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2025-07-03 19:03

➁小学校の性教育事情~日本と世界の違いは?~

・今回のテーマ:『➁小学校の性教育事情』という、

ちょっと驚きがあって、でもとても大切なテーマが取り上げられています。


大まかに3つのポイントに分けてご紹介すると…


「えっ、そんなに違うの?!」世界の性教育の「始まる年齢」と「考え方の違い」にびっくり!


①日本では、文部科学省が小学校での性に関する指導を10歳から提唱しています。

でも、なんと!ユネスコやWHOが推奨する国際的な基準では、5歳から包括的な性教育を始めるのが標準となっています。

この開始年齢の差にまず驚かされますよね。


➁さらに、日本の小学校の性教育が主に、

「体の発育」に焦点を当てているのに対し、

世界の性教育は「人権やジェンダー平等」を基盤としているという、考え方の根本的な違いがあります。


番組では、この考え方を表す具体例として、

オランダの小学校での取り組みが紹介されています。

とてもポジティヴでユニークな取り組みです。


③日本の性教育として、未来への希望と素敵な活動に注目します。

番組では日本の性教育を取り巻く環境が全て否定されるものではないことも触れていきます。


このエピソードを聞けば、皆さんが抱いている性教育のイメージがガラリと変わるかもしれません。


子どもの成長や、自分自身の心と体、

そして人との関係について考える上で、

きっと新しい視点や気づきが得られるはずです。


ぜひ、このポッドキャストを聴いて、世界と日本の性教育について一緒に考えてみませんか?


・『世界から見る日本』は、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、より良い日本へのヒントを探り、世界から見える日本といった視点をリスナーの方々と共有する番組です。

・ナビゲーター:ゆき 海外在住歴30年以上、現在オランダ在住の日本人コンサルタント



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・春のトキメキ(意訳)歌の動画Lentekribels:

https://www.youtube.com/watch?v=oNtovBe1htA


・NPO法人ピルコン:

https://pilcon.org/


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番組が気に入って戴けた方は、是非


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サマリー

このエピソードでは、日本と世界の小学校における性教育の違いについて討論されています。具体的には、日本の性教育が体の発育に重点を置いているのに対し、ユネスコやWHOが提唱する包括的性教育は、人権やジェンダー平等の観点から性に関する幅広い知識を教える重要性を強調しています。また、日本とオランダの性教育の違いに焦点を当てており、特にオランダの「春のトキメキ」という習慣についても議論されています。さらに、日本の性教育の進展やNPO法人ピルコンの活動についても紹介されています。

日本の性教育の概要
世界から見る日本へ、ようこそ。
グローバル社会と言われている今、世界各国との距離が近くなったように感じる一方で、
皆さんは日本が世界にどう見られていると思いますか?
この番組では、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのか、といったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本、といった視点をリスナーの方々と共有していきます。
番組のお相手は、海外在住歴30年以上、現在オランダに住み、日本とオランダを結ぶコンサルタント業を営んでいる私、ゆきです。
本日のテーマは、世界から見る日本の小学校の性教育事情です。
皆さんは、小学校何年生で性教育を受けたのか覚えていますか?
日本では、文部科学省が学習指導要領で、10歳から性に関する指導を提唱しています。
ではこの10歳、性教育のスタートラインとして、これは世界的に見て早いのか、それとも遅いのか。
世界の性教育について提唱しているのは、国連教育科学文化機関、ユネスコですね。
それと、世界保険機関、WHOです。
性教育の異なるアプローチ
ユネスコというと、ユネスコ世界遺産が日本では有名だと思いますが、正式名称はUnited Nations Educational, Scientific and Cultural Organizationで略称で国連教育科学文化機関です。
第2次世界大戦が終了した1945年に設立され、本部はフランスのパリにあり、その目的は、教育、科学、文化を通じて世界の平和と国際協力を推進することにあります。
このユネスコと世界保険機関、WHOの協力で作成された、性教育に関する国際的標準となる手引書が、国際セクシュアリティ教育ガイダンスです。
ここには、各国の専門家の研究と実践を踏まえ、科学的な根拠に基づき、性教育に関する基本課題と具体的な実践のポイントが明示されています。
そして、同ガイダンスに基づく包括的性教育のスタートは、なんと5歳からとなっています。
日本の10歳と比較すると、ずいぶん早いですよね。
えー、5歳から?それはあまりにも早すぎるのでは?と皆さん思うかもしれません。
ここでポイントとなるのが、ユネスコと世界保険機関が提唱する包括的性教育と文部科学省が提唱する日本の性教育の違いです。
皆さんは、性教育というと何を思い浮かべますか?
コンドームや月経などでしょうか?文部科学省が提唱している小学校の性教育は、主に体の発育に焦点が当てられています。
体は、思春期になると次第に大人の体に近づき、体つきが変わったり、処刑・性痛などが起こったりするといったことがありますね。
脇毛・陰毛などの体毛の発生、女子の胸の発達、男子の声変わり、といった
体の発育に焦点を当てているのが、日本の小学校の性教育です。
そしてこれらの性教育の時間は、日本の小学校ではどれほどの授業時間数が設けられているのでしょうか?
文部科学省の小学校の保健教育手引書によりますと、小学校の体育科・保健領域は、健康・安全に関する包括的な内容について、第3学年から第6学年にかけて、
系統的に合計24時間程度の指導がされるべきということです。
つまりは、1年に6時間が健康・安全に関する包括的な内容であり、その中で性教育がどれくらいの時間が割かれているのかは、定かではありません。
一方、ユネスコと世界保健機関が提唱する包括的性教育というのは、人権やジェンダー平等を基盤として、性に関する知識やスキル、態度や価値観を包括的なキャリクラムに基づき、学習する権利を保障しています。
つまり、ここから見えてくるのは、日本の体の発育に焦点を当てた性教育対世界の人権やジェンダー平等を基盤に沿えている性教育といった構図です。
でも、人権やジェンダー平等を基盤に沿えている性教育って、具体的にどんな性教育?と思われるかもしれません。
人権やジェンダー平等を基盤に沿えている性教育の具体的な例を一つ挙げると、私が住んでいるオランダでは、幼稚園から小学校1、2年生までに徹底的に教えられるのは、NOという権利です。
例えば、お友達が自分の使っているおもちゃをいきなり取り上げようとしたとき、そのお友達に対して、ストップ、やめて、私はそれを望んでいない、この3つのキーワード、ストップ、やめて、望んでいないといったことが出せることをまず教育するんですね。
日本だと、公園などで自分の子供が遊んでいて、お友達のおもちゃを取り上げてしまい、自分の子供と他のお友達の、やだー、やめてーっていざこざを見ると、親の方が出てきて、ごめんね、たろうちゃん。ほら、はな、たろうちゃんが今そのおもちゃで遊んでいるでしょ。
はなは、たろうちゃんが終わったら使おうね。順番でしょ。おもちゃをたろうちゃんに返して、ごめんねって言いなさい。といった指導になると思うんですね。仲良く遊ぶ、順番、ごめんねが言える、ということに重きがあるように感じます。
でも、オランダでは、まずストップ、やめて、私はそれを望んでいません、という大声がとても強調されて、これがお友達から出たら、必ず相手は自分の行動をやめなければいけない、ノーという権利を守る、犯してはならない、というのが擦り込まれているような気がします。
日本は、ノーという権利の主張と、その一戦を犯してはならない、というよりも、お互い最終的に仲良く遊ぶ、という強調性に重きが置かれていると私は思います。
これは、どちらが良いとか悪いかの問題ではありません。ただ、このノーと言える人権というのは、その後の性教育、自分の心と体を守る、セックスへの同意などにつながってくる教育、まさに人権をベースにした性教育なのだと思うのです。
オランダの性教育の実例
もちろん、幼稚園児の5歳がそれを性教育だと認識して聞いているわけではありません。でもそれこそが、ユネスコ・世界保険機関が提唱する、5歳からの段階的な包括的性教育である、といったことが言えるのかもしれません。
もう一つ、包括的性教育の具体的な例を出すと、日本は10歳、小学校4年生で体の発育に関して性教育が始まるのに対し、オランダでは、8歳児が学び始めるのは異性への関心、といったテーマです。
2025年では、3月3日から7日までが春のトキメキ週間と名付けられ、全国的にこの1週間、春のトキメキ、といった性教育のテーマの対話を推奨しています。
春のトキメキ週間のイニシアチブをとっているのは、ルトガース、オランダのセクシュアリティとセクシュアルヘルスに関する知識センターと各地方自治体の保健所です。
春は、生命の息吹を感じる特別な季節です。
オランダでは、長い冬が終わり、日照時間も徐々に長くなり、道端にはクロッカス、スイセン、チューリップなどが咲き誇り、皆が待ちわびた春を感じ、表情も明るくなり、ウキウキする季節です。
そんなウキウキの春には異性へのトキメキも感じるよね。
ということで、異性への監視といった心の動きについて、まずオランダの小学生たちは学ぶとともに、特別な気持ちを持つ相手が、女の子でも男の子でも異性愛者でもレズビアンでもいい。
オランダではそれを尊重し、皆自分の気持ちを尊重してほしいというメッセージも強調されます。
どんな方法でそれを学ぶのかというと、先ほどお話ししましたルトガース、オランダのセクシュアリティとセクシュアルヘルスに関する知識センターが作った春のトキメキといった歌の動画を見ることから始まります。
この歌が素晴らしいので、意訳ではありますが、その歌詞を紹介したいと思います。
春のトキメキ
まず歌は女の子の視点からで始まります。
朝、ベッドから出るのが待ちきれない。
学校へ駆けつける。
そして、学校に着くと、そこに立っている。
同じクラスの可愛い男の子。
彼氏だったらいいのに、と思う。
今日はあなたの大切な日。
彼をデートに誘う。
お腹に蝶々がいっぱい。
お腹に蝶々がいっぱい。
春のトキメキは消えてしまうの?
このお腹に蝶々がいっぱいは、オランダ語の表現なのか、英語圏の表現でもあると思うのですが、
要は、お腹に蝶々がひらひら回っているようなドキドキ感、トキメキ感を表しているんですね。
次は、男の子から見た視点で歌詞は展開していきます。
クラスなゴージスな女の子が、学校が始まる直前、君のところにやってきた。
彼女は恥ずかしそうに君の前に立ち、一緒にデートに行かないかと誘う。
周りの友達はみんなそれを笑う。
君はそれを意地悪だと感じる。
彼女は恥ずかしそうに立ち去り、君は後を追う。
オランダの性教育習慣
君は彼女の手を取り、デートに行こうと答える。
お腹に蝶が舞ってる。春のトキメキ。
ついにあなたたちは二人で出かける。
でもその後はどうするの?
突然うまくいかなくなったら、相談したほうがいい。
先生と話したほうがいい。二人で話したほうがいい。
それがきっと助けとなり、力になるから。
一緒にいるっていうことは素敵なことさ。
そんな感じで、あの春のトキメキの歌は終わります。
これがたくさんの子供たちが出演していて、
学園ドラマ風で撮影されていて、
男性と女性のデュエットで歌われている動画なんです。
うちの次女はこれを学んだ日、
学校から帰ってきた途端、私は
ママ、春のトキメキっていうの知ってる?って質問し、
いやいや、知らないよと話したら、この動画を見せてくれました。
オランダ語なのですが、キャッチーなメロディーですし、
皆さんにも見ていただきたいので、
そのリンクを概要欄に貼っておきますので、ぜひご覧ください。
異性への関心といったテーマを、
なんと明るく、おおらかな、しかも最後は、
うまくいかなくなったら先生に相談した方がいい、
とまで入れる、優秀な作品だと私は思いました。
次女はその頃しょっちゅう、
春のトキメキ、トキメキと歌っていました。
とてもポジティブな愛の賛歌であるなと思いましたし、
こういう全国的習慣の中で、
多くの小学生たちが同じ動画を見ることによって、
異性への関心は、春の息吹と同じで、
自然でポジティブなことなんだ。
何かうまくいかなくなったら相談した方がいい、
という共通認識ができることは、素晴らしいなと思いました。
しかしその一方で、この春のトキメキ、
しかしその一方で、この春のトキメキ習慣に反対する保護者の声もあります。
移民が多いオランダでは、
ムスリム教信者であるモロッコ人、トルコ人の方なども多くいらっしゃいます。
このような宗教背景がある保護者の方々が、
春のトキメキ習慣に反対、
学校の開放的な性教育により性行為への指揮を低くしている、
といった批判があるのも事実であり、
万人受けする性教育はないのかもしれません。
日本の性教育の進展
では、日本の性教育を取り巻く環境はダメなのかといったら、
そうではありません。
調べてわかったことなのですが、
日本弁護士連合会は、今から2年前、
2023年1月20日付けで、
包括的性教育の実施と、
セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツを保障する
包括的な法律の制定及び制度の創設を求める意見書を取りまとめ、
学校教育において、国際セクシュアリティ教育ガイダンスに準拠した
包括的性教育を実施するよう、
国及び地方自治体に対して求めたと知りました。
その他にも、日本で性教育について、
とても素敵な活動をしている団体を見つけました。
NPO法人ピルコンは、
人生をデザインするために性を学ぼうをコンセプトに、
科学的に正確な性の知識と人権尊重に基づく情報発信により、
若者とともに、これからの世代が自分らしく生き、
豊かな人間関係を築ける社会の実現を目指す非営利団体です。
NPO法人ピルコンさんについて、私は今回初めて知ったのですが、
その代表のソメアさんは、学生時代、意図せず妊娠し、
悩んだ末に忠誠を選択した経験から、
性への知識、丁寧な人間関係を築いていく大切さを伝え、
自分と同じような思いをする人を減らしたいと思ったのが、
後のNPO法人ピルコンを設立したきっかけだそうです。
NPO法人ピルコンさんのホームページには、
性の在り方、セクシュアリティとは、といった様々な動画が上げられており、
性教育をポジティブに捉えており、とてもわかりやすい内容だと思いました。
概要欄にリンクを貼っておきますので、
関心がある方はこちらもご参考願います。
世界から見る日本の今回のエピソードはいかがだったでしょうか。
番組が気に入っていただけた方は、
ぜひ番組のフォロー、および概要欄にあるフォームより、
ご感想やご質問をお待ちしております。
お相手はオランダに住み、日本とオランダを結ぶコンサルタント業を営んでいるユキでした。
それではまた、次回木曜日にお待ちしております。
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