1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2022-01-04 10:01

#405 言語とジェンダー from Radiotalk

関連トーク
文法性のトーク
https://radiotalk.jp/talk/319474

参考文献
『概説 社会言語学』 (岩田祐子ほか、ひつじ書房)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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志賀十五の壺です。 言語っていうのは変化するものであると同時に、
簡単には変化しないものでもあります。 これは言語の持つパラドックスの一つだと思います。
言語がなかなか変化しづらいっていうのは、それは やっぱりなんていうかなぁ
機能の遺産をずっと使い続けているっていうことだからなんですね。 ずっとその世代を通して伝わってきたものをそのまま使っているだけなので、
簡単には変えられないっていうのがあるんですけど、と同時に 変化を
しない言語っていうのも、まあ考えられないんですね。 エスペラントみたいな人工言語は別かもしれませんけど、
まあ普通言語は変化するものであると同時に、 簡単には変えられません。特に一個人が簡単に変えられるようなものではないですよね。
ただ、 言語を変化させる要因として
その社会的に 不適切みたいなレッテルを張られると
言語っていうのは簡単に変わることがあります。 簡単に言えば
差別用語とか放送禁止用語とか
そういうふうに一旦 社会的にダメだっていうことになると
別の言葉で置き換えられるっていうことがよくあるんですね。 だからまあ良くも悪くもそういうのは関係なく事実として
差別用語っていうのは簡単に変えることができます。 言語において
唯一簡単に変えることができるっていうかね、変えることができるっていう方もあれですけど、 変わる可能性のあるところということになっています。
言語は人間が用いているものであるっていう以上ですね。 社会との関わりっていうのは避けては通れないものなんですね。
だからこそ社会がダメだといえば、 まあそういう言葉を使うのはダメということになります。
こういう言語と社会の関わり合いを見る 言語学の分野として社会言語学というものがあります。
この社会言語学が対象するのはいろんなものがありますけど、例えば 年齢層と言語とか
社会的な階層と言語とか、あるいは地域と言語みたいに
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様々な社会的な要因と言語っていうものの間の研究をする学問なんですね。 今日はその中でも
言語とジェンダーの間の関係のお話をしようと思います。
女性の社会的な地位の向上が叫ばれてもう長らく経っていますよね。
ただ現代でもそういう 女性差別的な問題は解決していなくて
日本のみならず世界中でそういった運動が活発になされてますよね。 そういう社会的な動きと言語っていうのもやっぱり切り離すことができません。
例えば日本語で職業を表す単語の中に、 昔は看護婦とか保母さんっていう言い方がありました。
こういった言い方は今では看護師とか 保育士っていう風に
ジェンダーに対してニュートラルな言い方が好まれてますよね。 これもそういう社会的な動きの反映ということができます。
こういった動きは日本語だけじゃなくて、例えば英語で昔 チェアマンって言ってたところをチェアパーソンっていう風にこのマンのところを
パーソンに変えたりとかして中立的な表現にしてるんですよね。 ただすべてのそういう職業の名前が
ジェンダーに中立的な言い方になったかというとそういうわけではないです。 俳優っていう言い方は確かに
ジェンダーに対して中立的な表現ですけど 女優っていう言い方はするけど男優っていうのはあんまりしないと
あるいは女流騎士とは言うけど男流騎士とは言わないし あとは何だろうな
女医とは言いますけど 女の医者と書いて女医ですね。男医という言い方はしません。
これはそういった職業が 男がなるものっていう前提があるので
わざわざ男のっていう言い方はせずに逆に女性がなる方が珍しいっていうことで 女とか女流みたいな言葉をくっつけて職業を表しているということになって
るんですね。 こういうふうにジェンダーにニュートラルな言い方を目指すっていうのは職業を
表す単語だけではなくて文法にまで及ぶものです。 日本語はちょっとわかりづらいんですけど英語の場合は一般論の話をする時に
例えば everyone 何とかかんとかって言った時にその everyone を受ける代名詞は
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he 彼っていうのが 正しいとされていたんですね
今ではそういう言い方はせずに he or she とか
s スラッシュ he で ジェンダーに中立的な表現を使うかあるいは
単数の they っていうのが生み出されたんですね。 they っていうのは三人称複数の代名詞ですけど
それとは別にというかね ジェンダーに中立的な代名詞として
they っていうのが使われることもあります。 こういうふうに男女平等を目指すっていう社会的な動きは
まあそのままというか言語の変化に 強い影響を与えているんですね
この言語とジェンダーの話をする時に 混同してはならないのは文法性というものですね
英語だとグラマティカルジェンダーっていうふうに言うんですけど これはヨーロッパの言語に触れたことがある方はご存じだと思うんですが
男性名詞とか女性名詞とかそういったものですね これは
現実世界の ジェンダーとは関係のないもので
文法性という完全な言語学の話なんですね 例えばイタリア語は
文法性を持っている言語で o で終わる名詞は男性名詞の単数
a で終わる名詞は女性名詞の単数っていうふうに決まってるんですね これはマリオとマリアで覚えればいいんですけど
だからピッツァとか言うとaで終わってるからこれは女性名詞だなぁとか あるいはパスタっていうのも女性名詞ってことになりますね
でこれは何もピッツァやパスタっていうのを女性と見立てているわけではなくて もう完全に名詞のグループ分けの名前の話なんですね
だから男性名詞をグループ1 女性名詞をグループ2と言っても別に構わないということになっています
簡単に言うと活用の仕方が男性名詞と女性名詞で違うので まあそういう名前をつけているだけのことなんですね
だから日本語で例えば 書くっていう動詞はないっていうのをつけると書かないであだの音が出てくると
一方食べるっていう動詞は食べないであだの音は出てこない こういう動詞のグループ分けは
学校で習う文法では五段動詞と一段動詞っていうふうに言われるんですけど これを男性動詞女性名詞と言ってるようなものなんですね
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なので言語とジェンダーの問題を考えるときは繰り返しになりますけど文法性 男性名詞女性名詞みたいなものとは別なんだぞということをね強調しておこうと思います
ちなみにスワヒリ語みたいなバントゥー諸語と言われる言語の中には この名詞のグループ分けが10とか20とかあるような言語もあるんですね
たまたまヨーロッパの言語は 2つとかあるいは3つなので男性女性あるいは男性女性中性とか
呼んでるだけということです というわけで今回のトークは言語とジェンダーの関わり合いとその注意点についてお話し
しました また次回のトークでお会いいたしましょう
お相手はシガー15でした
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