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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
スネイツグトです。
今回のエピソードタイトルが、「英語の代名詞に格変化はあるのか?」という、少し堅苦しいタイトルになっております。
そもそも、格変化っていうのは何なのかというと、
主に名詞について言われるもので、名詞が文中での役割に応じて形を変えることを格変化と言います。
日本語には格変化はありません。
名詞自体の形が変わることはなくて、代わりに各助詞と言われるものが名詞にくっつくんですね。
主語だったらが、直接目的語だったらを、間接目的語だったらに、道具だったらで、みたいに、名詞自体の形は変わらないんですね。
では、英語はどうかというと、少なくとも普通名詞には格変化はありません。
主語の位置に出てこようが、目的語の位置に出てこようが、名詞自体の形は変わらないし、間接目的語や道具を表すときには、
to何々とかwith何々by何々みたいに、こういう全知識の助けを借りて、文中での役割を表してるんですね。
ちなみにインドヨーロッパ語と言われる、インドヨーロッパ祖語ですかね、と言われる英語の祖先の言語には格変化っていうのが豊富にあって、
他の、何て言うんですかね、古代語、古典語、例えばラテン語、ギリシャ語、サンスクリットなんかは格変化がかなり豊富にあります。
現代ではリトアニア語という言語が古いインドヨーロッパ祖語の格変化の形を残していると言われています。
それが各言語でだんだん減っていって、もともと7つあった格変化が、英語の一番近い親戚の一つである、姉妹言語の一つであるドイツ語では格変化は4つ残っています。
これはね、ドイツ語の場合は名詞の形が変わるというよりは、名詞の前の漢詞の形が変わっているので、
名詞本体というよりは漢詞の方で主語なのか、所有者なのか、間接目的語なのか、直接目的語なのかっていうのがわかるようになってるんですね。
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で、話は英語に戻って、ドイツ語には4つ残っている格変化が、英語には1つも残っていません。
名詞自体の形が変わることはないです。
しかし、普通名詞の形は変わりませんが、代名詞の形は変わりますよね。
主語の時はあい、所有者を表す時はまい、直接目的語や間接目的語を表す時はみい。
他の代名詞も同様に、まあいうとかはね、ちょっと形かぶってるものもあるんですけど、
主語でも目的語でも間接目的語でもいうということになってますが、
一応、英語の代名詞には格変化があると言えそうです。
実際、英語の教科書なんかでは、英語の代名詞に格変化があるっていうふうに書いてると思います。
それで、主格形とか目的格形みたいな言い方をしてるんじゃないかなと思います。
皆さんも英語を習った時に、表でね、代名詞の変化形っていうのを覚えていたと思うんですよね。
しかし、僕自身は英語の代名詞には格変化っていうものはないと思います。
代名詞の形が変わるのは、主語だから目的語だからとか言うんじゃなくて、
動詞の前なのか、それ以外なのかによって形が変わってるといった方が妥当じゃないかなと思います。
今ちょっと所有代名詞のmyとかyourとかいうのは置いといて、
Iとmeとかね、heとhimとか、こういういわゆる主格形と目的格形っていうのを考えていこうと思います。
こういった主張は、エドワード・サピアっていう最も偉大な言語学者の一人なんですけど、
エドワード・サピアっていう言語学者が100年前の《言語》という本の中で言ってるんですね。
これ岩波文庫で出てるんで、ちょっとね、最近手に入りづらいっぽいんですけど、ぜひ興味のある方は読んでいただけたらと思います。
で、サピアがその中で英語の代名詞の変化っていうのは格変化ではなくて、その位置によって決まってるというふうに言ってるんですね。
そもそも英語において何が主語で何が目的語かっていうのを表しているのは語順です。
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代名詞の変化では全く表していないと思います。
彼が彼女をぶったっていうのはhe hit herと言いますけど、これを語順を入れ替えてher hit heとかはとてもじゃないけど言えないんですよね。
つまり目的語同士主語っていう語順は普通英語では許されていません。
代名詞の形を目的語の形、主語の形に変えたからといって、SVOの語順を崩すことはできないんですね。
そういったことで、サピアはiとかheとかsheとかあるいはweとかこういったものは動詞前形。
meとかhimとかherとかusとかこういったものは動詞後形という言い方をしてますけど、
僕はね、もっと突っ込んで動詞前形と動詞前以外形ぐらいまでいってしまっていいんじゃないかなと思います。
というのが、動詞の後以外でも前知詞の後に出てくるのは必ずmeとかhimとかherとかusの方なので、
その出てくる文風としてはいわゆる主格形、iとかheとかこういったものの方が狭いんですよね。
つまり動詞の前というかなり限られたところに限定されています。
それに対していわゆる目的格、meとかhimとかこういったものは動詞の前以外だったらどこでも出てくるものっていう風に言えるんじゃないかなと思います。
iが動詞前形、meが動詞前以外形、あるいはそれ以外形ということができる証拠として、
he is taller than meっていう表現があるんですね。
これは基本的には、he is taller than Iっていう風に、thanっていうのは接続詞なので、後ろにくるのはiが正しいんですよね。
説明としては、he is taller than I amっていう動詞が省略されているという風に言われます。
ただ、そういう風に後ろに動詞が出てこないと、iっていうのは出てきづらくってthan meという言い方になっていると。
あるいはこのthanっていうのが接続詞じゃなくて前置詞だっていう説明もできると思います。
いずれにせよ、iっていうのは動詞の前限定の表現なので、thanないみたいなのはちょっと言いづらいっていうことだと思います。
あるいは私ですっていうのも、it's meみたいな言い方をするんですね。
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しかし、歴史的に見れば古い英語、具体的には朝鮮の時代というか、シェイクスピアより前の英語では、it am Iっていうような言い方をしてたそうです。
ただ、現代英語ではやっぱり動詞の後に来てるということで、iっていうのは使いづらくて、it's meみたいな言い方になってるんですね。
というわけで、今回の話をまとめると、英語の代名詞は各変化があるように見えて、実はそれは文中での役割を表しているというよりは、
位置によって単純に形を変えているだけと、そういったお話でございました。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。また次回お会いしましょう。
お相手はシガ15でした。
またねー。