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2025-07-17 20:36

③日本の子供は幸せ? 2025年ユニセフ子供幸福度報告書に見る、オランダと日本のリアル

今回のテーマ:日本の子供は幸せ?

2025年度ユニセフ子供幸福度報告書にみる、オランダと日本のリアルでは、

UNICEFが2025年5月に発表した「子供の幸福度報告書」に 焦点を当て、日本とオランダの子供たちの幸福度のリアルを深掘りします。


このエピソードは、単なる国別の順位を知るだけでなく

ユニセフ子供幸福度報告書がどのように作成されているのか

についても詳しく解説すると共に、

子供たちの幸福度に影響を与える教育、家庭、社会、

そして文化的な背景を深く理解するための貴重な情報を提供します。


このエピソードを聴くことで、以下の点について新たな発見があるかもしれません。

 

・日本が持つ、意外な「強み」とは何なのか?


・一方で、私たちが目を向けなければならない「深刻な課題」は何なのか?


•いつも幸福度が高いと言われるオランダの子供たちは、一体なぜ、そんなに幸せなのか?


このエピソードを聴くことで、

日本の子供たちの健やかな成長のために、

私たち一人ひとりが今、何ができるのか

そのヒントが見つかるかもしれません。


子供たちの未来をより明るくするための、

新たな視点と気づきを、

このエピソードで共有できたらと思います。


・『世界から見る日本』は、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、より良い日本へのヒントを探り、世界から見える日本といった視点をリスナーの方々と共有する番組です。

・ナビゲーター: ゆき 海外在住歴30年以上、現在オランダ在住の日本人コンサルタント

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サマリー

ユニセフの子供幸福度報告書2025年版によると、日本とオランダの子供たちの幸福度には違いがあり、オランダは1位、日本は14位となっています。報告書では生活満足度、自殺率、学力などの指標が用いられ、オランダの家庭内コミュニケーションやストレスの少ない教育環境が子供の幸福度を高める要因として挙げられています。この報告書に基づき、日本とオランダの子どもたちの幸福感の違いが探求されており、特に家庭内のコミュニケーションやオランダの育児論が子どもの成長に与える影響が詳しく考察されています。

ユニセフ報告書の概要
世界から見る日本へようこそ。
グローバル社会と言われている今、世界各国との距離が近くなったように感じる一方で、皆さんは日本が世界にどう見られていると思いますか?
この番組では、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見える日本といった視点をリスナーの方々と共有していきます。
番組のお相手は、海外在住歴30年以上、現在オランダに住み、日本とオランダを結ぶコンサルタント業を営んでいる私、ゆきです。
今日のテーマは、ユニセフが2025年度5月に発表した子供の幸福度調査についてです。
世界の子供幸福度から見る、日本とオランダのリアル、このユニセフの子供幸福度報告書については、皆さんも何度か報道などで聞いたことがあるかもしれません。
多くの場合、総合順位1位はまるまる国、日本はないです、といった順位の報道で、ユニセフがどのようにしてこのような報告書を作成しているのか、といった説明などはありません。
今回は報告書のデータはどのように取得しているのか、といった少し具体的なお話と、日本とオランダの子供たちの幸福度の違いについて深掘りしていきます。
ユニセフ子供の幸福度報告書では、OECD、経済協力開発機構加盟国、およびEU加盟国を中心に43カ国を対象に、5歳から19歳までの子供たちを分析しています。
使われているデータは、OECD経済協力開発機構の生徒の学習調達度調査、WHO世界保険機関の死亡統計および自殺率分析、ユニセフの児童死亡推計など、信頼性の高い国際データばかりです。
したがって、ユニセフ自体が調査したというより、ユニセフがこれらのデータを処理して出した報告書が、今回の子供の幸福度報告書となります。
オランダと日本の幸福度比較
それでは、どのような指標の下、これらのデータが比較されているのかというと、ユニセフはですね、まず各国のデータを共通指標化し、その後、指標ごとに相対順位をスコア化、
そして、精度、一貫性、最新性、データ欠損の有無をチェックしてから、全6指標のスコアを平均し、総合ランキングを作成しています。
では、もう少し具体的に見ていきましょう。
ユニセフの子供の幸福度報告書は、6つの指標で子供の幸福度を評価しています。
まず第1に、生活満足度。
第2番目に、10代の自殺率。
第3番目に、子供の死亡率。
第4番目が、肥満率。
第5番目が、学力、すなわち読解力と数学力。
第6番目が、社会的スキルです。
対象年齢は主に15歳を中心に、5歳から19歳までの広範な年齢層がカバーされています。
この6つの指標をメンタルヘルス、身体能力、スキルという大きな3つのカテゴリーに分け評価しているのです。
その中で発表された総合順位1位は、オランダ。
日本は総合順位14位です。
分野別では、日本は身体の健康で1位。
しかしメンタルヘルス、これは生活満足度や自殺率といったデータを加味しているのですが、これが32位。
一方、オランダは全分野で上位、特に生活満足度で1位を取得しています。
それでは、オランダの子どもたちはなぜこんなに幸せなのか。
今回の報告書では、主な要因として4つが挙げられています。
1つ目は家庭内コミュニケーションの多さです。
週1、2回以上親と話す割合が非常に高い。
2つ目がストレスの少ない教育環境。
子どもの評価よりもその個人の成長を重視する環境。
3つ目が学校でも自分の意見を尊重されると感じる文化があり、
4つ目が十分な睡眠時間、バランスの取れた生活習慣があるということです。
つまり、子どもたちが自分は受け入れられていると感じられる社会システムが整っているように思います。
日本の強みと課題
一方、日本にも強みがあります。
その1つが身体の健康です。
子どもの死亡率はOCED、経済協力開発機構加盟国の中でも最も低い国となっており、
つまりは医療制度が整っていることと生活習慣の良さが影響していることが伺います。
2つ目は学力です。
読解力と数学力で高水準を保っているのが日本です。
OECD、経済協力開発機構生徒の学習調達度調査によると、
読解力と数学力の基礎スキルを満たしている15歳の割合を国別に見たところ、
日本は76%で第3位。
ちなみに1位は韓国で79%。
2位はアイルランドで78%です。
ほとんどの国において、この学力が2018年度調査時より大幅に下がっているのに対し、
コロナの影響を感じさせず2018年度調査時よりも学力が上がっているのが、
日本、ルーマニア、イスラエル、イギリスなどの少数国となっています。
しかし、課題も深刻です。
まず、生活満足度においては、満足度5点未満の割合が最も高い国となっており、
OECD経済開発協力加盟国の最下位クラスとなっています。
次に、自殺率では、15歳から19歳の自殺率が上昇傾向にあります。
そして最後に、親子国間の会話の頻度が少なく、回答が得られた国の中で最下位クラスとなっています。
この背景には、受験戦争による過度なプレッシャーに加えて、
子どもを評価代償とする文化、そして親の長時間労働などに加え、
子どもの習い事、塾通いによる家庭内での対話が少ないことが考えられます。
では、オランダと日本の違いはどこにあるのか。
オランダの生活の中でその違いを感じる3つの点についてお話ししたいと思います。
それは、受験戦争による過度なプレッシャーに加え、子どもを評価代償とする文化が、オランダとは大きく異なる点だと思います。
オランダでは、流年という概念が、実は小学校からあるのです。
子どもの進級時には、もちろんその学年の学力が身についているか否かという問題もありますが、
子どもが次の学年に行ける精神年齢が備わっているかということも注視されます。
これは、根底に子ども一人一人が異なり、成長するスピードも異なるといった大前提が、広く保護者と学校側の共通認識として成り立っているからだと思うんですね。
じゃあ、学力はその学年の学力がついているのに、精神年齢が少し幼い、発言をするのをためらいがち、
友達との関係づくりが難しいとなれば、そのまま翌年も同じ学年で過ごすことはよくあることなんです。
そこで、「それじゃあ勉強が遅れちゃうじゃないか!」なんていう親御さんは、オランダではほとんどいないと思います。
なぜなら、自分の子どもが安心して、安全だと感じるクラス環境の中にいることこそが、学力の定着、自己肯定感につながるとみんな信じているからです。
オランダ語の表現の中に、「つま先立ちして歩く」っていうのがあるんですね。
これは、緊張して体がこわばるがゆえに、つま先立ちして歩いてしまう。
要するに、自分のレベルに合ってない、頑張りすぎて体が疲れてしまうということを意味しています。
オランダ人の親たちは、よく、「自分の子どもをつま先立ちして歩かせたくない!」といった表現を使います。
同じ学年の勉強をもう一度やったら、他の同い年の子に遅れをとる、なんていうことはオランダ人は考えません。
子どもが精神的に安心、安全と感じる環境の中で、もう一度同じ学年の勉強をし、
先生がその子どもの学習態度を見て、つまらなそうだと本人が感じているとみれば、
もう少しチャレンジングな課題を提供する、といったやり方などが普通なんです。
学習内容は一度も行っているので、子どもも学力と精神の成長の両輪を同じ集中力で保つ必要はなく、
自らの意思を発言できるとか、友達との関係づくりができる、といった社会スキル、
精神年齢の成長をもう一年同じ学年で過ごすことによって促す、といった方法をとる留年、ということに何の劣等感もありません。
2番目に個人的に気になったのは、生活満足度調査の中にある家庭内でのコミュニケーション、といった項目です。
報告書の中では、親が週に1,2回以上子どもと話す割合が棒グラフで示されているのですが、
オランダが84%に対し、日本は53%で最下位でした。
この結果は、家庭内での親子の会話の頻度が日本では相対的に少ないことを示しています。
では、親との会話は少ないけど、友達との関係はどうか、と見ていくと、
今回のユニセフの報告書では、学校で友達を作るのが簡単だと思う、という15歳の割合を指標しているデータがありました。
ここでも、海東国全41カ国中、オランダは3位の83%ほど、友達を作るのが簡単だと思う、という結果で、一方の日本は30位の75%でした。
オランダの育児論と子どもの幸福度
こうした指標は、いずれも生活満足度と強く関連しています。
特にユニセフの報告書では、家庭内コミュニケーションの質と量が子どもの幸福感に影響を与えている、との言及もありました。
もう一つ、オランダと日本の子どもの幸福度の違いに、長くオランダで支持されている育児論、休息、清潔、規則性、この3点が根底にあるのでは、と思いました。
これは、子どもが健やかに成長するために、親が提供すべき環境の3つの柱を指しています。
そこで、十分な睡眠時間、バランスが取れた生活環境を讃えられているオランダのこの休息といった分野にフォーカスしていきたいと思います。
ここで、日本の子どもたちとオランダの子どもたちの休眠時間をぺっと調べてみましたところ、大きな違いがあることがわかりました。
日本の子どもたちの休眠時間は、白宝堂教育財団子ども調査2023など他を参考にしたのですが、よく聞いていてくださいね。
幼稚園児5歳の就寝時間が9時、小学校1年生になると9時15分、小学校3年生が9時半、そして小学校6年生になると10時でした。
一方、オランダの子どもにおいては、オランダ社会文化計画局の時間使用調査及びオランダ児童調査にて次の結果が出ています。
幼稚園児5歳が7時に就寝、小学校1年生が7時15分、小学校3年生になると8時、小学校6年生が8時45分でした。
すごいですよね。オランダの小学校6年生は、日本の幼稚園児よりも早く寝ているということがわかります。
確かにうちの児女も、今小学校5年生で10歳なんですけれども、理想として8時15分に就寝の準備を整え、9時には必ずベッドに入るといった感じです。
昔から寝る子がよく育つとか、最近は睡眠がパフォーマンスに与える影響などが強く論じられているので、早く長く寝ることは子どもの成長にとっても重要だと考えられます。
休息、清潔、規則性の3本柱である最後の規則性も重要な項目です。
食事、睡眠、遊びなどの時間を毎日大体同じ時間帯にするように心がけることです。
ルーティーンがあることで、子どもは何が次に起こるのかを予測できるようになり、不安が軽減されます。
これにより、子どもは見通しをもって行動できるようになり、安心感が得られます。
オランダの夕食は6時、幼稚園児などがいる家庭では5時半から6時の間といった感覚です。
家族で夕食を取ることが一般的で、これが家庭内のコミュニケーションにもつながり、この早めの夕食が早めの就寝につながります。
子どもたちの就寝後は、大人たちがそれぞれの大人の時間を楽しむ時間でもあります。
オランダが子どものウェルビーンを包括的に捉え、休息、清潔、規則性といった育児論の基盤が具体的な成果として現れていることが示唆されていると思います。
日本の子どもへのヒント
それでは最後に、日本の子どもの幸福度改善に向けたヒントはどんなところにあるのでしょう。
それは、教育における競争より成長の重視や、家庭、学校での対話の増加、親子で話す時間の促進、
それと十分な睡眠、休息と規則正しい生活があると思います。
これは社会として取り組まなくてはいけない部分もありますが、
一個人としてできることは、子どもの気持ちを聞くこと、完璧主義を手放し、子どもそれぞれの成長のペースを認めるといったことが挙げられると思います。
今日は、日本とオランダの子どもの幸福度について、ユニセフの子どもの幸福度報告書と文化背景を求めに考えてみました。
日本は体の健康と学力では世界トップクラス。でも心の健康は、今、黄色信号です。
オランダのように心の豊かさを重視する社会へ、私たち一人一人が意識を変えることで、子どもたちの未来がより明るくなるかもしれません。
世界から見る日本の今回のエピソードはいかがだったでしょうか。
番組が気に入っていただけた方には、ぜひ番組のフォロー、および概要欄にあるフォームより、感想や質問をお待ちしております。
お相手は、オランダに住み、日本とオランダを結ぶコンサルタント業務を営んでいる、ユキでした。
それではまた、次回木曜日にお待ちしております。
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