1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2020-10-19 10:19

#194 なぜ9個は「きゅうこ」なのに10個は「じゅうこ」じゃないのか? from Radiotalk

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:02
始まりました、志賀十五の壺。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
さて、今日はもういきなり本題に入っていきたいと思います。
今日のトークテーマはですね、
9っていう数字は、いわゆる助数詞って言われるものですね。
単位を表すようなものがつくときに、9個とか、
9本とかになりますよね。
じゃあ、10はなぜ10個とか10本じゃなくて、
10個とか10本になるんだってね、こういう話ですね。
こういう疑問を持った方がもしかしたらいるかもしれませんね。
9と10、ほとんど音は一緒。
木と字しか違わない。
なら9個ときたなら10個でいいじゃないか。
こういう疑問を持った方は、
おそらく日本語母語話者だといないでしょうね。
これね、日本語を外国語として習った場合は、
こういう疑問は出てくるでしょうけど、
母語話者っていうのはね、天才なんでね、
そういうことを何も疑問に思わないで、
全て暗記してるのかな、なんなんですかね、これは。
使いこなせてるわけですよね。
さらに言うとね、これご存知の方も多いと思うんですけど、
10個とか10本じゃなくて、10個とか10本っていうのが、
これは正しいってことになってるんですね。
おそらくNHKのアナウンサーの方とかは、
必ず10個とか10本とか、10時10分とか、
そういう言い方をしてるはずです。
ただね、僕はですね、
意識的に10個とか10本とか、
そういう時っていう音にするようにしてるんですけど、
まあでも、一般的な日常会話のレベルでは、
10個10本10分っていう言い方になってるんではないかと思いますね。
何はともあれ、9は9個9本なのに、
10の方は10個10本とはなってないってことなんですよね。
確かによくよく考えてみたらおかしな話なんですよね。
9の方はよくわかるというか、
9の後に個とか本とか付けてるだけなんですよね。
10の方はなぜか音を変えちゃって、
10個とか10本ってこうなってるわけですよね。
これ何が原因かというと、
一応これは歴史的に説明ができるんですよね。
端的に言うとですね、
9と10って現代日本語では同じuっていう音で終わってるわけなんですが、
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昔の日本語では違う発音だったということなんですね。
で、この9とか10っていうのは、
元は外来語なんですよね。
釈用語と言った方がいいですかね。
当然これは中国から入ってきた数字ということになってます。
当然日本古来の数字っていうのもあったんですよね。
あったというか今もありますけど、
それだと九つとか十とかいうのが、
大和言葉の数字ということになってます。
一方9とか10っていうのはいわゆる関数字ということですね。
なので、昔の日本語で9と10それぞれ発音が違ったというよりは、
もっと遡れば、昔の中国語の発音が違って、
その発音が違う状態で日本に入ってきて、
それがだんだんだんだん同じ発音になっちゃったというのが正しいということなんですね。
具体的にどういう音だったかというとですね、
9の方はキユみたいな音だったと考えられています。
10の方はジフっていうね、そういう発音だと考えられますね。
これは歴史的金遣いを見ればわかるんですよね。
9の方はそのままキユって書くんですけど、
10の方は歴史的金遣いだとジフと書くんですよね。
なので10の方は昔はジフっていう、
このフっていうのが唇を使う音だったと考えられているんですよね。
で、それがですね、歯行転向音って言って、
その語頭以外の単語の途中に現れるような歯行の音が、
ワイウエオっていう音になるっていうね、
そういう歴史的な変化があったので、
まあ10になったってことなんですよね。
まあこれは現代日本語でも、
私はのその女子の輪とかあちらへの絵とかが歯とかへって書いてるけど、
輪とか絵と読むっていうのと一応関係があるんですけど、
その語中の歯行ふへほはワイウエオになってるってことですよね。
なのでおそらく10っていうのも、
ジフとかジフっていう音だったんだと思うんですよ。
でそれが10になって、
でそれがジュウという音になってるってことなんですよね。
でこの昔の中国語でジュウの発音が、
まあ唇を使ってた音だったっていうのは、
これはね現代中国語よりね、
むしろ現代の韓国語を見るとわかるんですよ。
で韓国語でね、もう関数字って当然あるんですよね。
その関数字が日本に入ってくるのに、
一応朝鮮半島をまあ経由したって多分考えるんだと思うんですけど、
まあ仏教とかもそうですよね。
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なので中国語の関数字が朝鮮語にも観察されて、
韓国朝鮮語のキュウっていうのはクウ。
よく似てるなって感じですね。
でジュウはシッって言って、
この最後の音が唇を閉じる音なんですよ。
シッって。
でそれをまあシッって破裂させないんですけど、
普通単体で言うときは。
でシッって言うんですけど、
でこういうところにね、
やっぱり昔の中国語は、
まあ唇を使ってたんだなっていうのがわかるんですよね。
でこういうところで昔の中国語でジュウっていう単語は、
まあ唇を使う音で終わってたんだなっていうのが、
まあ韓国朝鮮語からわかると。
で現代日本語ではそれはもうジュウっていう発音になっちゃってるので、
一見わかりづらいんですが、
ただそれが助数詞をつけたときに、
やや復活するってことなんですね。
つまり唇を使う音で終わってた、
まあジフみたいな音だったと思うんですけど、
でそのジフみたいに唇を使う音で終わってたっていうのが、
助数詞をつけたときに、
まあジッコとかジッポンとかっていう風に、
まあ部分的に復活するみたいな感じですよね。
ってことが起こるってことなんですよ。
というわけで今までのお話をまとめるとですね、
9は9コというのに、
10は10コじゃなくてジッコとなるのはなぜかというと、
昔の中国語で10という単語は、
唇を使う音で終わってたからということなんですね。
でそれがまあ日本語の歴史の中で、
だんだんだんだんジフからジウっていう音になって、
で今では10っていう音になっているので、
まあかなりわかりづらい状況ですけど、
助数詞がついたときにそれが観察されると。
で現代の韓国朝鮮語ではシっていう音で、
唇で終わる音として、
まあちゃんと保存してるっていうかね、
まあちょっと語弊がありますけど古い形が、
まあ日本語に比べると古い形がちゃんと見られるということなんですね。
面白いですよねこれね。
唇で閉鎖を作る音で終わってるから、
助数詞とか後ろに何かがつくと小さいツで書くような、
まあよく詰まる音とか言ったりしますけど、
まあそういう発音になるっていうのは音便とか言ったりするんですよね。
で実はこれいろんなとこで見られるんですよ本当は。
例えばイウっていう動詞がありますよね。
でこれ普通は、まあ普通なっていうか、
声に出すときはイウっていう風に発音しますが、
まあ書くときはイウですよね。
でこれもやっぱり歴史的金使いではイフっていう風に書くんですよ。
ただまあ現代金使いではイウになってて。
でこれが言ってとか言ったの時に小さいツで書く、
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詰まる音になりますよね。
でこれはまさに十っていうのが十個とか十本になるのと一緒で、
言うっていうのがまあ言ってとか言ったになってるっていう、
もう全く同じことが起こってるんですよね。
だからまあある意味で日本語の発音の規則に従ってるということなんですよね。
ただね関西の方ではおそらくね、
言うの後にてとかたつけると、
言うてとか言うたっていう風になりますよね。
だからまあ方言差は当然あるんですけど、
まあいわゆる共通語においては、
やっぱり言ってとか言ったっていう風になってますよね。
でこれと同じルールが十っていう数字にも適用されてると、
まあそういうことです。
というわけで今日のトークは、
数字の九と十っていう非常に発音のよく似た、
意味もかなり近いっていうかね、
この2つの単語の発音がなぜ違うことになっちゃうんだっていうことを説明いたしました。
最後まで聞いていただいてありがとうございました。
よろしかったら番組フォローをお願いいたします。
ではまた次回お会いしましょう。
ごきげんよう。
10:19

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