それでは早速いきましょう。 まず一冊目のおすすめ小説は削り屋です。
削り屋ですよっていうタイトルですね。これ渋いですよね。 タイトルからもわかる通り削りをテーマにした物語です。
ネタバレしないようにですねあらすじを説明すると、本作の主人公は鶴木賢馬という大学生です。 もう名前がかっこいいですよね。鶴木賢馬。
あの彼はですね普通の大学生とは少し違って俗に言うボンボンというやつです。 父親は司会員を開業してまして、彼もまた
司会員を目指して大学に通っていると。 そして親の敷いたレールを進む現状に嫌気がさせている一方で、レールを明確に拒絶することもできない。
そんなジレンマを抱えながらですね若者独特のモヤモヤした感じで日々を送っているのが 賢馬君という主人公です。
そんな中ですねとある事件が起きて、その事件をきっかけに賢馬は大学を辞めて家を出る決意を固めます。
家を出た賢馬は行くあてもなく彷徨って、偶然たどり着いたのが知がない町工場であると。
そしてそこで千万甲募集、住み込み家の張り紙を見つけるというところがこの物語の始まりです。
そしてこの千万という加工に出会いながら、賢馬の人生が大きく変わっていくと。そういうストーリーになっています。
主人公の鶴木賢馬が千万を通してものづくりに接して、一人の千万甲として、そして一人の人間としてですね。
千万を軸に成長していくという王道ストーリーです。
かなり工作機械というマニアックなものをテーマにしてるんですけど、それがやっぱりかなり個人的にはポイントが高いですね。
この小説ではですね、汎用工作機械というものの大切さがよくわかります。
千万甲という、今あまり千万甲と呼ばれる触手というのはそんなにないんですけど、千万甲という触手にですねフォーカスしてまして。
実際にハンドルを動かして使う汎用千万というものがメインのストーリーです。
今はですね、NC工作機械というものが広く普及していて、一般的になっています。自動で動く機械ですね。
だからこそ、この小説を読んでですね、実際に手で動かして削る汎用機というものの大切さと、ものづくりの厚さをこの物語の中で再認識してほしいなと思います。
やっぱりすごく面白いのは、この物語の中の主人公の剣牙というのは、もともとものづくりに全然興味がないというか、携わったことがないっていう人が切削加工の世界に入るという話なんで、
このストーリーの中で剣牙が感じるですね、切削加工への感動、加工って面白いなっていう感動っていうのは、私が実際工業高校に入って初めて加工を見た時と同じ感情なんですよね。
なんで非常に懐かしく爽やかな気持ちになりました。この小説の欠点を挙げるとするなら、ストーリーもかなり荒削りなんですよ。
削り屋だけにってわけじゃないんですけど、かなり荒削り。で、その登場人物のキャラ立てとかさ、物語の流れとか、そういう一般的な部分ですね、ストーリーが非常に荒くて、
感情を輸入しにくい部分が多いです。登場する人物がね、すごいみんな極端な選択をしたりとか、そうはならんだろうみたいなツッコミところがちょっとあって、
こうなんか入り込むのが少し難しいストーリーになってます。そこがちょっとだけ残念です。あとですね、読み進めるのに千万の基礎知識がいるんですよ。
小説なんで差し入れとかがないんで、文章だけで加工形状とか加工の話をされても、結構ちんぷんかんぷんなんですよ。
私、一応工作機械の設計やってますけど、それでも文章だけだとなんかよくわからんなっていう部分あったんで、ちょっと差し入れが欲しかったなっていうのが惜しいポイントです。
それでもやっぱ工作機械というものをテーマにした小説ってめちゃくちゃ珍しいんで、おすすめの1冊です。
3冊目のおすすめ小説は下町ロケットです。これはもうほぼ説明不要と言ってもいいでしょう。
もはや超王道ですね。知らない人が少ないと言った方がいいかもしれません。2015年にドラマ化もされていて、かなり話題になりました。
ストーリーもね王道の作成ストーリーといった感じで、読んでて非常に気持ちが良かったです。作者はですね半澤直樹でおなじみの池井戸潤さんという方で、
やっぱ痛快な猫の逆転劇みたいなのが売りのストーリーになっています。 あらすじだけざっくり説明しますと、主人公はロケット開発者の
佃光平という男です。で、佃光平はロケットの打ち上げに失敗した責任を取る形で、ロケットの研究施設から去ると。
長年夢であったロケットの開発の道を諦めて、父親が経営する佃製作所という中小企業の社長になります。
しかし夢を捨てきれない佃は、本業の傍らで技術の研究にも力を入れて様々な特許を取得していきます。
そんなある日ですね、大企業の帝国重工が何年もかけて開発してきた新技術の特許を取ろうとした時に、
その特許はですね、先に佃製作所に取られているという事実が判明します。 そして焦った帝国重工は特許を20億で譲渡してくれという交渉を
佃製作所の方に持ちかけると。 普通はですね、そんな大きい交渉を持ちかけられたら、中小企業は嬉しいはずなんですけど、
社長の佃だけは浮かぬ顔でした。 それはですね、特許の譲渡じゃなくて、部品の供給をしてロケットの開発に携わりたいという夢が頭の中にちらついていたからです。
しかしそれはリスクが高すぎると、社内から猛反発を受けます。 技術者としての夢を取るか、社長としての会社の安定を取るか、
夢と現実の狭間で佃の心は揺れるわけですね。 そして社員の反対を押し切り、夢を追うことに決めた佃に様々な試練が押し寄せるという作品です。
この池井戸作品の特徴なんですけど、 お高く泊まったライバル企業とかね、いやらしい銀行員とかいっぱい出てくるんですよ。
これがまた悔しいぐらいにですね、ムカつくんですよね。 こんな腹立たしい奴いるわけねえだろっていうぐらいに、いやらしく書かれていると。
そういう奴らを努力と技術でギャフンと言わす瞬間っていうのがもはややっぱ 快感だし、この池井戸作品の魅力でもあると言えます。
この小説で学びになるのはですね、夢を追う情熱だと思います。 正直技術の話ってそんなないんですよ。
まあそのロケットのこと全然知らなくても全然読めてしまいます。 しかしですね、いつからか諦めてしまった夢、
これ本当そのままでいいのかっていうのを考えさせられるストーリーになっています。 物作りってやっぱね、夢と情熱欠かせないんですよ。
本当にやりたいことがあるとか、本当に作りたいものがある。 みんなそうだったんですけど、でもやっぱ忙しいからとか、家族がいるからとか、どうせ無理だよとか諦めてる。
そんなあなたの背中をこの小説が押してくれるかもしれません。 夢を追う勇気をもらえるおすすめの一冊です。
4冊目のおすすめ小説は、空飛ぶタイヤです。 これもまた池井の巡作品ですね。
2018年に元TOKIOの永瀬さん主演で映画化されたことでも有名です。 このお話はですね、実際にあった三菱のリゴール隠し問題を題材として書かれた小説です。
あらすじとしては、中小の運送会社赤松運送を経営する赤松徳郎が主人公です。
ある日ですね、工作機械を運送中だった赤松運送のトレーラーが、タイヤが突然外れてしまって、不幸にもそのタイヤが道路を歩いていた母子を襲います。
子供は運よく軽傷でしたが、母親は即死でした。 赤松は容疑者として、非な世間から激しいバッシングを受け、会社も倒産寸前に追い込まれてしまいます。
事件の原因究明の結果、出た結論は赤松運送の整備不良です。 しかし、自社の整備に落ち度はなかったと確信する赤松は、トラックそのものに欠陥があったのではないかという疑問を持つようになります。
愛する家族と社員を守るべく、その被害者の無念を晴らすべく、瀕死の運送会社が大手自動車メーカー、ホープ自動車の闇に戦いを挑む。
そういう作品になっています。 本作をですね、ものづくりをテーマにした小説というジャンルで捉えると、少しずれているのかもしれないんですけど、
でもやっぱものづくりの世界って、失敗を乗り越えて大成功しましたっていう、サクセスストーリーばかりではないんですよね。
実際にはですね、失敗を乗り越えることができずに、責任を取る必要があると、そういう場合もあります。
むしろ現実ではそういうパターンの方が多いのかもしれません。
本作ではですね、まさにそのものづくりにおける責任がテーマです。
物語を純粋に楽しむのはもちろんなんですけど、もしあなたがホープ自動車の社員で、この隠蔽事実を知っていたらどのように行動していたんですか、という視点でも読んでいただきたいと思います。
技術者倫理的な教材としても有効なんじゃないかなと僕は思っています。
この小説ね、長いんですよ。上下感と分かれてて結構ボリュームがあります。
でね、この上感がね、本当に辛くて、その上感はもうひたすら精神的に追い詰められるパートなんですよね。
で、辛い描写があるし、こう不幸が重なるしですね、主人公の赤松がどんどんどんどん追い詰められていく。
もう読んでて、あ、辛い、早く助けてーってなります。
けど、もう下感からの巻き返しはですね、もう快感です。
もうその上感で辛かった分を一気にその下感で巻き返すんで、頑張って上感を読み切って下感に行って欲しいなと思います。
この辺りはやっぱね、池井戸巡ワールドという感じですね。
池井戸作品って大体そういうパターンなんですけどね。
なんかムカつく銀行員とか、なんか大きい会社がちっちゃいところをいじめて、最後にバーンとそういう人たちを全部ひっくり返して見返すと。
なんか毎回同じなんだけど、やっぱなんか魅力があるんですね、その逆転劇っていうのは。
是非ともその逆転を信じてですね、あの辛い部分を読んで欲しいなと思います。
ものづくりにおける責任とは何かを考えさせられるおすすめの一冊です。
5冊目のおすすめ小説は、生きな千万行です。
まず注目すべきはこのタイトルの渋さですよね。
生きな千万行。聞いたことありますか、こんな小説。
私に言わせればですね、もうこの時点で読まない理由がないです。
生きな千万行、これもう見た瞬間に手に取るレベルですね。
この小説を一言で表すのであれば、これはマチコーバのリアルです。
小説というよりは実体験に基づくマチコーバの話といった感じなんですけど、非常に多くの学びを得ることができます。
エッセイ集なんですよね。小説というかエッセイ集なんで、あらすじと言えるあらすじはないんですけど、紹介文を要約して紹介します。
生きな千万、小生きな仕上げ、バカでもできるターレット。
今から何十年も前、それこそNC工作機械が世に出始めた頃、そんな言葉がマチコーバで聞かれるようになりました。
職人が手で作る日作りの工具から、使い捨てのスローアイ工芸と切り替わり、機械はハンドルを回さずともプログラムで動く。
職人から作業者へ、業者は大量生産品へ、失われつつある技能、そしてものづくりの意気とは何なのか。
千万行作家の意味を持つ尾崎智博さんが、自身の体験をもとに等身大のマチコーバを切り取った名作エッセイ集となっています。
こんな感じのエッセイ集なんですよね。内容はですね、この仕事へのやりがい、技能、転職、労働災害、労働組合、下受けいじめ等々ですね。
時代背景こそやっぱすごく古いんですけど、現代でも共通するような問題が多く取り上げられています。
逆にね、びっくりしました。このこんだけ技術が進んでいるのに、なんか働き方とか人そのものってほとんど今と変わってないじゃないかと。
そういうこともね、かなり感じることができます。
作者の尾崎智博さんという方はですね、実際にマチコーバで千万行として働きながら作家としても活動していたという異色の経歴の持ち主です。
そういう意味では私もですね、ある意味設計者として働きながら、ブロガーとして活動しているみたいな。
ちょっとそれと比べるとね、比べんなと言われるかもしれないですけど、
まあそういうですね、二足の麻薬を吐くというところで言ったらパイオニアの存在なのかもしれません。
このエッセイ集はですね、千万行としの経験がそのまま文章に現れてすごく引き込まれます。
内容はね、やっぱ一般向けとは言い難いですし、千万を何か知らないっていう人は多分全然読んでてわかんないと思うんですけど、
ある程度突っ込んでね、ものづくりの世界、機械加工の世界にいるのであれば、ぜひとも読むべき一冊だと思います。
特に現場の方ですね、職人とは何か、どうあるべきかとか、そういうことがそういう職人としての生き方を学べる一冊となってます。
欠点としてはですね、これ本が古すぎて、Kindleおろか新品の本すら買えないという、基本的にはもう中古を探すしかないんですね。