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#899 【音韻論】英語の複数形を制約理論で分析しよう! from Radiotalk
2026-09-29 11:56

#899 【音韻論】英語の複数形を制約理論で分析しよう! from Radiotalk

主要参考文献
Davenport, M., & Hannahs, S. J. (2020). Introducing phonetics and phonology (4th ed.). London: Routledge.

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今回のエピソードは、前回のエピソードの続きとなっております。 続きとなっているというか、ペアとなっているという感じなので、
先に前回の聞いてもらってもいいですけど、 今回の聞いてから前回の聞いてもらっても、どっちでもいいかなと思います。
前回のエピソードで何の話をしていたかというと、 英語の複数形の話をしてたんですよね。
英語の複数形は不規則でなければ、つづりの上では s がくっつきます。 これを複数節微字と呼んで、
この複数節微字は大きく3つのバリエーションがあるんですね。 cats のように s の音で実現するか、
dogs のように z という専門的には有声音として実現するか、 あるいは buses のように eという音が挿入されて is という音になるか。
この3つのバリエーションについて前回は、 派生理論という理論に基づいて説明したんですよね。
そこでは規則、ルールというのが順番に適用されて、 最終的な形になるというようなお話でした。
今回お話しする制約理論というのは、 規則ではなくて、その名の通り制約というのがキーワードです。
前回の派生理論は、さっきも言ったように規則の順番というのがあったわけですけど、
制約理論は順々に並ぶというよりは、 同時に処理するというようなイメージとしてはそんな感じです。
この制約理論は最適性理論と言い換えてもいいかなと思います。
英語だとオプティマリティセオリーと言って、 単にOTと言われることもあるんですね。
この最適性理論については過去に多分1回だけエピソードを 撮ったことがあると思うんですが、
今回はその制約理論に基づいて、 英語の複数設備辞を考えていきましょう。
BGM、行けい。
始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 政宗白鳥です。
前回の派生理論と今回の制約理論、 共通しているところもあります。
規定というのを考えて、そこからなんやかんやあって、 実現形となる、現実の形となるというのは共通しています。
そのなんやかんやの部分が異なるわけですが、 今回も前回同様ですね。
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複数設備辞の規定形をズーで考えようと思います。
キャットプラスズ、ドッグプラスズ、バスプラスズ、 それがなんやかんやあってキャッツドッグバシズになっているんですね。
前回ではそれを派生理論に基づいて説明して、 規則というのを主に2つ立ててですね、 その順番を考えたりしたわけですが、
制約理論では規則ではなくて制約というのを考えます。
一つ大きな制約として忠実性制約というのがあります。 これは平たく言えば規定の形のまんま実現しなさいという制約です。
これは犬の複数形ドッグズがわかりやすくて、 規定形はさっきも言ったようにドッグプラスズ、
実現形もドッグズとなっているので、 規定のまま実現していることになります。
これは忠実性制約を守っていることになるんですね。 インプットのまま忠実にアウトプットになっています。
もしインプットとアウトプットが常に同じであるなら、 制約理論もあるいは派生理論だって必要ないんですよね。
ただ現実はインプットに対してアウトプットが異なる、 規定と実現が異なるということがよくあります。
今回の例で言えば、 キャットプラスズなのにアウトプットはキャッズではなくてキャッツだし、
バスプラスズも母音が挿入された形でバシーズという形で実現しています。
つまりキャッツとバシーズは忠実性制約に違反していることになるんですね。
この制約理論、最適性理論では制約は違反してもいいものと考えます。
ここが少し特殊でかつ重要な特徴なんですが、 制約というのは破ってもいい。
ただし、制約がいくつかある中で制約同士のランキングがあって、
ランキングが高い制約に違反するのはまずいですが、 低いものについては多少違反してもいい。
そのように制約理論では考えます。
つまりキャットプラスズがキャッツになるのは、 忠実性制約に違反しているわけですが、
忠実性制約よりもさらに上位にある、 ランクが上の制約が存在するということなんですね。
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それは具体的にどういう制約かというと、 隣り合う親は優性性の面において一致しなくてはならないという制約です。
優性性というのは要は生体の震えを伴うかどうかということで、
2つ親が並ぶときに無性音無性音、 これは ok。優性音優性音、これも ok です。
両方無性音、両方優性音だったらいいんですが、 これが無性音優性音とか優性音無性音という並びになるのは
許されないという、そういう制約なんですね。 このような制約は広く優表性制約といって、
忠実性制約と常に攻め合っているようなものです。 優表性制約というのは
自然にそうなっちゃうというかね、 言語に関わらずどんな言語であっても
言語であれば自然とそういうふうになっちゃうよねという制約のことです。 なので人間の発音の
その自然な傾向として、 無性音の後には無性音が続きやすいし、優性音であれば優性音が続きやすいし、
シーンが連続していればそういうことが言えるということなんですね。 で、cat を見てみると
インプット規定は cat プラス ず でした。 で、これは
to という無性シーンの後にずという優性シーンが出てきているので、 今言った優表性制約に違反しているんですね。
もし忠実性制約が一番強い制約だとしたら cats になってもいいんですけど、
それよりも上にランク付けされている制約に 隣り合うシーンの優性性を一致させなきゃいけないという制約があるので、
実現形は cats となるんですね。 で、制約理論において
イメージというかね、考え方はいくつも候補がバーッと並んであるというような感じです。
ですので cats もあれば cats もあるし、buses と同じように caties というのも候補として上がっているんですね。
で、その無数の候補の中で一番マシな違反をしているものを最終的に実現させるということで、
cats が選ばれます。 cats は忠実性制約には違反してますが、他の候補に比べれば一番マシだということなんですね。
さて今度は bus の複数形 busies を考えます。 これもインプットは bus ぷらすずなんですけど、
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インプットアウトプットは母音が挿入されて busies となっています。 ですのでこれもやはり忠実性制約には違反していて、
もともと母音なんかなかったのに e という母音が挿入された形 busies でアウトプットされている、実現しています。
ここでもやはり有表性制約が関わっていて、 それはどのような制約かというと、
シビランとは隣り合ってはならないというものです。 シビランとは前回のエピソードでも取り上げたというかね、出てきた用語ですが、
札音と波札音の集まりで、具体的に言えば スーズ、シュージ、チージの音のことです。
で、これらの音が隣り合ってはいけないというのは 有表性制約ですからどんな言語でも共通して見られる傾向なんですね。
で、バスの場合はバスプラスズというのが規定としてあるわけですけど、 ここではスという摩擦音とズという摩擦音、
両方シビラントで、それが隣り合うことになってしまいます。 もし忠実性制約が一番強い制約だとしたら、バスズ。
発音しづらいですが、そのような形でアウトプットされるはずです。 シビラントを連続させてはならないという制約の方が強いので、
シビラントの連続を避けるために母音が挿入されて、バスズとなるんですね。
ここでもやはり無数の候補があるんですね。 極端な話、複数の設備字ズが単語の頭にくっつくようなズバースみたいなのも候補としては一応想定することはできるんですけど、
まるっきり忠実性を守れてないですからね。 普通は考慮しません。
そういったはちゃめちゃな候補も全部ひっくるめて、様々な候補の中から一番マシなバスズが選ばれます。
これも母音が挿入されているという点で忠実性制約には違反しているんですが、
それよりはシビラントが連続することを避けるということなんですね。
というわけで今回は制約理論に基づいて英語の複数設備字を考えてみました。
前回のエピソードまだ聞いてない方は聞いていただいたり、あるいは聞き直したりしてみてください。
番組フォローまだの方はどうぞよろしくお願い致します。 お相手はシガ15でした。
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