1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #550 接近可能性階層とヴォイ..
2023-05-27 10:31

#550 接近可能性階層とヴォイス from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/711965

主要参考文献
Keenan, E. L. and B. Comrie. 1977. Noun Phrase Accessibility and Universal Grammar. Linguistic Inquiry 8: 63-99
Andrews, A. D. 2007. Relative clauses. In T. Shopen (Ed.), Language Typology and Syntactic Description (2nd ed., Vol. 2, pp. 206–236). Cambridge: Cambridge University Press.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:06
始まりました、志賀十五の壺。邪魔をします。ペパー警部です。
ラジオトーク宛てにギフトをいただいております。ミーさんからギフトを頂戴しております。ありがとうございます。
この番組では、ラジオトークというアプリから送ることのできるギフト、
そしてラジオトーク以外からも送ることのできるお便り、随時募集しております。
ご質問とかね、励ましのお便りとかね、ご感想等、何でも募集しておりますので、よろしくお願い致します。
さて、今回のエピソードは、接近可能性階層とヴォイスというタイトルでやっていこうと思います。
ちょっと硬いタイトルですけど、このタイトルつけるのって難しいんですよね。
よりこう、一般向けというか言語学を知らない人でも
こう、とっつきやすいようなタイトルにした方がいいと思うこともあるんですけど、逆にこう
接近可能性階層について知りたいという人がいた場合、 すぐたどり着けるように
専門的なタイトルにした方がいいんじゃないかっていうね、まあこの攻めぎ合いですよね。 でその接中案みたいに両方タイトルに入れ込むっていうこともできるんですけど
そうしちゃうと タイトル全体が長くなっちゃうっていうね
ここは難しいところでございますが、今回は あえて接近可能性階層とヴォイス
非常に専門的な方に振り切ったタイトルでやっていこうと思います。 この辺の話は過去にしたことがあって
シャープ399で 接近可能性階層
の話はしておりますので、そちらも併せて聞いていただけたらと思います。 おそらく似たような話はしていると思うんですが
これは何なのかというと 階層などでちょっとこう段階になっているっていうことなんですが
何が段階になっているか階層を成しているかというと 関係説で
就職できる 名詞
の 文法機能が階層を成しているという話なんですね
03:03
まあなかなか難しいですよね というかまだ説明になってないので
この接近可能性階層 英語だとアクセシビリティハイアラーキー
というのは キーナー&コムリーというね
2人の言語学者が発表した 階層で
まあそもそも関係説って何なのかっていうとこからお話しする必要があるかもしれ ません
関係説というのは平たく言えば文で名詞を就職している まあより正確に言うと説
あるいは関係説で 名詞を就職するっていうのが
関係説ということなんですね 例えば
昨日日本に来た男 これは男という名詞を昨日日本に来たというのが就職していると
いうことになっています この関係説を考えるときに元の文っていうのをよく考えるんですよね
つまり昨日日本に来た男 これは男が昨日日本に来た
この文が元になってて その中から男この場合主語にあたる名詞ですねが
昨日日本に来た男というふうに関係説で就職されているというふうに考えます で接近可能性階層というのは
まずこの主語っていうのは いかなる言語でも
どんな言語でも 関係説で就職され得るというふうに考えるんですね
日本語はこの辺の話は結構ルーズで 例えば昨日男が買った本
これは 昨日男が本を買ったっていうのが元の文で本をという目的語が
就職されているということになっています 昨日男が買った本
こういうふうに目的語っていうのは主語の次に 関係説によって就職され得る
名詞というふうに 接近可能性階層では考えられています
もうちょっと具体的に言うとさっき言ったように主語っていうのが一番階層の上に あって一番関係説で就職されやすい
次が目的語 さらに言うと直接目的語
昨日男が買った本みたいなものです その次に間接目的語
というふうにどんどん続いていくんですね この階層性っていうのが
06:00
示唆しているのは もしある言語で直接目的語が関係説で就職されるなら
主語も必ず関係説で就職されると あるいは間接目的語が
関係説で就職されるなら 例えば
昨日男が本を渡した女みたいなものですね こういう言い方ができるんだったら必ず
直接目的語あるいは主語も関係説によって就職されるということなんですね
つまり階層の下の方のものが 関係説によって就職されるんだったら
それよりも上に位置している主語とか直接目的語とかね そういったものも関係説によって就職されるということなんですね
でさっき言ったように主語っていうのが一番階層の上で どんな言語でも関係説によって就職
されます 極端な言語
例えばマダガスカルで話されている マラガシ語という言語は
主語しか関係説で就職できないんですね つまり日本語風に考えると昨日日本に来た男
まあこれは言えるんですけど 昨日男が買った本これは言えないんですね
なぜなら昨日男が本を買ったっていうふうに本が直接目的語に相当するもの なので
マラガシ語ではこれは言えないということになっています ただマラガシ語も
昨日男が買った本みたいな 意味ですよね状況を表すことができて
その時に活躍するのがボイスです ボイスっていうのは声っていう意味もありますけど
もう一つ言語学では体という意味で使われます体 これは平たく言えば受け身分とかね受動体とかそういったものです
つまり昨日男が本を買った まずこれを受動体にして昨日本が男によって買われた
こういう言い方になればさっきまで直接目的語だった本っていうのが 主語になりますそうすると
関係説化っていうのができるんですね 昨日男によって買われた本
そういった言い方で 関係説で
就職すると つまりマラガシ語で主語しか関係説で就職できないっていうこのきつい制限が
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ボイスという目的語を主語にするっていう なんていうかなそういった操作によって
補っているというかその辺で解決しているということなんですね でさらにマラガシ語っていうのは道具っていうのを主語にするっていうボイスもあるん
ですね まあ日本語だとかなりイメージしづらいんですけど
例えば 魚を包丁で切ったっていうこの包丁っていうのを
主語にすることがマラガシ語ではできるんですね なので魚を切った包丁みたいな言い方が
本来主語ではない包丁っていうのを主語にすることで まあそういう意味的にそれに近い言い方ができるということになっています
こういうふうに接近可能性階層と 受動体みたいなボイスっていうのは結構密接に関わっているんですね
というわけで今回はまあまあ堅苦しいタイトルでしたけどね まあそういったお話でございました
ぜひ関連エピソードも聞いてくださいそれではまた次回お会いいたしましょう お相手はシンガ15でした
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