特定性と定性の基本概念
本日のテーマは、特定性と定性でございます。
特定性の方は英語で specificity とかね、specific とか言って、
定性の方は definiteness とかね、言ったりします。
それぞれね、どちらも言語学の専門的な用語で、
日本語にしたときに名前が似てるんですよね。特定性と定性。特定性の方に定性というのが入っているので、余計紛らわしいところがあるんですが、
本日はそういうこともあって、その辺を掘り下げていこうと思います。
BGM、ゆけい。
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。アルフレッド・ヒッチコックです。
今回この特定性と定性についてお話しするに至ったきっかけとしてお便りをいただいております。
好きな品種は動詞さんからギフトと一緒にいただきました。ありがとうございます。
志賀さん、早速結果キャンセル文、詳しく取り上げてくださりありがとうございます。
殺したけど死ななかったみたいなやつですね。
言語による動詞の意味によるまではこの前のトークで知りましたが、
なるほど、目的語の方の特定性でも全然変わりますね。面白いです。
すみません。
トーク中に志賀さんがこれはちょっと置いておいてとおっしゃった特定性と定性が気になってきてしまいました。
外国語の勉強しているとよく出てくる言葉で重要なポイントになることが多いですが、
特定性と定性って似てるようですが違いますよね。
新情報、旧情報なんかとも関係あるのでは、とも思ってます。
特定性、定性について過去のトークにあったら教えてください。
そしていつかまたトークで取り上げていただけたら嬉しいです。
もちろん全然、経路の違うトークも楽しみにしていますということで。
好きな品詞は動詞さんどうもお便りありがとうございます。
定性については過去に何度も多分取り上げたことがあって、
例えば日本語で言うとこの和とがの違い。
定性に絡めて言うと、平たく言えば和の前に出てくるのは
定の名詞で、がの前に出てくるのが不定の名詞なんですよね。
お便りにあったように、まさにこの定性というのは情報構造に関わっていて、
つまり新情報、旧情報と関わっています。
定性の高いというか、定の名詞というのは平たく言えば旧情報で、
不定の名詞というのは新情報です。
聞き手が知っていると想定されるものを旧情報と呼んで、すなわち定であって、
聞き手が知らないだろうと思っていることが新情報、つまり不定です。
日本語は和とがというのがこの情報構造、定性に関わっていて、
昔話とかで、昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいましたっていう風に、
初めて登場するときはがっていうのが出てきます。
その後におじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にといった場合は、
おじいさんおばあさんはある意味聞き手が知っている情報なので、和っていうのが使われるんですよね。
こういうのは英語の漢詞と並行的に考えることができて、
英語だったら、単数だったらですけど、
不定だったらあっていうのがつくんですよね。
つまり新情報だったらあっていうのがついて、
旧情報、つまり定だったら、それこそ定漢詞と言われる座というのがつきます。
この情報構造に関わっているのは定性の方です。
特定性じゃなくて定性の方がどちらかというと関わっているということができます。
さらに言うと、この情報構造っていうのは、ある意味で、意味ではないんですよね。
その情報が主に名詞だと思いますけど、その名詞が聞き手にとって、
聞き手が知っているかどうかっていうのは意味には関わってこないことです。
特定性の表現と違い
ではもう一方の特定性ですね、specificityの方を考えていくと、
これは聞き手はあんまり関係ないです。
話し手がある特定の事物を想定していれば、特定性が高いというか、特定の名詞だみたいな言い方をするんですね。
聞き手は関係ないです。聞き手が知っているかどうかっていうのは定性で、
話し手がある特定の事物を想定しているかどうかっていうのが特定性の問題です。
この特定性っていうのがどのように言語で表されるかっていうのは、それこそ言語によるんですが、
英語の場合だとその名詞が特定かどうかっていうのは曖昧であることも多いです。
例えば、I'm looking for a man who speaks Frenchって言った場合、
私はフランス語を喋る男を探しているって言った場合、
このフランス語を喋る男っていうのは特定とも解釈できるし、
非特定、不特定、unspecificとしても解釈されます。
つまり、フランス語を話せる特定の男性なのか、
フランス語を話せる男性だったら誰でもいいのかっていうのはある意味判断できない場合もあります。
場合によってはparticularとか入れたら特定性があるということになるし、
逆にanyとかつければunspecificな解釈になるんですよね。
この特定かどうかっていうのは英語だとちょっと差ができる、差が出るような場面があって、
さっきの英文ですね。
I'm looking for a man who speaks Frenchの後にand I'll find him
このhimを使って彼を見つける。I'll find himって言った場合は特定の解釈になるんですね。
というか特定の時はhimで受けることになります。
unspecific、非特定というか不特定の場合は
I'm looking for a man who speaks Frenchその後にand I'll find oneっていう風にoneで受けるんですね。
つまり特定の場合はhimで受けて、
不特定、非特定の場合はoneで受けるっていう風に
英語ではそういうとこに違いが出てきます。
さっきからちょっとunspecificって言ってますけど、
non-specificという方がよくあるかもしれません。
いずれにせよ。
英語の場合はですけど、特定かどうかっていうのは
定かどうか、definiteかどうかに比べると
そこまで精密に文法では表されてないです。
聞き手が知ってるかどうかっていう定性の問題は
さっきも言ったように関詞でそれが示されるのでかなりシステマチックですけど
それに比べると特定性の方はparticularとかanyとか
そういうのを使ったりとかhimで受けるかoneで受けるかっていうような違いはあるんですけど
定関詞みたいに特定関詞みたいなのがあるわけではないんですよね。
特定性と定性っていうのを結構注意深く用いる必要があって
お便りにあったように語学章とかでね
そういった用語が出てくることがあるかもしれませんが
それが正確に使われているかどうかも注意する必要があると思います。
実際特定性と定性ってかなり近いようなとこはあると思うんですけど
それでも別個の軸というか基準なので
だから理屈の上では
定性プラスマイナス特定性プラスマイナスの2×2で4通りあり得るわけですよね
定性プラス特定性プラス
定性プラス特定性マイナス
定性マイナス特定性プラス
定性マイナス特定性マイナスですかね
今多分全部言えたと思うんですけど
そういった状況が
そういった名詞がどういったものかっていうのを
ちょっと考えてみるのも面白いと思います
最後にもう1回言っとくと
定性というのは聞き手が知ってるかどうか
旧情報か新情報かという問題で
特定性というのは話し手がある特定のものを想定しているかどうかという
そういう2つの違いがあるというお話でございました
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします
お相手はシガ15でした
またねー