1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-06-09 09:49

#318 不完全で完全な発話:言いさし文 from Radiotalk

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参考文献
『「言いさし文」の研究』 (白川博之、くろしお出版)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:02
始まりました。志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
さて、今回はお便りをいただいているので、まずそちらを読み上げたいと思います。
こちら、絵本係まこちゃん、まこちゃんじゃない、まこさんからいただきました。
私もレゲエが大好きなので、パトは少しお勉強しました。
テンション上がりました。
ありがとうございました。ニコりということで、どうもまこさんありがとうございます。
これは、シャープ315のトークで、パトワ語の話をしたんですよね。
ジャマイカで話されている、その言語接触の結果起こった言語の話をして、
やっぱり、あれなのかな、レゲエが好きな人とかにとっては、
割とパトワ語っていうか、ジャマイカクレオール語っていうのは、
常識みたいなところがあるんですかね。
ちょっとね、僕はその辺不勉強っていうか、
レゲエとかも雰囲気しかわかんないっていう感じなので、
今後ね、ちょっとそういった音楽の興味の幅みたいなのも広げてみたいと思います。
というわけで、まこさんどうもお便りありがとうございました。
この絵本係の絵本で思い出しましたけど、絵本の絵ってあれ、音読みなんですね。
いかにも訓読みって感じがするけど、音読みなんだなぁ。
絵本っていうのが、僕はずっと絵っていうのを訓読みだと思ってたので、
訓読みで本っていうのは音読みなので、訓と音の組み合わせで、
こういうのを輸投読みっていう言い方するんですね。
漢字の熟語っていうのは普通、訓と訓とか音と音みたいに、
同じ読み方の組み合わせのものが多いんですけど、
絵本っていうのは音読み音読みだから、そういったタイプですよね。
ただ、ものによっては訓読みと音読みの組み合わせとか、
逆に音読みと訓読みの組み合わせとかがあるんですよね。
訓音の組み合わせのことを輸投読みと言って、音訓の組み合わせのことを、
重箱読みっていう言い方をすることがありますね。
さっき言ったように、僕は絵っていうのを訓読みだと思ってたので、
絵本って訓と音の輸投読みだなって思ってたんですけど、
普通の音と音の組み合わせでしたね。
さて今回のトークは、一見日本語の省略に見えるような表現についてお話ししようと思います。
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日本語はよく曖昧な言語だとか省略が多いみたいな言い方をされることがありますよね。
そういったことが国民性だとか民族性みたいなものと結びついて、
日本語っていうのは空気を読む言語だみたいな、
それは民族性に根付いてるんだみたいなね、
そういったことが言われたりするんですけど、
僕は時々この番組内でも言ってるんですけど、
あんまり言語とそういう民族性みたいなのを結びつけるのは、
慎重になった方がいい面はあると思うんですよね。
そういった省略に一見見えるものとして、
言い指し文っていうものがあるんですね。
この言い指し文の研究には白川博之先生のものが、
たぶん一番メジャーなんじゃないかなと思うんですけど、
言い指し文っていうのはその名の通り、
なんかまだ後に続きそうだけど、
その後に続くものが省略しているように見えるものですね。
あんまりピンとこないかもしれませんが、
日常的に使うものばっかりで、
例えば早く来てっていうのは、
これ命令形になってますけど、
このてで終わる形っていうのは、
まあ普通っていうかな、
そもそもドアを開けて外に出るみたいに、
後にメインとなる文というか説って言った方がいいですかね。
その主説と言われるものが現れるものです。
なので早く来てとかドア開けてとか、
こういったものは後ろにメインとなるものが出てないので、
言い指し文っていうことになります。
ただこれは省略には確かに見えるんですけど、
省略と見ないっていう立場もあって、
僕もどっちかっていうと単なる省略以上のものではないかなと思います。
確かに早く来てっていうのは、
早く来てくれとか来てくださいの、
くれとかくださいっていうのが省略したものっていう風に見ることもできますけど、
でもそのてで終わる形が、
命令形みたいな機能を独自に持ってるって見た方が、
僕はいいんじゃないかなと思います。
このてで命令を表すもの以外にも、
例えばけどを使って、
それはもうさっき言ったんですけどとか、
あるいは家庭のばっていうのを使って、
食べればとかね、
こういったものはすべて、さっき言ったてとかけどとかレバーみたいなものは、
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本来的には従属説として機能するものですよね。
さっき言った後ろにメインとなって現れるのが主説に対して、
それに依存しているというかね、従属しているものなので、
従属説という言い方を言語学ではするんですね。
まあこれらは全部さっき言ったんですけどとか、
食べればっていうのは、やっぱり省略というよりは、
それ自体がいろんな機能を持っていると考えた方がいいんじゃないかなと思いますね。
例えばけどっていうのは、当然本来的には逆説を表すっていうものですけど、
さっき言ったんですけどみたいなものは、
なんというか聞き手の認識をこう改めるように働きかけてるっていうかね、
その情報は間違ってますよみたいな、
そういった機能があるということができるし、
あるいは食べればっていうのも本来的には仮定を表すものですけど、
ただ単独で使われた場合は何か行為を進めてるっていう感じですよね。
そういうふうに考えると、
言い指し文っていうのは省略というよりは、
つまり主説が省略というか削除されて、
従属説だけ表れてるんだというよりは、
それ自体で文法的な機能を担っていると言った方がいいんではないかと思います。
こういった言い指し文に限らず、
さっきも言ったように日本語っていうのは省略が多い言語だみたいなのが、
すっごい言われるんですけど、
そこはねちょっと落ち着いて考える必要があるんではないかなと思います。
一つはですね、省略っていうのはもともとあるものが出てきてないっていうことですけど、
今お話しした言い指し文っていうのは、
むしろその後に出てくる主説が想定できないような、
そういった例もたくさんあるんですよね。
そういった意味で安易に省略って言わない方がいいんじゃないかっていうのもあるし、
あとはこういうね、
従属説が単体で使われるっていう言い指し文っていうのは、
日本語に限った話ではないんですね。
例えばパプアニューギニアの言語で見られたりするみたいなんですよね。
そういう他の言語と見比べたときに、
割と似たような現象が観察されることもあるので、
そういう省略表現は日本語固有のものだみたいにそこをね、
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結びつけるっていうことの危険性もあると思います。
言語学に限った話ではないですけど、
相対的にね、ものを考えないと、
短絡的にね、何でもかんでも結びつけてしまうと、
あんまり良くない結果になってしまうんじゃないかなと思います。
というわけで、今日のトークは言い指し文っていうね、
一見省略に見えるけど、
それ自体で独自の文法機能を持っているっていうね、
そういったお話でした。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
よろしかったら番組フォローお願いいたします。
ではまた次回お会いいたしましょう。
ごきげんよう。
09:49

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