どうも、しぶちょーです。
ものづくりのラジオは、産業機械の現役エンジニアである私、しぶちょーが、
ものづくりに関するトピックをザック・バランに語るポッドキャストです。
皆さんは、イグノーベル賞って知ってますか?
ノーベル賞のパロディーとして毎年開催されていて、ユニークで面白い研究を表彰するという賞です。
ユニークで面白いっていうのは、まあまあオブラートに包んだ表現で、
はっきり言うなら、頭のネジが一つ飛んじゃってるんじゃないかというほどぶっ飛んでいたり、
なんでそんなことするの?と思うようなね、一見ふざけてるようにしか見えない研究を行っていたりと。
とにかく、人とは違う独自の創造性で、人々を驚かせた人が得ることができる。
名誉あるかないかはさておき、そういう賞がイグノーベル賞です。
イグノーベル賞ではね、いろいろな分野の研究が表彰されているんですが、
もちろん、ものづくりに関わる工学部門でも多くの受賞があります。
今日は、なんでそんなものを作ったのかと思わずツッコミを入れたくなるような、
イグノーベル賞のものづくりに、ツッコミを入れながらね、紹介していきたいと思います。
イグノーベル賞に関してはね、このラジオでも過去回で紹介しています。
第50回では、クモの死体からロボットを作るというね、去年受賞した研究を紹介しています。
この研究もね、かなり面白いんで、もし聞いてないよっていう人がいたらね、ぜひとも聞いてほしいエピソードです。
あとね、この番組の兄弟番組、ボイシーで配信しているものづくりの視点の方でも、
このイグノーベル賞の紹介結構やってて、割と好評なんですね。
今日は、ちょっとボイシーで取り扱ったトピックのリメイク的な部分も多いんで、
ものづくりの視点を聞いてくれている人は、
あ、この話一度聞いたことあるなと思う人もいるかもしれないんですけど、
何度聞いてもね、面白いのがイグノーベル賞の研究ですんで、
そこはね、頭を一回リセットしてもらって楽しんでいただければと思います。
というわけで、今日のテーマはこちら。
ものづくりのイグノーベル賞を紹介、ぶっ飛び研究4選です。
それではね、ぶっ飛んだものづくりの世界へ、いざ行きましょう。
本題に入る前に、まずイグノーベル賞の歴史をさらっと学んでいきましょう。
イグノーベル賞は、ノーベル賞のパロディーとして、
人を笑わせ、そして考えさせられる研究に対して贈られるものです。
1991年から行われていまして、毎年9月に受賞者が発表されています。
結構ね、歴史は長いんですよ。
僕がね、1989年生まれなんで、イグノーベル賞はね、僕の2個下です。
だから今年で33歳ですかね、イグノーベル賞は。
こんな感じでね、結構歴史は長いんですが、
当たり前ですけど、本家のノーベル賞とは全く関係のないパロディーの賞です。
ただね、それがもうそんだけ長く続いてるっていうのはなかなか面白いですよね。
このイグノーベル賞はね、ただ面白いってだけではダメで、
笑わせて、そして考えさせられる研究じゃないといけないんですよ。
そこが結構ミソなんで、今日はね、ただ面白いよってだけじゃなくて、
どこのあたりが考えさせられるのかもきちんと解説していきたいと思います。
では早速紹介していきますけど、まず最初は、
2020年に材料工学部門として受賞した研究、これを紹介します。
この研究では非常に特殊な材料を使ってナイフを作ったんですね。
で、それが役に立たないということを証明して、イグノーベル賞を受賞してます。
そしてハエある受賞理由がこちら。
人の代弁を凍らせて作ったナイフが役に立たないことを実証した。
ということでね、なんでやねんと。
早速ですよ、いろいろと様子がおかしいですね。
さすがにね、ちょっとあのツッコミどころしか今のところはないんですけど、
さすがイグノーベル賞と言えますね。
人の代弁を材料と捉えて研究したということです。
代弁を材料と捉えるなんて、そんな視点でね、考えたこともなかったです。
ちょっとね、本当に食事中の方がいたら本当に申し訳ないんですけど、
しばらくね、代弁の話続きますんで、
食事が終わった後にですね、聞いていただいた方がいいかもしれません。
ただですね、当然この研究単なる思いつきでやったわけではなくて、
ちゃんとね、なぜやったかという背景があります。
まずですね、カナダの北部などの氷雪地帯に住む先住民族で、
イヌイットと呼ばれる人たちがいます。
でね、彼らの中で代々語り継がれている逸話というものがあるんです。
イヌイットの人々は氷の上で生活をしていたんですが、
色々と理由があって移住を余儀なくされてしまったんです。
でもね、とある老人がどうしても移住は嫌だと、
ここに住み続けたいんだとね、ごねたんです。
どんなに説得してもね、その老人は納得してくれなかったんで、
その老人の家族は強行手段として、
その老人の生活に必要な道具をすべて取り上げて、
移住せざるを得ない状況にしたんです。
だからね、氷の上に体一つみたいなもんですね。
かなりパワープレイですけど、
まあそういう感じでね、強制的に移住せざるを得ない状況を作ったんです。
しかしですね、その老人はなんと何も道具がない中で、
自らの台弁を凍らせて、それを研いでナイフを作って、
そのナイフを使って動物を殺して、さらにね、解体して、
骨も削って、ソリを作って逃げたと。
そういう伝記が残ってるんです。
で、それがノンフィクションの話として有名で、
逸話として広がってるんですね。
普通はその話聞いたらね、
ああ、イヌイットの一族すげえなってなるんですけど、
好奇心の塊の研究者たちは、その話を聞いたときに、
本当かとなったんです。
そこで研究者たちは、その話の信憑性を確かめるために、
実際に台弁からナイフを作って、
そのナイフの特性や性能を評価してみようじゃないかと、
いう研究を行ったんです。
何が彼らをそこまで借り立てるのかっていうのは、
彼らのみぞ知るところでしょうけど、
そうやって台弁ナイフを作るっていう研究をね、
かなり真面目に行ったんです。
詳細の研究成果をさらっと紹介しますが、
まずね、一番大事なのは、ナイフの原料の確保です。
これはね、研究者の一人が8日間、
イヌイットの人々と全く同じ食事をとります。
そして4日目からサンプルを採取して、
まあだいぶね、オブラートに包んだ言い方ですけど、
サンプルを採取して、5日間連続でサンプルを取得して、
それをセラミックの型を使ってナイフの形に成形して、
マイナス20度で保管して、さらにその台弁ナイフを研いで、
マイナス50度のドライアイスで凍結と。
これでね、台弁ナイフの完成です。
あとはあらかじめ準備しておいた豚の皮、筋肉、腱、
そういったものをそのナイフで断ち切れるかどうかを確認したんです。
結果的にはですね、皮さえ切ることができなかった。
まさにね、歯が立たなかったんです。
いや、クソが立たなかった。
評価結果についての原文を直訳しますけど、
豚の皮に触れるとナイフの歯は単に溶けて、クソの跡を残した。
というですね、実に生々しい嫌すぎる一文が書いてあるんですけど、
とにかく使おうとするだけでナイフはすぐに溶けて劣化してしまったんですね。
結果としてはイヌイットで語り継がれる民族誌は
ちょっと無理があるんじゃないの?ということが分かったんです。
この研究のまとめとしては、
イヌイットの人々が優れた技術を持っているというのは間違いなく、
台弁からナイフを作ったという話も、
彼らが持つストーリーとしては信じられないことではないと。
一方で、今回のような科学的に未検証な主張が混じっていると、
逆に彼らの主張の信憑性が失われる。
だから、こういった未検証の主張や都市伝説を積極的に探し、
それらをテストすることで、
その後に続く物語をできるだけ確かなものにすることができるだろうと。
この実験の内容とは裏腹に、かなりきれいにまとまっていますね。
都市伝説を都市伝説のままにせず、科学的に検証することで、
後に伝わる伝記の確かさというものを上げていきたいんだということでしょう。
この紹介の初っ端からいきなり汚い話で申し上げないんですけど、
でも弁の活用ってそんなに珍しいものじゃないですよね。
一番身近な例で言えば肥料とか、昔から使われています。
あと近未来的な弁の活用で言えば、宇宙の話なんかもあるみたいですよ。
宇宙って資源が乏しいですから、
宇宙空間で宇宙飛行士がする大弁から材料を取り出すことで、
宇宙空間で何か活用できないのかと、
こういう研究を非常に真面目に行われているんです。
実は弁っていうのは材料っていう視点もあるんですね。
そういうポテンシャルを持っているものなんです。
新しい知見ですね、これは。
こういう新しい発見とか知見をくれる。
これはさすがイグノーベル賞、学びがありますね。
次に紹介する研究はこちら。
この試作時に行った試験っていうのがね、かなりユニークで、
ここがね、すごく評価されてます。
めちゃくちゃシンプルなんですけど、
自分が作ったスーツを着たままボコボコにされるってものです。
いろんな人にバットで殴ってもらったり、
なんかよくね、アクション系のRPGで出てくるような
めっちゃでっかいフリコみたいなやつで跳ねられてみたりと、
あとはシンプルに坂から突き落とされてみたりと、
とにかく自らがボコボコにされながら、スーツを改良していくんです。
そのね、トロイさんがボコボコにされてる動画はYouTubeに公開されてるんで、
このリンクはね、ポッドキャストの説明欄に貼っとくんで、
気になる人はね、ぜひ見てください。
多分ね、想像してる10倍ぐらいボコボコにされてます。
いや、いくらスーツ着てるからって、
それはダメじゃないみたいなね、ダメージも受けてそうなんですけど、
ちょっとクマと戦う前に行っちゃいそうな感じなんですが、
ちゃんとね、トロイさんは怪我なく生きているということで、
スーツの性能の高さがね、そこで確かめられてます。
いやでもね、動画見てもらえばわかるんだけど、
スーツ云々じゃなくて背骨折れるやろ、そんなことしたらみたいな、
すごい衝撃を受けてるんですね。打撃とかじゃないんですよ。
あれなんで耐えられてるのかね、よくわかんないんですけど、
スーツにもしかしたら秘密があるのかもしれないですけど。
そんなね、それほどに強烈な実験を、
自らが被験体となって行って、スーツを開発したんですね。
このトロイさんの取り組みは、プロジェクトグリズリーと名付けられて、
ドキュメンタリー番組としてね、非常に人気になったみたいです。
そしてね、いよいよ、クマとの戦いの時がやってきます。
改良を重ねてたどり着いた戦闘用スーツ、
ウルサスマークシックスとね、もう名前から強そうですね。
そういう名付けられたね、このバトルスーツを着て、
ヘリコプターでロッキー山脈に飛んで行って、
グリズリーとの実戦を試みるんですが、
残念なことにですね、グリズリーと遭遇することができずに、
このスーツを使った実戦っていうのは実現しなかったんですね。
ただこの取り組み自体が評価されて、
1998年イグノーベル賞安全工学部門を受賞したんです。
ちょっと安全工学とは何かをもう一回問いたいですけど、
まあ安全工学部門なんですね。
できればね、ちょっとクマと戦ってほしかったなって気持ちありますけど、
このスーツね、防御特化なんですよ。攻撃手段ないんですね。
だからね、もしもクマと戦ってたとしても、
ひたすら攻撃に耐えて、クマが諦めるのを待つと。
それがトロイさんにとっての勝利なんです。
自利品というか、見てる方としてはかなりヒヤヒヤする恐ろしい映像ですよね。
ただね、それにチャレンジするというこの好奇心と研究魂には完璧です。
次に紹介するのは、研究ではないんですけど、
2001年に技術部門として受賞したものです。
そのね、受賞理由がこちら。
2001年に車輪の特許を取得したことに対して。
というものです。
まあこれだけだと何のこっちゃって感じなんだけど、
これとんでもないことなんですよ。
オーストラリアのジョン・キーオ氏がとんでもない特許を取得したんです。
それが今言ったように、車輪の特許です。
わかります?車輪。タイヤですよ、タイヤ。
当たり前に存在して、誰もが普通に使っている車輪という技術なんですけど、
これをね、特許として登録してしまうということが起きたんですよ。
つまりタイヤっていうのは俺の発明だと。
そういうふうに言い出して、ちゃんと権利まで取っちゃった男がいるんです。
しかもね、その主張を認めて、ちゃんと特許として登録したんです、国がね。
そういう事件みたいなものがあったんです。
特許の名称は、環状の運搬補助装置と。
なんかね、車輪をめっちゃそれっぽく言い換えてますよね。
環状の運搬補助装置、まあ車輪ですわな。
この発明は、それまでの運搬方法、物品を徒歩で運ぶ方法や、
氷や雪の表面など摩擦係数の低い物体の上を、
スキーやソリで運ぶ方法に変わる画期的な運搬方法の一つで、
摩擦係数の高い地面の上でも使えるという利点があると。
そういうふうに言ってね、特許を申請して、
なんとこれが認可されてしまったんです。
車輪という発明がね、ここで特許として認められたと。
これがなんでやねんなんですけど、
ちゃんとね、オーストラリアの特許庁に特許として登録されました。
ただね、当然この騒動にも背景があります。
実はこれね、特許支援政者のジョン・キーホ氏に意図があるんですよ。
2001年に車輪で登録した特許は、
オーストラリアのイノベーション特許と呼ばれるものなんですが、
これね、ほぼ無審査で通過してしまうということが、
すごく問題視されている特許だったんですよ。
ジョン・キーホ氏はそのガバガバ審査を批判する目的として、
すでに当たり前に存在している車輪という技術を、
めっちゃそれっぽく書き換えて審査を通過させたんです。
本来は到底特許とは認められるものではないにも関わらず、
審査をほぼしないので、車輪というものに特許が与えられてしまって、
すごく話題になったんです。
もちろんね、車輪の特許を取ったからっつって、
その権利を主張しようとしても、結局はね、主張する過程で、
いやこれ特許せないよねってなるので、権利としては全然使えないです。
ただそんなものでも、おいそれとお前ら特許与えてんじゃねえよという批判の意味を込めて、
車輪の特許を取得してですね、それが話題となって、
イグノーベル賞が与えられたんです。
ちょっと面白いのは、イグノーベル賞を与えられているのがね、
これ特許を申請したジョン・キー星だけじゃなくて、
特許を認めてしまったオーストラリアの特許庁に対しても、
イグノーベル賞が与えられているんです。
これね、面白いよね。結構イグノーベル賞の運営側も、
皮肉が効いているというか、なかなかね、粋な計らいだと思います。
研究だけじゃなくて、こういった事件とかね、出来事も、
イグノーベル賞の表彰の対象になるんですね。
あとちょっとものづくりとは関係ないんだけど、
特許関係でおまけで言うとね、もう一つ面白い特許があって、
2004年、工学部門でイグノーベル賞を受賞している特許。
この理由はね、ヘアスタイル。
バーコード頭の特許を取得したことに対して。
というね、イグノーベル賞もあります。
これはね、1977年頃、アメリカのフロリダ州で、
ドナルド・J・スミス氏が、
ハゲで悩んでいる父親、フランク・J・スミス氏を心配して、
新たな髪型を編み出します。
それが、側頭部に生えた髪の毛を伸ばし、
もう片側にレイアウトすることで、ハゲを隠すというね、
いわゆるバーコードヘアです。
息子からの提案を受けて、父親もこの髪型を気に入り、
気を良くした二人はですね、
なんと、米国特許をこの髪型に対して取得してしまうと。
だからね、このバーコードヘアってね、
アメリカだと特許として認められてるんですね。
この特許取得に対して、工学部門のイグノーベル賞が与えられています。
これが工学なのかと言われたら、ちょっとよくわかんないんだけど、
実はね、バーコードヘアっていうのは、
親子の思いやりが生み出した温かい髪型だったんですね。
最後に紹介するのはこちら。