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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀です。
この番組を聞いてくださっている方ってどういう方が多いんだろうって時々考えるんですよね。
もちろん年齢層とか性別とかも気になるんですけど、 やっぱりRadiotalkのアプリを通して聞いてくださっている方が多いんじゃないかなと思います。
あるいはですね、Podcastにも配信しているので、 そちらで聞いてくださっている方もひょっとするといるかもしれません。
いずれにせよですね、いつも聞いてくださっている方ありがとうございます。 そして、
今日は初めて聞くっていう方もね、ありがとうございます。 一応ですね、僕はツイッターの方もやっているので、
よろしかったらそちらもフォローしていただけるとありがたいです。 ですが、まあみんながみんなツイッターやってるわけではないし、
なんかそうやってね、個人が特定されるじゃないけど、そういうのが嫌だっていう方もいらっしゃると思うので、
無理にとは言わないですけど、一応ツイッターの方も何か言ったりしているので、 フォローしていただけるとありがたいです。
ということで前置きはその辺にしておいてですね、 今日お話ししたいと思うのは、
おはようは関西弁だっていうことですね。 まあこれだけだとただの雑学で終わってしまうので、
いつも雑学なんですけどね。 もうちょっとそれを、
話をね広げていこうっていうのが今日のテーマです。 おはようは当然、
早いっていうのがもともとあるわけですけど、 古語だと早しですよね。
でそれの連用形が、 関西方言だったら早ようになっているっていうことですね。
まあ共通日本語だと早くにあたります。 まあおはようの場合はそれにをっていうのがついているわけですけど、
この早しの連用形早くっていうのが多分本来の形なんだと思うんですけど、 その早くの形が落ちて、
早うみたいな形になったと。 でそのあとうの連続あうっていうのがおうっていう
長母音に代わって早ようになっているんですね。 関西方言では。
で同じような変化はありがとうも一緒で、 これももともとありがたしっていうのが形容詞としてあって、
でそれの 連用形がありがたくで、
でこれも同様に形が落ちてありがたうになって、 そのあとうの連続がおうに代わってありがとうとこうなるっていうことなんですね。
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なのでおはようとかありがとうみたいに、 なんていうのこういう挨拶っていうのは割と関西由来が多いんですよ。
その江戸幕府が開かれる以前はですね、 京都が
中心だったわけですので、その文化的政治的にも。 当然中央語っていうのは
関西風だったっていうのが予想できると思います。 だんだんその幕府が江戸に開かれて
華西文化って言われるその江戸中心の文化が出てくるまではずっと 関西が
政治的文化的な中心地でしたので、 そういう意味で挨拶言葉にそういう名残が残っているっていうのは予測できます。
おそらくお休みっていうのも、 これ関西方言って言ってもいいと思うんですよね。
これもまた、 おっていうのがついてますけど、休むの連用形で休みっていうのが使われているわけですけど、
これ関西の方はわかると思うんですけど、 連用形を命令で使えるんですよね。
早よ書きとか、早よ食べとか、 これ共通語だと書けとか、食べろとか、
別語に命令形があるところなんですけど、 関西方言だと連用形がそのまま、書きとか食べとか、
みーとかですね、そういうふうに連用形が命令として機能するっていうのは 関西方言の一つ特徴ですので、
これはおはようありがとうと合わせてまた 関西の特徴が挨拶に現れているっていうことになります。
さて、おはようとありがとうからもうちょっと話を広げるとですね、 先ほど言ったように、
けいが落ちて、早くとかありがたくのけいが落ちて、 あうっていう母音の連続ができて、
で、そのあうがおうっていう形になったっていうことなんですけど、 これちゃんと開音、開く音と書いて開音っていう名前もついてるんですけど、
これは別に覚えなくてもいいんですけど、 授業とかじゃないんで、これは。
そもそもですね、日本語って母音の連続が 置きづらい言語だったと言われています。
なのでその母音の連続があったら、それを一つにまとめて 長音にするみたいなのは昔からあるんですよね。
今でもありますけど、 やばいがやべえになるとかっていうものですね。
それはまた別の話として置いておいてですね、 そういう古来からずっと母音連続を避けるっていう傾向が日本語にはあるので、
あうがおうになるっていうことも一つの流れとしてあります。 で、これを開音というっていうことですね。
で、このあうがおうになるっていうのは、 この関西方言のはようとか、
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ありがとうとか以外にも見られます。
というのはですね、これちょっと話が飛びますけど、 五段動詞っていうのを皆さん習ったの覚えてますかね、中学校で。
これはまあ書くとかがわかりやすいですかね。 読むもそうですけど、
未然形で書かないであっていう音が出てきて、 連用形は書きでいっていう音が出てくると。
終始連体は書くでうの音が出てきて、 仮定形と命令形は書けっていうのでえが出てくると。
石形とかって言うんだと思うんですけど、 書こうっていう時におの音が出てくるっていうことで、
このあいうえおっていうのが見事にコンプリートされてるっていうのが 五段動詞なんですよね。
この五段動詞の動詞は、 五段動詞の動詞ってちょっと変ですけど、
五段動詞は、古語では四段動詞に対応するものなんですよ。
これは高校の古典で、四段動詞とか、 やれ一段だ、やれ二段だ、なへんだ、さへんかへんとかやりましたよね。
その中で今回関係あるのは四段なんですけど、 もしかしたら勘のいい方だったら学生時代に、
古典だと四段なのになんで、 現代語だと五段になってんだろうと思った方がいらっしゃるかもしれません。
でもね、たぶんいないと思います。 なかなかそういうことに気を回す学生ってなかなかいないので。
つまりですね、古典で四段動詞だったのが、 現代語だと一個増えて五段動詞になってるんですが、
これはまさに、先ほどお話ししたあうっていう動詞の連続が、 おうに変わるっていうね、これが関係してるんですね。
まあかこうで考えてみますか。 今、現代語でかこうっていうのは、
さかんのぼればですね、かかむにあたります。 かかむ。
で、このむっていうのは、これも覚えてらっしゃいますかね。 推量の助動詞とかいうもので、
むっていうのが未然形接続の助動詞があるんですよね。 今だとかくだろうとかにあたるでしょうけど。
で、このかかむが、まずmが落ちてかかうになると。 その結果、
かかうで母音が連続するのでかこうになったっていう、まさにね、 お早くがおはようになるのと一緒で、かかむがかこうになるっていうね、
ことが動詞の方でも起こっているんですよね。 なので、この動詞の意思形のかこうみたいなのも、やはりあうがおうになっている
っていう音変化の一つの表れであります。 これは動詞だけじゃなくてですね、例えばだろうとかもそうですね。
だろうはさかのぼればであらむから来ています。 で、このであらむのmが落ちてであらうになって、
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であろうになるって全く同じ変化をたどっているんですよね。 まあこのむもやはり同じ
水量の助動詞むですけど、 いずれにせよですね、
あうっていう母音の連続がおうに変わって現代に至っていると、こういうことなんですね。
さらにこのあうっていう母音の連続がおうに変わるっていうのは日本語だけではないんですね。
みなさんもよくご存知の英語でも見られるものです。 例えばteachという動詞ありますよね、教える。
これの過去形、過去分詞形も一緒ですけど、 とうとですよね、とうと。
まあこれ不規則動詞ですからteachとうととうととか言ってね、 なんか
口に出して覚えた記憶がみなさんあるんじゃないでしょうか。 ではこのとうと綴りはどうなっていますかね。これは
taughtですよね。 なので
これもやはりauっていうあうっていう母音の連続がおうに変わってとうとになっているって いうことなんですよ。
なので auっていう母音の連続がおうになるっていうのは割と
言語普遍的というかいろんな言語で観察されることです。 というわけで
まあいろんな話をしましたね。おはようが関西弁だから始まり お休みの話とか
語談動詞の話やら、はては英語の話までなっちゃったということですけど、 まあ一つの言語の現象からこうやっていろんなことがわかるということですね。
というわけで今回はここまでということでよろしかったら番組クリップお願いいたします。 ではまた次回お会いいたしましょう。ごきげんよう。