冷却です。
冷却装置、現場の発熱対策、頭の冷やし方などなど、
冷却をテーマにものづくりの話を語りましょう、というお題でございます。
いやー、もうね、これ語りたいこといっぱいあるんですよ。
ものづくりは熱との戦いと言っても過言ではない。
それほど熱をどう逃がすかとか、熱をどう取るか、
この設計が非常に難しいんですよ。
今回は私が機械設計の実務の中で経験した、
冷却にまつわるお話をいくつか紹介したいと思います。
というわけで今日のテーマはこちら。
設計は熱との戦い。
工作機械と冷却の話。ものづくり系ポッドキャストの日。
まずはじめに、あなたは熱膨張ってご存知でしょうか。
まあ、中学校の理科とかでよくやりますよね。
特に機体なんかで実験しますけど、
熱するとどんどん体積大きくなるよ、という現象です。
もちろん機体にかかわらず、個体でもその現象は起きます。
それも中学校の実験とかでやりますよね。
鉄の球をアルコールランプとかで熱して、
さっきまでスルスルと通ってた穴に通らなくなるよ、みたいな。
球がでっかくなっちゃった、みたいなやつです。
温度によって寸法が変化する。膨張する。
それが熱膨張です。
あらゆる素材で熱による寸法変化っていうのは起こるんですけども、
実際の変化量は微々たるもんなんですよ。
ああ、今日めっちゃ暑いから金属めっちゃでかくなってんな、
っていう日ってないですからね。
目で見てわかるほどじゃないんです。
それほどにわずかな変化をするということです。
よく製造業なんかで合言葉みたいに使われる言葉があるんですけど、
それが1度1メーター12ミクロンという言葉です。
もう一回言いましょうか。
1度1メーター12ミクロン。
今日はこの言葉だけでもぜひとも覚えて帰ってください。
これは熱膨張の長さを覚えるための言葉です。
鉄系の材料は温度が一度上がるたびに1メーターにつき
12ミクロン大きくなるよ、ということです。
12ミクロンというのは12マイクロメートル、
0.012ミリメートルのことですね。
そう言われた方が直感的にわかりにくいかもしれないんですけど、
目で見てわかるほどではないよということです。
当然材料の元の長さでも伸びるよう変わって、
2メーターの材料が一度温度が上がったら
12ミクロンの倍、24ミクロン分だけ寸法が伸びるということです。
これが例えば1メーターの材料が2度温度が上がっても
12ミクロンの倍、24ミクロン伸びます。
それが1度1メーター12ミクロンという指標の意味です。
これはあくまでも大まかな目安なんですけど、
鉄系の材料が温度でどれくらい寸法が変わるかというのは
これで覚えることができます。
7.012ミリメートルと。
まあパッと聞いた感じではめっちゃわずかだなという印象だと思います。
が、私は機械設計者なんでこの数字は小さいなとは感じませんね。
ちょっと話題それるんだけどさ、よく言われる話なんだけど
テレビとかで製造業が紹介されるときに
いや、1ミリのズレも許されないんですよ!
なんてね、そういう言葉で紹介されるわけです。
コメンテーターとかがさ、
いや、1ミリもズレちゃダメなんてすごい精密ですね!
みたいなことを言うわけです。
精密!なんてコメントするんですけど、
ものづくりに関わっているものからしてみたら
1ミリズレたらもう別物です。
物によりきりなんですけど、もう致命傷ですね。
例えばさ、ケーキを作ってるとするじゃない?
ケーキを作ってて、
あー間違えてタバスコ入れちゃった!ぐらいのズレです。
1ミリの寸法のズレっていうのは。
それだけ致命的大きく違うということです。
だから、1ミリじゃなくてね、
100ミクロンとか10ミクロン違うっていうのも
感覚的にはスプーン大さじ1杯を2杯入れちゃったぜ!
ぐらいの違いはあるんですよ。感覚的な話ね。
つまり言いたいことは、
そういう小さい寸法も決して微々たるもんじゃないんだよ!
ということです。
ここで話を一旦戻しますけども、
その微々たるものじゃない寸法の変化が
温度によって起こってしまうわけですね。
そうすると機械を設計する方も非常に困るわけです。
例えば、私は本業で工作機械という産業機械を作ってます。
工作機械っていうのは、
金属を削って部品を作る機械ですよね。
この番組の中でも散々説明してきてますけども、
で、工作機械なんて呼ばれているんでしたっけ?
そうです。マザーマシンって呼ばれてるんですね。
あらゆる機械の部品を作る機械、
それが工作機械です。
工作機械から生み出された部品が組み合わさって、
別の機械が作られる。
そしてその機械がまた別のものを生み出して、
我々の手元に届くんです。
私たちの生活を支えるあらゆるもの、
その源流をたどると、
大元には必ず工作機械がいるんですね。
故に全ての機械を生み出す機械のお母さん、
母なる機械、マザーマシンと呼ばれているという話を
もう何回したことかという感じなんですけど、
初めて聞く人はですね、
そういう素晴らしい機械があるんだということを念頭に置いておいてください。
そしてこの工作機械にはとある原理があるんですね。
それが工作機械の母性原理というものです。
これは工作機械で作られた部品の精度は、
その機械自身の精度に依存して、
それを超えることはできないという原理です。
つまり、精度の悪い、質の悪い工作機械からは、
どんなに頑張っても質の悪い部品しか生まれないよと。
良い部品を生み出すためには、
精度の高い良い工作機械を作る必要があるんだという原理です。
まあ言ってしまえば、
カエルの子はカエルということですね。
だから工作機械自体、すごく精密な加工で、
ビシッと寸法を出た部品を組み合わせたりとか、
あと擦り合わせっていって、
職人さんが微調整に微調整を重ねながら、
機械の精度を作り出していくと。
そういうことをして作っているんですね。
そうすることで初めて精密な加工をする工作機械が作り出せるわけです。
が、がね、
そういった努力を一気に打ち消してくれるのが、
温度なんですね。
どんなに一生懸命作っても、
部品の温度が上がってしまったら、
その厳密に作り込んだ精度のバランスというのが、
崩れて台無しになってしまうということもあるんです。
積み上げてきた精度がもう崩れてしまう。
それこそ、ケーキにタバスコをかけるようなもんですよ。
よって、そうならないために冷やす。
冷却っていうのが大事になってくるんですよ。
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工作機械ってね、いろいろと機械自体を冷やす機構が付いてます。
例えば、軸心冷却と呼ばれるもので、
工作機械ってね、ボールネジっていう機械要素で機械自体が動かされてます。
これボールネジってどんなものかって言ったら、
めちゃくちゃでかくて長いネジだと思ってもらえればいいんですけども、
すごい長いネジだから、変形しやすいんですよ。
1度1メーター12ミクロンってさっき言ったじゃないですか。
だからこの1メーターの部分が3メーター5メーターになったら、
すごくちょっとした温度変化であっても大きく変異してしまうんですね。
だからそういったネジの中心部には穴が開いてまして、そこに冷却水を流してます。
こういうのを軸心冷却って言います。
また主軸っていうね、
工作機械には金属を削る工具がありますから、
その工具をくっつけてぶん回す部分があるんですけど、
そこもやっぱりやたら発熱します。
毎分1万回転とかで工具をぶん回したりするから、
電気も使うし、摩擦とかでもね、とにかく発熱するわけです。
そこの発熱が機械全体に伝わると、
もうどんどんどんどん熱で変異してしまって、
精度の良い加工っていうのができなくなってしまうわけですから、
主軸冷却と言ってですね、
そのめちゃくちゃ発熱する主軸のユニットも、
冷却水を流して冷やしてます。
そうやって温度をコントロールしているんですね。
実は機械だけじゃなくて、
加工の対象となる部品も冷却しています。
工作機械の中では、実際にね、
金属の塊が他の工具でガリガリ削られて、
部品の形になっていきます。
その金属を金属で削るっていうね、
その瞬間にやっぱりものすごいエネルギーが発生するから、
部品自体も温度がガンと上がるんですよ。
だからこそ、加工する瞬間に切削水というですね、
水をかけながら、冷やしながら削っているんですね。
ちょっとぶっ飛んだ加工だと、
液体窒素を噴射しながら金属を削るなんていう技術もあります。
これはね、実用化されてたかどうかはちょっと覚えてないんだけど、
基盤技術としてそういう研究はされてました。
極低温切削っていう名前だったかな。
一応ね、そういう加工もあるんですよ。
まあまあそれは特殊な事例ではあるんですけども、
基本的には、機械を冷却しましょうってなった場合は、
機械の内部ですね、金属とかに穴を開けて、
そこに回路を設けて、その穴に冷却水を流して熱を取っていくと。
そういう冷却をよくやるんですよ。
もちろん空冷って言ってさ、冷却フィンみたいなのを付けて、
風を当てて熱を取るっていうこともやってる部分はあるんですけど、
基本的には液体を流して水冷してます。
機械の中にチラーユニットっていう熱交換器があって、
そこにポンプも付いてるんで、そこから液体を循環させて、
機械の中から熱を取ってきて、そのユニットで排熱するという、
そういうサイクルで機械自体を冷やしているんです。
ただ、この冷却回路の設計ってすごく難しくて、
私も何度もやったことがあるんですけど、一度失敗したことがあるんですよ。
具体的にどういう形かっていうのは言えないんだけど、
めっちゃ発熱するモーターを使った設計をしたことがあるんです。
そのモーターもとんでもなく発熱するっていうのは分かってたんで、
モーターの周りに冷却ジャケットっていう、
螺旋状に冷却水がぐるぐる回っていくっていうジャケットを付けて、
モーター周りに水をぐるぐる回して、それで熱を取ってこようっていうユニットを設計したんですよ。
手計算ではあるんですけど、
おおよそこのぐらいの水を流せば、これぐらいの熱は取ってこれるだろうっていうのを計算して、
それで形状とか設計して作っていざ評価してみたんですけど、
これがびっくりするぐらい全然熱が取れないんです。
冷却水のイン側とアウト側で温度差を測ると、どれくらい熱が取れてるかって分かるんですけど、
あんまり熱の差がなくて、全然熱を取ってこれてないと。
でもモーター自体は発熱してるんですね。
いやなんで熱取れねえんだろうと。
うわーやばい失敗したかも積んだと思っててさ。
だってそんな物々しい冷却ジャケットを一から作り直せないんでね。
いやどうしようかなと思っていたんですけど、
実は設計自体はそこまで間違ってなかったんですよ。
熱が取れてない理由すごくシンプルでした。
すごくシンプルなんですけど、ちょっと複雑な理由で温度が全然取れてなかったんですね。
その理由は流量なんですよ。
つまりは水を流す量が足りなかったんですね。
厳密に言えば水を流す速度なんですけど、
いやそんな単純なことかいと思うでしょ。
それは水を流す量が少なければ温度取れないよ。
なんとなく直感的にはそう思うじゃないですか。
でも実はこの話ってちょっとだけ奥が深いんですよ。
いっぱい水流せばいっぱい冷えると。
なんとなくそんな感じするけど、実はそういう単純な話じゃない。
温度を取ってこれる量っていうのが流せる水の量と比例してるかって言ったらそうではないんですよ。
ただとある基準を境として冷やせる冷やせないが明確に変わるんですね。
そういうポイントがあるんです。
それが何かっていうと相流と乱流というものです。
相流の相っていうのは1相2相とかね、お存相とかの相ですね。
相の流れと書いて相流。
乱流は乱れた流れと書いて乱流です。
流帯っていうのは流す速度、流速によって流れの種類が変わるんです。
遅く流していると相流っていうね、すごく綺麗に相乗に整った流れで液体って流れていくんですよ。
一方で早い流れだと乱流っていうね、もう流れの中で管路の中でぐちゃぐちゃと乱れた流れになります。
この乱流と相流を分ける基準となるのがレイノルズ数というものです。
流帯力学やったことある人は今懐かしいってなったかもしれないんですけども、
水の流れってねこのレイノルズ数を計算してあげて一定以上のレイノルズ数であれば乱流だし、
一定以下であれば相流になるということがもう分かっているんですね。
じゃあこの相流と乱流とやら、冷却とどう関係あるのかといったらこれ大ありなんですよ。
結論から言うと相流は非常に冷却効率悪いです。
乱流は冷却効率がいいんですね。
だから冷却回路では水の流れが乱流になるように設計しなければならないんですけど、
私が作ったユニットだと水の流れが足りなくてその冷却ジャケットの中の流れが相流になっていたんですよ。
だから全然熱取れなかったんです。
液体ってさ綺麗な層になっているとその層の間って熱が伝わりにくいんですよ。
これなかなか言葉で説明しても分からないんですけど、直感的に分かりやすく言うとさ、
最近サウナとかって行ったことあります?
サウナ入った後に水風呂入りますよね。
いわゆるそれで整うわけですけど、水風呂入った時にじっとしていると水風呂の温度感じなくなりません?
最初入ると冷たーって感じなんだけど、じっとしているとすぐ平気になりますよね。
なんか包まれている感じするじゃん。
あれってまさに水の層に包まれている状態で体の熱を吸って自分の体の周りに水のぬるい層ができているんですよね。
流れがなくて綺麗な層になっているからそこの層の間って熱伝えにくいんで水風呂の中でも寒さを感じなくなるんですよ。
これが例えば水風呂の中で激しくのた打ち回ったらどうですか?
すぐに冷えますよね。寒くなるじゃないですか。
バチャバチャバチャバチャってずっと動いてたら溜まったもんじゃないと。
これが乱流と送流の冷却のイメージの違いです。
厳密じゃないですよ。厳密ではないんですけど、なんで乱流だと冷えるのかと送流だと冷えないのかっていうのはなんとなくこの例えでわかると思います。
私が作った冷却回路は例えるなら水風呂でじっとしているような冷却回路だったんで、別に水に使っているわけじゃないんだけどね。
だからもっと冷やしたいなったらもうナルト海峡の渦潮がごとくかき回しまくったような水を流さなければならなかったんです。
最終的にはその冷却回路に入れる水の量を増やしてですね、うまく乱流を発生させて冷却することができました。
シンプルに冷却回路ってさ、穴開けてその中に水通せばいいよねって思うかもしれないんですけど、
実はその中の水の状態、流れの状態が送流になるのか乱流になるのかっていうのを計算してちゃんと設計しなければいけないんですね。
もちろんね、これ基本的な考え方なんで、私も冷却装置設計するときは乱流になるようにって計算はしてたんですけど、
思ったよりも流量流れてなかったよっていうことでこういうことが起こったんですね。
それに気がつかなくて、うわ冷えねえなーってなってたというお話でございました。
だから実際に冷やそうといっても、実はいろいろと原理原則があるわけですよ。
いやーなかなかこれ奥深いですよね。
最後ちょっと熱に関する工作機械のトラブルあるあるを紹介したいと思います。
ちょっと問題形式で出しますんで、あなたもぜひとも考えてみてください。
とある工場の工場長は悩んでいました。
部品を生産してるんですが、とある一定の割合で必ず不良品が出てしまうんですね。
毎日必ず同じぐらいの割合で同じように寸法のずれた不良品ができてしまうと。
おかしいなーと思ってロットを確認すると、どうやら3時から4時の間にその不良が発生していて、
その時間を過ぎるとまた元の良品に戻るようだ。
一体何が起きているのでしょうか。
という問題です。
じゃあシンキングタイムです。
考えてみてください。
一体これ何が起きてるんでしょうね。
ちょっと雑談するんですけどね。
本当はこういう問題を集めて、海ガメのスープみたいな企画やりたいんですよ。
海ガメのスープっていうのは、イエス・ノーの質問をしながら答え探っていくってやつね。
私さ、ゆる言語科学ラジオとか、ゆるコンピューター科学ラジオ大好きなんですよ。
あの番組の中の人気企画に、うんちくLA科クイズっていうのがあるんだけど、あれめちゃくちゃ面白いよね。
あのフォーマットを丸パクリしてさ、物作り版で一回やりたいんですよ。
絶対楽しいと思うんですよ。
だからなんかね、面白い問題になりそうなものを収集はしようかなと思ってるんですけども。
あのね、いつかやりたいね。
ただ相方がいないんでね、ちょっと問題出す相手がいないんですけど。
まあそのあたりはね、工業高校農業部の牛若さんとかマスボウさんとか、
あと高橋クリスのFAラジオからね、高橋さん呼んじゃったりして、
まあなんかやろうかなと思いますね。勝手に名前出してますけど。
まあちょっとそういう物作りのさ、クイズ企画やりたいよね。
どっかでさ、この物作り系ポッドキャストの日のテーマ、クイズとかにしようかなと。
個人的には思ってますよ、というところでシンキングタイム終了です。
まあ雑談混ぜちゃったんで、問題すらもはや覚えてないかもしれないんですけども。
皆さんなんとなく答えわかりましたか?
とある時間に限って不良品が出てしまう。それはなぜでしょうか?という問題です。
まあ答えを言いましょう。正解は日の光でございます。
その工場は3時になると天窓から日の光が入ってしまって、
工作機械の一部にその日が直撃するようになってしまっていたんですね。
だからそこが日の光で熱されて温度が上がることで機械全体のバランスが崩れて不良品が出てしまったと。
時間が経って日の角度が変われば日が当たらなくなるんで、機械は冷えて元の状態に戻るので不良品が出なくなったというお話です。
日の光でね、そんだけ変わっちゃうんですよ。
実はこれね、工作機械あるあるで結構ね日が当たって精度が出てませんでしたなんてことがよくあるんです。
しかもねこれ案外気がつかないのよ。正面から見ても全然見えなくてわかんないんだけど、
裏回ってみたらなんか日が入っててそこに当たってたなんてことがねよくありますからね。
あとよくねあるもう一つのパターンが排熱です。
工作機械ってさ、一台じゃなくて工場に複数台並べておくんですけども、置き方が悪いとさ、隣の機械の排熱が横の機械に直撃しているなんてこともあるんですよ。
これタチが悪いのが、日の光ってさ、あそこに日が当たってんねってわかるんですけど、排熱って目で見えないから、
実際にさ、その排熱当たってるねって気がつかない限りそのトラブル解決できないんですね。
より気がつきにくいトラブルなんですね。
この排熱関係で言うとね、一個ねひどかったのがあって、隣の機械の排熱当たってるよーとかだったら、
まあまだいいとは言わないけど、まあわかるんですけど、自分の排熱で機械がやられちゃって精度が出なかったっていうパターンもあったんですよね。
でこれね、別に設計が悪いわけじゃなくて、冷却ユニットっていうのを提供しているメーカーがダメだったんですよ。
これね、何があったかっていうと、サイレントチェンジされたんですよね。
サイレントチェンジっていうのは、勝手に形とか仕様を変えられるってこと。
機械ってさ、別に全てを自分で設計するわけじゃなくて、ユニット単位で他の会社から買ってきて、自分の機械につけるっていうこともするわけです。
特に熱交換器なんて、自分たちでいちいち内製してたらお金と時間かかるだけなんで、
持ちは持ちはで、そういう機械を作るのが得意なメーカーから買ってきて、自分たちの機械に乗っけるんですね。
サイレントチェンジっていうのは、そうやってよそから買ってきているユニットの部品の形とか仕様を、メーカー都合でしれっと変更されちゃうっていうことです。
基本的にはさ、売ってる相手に対して、ここ変更しましたよっていう変更の報告義務はあります。
こうやって変えますよって、変更しましたよとか変えますよっていう義務ですね。
これこれこういう理由で変更しますけど、変わった後でも性能には変化ありませんよとか安心ですよって報告を出してもらって、
実際にそれで問題がないことを確認した後に、新しい形式を発行してもらって品番登録するというみたいな手続きがいろいろとガチャガチャ発生するんですね。
でもまあぶっちゃけそれってめちゃくちゃ手間だから、しれっと変えちゃえって言って、
販売先に何も言わずに仕様とか形を変更してくるっていうことがたまにあるんですよ。
なーにーって感じだよね。あるんです本当に。
日本のメーカーはよっぽどないけど、海外のメーカーとかね、よくやってくるのよ。
話を戻すとですね、機械を冷やすための冷却ユニットでサイレントチェンジを食らったことがあって、
何が変わったかって言ったら、排熱用の冷却ファンの形をちょっとだけ変えてきたんですよ。
羽が増えたか減ったか忘れちゃったんですけど、前付いてた羽の形じゃない形のものを付けてきてたんですね。
理由は多分コストダウンとかなんとかだと思うんですけども、
その変更によってですね、もともと排熱の方向には何もなかったんですけど、
ファンが変わったことで排熱の方向が全体的に広がっちゃって、
そして運の悪いことに工作機械の異物、だから工作機械の本体、ボディの部分に排熱がちょっと当たっちゃってたんですね。
それにより熱されて精度が狂ってしまったということです。
なんかこの機械からおかしいなぁと、今までこんなことなかったのになぁ、なんだなんだと調べた結果ですね。
なんかここあったかいみたいな、なんでこのファンの形状が前と変わってるんだというふうに気がついたというお話です。
すごい繊細でしょ機械って。
ちょっと温まっちゃうと、全体的に温まるだったらまだいいんですけど、
クロージングトークです。
熱つながりで最近起きたトピックをちょっとお話しさせてもらうと、
私が今開発しているおもちゃの旋盤っていう子供向けの工作機械があるんですけど、
熱で溶けました。
会社がね、ワークショップで使いたいって言ってたから貸したんですけど、
運搬中の車の中に放置された結果ですね、車の温度に耐えきれずに溶けてしまいました。
4台貸してたんですけど、4台とも全滅でしたね。
全て壊れるという結果になってしまったわけですが、
熱いからね最近ね、ちょっと涼しくなってきたかなと思うんですけど、
まだまだ夏は続きそうですから、皆さんもね、ぜひとも気をつけてくださいね。
私のおもちゃの旋盤ってね、PLAっていう樹脂で作ってたんですけど、
PLAって柔らかくなる温度が60度なんですよね。
真夏の車内って60度余裕で超えてくるから、そんなところに置いておいたら変形しちゃいます。
この投稿ね、Xにも投稿してますんで、気になる方はぜひ見てみてください。
概要欄にリンク貼っておきます。
せっかく壊れたんで、これをポジティブに捉えてですね、またブラッシュアップして作り直していこうと思うんですけども、
ここからちょっとお知らせです。
10月4日、5日土日ですね。あと1ヶ月ちょい後。
東京ビッグサイトにて行われるメーカーフェア東京2025におもちゃの旋盤出展いたします。
去年も出展したんですけど、今年も出展します。
メーカーフェアっていうのは趣味のものづくりの祭典でして、
全国から変態技術者たちが集まってですね、自分のものづくりを見せ合うというめちゃくちゃ面白いイベントです。
私は今回、支部長技術研究所として出展しております。
結構大きく設計変更した、ブラッシュアップしたおもちゃの旋盤を出展しますんで、
もしもそのタイミングで東京遊びに来れる方いたらですね、ぜひとも遊びに来てください。
もう一度言いますけど、10月4日、5日土日です。東京ビッグサイトで行われるメーカーフェア東京2025でございます。
イベントのリンク概要欄に貼っておきますので、ぜひともお待ちしております。よろしくお願いします。
というわけで、今回はここまでとさせていただきます。
私は支部長技術研究所という技術部門を運営しています。
周知更新を目標に更新しておりますので、そちらもぜひ覗いてみてください。
また、Xで毎日役立つ技術情報の発信を行っております。
朝7時20分、夕方18時20分に必ず投稿しておりますので、そちらもチェック、よかったらフォローしていただけると嬉しいです。
また、ものづくりの視点というボイシーでの音声配信もやっています。
こちらは月曜日から金曜日まで、プラス日曜日の収録で配信中です。
10分ぐらいで聞けるものづくりの話ですので、ぜひそちらも聞いてください。
あと、おまけで言っておくと、最近、ものづくりの視点のノート記事化を始めました。
単純な文字起こしというよりは、ちゃんと記事として仕上げておりますので、
ぜひともノートの方もフォローしていただけると嬉しいです。
また、このものづくりのラジオ、いいなぁと思っていただけたら、
番組のフォロー、また各ポッドキャストアプリにて評価の方もぜひともよろしくお願いします。
あと、★5評価つけていただけると非常にモチベーション上がります。
皆さんが2秒でできる私への応援となりますので、よろしくお願いします。
というわけで、今回はここまで。以上、地部長でした。ではでは。