを英語でprefortis clippingっていう言い方をするんですが、
つまり背中とカバン、バッグとバッグの例だと背中の方はバッってちょっと短くなって、カバンの方はバッってちょっと長いみたいな。
つまり、クとグというシーンで区別していたところを、もっと言うと無声音か有声音かというところで区別していたのを、その音自体が聞こえなくなっちゃって、
区別が無声音、有声音が役に立たなくなった結果、代わりに母音の長さでその単語の区別をカバーしているということになります。
この辺は結構言語は上手いことできてますよね。なんていうかね、みんなでカバーしているというか、
言語っていうのは体系で考えなきゃいけないので、音の区別がなくなっちゃうと、さっきも言ったように単語が区別できなくなっちゃうということなので、その区別を保つためにどこかしらでその区別を維持するということです。
東南アジアの言語の成長と言われる現象もそういったことが関わっていると言われてるんですよね。
今お話しした英語の無声破裂音の前でシーンが短くなるっていうのは一種の同化現象で、というのが無声シーンというのは無声音なので、
それに引っ張られて、専門的に言えば逆行同化ということになりますが、その無声シーンに引っ張られて、直前の母音が一部というか部分的に無声化して、全体として母音が短くなっているということができるんですね。
ここからさらに想像を膨らませると、もし今後英語の破裂音が語末で全く発音されないということになって、さらにそれが正門閉鎖音に合流しちゃうとかね、例えばそういうことがあって、
今お話しした母音の長短が単語の区別の責任を100%担うようになったとしたら、バークのKとバーグのGのつづり状の文字っていうのは母音の長短を表す記号ということになりますよね。
言語の適応現象
そうなったら非常に面白いですが、もう一回これを順を追って考えると、背中はバークで、カバンはバーグで、KとGというのが破裂して、きちんと背中とカバンというのを区別していて、
それが聞こえなくなっちゃうと、今度は母音の長短で背中はバーク、カバンはバーグというふうに、その母音の質の方で単語を区別するようになると、今の英語はある程度そういう現象があります。
ただ、今の英語は破裂させてもいいので、バーク、バーグっていうふうに破裂させても全然いいんですよね。
ここから未来の話で、その後末の破裂が完全になくなっちゃうと、極端な話、背中はバー、カバンはバーっていうふうに、母音の長短で背中とカバンという単語を区別し始めるかもしれません。
そうなると、つづりの方はKというか、背中の場合はCKですけど、このCKというつづりは単母音を表して、Gの方は長母音を表すという、そういう記号になってしまうかもしれません。
外して書き言葉というのは、昔の特徴を残しがちなので、本来Cの無声音、有声音というのを表していたものが、機能が変わっちゃって母音の長短を表すような機能になるというのは、考えられなくはないかなという感じがするんですよね。
というわけで今回は英語の発音、さらに言えば破裂音の話で、後半はファンタジーでしたけどね。最後まで聞いてくださってありがとうございました。それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。お相手はシンガージュウゴでした。
またねー
10:42

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