1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #324 男らしいとはこういうこ..
2021-06-23 10:13

#324 男らしいとはこういうことさ(接辞と接語) from Radiotalk

参考文献
服部四郎 (1950)「附属語と附属形式」『言語研究』15, 1-26.
『「語」とはなにか・再考: 日本語文法と「文字の陥穽」』 (宮岡伯人、三省堂)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:02
男らしいとは一体どういうことなんでしょうか。 今日のトークはそれを考えていこうと思います。
始まりました、志賀十五の壺。 みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
いつも聞いてくださっている方は察しがつくと思いますが、 当然この男らしいというのを言語学的に考えるということです。
なんていうかな、その世間一般に言われている 男らしいっていうのを
まあ考えようという気はまあさらさらないということですね。 どういうことかというと
男らしい、これはまあ 発音上2つ
なんていうかな、まあ考えられて男らしいっていうのと 男らしいっていうのがありますよね。
まあ確かに言われてみればそうだなという感じですよね。 でこの2つは
発音、もっと言うとアクセントが違うわけですので 初期上っていうか文字で書かれたときはわかりませんね。
男らしいか男らしい この2つの違いっていうのは単なる発音上の違いだけではないんですね。
もっと重大なというかなんだろうなぁ言語の本質に関わるような違いと 言ってもいいかもしれません。
まず発音から考えてみますと 日本語の発音っていうのは
まあ大まかに 極簡単に言うと
かな一文字について 高いか低いの値が決められているんですね。
で、男らしい
まあ男っぽいっていう意味の方のっていうか メメシの対義語、反対語としての男らしいの方の
発音、アクセントはどうなっているかというと 最初のoが低くて、あと高くて、最後のiが低くなって終わるというような発音です。
低く始まって高くなって低く終わるなので 男らしいとこういう発音になります。
一方 男らしいの方 つまり男だそうだっていうその推測を表す方ですね。
こっちの 男らしいの発音は
これ個人差あるかもしれないんですけど 僕の反省に基づくとですね
男らしいなので ととこだけ高くてあとは低いですね
低く始まって男が高くて らしいは低い低い低いで男らしい
多分そうなってるんじゃないかなと思います まあ個人差はあるにせよ
男らしいと男らしいは どの部分を高く発音するかっていうそのアクセントの面でまず異なります
03:09
ただ先ほど申し上げました通りこの2つは単なる発音上の違いだけではなく もっと文法に食い込んでくるような違いというのがあります
でこれはまあ日本語母語話者だったら別に何とも思ってないと思うんですけど 当然
日本語教育等ではみっちり教えられるところではないかなと思います さらに専門的な言い方をするとですね
男らしいの方のらしいは節字と言われるもので 男らしいの方のらしいは節語と言われるものです
まず男らしいの方から考えてみるとこちらは節字と言われるもので 節字っていうのは基本的に単独で表れることはできないんですね
で必ず 何か
そのなんていうかなホストとなる語根あるいは語幹と言われるものにくっつくものです で男らしいのらしいはまさにそういったもので
これは専門的には節字と言われるものです でその機能としては
男っていう名詞を 形容詞に変えるっていう働きつまり品詞を変えてますね
まあこれ名詞を形容詞って言っていいかなーっていうのはちょっとあるんですね わざとらしいみたいなものがあるので
わざとっていうのはちょっと名詞とは若干言いづらいんですけどとりあえず 名詞を形容詞に変える節字ということができます
まあ意味としては 男っぽいというか男の性質を持っているみたいな感じですよね
一方 男らしいの方のらしいは節字ではなく節語と言われるものです
これは節字とある面では似てるんですが ある面では独立した自立語みたいな特徴も持っているようなものなんですね
でこのらしい 推測の方のらしいは
音の面で言うと 確かに男らしいっていう風に
前の要素と一緒になって一つの単位を成しているんですが 節字のらしいと違ってその前に来る要素は名詞に限りません
彼は来るらしいとか来たらしいみたいに 動詞が来ることもあるし
まあ他の品詞なんでもいいですけど赤いらしいとか 寒いらしいとか形容詞も平気でいけますよね
しかもその動詞とか形容詞が 来たらしいとか寒かったらしいみたいに過去形になることもあります
06:06
ここが一つ大きな違いですね つまり節字っていうのは前に来る要素がかなり限定的なんですね
節字の方のらしいは名詞しか来れなかったのに対して 節語の方のらしいは
男らしいみたいに名詞でもいいし 来るらしい寒いらしいみたいに
動詞でも形容詞でも何でも構わない つまりホストとなる品詞にあんまり制限がないということになります
これが一つ違いとしてあって もう一つはそのホストとなる
要素と 節語との間に 別の要素が入り込むことができるんですね
男だけらしいとか 来るだけらしいみたいに だけっていうのが間に入ることができますよね
これも節語の特徴です 節字の方は基本的に間に何も割り込むことができません
このように男らしいと男らしいの間には 発音上の違いだけではなく文法上の違いもあります
すなわち節字の方のらしいは名詞にしかつけないのに対して 節語の方のらしいはあんまり品詞の制限がありません
さらに節字の方のらしいは間に要素が割り込めないのに対し 節語の方のらしいはだけみたいなね そういったものが割り込むことができます
節字っていうのは大きく節当字と節微字に分かれて らしいっていうのは節微字と言われるものですね
でこの節字の方は割と一般にも使われているし 皆さんも聞いたことあるんではないかと思います
当然これは日本語だけに限らず 英語なんかでもね使われる用語です
一方節語 英語だと critic って言うんですけど こちらの方はあんまり知られてないんじゃないかと思いますね
まず学校教育では節語っていう言い方はせずに 助詞とか助動詞っていう言い方をすることが多いと思いますが
この助詞とか助動詞っていうのは 実は節字と節語がいろいろ混ざり合った概念みたいなとこがあって
まあそれがね時々問題として挙げられることがあります この節字と節語の区別に関わった重大な研究として
服部志郎先生っていう先生の論文があって 付属語と付属形式っていう論文があるんですよね
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でその論文にも同じようなことが書かれています つまり節語は
いろんな品詞につくことができるし あるいは間に要素が入ることができるしみたいなことが指摘されています
僕個人の考えとしてもですねこの節字と節語の違いっていうのは 言語の根幹に関わるような重大なものなので
助詞助動詞みたいな言い方はやめて きっちり区別するべきものではないかなと思いますね
で話は全然違いますけど男らしいっていう言葉はもしかしたら今後使われなくなるかもしれませんね
これは何とも言いませんけど まあそれはね言語学とはあんまり
関係ないって言うとあれですけど 言語と社会とのなんていうかな関わりみたいなところですよね
というわけで今日のトークはここまでということで最後まで聞いてくださってありがとうございました
ではまた次回のトークでお会いいたしましょうごきげんよう
10:13

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