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始まりました、志賀十五の壺。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。原骨山のたぬきです。
机片付けといてと言われた時、これは二通りの解釈があるんですね。
まあちょっと気づきづらいかもしれないんですけど、
一つは、その机を移動させて、隅の方にやるっていうね。
こういった意味で机を片付けるっていう言い方ができます。
もう一つは、机の上が散らかってて、
で、その表面をきれいにしとけっていう意味で、机を片付ける。
両方言えるんですね。
まあこれなかなか面白いですよね。
で、これどういうことかというと、最初の方の解釈は、
その机っていうのを、
何というかな、対象として捉えてるんですよね。
移動させる対象として捉えています。
で、それが目的語として現れているっていうことなんですよね。
一方校舎の方は、机っていうのは場所として解釈されています。
だからより正確に言うんだったら、
何だろうな、机の上のものを、とかね、
そういったことですよね。
あるいは、お皿を机から片付けといて、みたいな言い方もできると思いますが、
どっちかというとこっちの方が、何ていうか異質っていうかね、
場所っていうのが目的語に現れているっていうことで、
まあちょっと考えると不思議なことかもしれません。
普通多動詞といった場合、何か動作を行う人、
物でもいいですけど人と、その動作が働きかける対象っていうのが必要で、
で、その動作を行う人が主語。
動作の影響を受けるものの方が目的語。
日本語だったらがとをでマークされるわけですけど、
そうやって表されるので、
テーブルの上をきれいにしろっていう意味のテーブルを片付けるっていう風に、
場所が目的語に出るっていうのはちょっと変わっています。
変わってますけど、そういった言い方が現実世界でっていうかね、日常的に使われています。
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この片付けるっていう動詞以外にも目的語が場所になる、逆か、
場所が目的語になるような動詞っていうのはあって、
例えば、ぬるっていう動詞ですね。
これはよくね、言語学で出てくるんですけど、
ペンキを壁にぬる。
これはさっき言ったように、
動作の影響を受ける対象、つまりペンキっていうのが目的語になっていて、
壁っていう場所がにというものでマークされています。
ある意味これが普通のっていうかな、
まあノーマルな文なんですけど、
これは別の言い方ができて、ペンキで壁をぬったという言い方もできます。
さっきまでをでマークされてた対象のペンキっていうのがでっていうのでマークされて、
場所の壁っていうのがをで表されて、壁をぬったとなってるんですね。
なのでペンキをぬった壁をぬった、
対象も場所もどちらも目的語として現れうるということになっています。
こういうの壁ぬり構文とか実際に言ったりするんですよね。
まあちなみに英語でも似たような構文はあって、
対象も場所もペンキも壁もどちらも目的語に現れうるっていうことがあります。
このね2つの文の違い、つまり壁にペンキをぬったと、
ペンキで壁をぬったの意味の違いがあるかって言われるとね結構難しいんですけど、
言われているのは壁にペンキをぬったの場合は、
まあ言ってみればペンキが壁に付着しているだけで、
ペンキで壁をぬったといった場合は壁全体の色が変わってないとダメっていうね、
そういったことが言われてますけど、僕はねあんまりピンときてないんですよね。
まあ言われてみればそうかなっていう気はします。
壁にペンキをぬった、ペンキで壁をぬった、
まあ母語なんでねちょっとわかんないですけど、一応そういったことがあるようです。
まあなんでこういうふうに壁みたいなね、場所を表す名詞が目的語になりうるかというと、
ぬるみたいな動詞がその文脈としてっていうかな、
場所っていうのを要求するような動詞だからと言えると思います。
まあ普通多動詞っていうのは、さっきもちょっと言いましたけど何か動作を行う人、
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その動作の影響を受ける人や物、この2つからなるんですけど、
ぬるっていう動詞はもう一つその場所っていうのが要求されるということで、
ぬるっていう動詞にとってはより必須な要素っていうことなんですよね。
まあだから目的語に格上げっていうかな、
まあそういう現象が起こるということができると思います。
まあ似たようなもので、場所じゃなくて道具なんですけど、
ライフルで熊を撃つ、このライフルっていう道具が目的語になって、
熊にライフルを撃つっていう言い方ができるのも、
まあ似たような現象と言えるんじゃないかなと思います。
この壁塗り公文と僕がちょっと似てるなと思ってるのは、
適用体と言われるもので、英語だとアプリカティブっていう言い方をするんですけど、
まあ過去にこのアプリカティブについてはね、エピソード撮ってるので、
概要欄のリンクから飛んで聞いていただけたらと思います。
これはどういうことかっていうと、
簡単に言うと、脇役の名詞が目的語になり上がる、書き上げされるみたいな現象です。
だからまあ壁を塗るみたいに場所が目的語になるっていうね、
まあそういったものとちょっと似てるなと思うんですよね。
でこの適用体、適用公文みたいなものは、
残念ながら日本語にはないんですけど、
アイヌ語とか、あとはインドネシア語とかね、こういった言語で見られると言われています。
まあ無理やり日本語風に考えると、場所が目的語になるので、
寝室で寝る、この寝室っていうのが目的語に書き上げされて寝室を寝るとか、
あるいは友達と行く、この友達とっていうのが目的語になって友達を行くとか、
あるいは道具が目的語になってトンカチで殴るがトンカチを殴るみたいに、
普通は脇役である名詞、場所とか、
随反射とか道具っていうのが目的語になるのが、
適用体、アプリカティブと言われるものです。
ただこの適用体とさっきの壁塗り公文と違うのは、
壁塗り公文っていうのは動詞の形が変わることないんですよね。
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ペンキを塗る、壁を塗る、両方塗るっていう動詞の形なんですけど、
適用体っていうのは、脇役が目的語になるっていうのもそうなんですけど、
普通動詞の形が変化が起こるものなので、
厳密に言うと壁塗り公文と適用体は異なるんですけど、
イメージとしては近いんじゃないかなと思います。
ぜひ関連エピソードも聞いていただけたらと思います。
というわけで今回はここまでということで、最後まで聞いてくださってありがとうございました。
また次回お会いいたしましょう。
お相手はしが15でした。
またねー。