1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-06-25 10:01

#325 兄弟姉妹の言語学 from Radiotalk

関連トーク
「なぜお巡りさんは「ぼく、迷子?」と聞くのか?(言語学)」
https://radiotalk.jp/talk/267213

参考文献
『世界言語への視座―歴史言語学と言語類型論』 (松本克己、三省堂)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:01
こんにちは、志賀十五です。
今日も志賀十五の壺をやっていこうと思います。
このトークはさっき撮ったんですけど、
なんかうまく撮れてなくて、ちょっとテイク2ということでやってます。
今日のトークテーマは、兄弟の名称の言語学ということでやっていこうと思います。
兄弟。
まあ原則的にはっていうか典型的には、同じ親から生まれたものっていうことですよね。
で、日本語だったら、兄・姉・弟・妹、まあこういったものが兄弟名っていうことになります。
で、どうしてもね、母語話者っていうか、まあ誰でもそうだと思うんですけど、
自分の母語っていうのが最もスタンダードで、
まあ普遍的だ、そしてそれと違うものは変わってると思いがちなんですけど、
まあ必ずしもそうではないですよね。
皆さん経験あると思うんですけど、英語を習った時に、ブラザーとシスターしかない、みたいなね。
つまり年上か年下は全然気にせずに、男の兄弟か女の兄弟かの区別しかないと。
で、これを見るだけでも、日本語の兄弟名っていうのは、まあ普遍的なものではないっていうことがわかると思います。
つまり、日本語の兄弟名っていうのは、男か女か、
そして年上か年下かっていうね、まあこの2つの基準が重なり合って2×2の4通り出来上がってるってわけですよね。
一方英語の兄弟名は、男か女かしか気にしてないので、2通りしかないと。
で、こういうふうに考えると、逆に、まあ逆っていうか、年上か年下かしか区別しない言語もあるんじゃないかっていうことにね、なんとなく気づきますよね。
で、実際そういった言語はございます。
代表的なものとして、インドネシア語がそういった言語ですね。
カカクとアディクっていう2つの単語があって、カカクの方は年上の兄弟、アディクは年下の兄弟、でどちらもその性別には関係なく使うということになっています。
こういうふうに考えると、日本語の兄弟名っていうのは、英語型の兄弟名とインドネシア語型の兄弟名のハイブリッドということができるかもしれません。
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ただ、日本語は年上と年下の区別があって、英語にはそういうのはない。男女の区別しかない。
だから日本語っていうのは、あるいは日本人というのは、そういう年高序列っていうかね、年齢差っていうのをすごく気にする人たちだ、みたいなね。
まあそう言ってもいいかもしれませんけど、結構ね難しい問題でございますので、今回はあまりそういったことには立ち入らず話を進めていこうと思います。
今言ったように、日本語の兄弟名っていうのは、男か女か、年上か年下かの2つの基準が重なり合って4通りある。
まあそう考えると、英語とかインドネシア語に比べるとやや複雑な感じもしますが、もっと複雑な言語もあります。
そういった言語には3つ目の基準が関わっているんですね。
その基準とは、自分自身が男か女かという基準です。
まあこれはね、そいつと同性か異性かと言った方がいい場合もあるんですけど、今回はとりあえず自分自身が男か女かという基準でお話ししていこうと思います。
つまり、基準1としてそいつが男か女か、2つ目は年上か年下か、3つ目は自分が男か女か、この3つの基準が組み合わさっているのが、例えば韓国朝鮮語などですね。
韓国朝鮮語を勉強したことある方ならご存じだと思うんですけど、兄と姉についてそれぞれ2通りの言い方があるんですね。
つまり、自分が男で兄を呼ぶときはひょんっていう言い方になって、自分が女で兄を呼ぶときはおっぱっていう言い方になります。
だから、例えば僕がおっぱっていう言い方をすると、すごい変な感じになるんですよね。
一方、自分が男で姉を言うときはぬな、自分が女で姉を呼ぶときはおんにっていう言い方になります。
なので、さっきも言ったように、そいつが男か女か、年上か年下か、自分が男か女かっていうのが関わっているわけなんですが、
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面白いのはですね、韓国朝鮮語で年下の兄弟はそういったこと全然気にしないんですね。
自分が男か女かも、相手が男か女かも気にせずに、年下だったら全部とんせんっていう言い方になります。
だから、2×2×2の8通りっていうのが綺麗に出ているわけではないんですね。
この年下の者の性別をあんまり気にしないっていうのは、兄弟名に限ったことではなくて、
例えば日本語でもおじいちゃんおばあちゃんっていう言い方はありますけど、孫について男孫女孫を区別しませんよね。
これには一応理由があって、社会において、家族内でもいいですけど、性別っていうのが重要になってくるのはある程度年齢が言ってからですよね。
年が若い、もっと言うと子供は別に性別関係なく一緒くたに呼んでしまっているっていうことですね。
ということで今の話をまとめると、兄弟名には、相手が男か女か、年上か年下か、自分が男か女かという3つの基準があって、
言語によっては1つしか採用しなかったりとか、2つ3つ採用したりとか、そういうことでいろんな兄弟の呼び方があるということでした。
兄弟名に限らず、親族名称っていうのは実際の親族でなくても使うことができますよね。
例えばちょっとお兄さんとかちょっとお姉さんとか、あそこのお母さんに聞いてみようとかね。
もっと言うとおじさんおばさんっていう言い方も血がつながってなくても平気で使えますよね。
で、面白いのはですね、こういう他人に親族名称が使えるっていうのは自分より年上の時だけなんですね。
明らかに自分より年下であっても、ちょっとそこの弟くんとか、ちょっと妹ちゃん時間あるとか言わずに、年下であってもお兄ちゃんお姉ちゃんみたいな言い方をしますよね。
これはね親族名称の面白い一面だと思います。
あるいは孫ができた時に、その自分の娘をお母さんって呼んだり、自分の母親のことをおばあちゃんと呼び始めたりすることがありますよね。
これはどういうことかっていうと、孫ができたら孫の視点に合わせるっていうことなんですね。
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孫から見てお母さん、おばあちゃんなので、家族内の呼び方も孫に合わせた呼び方に変わるということです。
これは兄弟ができた時も一緒で、例えば二人姉妹の長女のことをお父さんやお母さんがちょっとお姉ちゃんとか言ったりしますよね。
あれは一番下の、家庭内で一番下の妹に視点を合わせているからです。
こういった理屈で一番下のものに視点を合わせるので、弟ちゃんとか妹ちゃんっていう言い方はありえないっていうことになってるんですね。
これについては関連トークがございますので、ぜひそちらも聞いていただけたらと思います。
というわけで最後まで聞いてくださってありがとうございました。
よろしかったら番組フォローお願いいたします。
ではまた次回お会いいたしましょう。ごきげんよう。
10:01

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