1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2020-06-10 10:43

#106 「ラジオラジオしたラジオ」とは何か?(繰り返す言葉) from Radiotalk

事前に収録したトークのため前後してしまいましたが、前回、お便りに回答するという「ラジオラジオしたラジオ」ができました!お便りくださった方、ありがとうございます。

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始まりました、志賀十五の壺。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀です。
この番組、志賀十五の壺はですね、 当初はなんかコンセプトがあって始めたっていうわけではないんですよね。
でも気づいたら、なんか言語学のお話を
皆さんにお伝えするみたいな、なんかそんな流れになってきてしまっています。
なってしまっていますって言っても、別にそれが嫌なわけではないし、自分が好きだし、得意だからっていうことでお話ししてるんですよね。
だがなんか、あんまりラジオラジオしたラジオじゃないのかなっていうふうに思うこともありますね。
っていうのが、他のトーカーさんだったら もっとラジオラジオしたラジオを知ってたりしますよね。
例えば、お便りを募集して読み上げるとか、 番組の中でコーナーを作って大喜利っぽいことをしてみたりとかね。
まぁそれで、なんかステッカープレゼントとかそこまでやってらっしゃる方いるのかわかんないですけど、
そういうふうにリスナーの方とインタラクションがあって、 かなりラジオラジオしてるっていうね、そんな感じがありますよね。
で、できれば僕もそういうふうにしたいなと思うんですよね。
なんかリスナーの方から、 こういう表現は日本語としてどうなんでしょうとか、
そういう質問が来たら喜んでお答えしたいっていうね、 気持ちの準備はできていますけど、
なんせお便りが届いたことがないので、 1回だけあるんです。ありがたいことにね、1回だけ。
で、それ以降お便りがパタリとやんでしまったので、 そういうリスナーの方と
コミュニケーション取るみたいなね、そういうことは 今んとこ全くないです。
だからまぁ時々ね、自作自演で自分で質問を出っ張り上げて、 それ読み上げてやろうかとかね、思っちゃうんですけどそれやっちゃうともうね、
なんか人としてどうなのみたいなところがあるので、 そこは踏みとどまっているところです。
という雑談をしていると見せかけてですね、 今回のトークテーマはこのラジオラジオしているラジオっていうこの表現ですね。
ラジオ3回も出てきちゃってるよってことなんですけど、 でも意味は通じますよね。これラジオラジオしているラジオ。
ちょっと考えればわかると思うんですけど、これはつまりラジオっぽいラジオというか、 いかにもラジオなラジオ。
もっと言うと典型的なみたいな意味ですよね。 だからラジオラジオしたラジオっていうのは典型的なラジオっていうふうに言い換えることができると思います。
あるいは教科書的なとかね、そんな言い方もできるんじゃないかなと思います。 これってね非常に面白いなと僕自身は思うんですよね。
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つまり、 単語を繰り返すことによって典型的なっていう意味が出てきているわけですよね。
これはなかなかね、 説明しづらいなと思うんですよ。っていうのがこの単語を繰り返して新しい単語を作るっていう、
なんていうかこういう現象自体は日本語だけじゃなくていろんな言語で見られるんですよね。
最も一般的なその新しい単語を作り出す手法とさえ言われています。 だからまあ大抵の言語であるんだと思うんですよね。
日本語でも当然ありますよね。そのラジオラジオ以外でも 我々とか人々とか
国々とか まあこういうことですよね。
こういう人々とかこういうタイプの繰り返しの単語っていうのは、 こういうのを専門的に常語って言ったりするんですよね。
常語って常っていうのはその畳っていう字なんですけど常語。 で人々みたいな常語は
何を表しているかというと複数みたいなことですよね。 山々も国々もそうですよね。2つ以上であることを表しているということなんですよ。
その単語を複数並べる、2つですけどこの2つ並べることによって複数を表すというのは非常にわかりやすいですよね。
言語の形の上で、音声の上で2回並べることによって複数性を表すというのは非常に直感としてわかりやすいです。
こういうのはよくあるんですよ。他の言語でも。 その常語が複数性を表すというのはよくあります。
他にも 常語が表す意味として
程度が強いことを表したり、あるいは動詞が繰り返されるとその動作が複数を行われたことを表したり
そういう機能が 世界の言語を見回してみると
常語にはあるようです。 こういう複数性とか程度の強さとか
動作の場合も複数性とかというのは 非常に繰り返しということと
かなりリンクしているというか直感的にわかりやすいですよね。 これと比べると
ラジオラジオしたラジオ、なぜこれで典型的という意味が出てくるかというのが
何か説明しづらいんじゃないかなと思いますね。 なんかできるのかもしれないけどちょっとここでは謎ということにしておきます。
このラジオラジオしたラジオみたいな、新しいのかわかんないけどこういうタイプの常語が
人々みたいな伝統的なと言っておきましょうか。 こういう伝統的な常語と比べて面白いのはその典型的なというちょっと変わった意味を表すというのもそうだし
他にも面白い点はあります。というのが生産性が高いということなんですね。 生産性が高いというのはどういうことかというと
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いろんな単語でその常語が作れるということですね。 人々とか国々とか山々っていうのは結構限られているはずなんですよ。
つまり人々っていう意味で ラジオラジオとは言えないですよね。ラジオが複数あることをラジオラジオとは言えない。
だからその人々とか山々みたいな伝統的な常語、つまり 漢字で言うとのまっていうやつですね。のまっていうあの同じっていう漢字で表されるような常語
は守備範囲は非常に狭いと思いますね。 一方ラジオラジオみたい、ラジオラジオしているラジオみたいな
こういうタイプの常語、典型的なという意味を表す常語はかなり守備範囲が広いですね。 なぜラジオっていう外来語でいけるんですからね。
でこの新しいタイプの 常語は
いやどうなのかなちょっと今新しいタイプってずっと言ってますけどちょっと歴史がどんぐらい 遡れるのかわかんないので
どうしようか変わった常語って言っておきましょうか。伝統的な常語に対して。 でこのラジオラジオしているラジオみたいな変わった常語が面白いのは
さらにあります。 それはその繰り返すっていう範囲が
単語じゃなくていいってことなんですよ。 今言ったラジオラジオしているラジオ
ok ですよね。女の子女の子した行動、まぁこれも ok
でまぁ女の子ってちょっと長めですよね。単語というよりはくって言った方がもしかしたら いいのかもしれないって感じですけど
女の子だとあれだな例えば田舎のコンビニ田舎のコンビニした店とか ちょっと厳しいかな長すぎるかなとか
もうちょっとね文っぽいのもいけるんですよ。やってますやってますかんとかね まあこういうやってますやってますかみたいなこの文っぽいものまで
常語にしてしまうっていうのは伝統的な 常語では多分考えられないんだと思うんですよ
伝統的な場合は基本的に単語しか繰り返すことができないはずなので でさらにこの
変わった常語が面白いのは音の面でもまあ面白いとこはあるんですよ 例えば
とりとりした鳥みたいなね これもまあ典型的な鳥みたいな意味ですよねそのダチョウとかペンギンみたいなんじゃなくてやっぱ
空を飛ぶみたいなことを想定されると思うんですよね とりとりした鳥
でこのとりとりした鳥のとりとりっていうのは これ日本語のアクセントの面から言うと一単語なんですよちょっと詳しい話は省きますけど
ざっくり言えばこのとりとりしたってなんか一塊っぽく感じると思うんですけど そのくせにとりどりにはなんないんですよね
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連濁は絶対起きないんじゃないかと思いますこういう変わった常語では 鳥っていう単語は普通他の単語の一部となる時は連濁するんですよね
親鳥とか雛鳥とか雛イジドリとかっていう風にドに変わるんですけどとりとりした鳥の時は なんか一単語っぽくなっているようなくせに連濁は起こんないんですよね
はいって感じでちょっとかなり詰め込みましたけどこのラジオラジオしたラジオ っていう変わった常語が変わっている
その理由っていうのは まず典型的だっていうちょっと予測不可能なね意味を表すということ
あとはその繰り返すものの守備範囲が広いということですね 和語だろうが漢語だろうが外来語だろうが
食うだろうが文っぽいのでもいけるみたいなね あと連濁が起こらないっていう点で音声の面でもちょっと変わってるかなという
お話でした 結構詰め込んじゃいましたね
ただまぁこういうお話をしましたけど多分皆さん日常的にそういう表現はバンバン使ってるんですよ 無意識に
ただねその無意識に使っている表現にも一応こういう理屈があったり面白い面があると まあそういうお話でした
というわけで今回はここまでということでよろしかったら番組クリップお願いいたします ではまたお会いしましょうごきげんよう
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