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本日のエピソードのテーマは、高音理論です。 喉の音と書いて高音。
実は、この高音理論については、過去に2回ぐらいエピソードを撮ったことがあります。
シャープ703とシャープ765で、今回のシャープ872で、再び高音理論を扱います。
これはリスナーの皆さんのためというのももちろんありますけど、どちらかというと自分のためというか、
いかにこの高音理論というのをうまく説明できるかまとめられるかみたいなチャレンジ的な側面も多いにあります。
この高音理論というのは、インドヨーロッパ祖語、 その名の通りインドからヨーロッパにまたがるあらゆる言語の
共通の祖先の言語がどんな姿だったかということに関する理論で、
ソシュールという言語学者によって唱えられました。 ソシュールについてもね、この番組何遍も取り上げてますが、
そのあたりの話は置いておいて、この高音理論、実際にどういったことなのか、 掘り下げていきましょう。結構マニアックな内容になるんではないでしょうか。
概要欄に語形、単語の形を書いておきますので、ぜひそちらを見ながら聞いてください。 BGMです。
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 デニス・ロッドマンです。
先ほどお話しした通り、この高音理論については過去に取り上げたことがあるんですが、 それとはまた別の視点から高音理論の説明をしていこうと思います。
この高音というのは、これも繰り返しですけど、喉の音のことです。 具体的に言うとHみたいなハヒフヘホみたいな音だったんじゃないかと考えられております。
それが実際にどんな音だったかっていうのは、 定かではないというか諸説あるんですけど、
ソシュールはインドヨーロッパ祖母は喉の音、高音を持っていたんではないか、 そのように考えました。
それが高音理論だということなんですが、ソシュールのすごいところは、 その高音が現代話されている言語や、
あるいはサンスクリットなどの古い言語にも残っていない、 観察されないにもかかわらず高音の存在を想定したというところにあります。
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どんな言語にもインドヨーロッパ語族と言われる言語は山ほど言語があるわけですけど、
それにはサンスクリット、ギリシャ、ラテンといった古典語も含まれるわけですけど、
どんな言語にも存在していない音が祖母にはあったんではないかという、 かなり大胆な仮説ですよね。
ソシュールはなぜ高音というのを推定するに至ったか。
それはサンスクリットの動詞の変化形、活用を説明するのに、 何かしらの詩音、すなわち高音、Hみたいな音があった方が都合がいいんじゃないかというふうに考えたんですね。
サンスクリットっていうのは昔インドで話されていた古い言葉で、 きちんと書き言葉というか資料が残ってるんですよね。
そのサンスクリットは動詞の活用も含めてですね、 インドヨーロッパ祖母に近い形を残していると考えられています。
サンスクリットイコールインドヨーロッパ祖母というわけではありません。
サンスクリットよりもさらに古い時代にインドヨーロッパ祖母というのが存在していたと考えられていますが、
他の言語に比べれば古典語ということもあるので、 インドヨーロッパ祖母にかなり近い、そのように考えられます。
そのサンスクリットの動詞の活用で、動詞の語根、変わらない部分というかね、
動詞の語根が母音交代によって変化するということがあります。
いよいよマニアックになってきましたが、
母音交代っていうのは英語のsingの過去形がsangであったりとか、
書くwriteの過去形がwroteであったりとか、
そういうふうに母音の形を変えることで語形が変化するというタイプの言語なんですね。
サンスクリットの場合も、
例えば現在形と未来形で語根の形が変わります。
母音交代によって変わるんですね。
例えば、つなげるみたいな、joinみたいな意味の動詞であれば、
現在形はゆくっていうのが動詞語根です。
それに対して未来形の語根はよくです。
ゆくとよくで、うという母音とおうという母音で変わるんですね。
さらにここからマニアックになっていきますが、
このゆくとかよくっていうのがそのまんま使われるっていうことはなくって、
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例えば認証変化っていうのが必要になります。
英語で言うとこの三認証単数現在、三単元のsみたいなのがサンスクリットにもあって、
それは設備字のtっていうのがくっつくことになります。
さらに現在形はゆくっていうのが語根なんですけど、
その語根の間に接中字というのが入ってきて、
それがなという現在を表す接中字が語根の間に挿入されます。
結果として完成するのがユナクティみたいな形になります。
ゆくの間になというのが入って、
さらに三認証単数の設備字がくっついてユナクティ。
一方未来形の方は語根はよくなんですけど、
やっぱりよく単体で使うことはできません。
ただ現在形とは違って、
設中字っていうのはなくて、
よくの後に設備字がくっつくことになります。
シャンみたいなサンスクリットにあるソリジザオンの設備字がくっついて、
さらにその後さっきと同じtという三認証単数の設備字、
三認証設備字がくっついてヨクシャティというような語形になります。
彼は結ぶ、彼は繋ぐという現在形はユナクティ。
彼は繋ぐだろう、結ぶだろうという未来形だったらヨクシャティとなるんですね。
では別のサンスクリットの動詞、
清めるという意味を見てみると、
彼は清めるっていう三認証単数の主語の現在形の場合、
プナーティという形になります。
プナーティのtの部分、
これは三認証単数の現在の主語の標識だっていうのはわかるんですよね。
たださっきのユナクティと違うのは、
一つはプナーティっていうこのナーっていうのが長母音になっています。
繋ぐ、結ぶの方はユナクティ、ナーという単母音で、
清めるの方はプナーティという長母音。
ただ母音が短いか長いかの違いだけじゃないかと思われるかもしれませんが、
これが非常に高音理論においては大事なんですね。
さっきの彼は結ぶという現在形のユナクティはユクっていうのが五根で、
そのユク、子音母音子音の最後の母音と子音の間にナーというのが入っていたんですよね。
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それに対して彼は清めるプナーティの方は、
このナーっていうのがプという新母音の後にナーというのが出てきています。
ソシュールが考えたのは、このプナーティっていうのも実は
PUXという何らかの子音があって、そのPUの後にナーというのが入って、
プナXTというような語形だったんじゃないかと考えました。
これはユナクティっていうのがYUKの最後のUとKの間にナーが入っているっていうのと、
同じように平行的に考えられるということです。
つまりどちらも動詞の五根としては新母音新というこの3つの要素で成り立っているということですね。
プナーティの方はそのPUX、この謎の新Xが接中時のナーに作用して、
その結果ナーという長母音になり、プナーティとサンスクリットではなってしまったと。
新音自体は消えてしまったんですが、その新音の影響、母音に与えた影響、つまり長母音化というのが後々残っているというふうにソシュールは考えたんですね。
本当はこのプナーティに対する未来形、清めるの未来形についても考えなきゃいけないんですけど、ちょっと時間的に厳しそうですね。
ざっくり言うと未来形の方ではこの謎の新Xっていうのは母音のEとして実現することになります。
謎の新X、それが高音、喉の音なわけですけど、
それがあるときは別の母音を長音にしたりとか、またあるときにはEとして実現したりとか、
そのせいでサンスクリットの動詞の変化形っていうのは一見不規則に見えるんですけど、
それは高音Xっていうのを想定すればきれいに解決できるということなんですね。
ぜひ関連エピソードも今回合わせて聞いてみてください。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローまだの方はよろしくお願いいたします。
お相手はシンガ15でした。