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2024-07-02 17:04

65 客観的な報道について(前編)[ゲスト:神田大介]

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客観的な報道はできるのか?


【今回のゲスト】神田大介さん

朝日新聞ポッドキャストつくってます。1975年に生まれ、1994年にネットを始め、2000年に入社しました。専門分野は何もないんですが、「イスラム国」(IS)、暴力団、ハッカーなど、わりとエッジの立った人たちを多く取材対象としてきました。


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▼出演

・永里 優季(⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠@yuki_ngst⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

・上水 優輝(⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠@y_uemizu⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠

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【神田】こんにちは、上水優輝です。
【永里】永里優輝です。
【神田】さて、今日はですね、ゲストにお越しいただいております。
【神田】神田大介さんです。よろしくお願いします。
【神田】よろしくお願いします。
【永里】よろしくお願いします。
【神田】お願いしまーす。
【神田】最近ね、シソフレ募集中ということで、フォームを作ってるんですけど、そちらからですね、
【神田】ご依頼というかご応募いただいて、面白いテーマだなと思って採用させていただいたんですけども、まず神田さんの簡単な自己紹介とかいただいてもよろしいですか?
【神田】はい。48 歳、新聞記者。新聞社に入社して24 年目になります。よろしくお願いします。
【神田】お願いします。大ベテランみたいな。
【神田】いや、ベテランってほどじゃないんですけど、一社ずっと続けてるっていうのもね、最近では逆に珍しくもなってきたのかなという感じもしますね。
【神田】今日のテーマは、そんな新聞記者の方にふさわしいというか、もうまさに似たようなテーマなんですけど、ちょっとテーマとそのテーマの背景みたいなのをお聞きしてもよろしいですか?
【神田】もうずっと私もヘビーリスナーとして前回聞かせていただいてですね、ちょっとぜひお二人に悩みを相談したいなというふうに思いまして、はい、ご意見伺えればと思うんですが、今回の私の悩みっていうのはですね、客観的な報道ってできるんだろうか?
できるとしたらどうすればっていうところなんですが、ちょっと長くなりますがお話しますね。記者の仕事をしていて客観的な報道をしたいと思ってるんですね。
つまり自分の主観を交えてですね、これはこういう話だとか、政治的にこんな立場だみたいなことではなく、事実をありのままに皆さんにお伝えするっていうことをしたいと思ってやってきました。
で、どうすればいいのかに関して言うと、なるべくたくさん取材をすることだと、新聞も締め切りがあるので無限に取材はできないんですけれども、いろんな立場の人とかいろんな情報をできれば論文とかもアクセスして、たくさんの情報を集める中で記事を書くというのが基本だろうと思ってやってきたんですね。
少し前にちょっと私としては悲しいニュースがありまして、私の勤務先ではないんですが、別の新聞社で記事の捏造がありましたっていう発表があったんですね。
これどういう話かっていうと、日本では小林製薬の紅麹問題っていうのがありまして、この紅麹、体にいいと思って取っていたものが実は健康被害を及ぼすんじゃないかっていう、そういう話が持ち上がってます。
その関連の記事に問題があったんですが、小林製薬の取引先の企業、いわゆる紅麹を使っている会社の社長さんのインタビューなんですね。
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そのインタビューで名前も顔も写真も出てるのにもかかわらず、社長さんが全く言っていないことを新聞社が捏造して、こういうふうに発言したっていう記事にしていたと。
これちょっと本当に考えられなくて、そんなことする人がいるんだと思ってびっくりしたのと同時に、こういう人がいるから増すゴミとか言われるよなと思ったんですね。
これどういう捏造かっていうと、この社長がすごく小林製薬に対して怒っているっていう感じの発言を捏造してるんですよ。
突然危険性があると言われて驚いたとか、保証について小林製薬から明確な連絡はなく早く説明してほしいとか、そういう内容を捏造してたんですね。言ってないことを。
でも本当にこういう人たちと同じ記者だって思われるの嫌だなって思ったんですね。
ただですね、その後さらによく考えてみると、しかし自分のやってることはどれほど違うのかなと。
この問題になった新聞社の社員はどういう理由でこんなことしてあったのかっていう説明をしてるんですけど、
原稿のトーンが自分のイメージしていたものと違ったというふうに言ってると。
要は取材をしているのは岡山にいる記者で、別の大阪にいる記者が原稿を書き直してるんですよ。その人が捏造したんですね。
要は小林製薬に対して世間の怒りみたいなのを表現したいってことだったんでしょうね。
なのにも関わらずあんまり社長が怒っていないんで、こちらで付け加えたというか捏造したっていう、そういう趣旨のことをどうも言ってるらしいんですね。
天地命に誓って私はそういうことはしたことはありませんし、今後も絶対しないです。
なんですけど、さっきの冒頭の話、たくさん取材するって言ったじゃないですか。
これ例えばなんですけれども、私自分の取材で覚えているのが、かつて大相撲で賭博の問題が持ち上がったんですね。
力士が博打をしていると。野球賭博だったんですけど。
私、その取材をしていて、相撲の会場の近くにいる観客であったり一般の市民の方とかに話を次々聞いてたんですよ。
今回の賭博の件どう思いますかって言って。当然、良くないと思いますとか。
悪い力士はいるかもしれないけど、他の力士に対しては寛大な措置をお願いしたりとか、いろんな話を聞くんですね。
大体私、自分の中で20人ぐらい聞くっていうふうにしていて、その中から自分でこういう意見もあったな、こういう意見もあったな、記事に使えそうだなって判断したものを本社に送って、
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それでそれを本社にいる別の記者がまとめるっていう取材だったんですね。
私がそこで選んでるじゃないですか。
つまり、たくさんいる記者、たくさんいる取材対象の中からこれは使えそうだと判断してるのは私なんですよね。
つまり、原稿のトーンをもうそこで私が決めていると言っても言い過ぎじゃないのかなと。
結局、そうやって抽出する作業ってどういう取材をしていても同じかなと思ってですね。
じゃあ客観的な報道じゃないじゃん。私の主観じゃないかって思ったんですよ。
捏造するっていうのは話になりませんけれども、果て捏造はしなかったとしても、
自分に都合よく意見を取り上げ、あるいは切り捨てているというのは主観的なことに他ならないんで、客観的な報道ってどうすればいいんだろうっていうふうに思ってしまったんですね。
どうしたらいいでしょうか。
ありがとうございます。
最近、この事件をきっかけにすごい悩み始めたというか、思い始めたって感じになるんですね。
そうですね。原稿のトーンっていう言葉に、いやーでもそれ自分でもやってるよなっていうふうに思い出したんですね。
なるほどね。
そもそも原稿ってトーンって結構大事なんですか?
これ、自分で決めることもあれば、まとめている記者が決めることもあるんですけれども、ごくごく一般的に言って、やっぱり社会の問題が起きたとき。
小林製薬もそうだし、相撲の野球賭博もそうですけれども、っていうのは、世間は行き通ってるよっていうトーンが求められている感じっていうのがないとは絶対言えないと思うんですよ。
だってみんなが笑って許しているっていう、実際そういう状況はないですし、そういう新聞記事として世に出すときに意味ないですよね、それだと。
みんなが笑って許してるんだったら、記事にする価値はないと思うんですよ。
世間がざわめいたり怒ったりしているから取り上げるものだと思うんですね。
ただそれもバイアスには違いないなと思うんですよ。
その世間っていうのは、どのあたりを世間って言うんですか?
そうですね、それをいろんな人に話を聞く中で見定めるっていう感じですね。
なるほど。
すごい日本人っぽいなって感じがしたんですよ。
世間のトーンとか感情とかを汲み取って記事にしなきゃいけないとかって、そうなるともう完全にヒルターとバイアスがかかって主観にしかならないなっていうのが、そこの前提条件で全て決まっちゃってるような気がしてるんですよ。
だから客観的な記事を書くのって、その前提がある限りかなり難しくないですかって今ちょっと思っちゃいました。
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ゼックしてるじゃん。
いやいや、じゃなくて考えてるんですけど。
そうなんですよ。そもそも最近実はそういう街の人の声を取るっていう取材って、私の勤務先ではほとんどなくなってるんですよね。
やっぱり恣意的に選んでるっていうところがあるのかなっていうのと、そもそも世間って何かなっていうところに話はあるのかもしれないですね。
長里さんは今アメリカにいらっしゃるじゃないですか。
アメリカで報道に触れる機会もありますね。
そういう時にこういう街の人のコメントとかって読んだことあります?聞いたりとか。
街の人のコメントすらも私はもうコントロールされてるんじゃないかって思ってる派なんで。
そこにはなんか私の中ではそのメディアっても偏見でしかないっていう私の偏見があって。
街の人がインタビューに答えてる映像でさえそれが誰かに言わされてるんじゃないかって思うようなコメントっていうのが日本は多いなって思うんですよ。
けどアメリカだとすごいその人が本音で何かを話してるっていう場合の方が多いのかなって印象はあります。
そうですね。言わせるってことは少なくとも私はしてないんですけど、結局自分がこれがいいなっていう発言を会社に上げてるってことは結局それと一緒なんですよね。言わせてるってこととね。
自分に都合がいいものに巡り合うまで話を聞いてるっていうことでもありますもんね。
ですよね。
例えばアメリカで、我々に馴染みのあるところだと大リーグなんかで大谷翔平選手が活躍していると。
それを球場の外にいるファンの人なんかに大谷選手の活躍どう思いますかみたいなの聞いてるっていうのは日本のメディアではもう本当によく見かける光景ですけど。
アメリカってそういうやり方っていうのはしてますかね。
えー。テレビはあまり見ないので。
なるほど。
一概にちょっと私のフィルターがかかってしまうんですけれども。
日本の報道の仕方ってすごく独特だなっていうのはアメリカのそういう報道とかをたまに見るときに感じることはありますし、
ある選手を取り上げるときにすごいその人を深刻化するような取り上げ方を日本はするじゃないですか。
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そういう取り上げ方を基本的にアメリカはあまりしない感じがあるので、そういったインタビューにならない場合のことの方が多いのかなっていう印象です。
うん。
深刻化って例えば、永田さんどんなところに感じます?
なんかそれは日本の文化だなっていう、そこがなんか結構アイドルとかもそうですし、スーパースターとかもそうですし、
なんかそういうすごく特別な存在をメディアは作ろうとする感じがすごく伝わってくるんですね。
それが何かその作り物というか、何か作り物を作りたいんだろうなっていうのがこう、少なくともテレビの報道からは伝わってくるって感じですね。新聞とかよりは。
いわゆる推し活なんて言葉があるじゃないですか。
これもあんまりアメリカにいると、あるいは永田さんはヨーロッパとか様々な場所でプレイされてきたと思いますけど、
あんまりそういう推し活的なものって感じないですか。
日本ほどは感じないですね。
そうするとファンもやっぱり選手だったりアーティストだったりを深刻化する傾向が強いなっていうような印象ですかね。
日本はそうですね、はい。
なるほど。
上水さんのお話もちょっと伺えれば。
僕ですか。
メディアの人を前にして話すのも勇気がいるなと思いますけども。
ガンガン言ってください。
お願いします。
やっぱり偏りがないって無理ですよね。難しいですよね。
なるべくいろんな素材に当たっていくみたいなことで、なるべく多様な視点を入れてってことはできると思うけど、それでもさっきおっしゃってたみたいに、
それをそもそも書かなければならないとかいう事情がある時点で、無限にある中からそれを書くと決めたことそのものが操作というかね、
もうその意思なので、その会社なのか何なのかの意思なので、そこで切り取られているというテーマがすでに切り取られている時点でっていうのもあるし、
トーンが決められているとかっていろんな制約の中で皆さんお仕事されると思うから、
捏造はさすがに良くないと思うけど、やっぱり受け手が賢くなるしかないんじゃないかなと思ってるんだよね。
まさにそれは思いました。
書いてる側の人とか発信してる側の人はどこまで行っても主観からは逃れられないし、組織でやってるんだったらその組織の中で入り混じった事情みたいな中からは逃れられないので、
そこを受け手が判断するしかないのかなと思うっていう感じ。
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でもそれは無茶なこと言ってるとも思うんですよ。
鵜呑みにする方が多いから、実際。
最近読んだ記事で、ペイウォールは民主主義を殺すのかみたいな記事があって、
課金させるじゃないですか、メディアが。
有料記事ですみたいな感じで。
もちろんライターさんとか記者の方とかいろんな方がお金かかってやってるから、仕事としてやってるから有料なのは情報多々じゃないよね、当たり前だよねみたいなのがかつてはあったと思うんですよ。
インターネット以降って無料で情報が取れてしまうみたいな感覚にどうしても若い世代ほど多分なってると思うんですよね。
そういう中で、無料で全部わかるじゃんみたいに安易に思ってる人たちっていうのは、自分で情報ちゃんと精査できない人が思ってる人っていうのは、
めちゃくちゃ偏った情報とか質の悪い情報とか、陰謀論みたいなものとかに簡単に染まってしまうことが起こっていて、
で、ちゃんと情報ってやっぱお金かかるよねって思ってる人とかは情報取れてるんだけど、そういう人が少数派で、
結果民主主義的にはもうわけわからん情報を信じ込んでる人が多数になっちゃうよねみたいな、なんかそういう記事だったんですけど、
いい記事を書こうと思ったらそれだけ時間と能力とかかっちゃうし、みたいな。
一方で、目の前でスマホで撮ったものを投稿ってできる一般の素人ジャーナリストみたいなのが大量にいるという中で、
じゃあメディアがどうあるべきかってめちゃくちゃ難しい問題だなと思って考えてました。
結論出てないんですけど。
本当にその2点ともね、私も考えてる、まず最初の受け手のね。
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