-
-
スピーカー 1
今回のゲストは、高エネルギー加速器研究機構、KEKの素粒子原子核研究所理論センター長の橋本翔司先生です。よろしくお願いします。
スピーカー 2
こんにちは。よろしくお願いします。
スピーカー 1
よろしくお願いします。
実はKEKコラボ、この番組2回目でして。
スピーカー 2
そうらしいですね。
スピーカー 1
そうですね。しかもあれですよね、一度KEKの本番にも伺ったので、それ合わせると3回目ですよね。
そうですね。実際、加速器もちょっと見学させていただいて、めちゃくちゃ楽しかったんですけども。
ですよね。ありがたかった。
スピーカー 2
いらしていただいたんですね。
そうですね。
この茨城の田舎になれない、だだぴろいところで。
つくば。
スピーカー 1
すごい巨大な施設の一部をちょっと見させていただいたんですけど、そこの素粒子原子核研究所っていうところの理論センター長ということで、
橋本先生がどういうことをされているのかなというのを最初に簡単に自己紹介的に聞いてみてもいいですか。
スピーカー 2
そうですね。私たちの研究所は、おっしゃってたように加速器の実験をするところなんですけど、そこに理論センターっていうのがあって、
素粒子や宇宙の理論のことを考えている人たちが十数人、もっとかな、いるんですけど、実験はもちろん、実験があってこそ私たちは新しいことを探ることができるんだけど、
でもその実験で得られた情報をどう組み合わせて宇宙のこと、素粒子のことを理解しようかっていうのを考える、そういう役割の人たちがいて、それが私たちのいるところ、理論センターでやっていることなんですね。
スピーカー 1
もちろんどっちがかけてもやっぱり学問進まないよなみたいな。
スピーカー 2
そうですよね。あんな巨大な装置でやってあげるある一つの数を数値として出してくるわけですけど、その数値は宇宙の理解にとってどういう意味を持つのかというのを解釈したり、逆にこういうものを測ってみたらどうですかっていうことを提案したり、そういうことをするのが理論の役割ですね。
スピーカー 1
じゃあ橋本先生たちのチームでは、あんまり現場とかにはいかずに、現場からもらってきたデータとかをパソコンで見てひたすらパソコンに向かって考えたりとか机に向かって考えたりみたいな、そういうイメージなんですかね。
スピーカー 2
そうですね。現場といえば現場なんですけど、私が今いるところからちょっと離れたところにトンネルがあって、あそこで実験をやっているので、現場というのは現場なんですけど、私たちがやっていることはむしろ理論的な研究なんで、実験をそこでやっている人たちと話をしてどうなってるのって聞いたり、
あるいは世界中から興味のある人を集めて、ここでやっている実験ではどんなことがわかっているのかなとか、これからどんなことを調べればいいのかなとか、そういうことをあとみんなと話をする、そういう立場ですね。
スピーカー 1
すごい素朴な疑問なんですけど、どこかで自分は理論をやるのか実験をやるのかみたいな別れ目みたいなのがある気がするんですよ。本当に専門家になっていく過程で。で、それってどうやって決めているのかなというか、橋本先生実際にこう理論の方に進まれて、どう考えて進んだのかなというのをちょっと単純に聞いてみたいんですけど。
スピーカー 2
違うかもしれませんけど、多くの人はアインシュタインに憧れるんですよ。アインシュタインって理論家ですよね。
いいですね。
で、究極の理論を求めるという中では、アインシュタインはやっぱりアイドルなので。
スピーカー 1
アイドル。
他の人でもいいんですけど。
誰でも知ってますからね。
スピーカー 2
あんな風になりたいってみんな思って始めるわけですから、だからなんというかみんな理論をやってみたいとみんなずっと思うんだけど、
とはいえ、最終的な研究の世界って、全てを自分で理解しようなんていうのは無謀なことで、だんだんとこう分かれていって、自分の専門とすることを研究するようになっていくわけですけど、
で、そうなった時に、じゃあ自分はこのいっぱいある理論のうちのこれをやりたいのか、あるいは実は大事なこのことを調べるために実験をやらないといけないから俺はそっちに行くと思うかっていうのは、
その場の何を大事だと思うかという、その時の状況によって変わるかもしれないですよね。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
私の場合はどっちかというと、実験をやるといろいろ機械壊しちゃうんで、これはダメだと思って、だから理論しかできなかったっていうのがまあ本当は正しいんですけど。
スピーカー 1
いやまあでも好みも結構ありそうだなって気はして、やっぱりそこで実験やってたいっていう人もいるだろうし、以前に出ていただいた中山先生も結構実験バリバリ、もうすごい楽しそうに機械の説明いっぱいしてくれたんですけど。
スピーカー 2
そうなんですよね。
私もやりたかったんですけど。
スピーカー 1
やりたかったんですか。
スピーカー 2
学生実験の時に、何、電気回路を自分で作って、よしできたと思って電源入れたらシュワーって煙が出てきて、危うく火事になるところだったんで、お前やめろって怒られた記憶がありますね、やっぱり。
難しいんですよ実験も、ごめんなさいね。
スピーカー 1
いやでも実験難しいもあると思うんですけど、僕理論こそもう難しいよって思ってる人たくさんいるんじゃないかなと思ってるんですけど。
スピーカー 2
そういう時もあるでしょうね。めんどくさい数学を理解しないといけないとか、いろいろあると思うんですけど、人それぞれ楽しいことも難しいこともいろいろあって、ここにいる人たちはこういうのが好きでやってるでしょうね、きっとね。
スピーカー 1
いやなんかやっぱり理論かっこいいっていうのもすごいよくわかるなと思って、過去のアインシュタイン以外いろんな人いますけど、そういう研究者の話とかも僕たちすることがあって、やっぱりエピソードとしてもかっこいいなって思うこと結構あるんですよね。
実際実験でわかる何十年も前にもう予言してましたみたいなこと全然起きたりするじゃないですか、理論物理学からそう。やっぱそれがかっこいいなと思います。
スピーカー 2
うん、私もかっこいいなと思います。そんなことができるといいんですけどね。なかなかね難しいんですね。
スピーカー 1
KEKでは研究者の人たちが日々頑張って研究されてるっていうことだと思うんですけど、橋本先生が書かれた質量はなぜ存在するのかっていう書籍ですね。これも以前出されたものが再編されて今年出たっていう形ですよね。
スピーカー 2
そうですね。ちょうどヒッグス粒子が見つかった頃、見つかる少し前ですかね。最初にダンでいた本があって、その後十数年経っていろいろ新しいことも出てきたので、そういうのをちょっとまとめ直してもう一度出させていただいたという感じですね。
スピーカー 1
やっぱ問いとしてキャッチーだし、確かによく考えたら質量とか重さってちょっとまた違うかもしれないですけど、そういうものが何であるのかって言われてみたら確かにみたいな疑問だと思ってて。で、僕もこの本読ませていただいたんですけど、深掘れば深掘るほど、やっぱこう理論ちゃんとわからないと答えられないみたいな、そういうところはあると思ってて。で、その質問を僕たちのリスナーの方に聞いてみたんです。
リスナーさんの回答が得られるってことですか?質量がなぜ存在するかの。
あ、そうそうそう。
じゃあ答え合わせできるってことですね。
で、何人かちょっと答えていただいて、すごい面白い回答をもらってるんですけど、最初にちょっと紹介すると、ちょっとあの抜粋しながらお話ししますけど、中割織さんとかは質量はなぜ存在するのか。これはもう絶対気持ちよく眠るためだと思います。
体の重さに抵抗して日常活動した後、両足で受け止めていた重さを全身で分散して受け止めるように変換する。あの瞬間は最高の瞬間です。この快感のために重力は存在するはずです。みたいな。僕これまあ面白いなと思うんですけど、人間らしいというか。
スピーカー 2
わかります。わかりますよ。あの。
スピーカー 1
いやわかりますね。
もう人類みんなわかりますよね、たぶん。
スピーカー 2
ねえ、あの、私は、何?布団がぐーっと沈むあの感じが好きで、布団の横になるとずーっと沈んでいく感じがして、あー沈んでるなーと思ってたらいつの間にか寝ちゃうっていう、あの瞬間は幸せですよね。
スピーカー 1
その瞬間は橋本先生も、あ、重力あるなって思うんですか?
あー重力だ、沈んでる沈んでる沈んでるって思いますね。何の話してたんでしたっけ?
いやまあ、質量がなぜ存在するのかはその瞬間のためだっていう答えで、確かになんかこういう回答が僕も来るかなと思ってたんですよね。質問してみたときに。
ワニ子さんは、哲学的な方面に向いてしまうんですけど、存在しようとして質量を持ったのかなと思います。
人が手のひらの上で物の存在を感じられる目印として触覚にアプローチしたのではっていう話とか。
あとはもう一つ、ちこたさんは、質量は地球が物を引っ張ってる力を数値化するために人間が考えた指標なのではと思います。
飛んでる鳥にも浮いてる魚にも質量があって、みんなに共通しているのは地球の重力、引力に引っ張られることかなという観点で考えてみましたっていう話とか。
確かに質量ってなんかそういう感じで学校で習ったりもするかなと思ってて、非常に深い問いだと思うんですよね。
そもそも日常で生活してたら、なんで質量があるんだろうみたいな問いが一般人には思いつかないじゃないですか。
物理の人には思いつくのかもしれないんですけど、どうして物理学的にそういう質問に至ったんですか。
スピーカー 2
そうですよね。私もね、この本を書き始めて、やっぱ困ったんですよ。
質量が存在する理由というか、そもそも別にそこに存在してるんだからそれでいいじゃんと、そこ思っちゃうんだけど、
実はソリューシー理論をずっとたどっていくと、ソリューシーは質量を持っていてはいけないという理論になってるんですよね。
存在、質量が存在するのを不思議だと思うのは、実は私たちだけかもしれなくて、普通の方にとっては当たり前なのかもしれないけど、
ソリューシー理論を学んだ人にとってはこれは不思議だなと思えるような何かなんですよね。
だから結局その、なぜこれを疑問だと思うかというところから説明を始めないといけなくて、
だからあんな長くて難しい本になっちゃって困ってるんですけど。
スピーカー 1
でもそうなんですね。ソリューシーの理論的には質量はあってはならないっていうことを今初めて知りました。
スピーカー 2
そうなんですよ。もともとソリューシーには、自然界には4つの力があるって言いますけど、
電磁気力と、角力の中の強い力と弱い力っていうのがあって、あと重力っていうのがある。
で、この中の弱い力っていう変なやつがいて、これを正しく書き下そうとすると質量があってはいけないっていう結論になっちゃうんですよね。
だからこれは困ったなと、どうにかして質量を生み出さないと私たちの世界が説明できなくなっちゃうから、これはダメなんで、
どうにかしたいって言ってたその結果がヒグス粒子っていうやつなんです。
私たちがその塗粒子の基本法則を理解しようとしている中で矛盾を解決するためにひねり出したのがヒグス粒子っていうやつで、
それが実際に見つかったっていうので、もう10年以上前ですけど、あんな騒ぎになったんですよね。
スピーカー 1
なんか聞いたことあるような気がするけど、あんまり何かって全然わかってないですけど、レン君わかります?
僕は一応わかったつもりではいるんですけど、分野外の人に。
スピーカー 1
確かにこれ以上分けられないっていう、存在しない証明ってやっぱり難しいっていう。
この質問してる方も書いてくれてるんですけど、確かにそうだなと思って。
だから現状の加速器っていう粒子と粒子をものすごい量でぶつけてバラバラになって、
その断片とかをいろいろ調べて、今のところここまではバラバラにできるよっていうのが素粒子みたいな、
現状のベストみたいな感じってことですよね。
スピーカー 2
そういうことですね。
スピーカー 1
もしもこの後素粒子がさらに分解できるっていうことがわかったら、
そしたら何か今の物理法則がひっくり返るとかあるんですか?
スピーカー 2
みんなそれを目指してるんです。
もし今見つかっている素粒子が分かれるということがわかったら、
まず完敗ですけど、
そっから先ノーベル賞がいくつもいくつも出てくるような話になるんだと思いますけど、
それはつまり新しい法則が見つかったということでもあるので、
それはすごいことで、そういうことが起きないかなとみんな期待してやってる。
実験の人たちは特にそうですね、やってるんです。
スピーカー 1
まあそうですよね、今までそういうのを見つけた人みんなノーベル賞取ってますもんね。
最初単位見つけたっていう。
スピーカー 2
そうなんですね、過去にヒッグス粒子に至るまでいろんな新しい素粒子を見つかってきて、
そこで今のところ打ち止めになっちゃってて、
で、それは今より高いエネルギーに行くのがどんどん大変になってるせいでもあるんですけど、
この先どうなっているのかっていうのはみんながすごく気にしているというか期待していることですね。
何か出てきてほしいって。
スピーカー 1
そのヒッグス粒子っていうのは素粒子の一つなんですか?
スピーカー 2
そうですね、素粒子に質量を与える役割を持った素粒子という立場のものなんですけど、
いろいろある素粒子の中でちょっと変わった性質を持った、
普通の電子とかクオークとか言ってるものとは違ってて、
なぜだか知らないけど、他の素粒子に質量を与えるためにそこにあるように見える変な人なんです。
スピーカー 1
それがじゃあ答えっていうことですね、その本の問いの。
今のところの答えなんですかね、なんか。
スピーカー 2
一応ちょっと試してみますかね。
質量は何かというと、アインシュタインのEコールMC二乗っていう式があって、
Eがエネルギーですね、それからMが質量で、C二乗は高速でそれは単に定数なので、
アインシュタインが言ってることはエネルギーとは質量である、質量とはエネルギーであるということを言ってるんですけど、
それはつまり、ここに何かエネルギーを持ってきてください、私の手の中に何でもいいからエネルギーを持ってきてください、
それを私がギュッとこう捕まえて止めることができれば、それは質量なんです。
例えば、非常に強い光、光は質量がないともともと思ってるんですけど、
強力な光を私の手の中に、鏡か何かの部屋を作って、この中に閉じ込めることができたとします。
そうすると、ちゃんと閉じ込めたら、それは重さを持っているというか質量を持っているということがわかるはずなんです。
スピーカー 1
光というエネルギーがそのままEコール質量ですよっていうのと意味的には一緒っていうか。
スピーカー 2
意味的にも一緒だし、本当にそうなってるはずなんです。
空っぽの箱の中に光が消えないように、100%ちゃんと反射する鏡があって、
鏡の部屋みたいなのを作って、その中に光を閉じ込めたとします。
中身空っぽ、だけど、これは質量を持っているはずなんです。
なぜかというと、中で光がこういるから、その分のが質量になっているはずで、
そういうふうに、ある場所に、狭いところに閉じ込めることができれば、
エネルギーを閉じ込めることができれば、それが質量なんです。
質量ってそういうものなんです。エネルギーをある場所に閉じ込めたもの。
スピーカー 2
なるほど、なるほど。
だから、素粒子が質量を持つというのはどういうことかというと、
例えば、陽子や中性子っていう、こいつは中にクオークとかいう粒子が入っているような何かなんですけど、
これが質量を持っている理由というのは、この中身は全員ほぼ質量ゼロの粒子なんですけど、
そいつがある事情で、丸い陽子、中性子の丸い塊の中に閉じ込められちゃってるんです。
で、行ったり来たり来たり来たりしてる。
で、その行ったり来たりしているエネルギーが質量として見えているというのが、実際に起こっていることなんですね。
スピーカー 1
だから、さっきちょっと出てた強い力とか弱い力とか、そういう力ってエネルギーって言っていいんですかね?
それはまた別。
スピーカー 2
別のものですけど、そういう力があるおかげで、私たちは、私たちはじゃないな。
例えば陽子の中にクオークを閉じ込めてしまうことができるわけです。
それは強い力がやっていることなんですけど、そうやって力があるおかげで、
非常に狭い陽子って本当にすごく小さいものですけど、その中に軽いものを閉じ込めちゃう。
出て行こうとしても引っ張られて出て行かれない。
そういう状況を作ってやると、それは中で勝手に行ったり来たりしているものがいるわけだから、中にエネルギーがあるわけです。
で、それが外から見ると、あ、この粒子には質量があるというふうに見える、そういうことなんです。
スピーカー 1
なるほど。だから、やっぱりこれ想像しにくいかもしれないですけど、
僕たちが持っている原子の、原子核の中に陽子とか中性子っていうのがあって、
その中にさらに素粒子ってやつがいて、別の力でそいつらはそこに留まってちゃんとひとまとまりにいるけど、
理論的にそういうのを説明すると、質量がないよっていう結論になっちゃうから、そこがよくわからないっていう。
スピーカー 2
そうそう。完全に分解分解していくと、質量はさっきまであったはずなのに、分解してみると、
あれ、この部品は質量ないじゃんっていうことになっちゃうんですよね。
スピーカー 1
だけど光閉じ込めたら質量あるよねっていうところもあって、どういうことだっていうことですよね。
スピーカー 2
同じことなんですよ。陽子の中にはクオークが狭い世界に閉じ込められて行ったり来たりしている。
で、質量を持ちますっていうことと、私がさっき手の中に光が行ったり来たりしていると、きっと質量あるよって言ってるのは、
同じことで、そこにエネルギーがあれば、そのことをアインシュタインは、これは質量なんだよと言ってるって、そういうことなんですよね。
スピーカー 1
じゃあ、そのさっきのフィックス粒子っていうものが、エネルギーみたいなふうに考えたらいいんですか?
フィックス粒子によって質量が説明できるようになったっていうふうにおっしゃってたと思うんですけど。
スピーカー 2
そう、そうなんです。とってもいいポイントなんですけど。
フィックス粒子は何をやっているかというと、他の素粒子ができるだけ動けないようにしている。
そういう役割をしている人なんです。で、普通だったら、電子でも陽子でも何でもそうなんですけど、質量なしで光の速さで飛んでるはずだったんだけど、
フィックス粒子っていうのがその辺にいっぱい埋まっているせいで、ぶつかってぶつかってぶつかってぶつかってしているうちに、なかなか自由に飛べない。
だから、さっき言ってた、あるところに閉じ込められているっていうのとちょっと似てて、なかなか前に進めない状況になっている。
それが私たちには、質量があるんだなっていうふうに見える、そういうことになっている。
へー。
スピーカー 1
だから、その粒子そのものの重さを見に行くわけじゃなくて、その周りに満ちてるみたいなイメージなんですかね、フィックス粒子が。
スピーカー 2
うん、その通り。
スピーカー 1
なんだろうな、僕はなんとなく、プールとか水入って、その水がフィックス粒子みたいな感じだとしたら、ちょっと動きにくくなるって、それで重さ感じるみたいな、なんかそんな感じのイメージですかね。
スピーカー 2
そう言ってもいいかもしれませんね。
スピーカー 1
逆にそっちなんだってめっちゃ思いますね、これ。こういう話聞くと。
スピーカー 2
それに何もないと思っている真空には、なんかそういう変なものが埋まっているっていうことでもあるので、
この疑問は質量はどうして存在するのかという疑問だったんだけど、
よく考えてみると、それは私たちの真空は一体どうなっているのかっていう質問でもなんでいて、おかげであんな難しい本になっちゃった。
スピーカー 1
え、じゃあ真空にもいるんですね。そこら中にフィックス粒子が埋まってるんですか。
スピーカー 2
そうそう、本当はフィックス粒子って言うと怒られて、粒子ではなくてフィックス場というものが埋まっているんだっていう風に言わないといけないんですけど、
まあ同じもんだと思ってもいいでしょう。何かが埋まってるんです。
スピーカー 1
フィックス粒子が埋まってない空間はないんですか。
スピーカー 2
おそらく宇宙が始まったごく初期には埋まってない空間だったんだと思われているんですけど、
その後ある事情で真空中にフィックス粒子が埋まった状態になって、そのまま今に至るっていうことだと思われているんですよね。
スピーカー 1
じゃあその事情がもし起きてなかったら質量は存在してなかったかもしれないっていうことなんですかね。
スピーカー 2
そういうことなんですね。
スピーカー 1
へえ。
どういう状況なんだって思っちゃいますよね。
スピーカー 2
だからこそ実験の人たちはそういう状況を作りたいんですよ。
スピーカー 1
ほんとに何もないみたいな。
スピーカー 2
フィックス粒子が埋まっていないような宇宙の始まりのような状況をできれば作り出して、
確かにこうなっちゃうとほら質量ないじゃんっていうことが見えたらすごいんですけど、
まあ今のエネルギーでは加速器のエネルギーではそこまではいけないんですけど、
でもそういうことができたらすごいねっていうことでやっぱりもっとエネルギーを上げた実験をしたいと思っているんですよね。
スピーカー 1
エネルギーを上げた実験でそこにつながるっていうのが難しいかもしれないですけど、なんでエネルギー必要になるんですかね。
スピーカー 2
だからフィックス粒子が埋まっているとまたちょっと変かもしれないけどそういう表現をしているんですけど、
今もう埋まっちゃったんです。だから真空ってエネルギーが一番低い状態のことを言うので、
まあそうやって真空中に埋まっちゃってエネルギーが低い状態になってる。それが今の状態なんですけど、
そこにエネルギーを叩き込んで、そうすると埋まってたのがボコボコボコっと飛び出してくるってありそうじゃないですか。
スピーカー 1
なるほど。その飛んでく、飛んでった後の場所は何もないみたいなかそういう感じですか。
スピーカー 2
そういう風、そうなるのを見たいっていうことです。
スピーカー 1
じゃあなんかレン君がさっき言ってた例で言ったら、でっかいプールに水が今入ってて、それがフィックス粒子で、それに爆風をかけて、それを空っぽにしたいみたいな、そういうイメージなんですかね。
スピーカー 2
そうですね、スプラッシュですね。
スピーカー 1
なるほどな、そう考えるとめちゃくちゃエネルギー必要そうっていうのはわかるかもしれないですね。
めちゃくちゃ必要そう。もう宇宙全体がフィックス粒子で埋まっているっていうことなんですもんね。それをなくすためにはめちゃくちゃエネルギー必要そうだけど、
え、でもこのエネルギーをかけたら確実にいなくなるみたいな、そういうエネルギーの量みたいなのはわかってるんですか。
スピーカー 2
あります。ただだから非常に狭いところにエネルギーを突っ込まないといけないので、難しいわけですけど、
たぶん今のLHCというヨーロッパの加速器があるんですけど、あれをさらに一桁大きくすることができれば、そういうことは起こるんじゃないかな。
スピーカー 1
それはもうなんか水爆とかよりも大きなエネルギーなんですか。
スピーカー 2
一転に集中させるという意味ではそうですね。だから全体のエネルギーとしては小さいかもしれないけど、それを一転に集中させないといけないっていうのが難しいところで。
スピーカー 1
確かになんかエネルギー、今水爆って言いましたけど核融合とか原子力発電の核分裂とかって、すごい広い空間で莫大なエネルギーを出すっていうのは、核融合はまだかもしれないですけど結構核分裂とかできてて、
だけどそれを一転集中させるところがやっぱまだ技術的に難しいというか、そこがハードルがあるっていう感じなんですね。
いや面白いですね。
面白い。
知らなかった。
確かにあの、筑波に僕たちも見に行った実験のところも、もう一周何キロみたいなものすごいでっかい加速器で、結局最後ぶつかるのはめっちゃこのちっちゃいこの幅のとこですみたいな。
ナノメートル単位ぐらいでしたっけ。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
そんなでかいものを作って最後ナノメートルでぶつけるみたいな、すごいことやってるなってめっちゃ感じたんですけど、それをさらにパワーアップさせなきゃいけないっていう。
スピーカー 2
そうそう。それができたらすごいんですけどね。でもまだ難しい。
スピーカー 1
そのプールの例えがいいかわからないですけど、僕たちが感じれないようなもので満たされてるって感覚がまず結構面白いと思うし、もしかしたらヒックス粒子とかそのバッて言ってるやつももっと分解できたりするかもしれないですもんね。
スピーカー 2
今までの物理学の歴史っていうのは、そこにある原子が例えば実は中に原子核と電子があったっていうふうに分かったっていうみたいに、外から見てると一個の粒にしか見えないものが実は中身があるっていうふうになってたっていうのを繰り返してきたっていうことがある。
それはだから、あまりに大雑把に見てると点にしか見えないよっていう意味なわけで、今の私たちの技術ではこの素粒子っていうのは点に見えるけれども、実はヒックス粒子だって他の何かでできてるかもしれないっていうのはそれは自然な発想じゃないですかね。
スピーカー 1
うーん。なんか人間ずっとそれやってますもんね。
スピーカー 2
永遠に続きそうですね。
でもまだ百数十年ですよ、それをやってるのは。
スピーカー 1
まあ確かに原子みたいのが分かったのもまだそんな100年ちょっとぐらいしか経ってないですもんね。
スピーカー 2
だからまあ私たちは生きてられないかもしれないけど、あと100年も200年も待てば技術がどんどん進歩して次のステージにきっと行けるんじゃないでしょうかね。
スピーカー 1
うーん。まあでも誰かがやらないといけないっていう。
スピーカー 2
絶対見てみたいと思うんだけど、どうでしょうね。
スピーカー 1
でもそれを頑張ってやろうとされているのが、KEKの人たちっていうことですもんね。
スピーカー 1
実際そんな簡単じゃないんですけど、だからそう考えると、多分素粒子ってその僕が考えたやつよりもさらに多分先で、当たり前じゃない世界で当たり前のことができてる、それが面白いみたいな感じじゃないですか。それは僕もすごい感じるというか、面白いなーって思うポイントですね。
スピーカー 2
ただこれをどう使おうかっていう場面が違うというだけで、実はここの中にはこうなるのはちゃんと理由があるんだっていう、そこを知りたいと思うっていう、その感覚は同じなんじゃないですかね。
スピーカー 1
なんか結局どのフィルターを自分が持ってるかかなーって気がして、音楽詳しい人が音楽聞いたらこれはこのジャンルでとか色々わかって面白いって思うので、結局そこに自分の音楽のフィルターを持ってるからかなーと思ってて、化け学とか分子のフィルターを持ってる人もいれば素粒子みたいなフィルターを持ってる人もいて、そういうフィルターがいっぱいあった方が人生面白いなって僕は思うんですよね。
スピーカー 2
うん、楽しいですよね。
スピーカー 1
色んな趣味知ってるみたいな、なんかそれのこう究極系というか。
一番究極かもしれないですね、素粒子ってね。
そうそうそう。
それ以上思い切れないから。
スピーカー 2
究極というか、極端に偏っているというべきか、そういう風に考えると楽しいですよね。
スピーカー 1
なんとなく質量のイメージは伝わったということにちょっとこの辺でして、まあでも筆屑粒子とか多分色々調べると深掘りいくらでもできると思うし、それこそ先生の本を読んで勉強してみるとかもいいのかなと。
スピーカー 2
ぜひお願いします。ありがとうございます。
スピーカー 1
ここから全然トリッキーな、ちょっと全然経路が違う質問になっちゃうんですけど、例えば今言ったような直感に反する物質っていうものは当たり前に質量があるのに、よく見ると必要ないかのようなルールがあるとか、そういうのが仏教っぽいって言ってる人がいて。
そういう古代の哲学の思想と物理の理論に共通点があるのは偶然だと思いますが、すごい面白い親しみを感じますっていう。
この量子理学と仏教について橋本先生のご見解があればって言ってるんですけど、そもそもどうですか?
僕はあんま考えたことなかったんですけどね。
スピーカー 2
困りましたね。
多分並べてみるといろんなところに共通点が見出せるっていうのは、いろんな場面であるんだと思うんですけど、確かにそういうのを見ていくと味わい深いと思うっていうのはあるかもしれないですね。
私たちは、研究する人たちはちゃんとした計算できる理論じゃないと使えないからダメだよと思っちゃうんだけど、別にそうでない人にとっては、味わいたいということだったら類似性を見て、そうかと感じるっていうことはわかるので、
そういうことがあってもいいと思いますけど、私に仏教について聞かれても、すいませんけど私にはそんな教養が全くないので。
スピーカー 1
仏教じゃなくても、何か量子理学の物理学的なところをずっと調べていくうちに哲学的な思想になったりとか、人生の教えとか、そういうことを考えたりとかありますか?
スピーカー 2
人生まで持っていくと、人生は複雑すぎて私の手には追えないんだけど、量子理学って不思議なことがやっぱり多いので、理解、どうしても理解できないっていうのはやっぱり思いますよね。
だから他の哲学にすれば理解が進むのかどうかは私にはわからないんですけど、量子理学そのままでは何か納得できない、腹に落ちない感じがするっていうのは、初めて学んだ時から今に至るまで私にはずっと同じですね。
だから他の皆さんもきっとそう思うのは全然無理もないなぁと思いますけど。
スピーカー 1
まあそうですね、似てる部分はありつつ、まあでも仏教は計算できないけど、量子理学は計算してるよっていう違いは知っておいたらいいかもしれないですけど。
スピーカー 2
私たちにとっては似てるねだけでは仕事にならない。
スピーカー 1
そしたら何でもいいみたいになっちゃうかもしれないんで、一応言っておくと。
スピーカー 2
一応ね、飯の代理にするにはちゃんと計算できないとやっぱり困るんで、私も引退したら確かに仏教も勉強しようかな。
スピーカー 1
なかなかいないんじゃないですか、仏教と量子理学両方プロの人がいたら結構すごいスキルなんじゃないですか。
スピーカー 2
あちらのプロになるにはきっとやっぱり何十年も修行しないといけないんでしょ。
スピーカー 1
まあそうですね、悟りを。
スピーカー 2
そうっすね、凡の方が多すぎるからね。
スピーカー 1
いやでも出家してこれは似てるなーって見出していく研究者とかいたらまあそれは面白いかもしれない。
スピーカー 2
そうね、そうですね。
スピーカー 1
ごめんなさい、これ何の、どんな質問だっていう感じかもしれないですけど。
ちなみにアダムサーティンさんからでした。
あ、そうです、アダムサーティンさんから。
質問者さん。
ちょっとすみません、全員お名前呼び上げられてないかもしれないですけど。
あとちょっとこれも先生に聞くべきことなのか全然、というか多分全然違うと思うんですけど。
宇宙空間に財布が落ちててそれをネコバカしたらどの国の法律で裁かれるのでしょうかって全然関係ない質問なんですけど。
宇宙のルール関連ですねってことなのかなこれ。
スピーカー 2
あれですね、私たちがよく言うのは物理法則で禁止されていなければ何だってできちゃう。
だからネコババできちゃうでしょうね。
誰かに裁かれる知りません?
スピーカー 1
法的なのは分からないですけど。
スピーカー 2
ただ面白いかもしれないのは物理法則って私たちのここと宇宙の果てで同じなのかしらっていうのは実は考えてみないといけないこと、検証しないといけないことだと思うんですよね。
だって証拠がないと同じだと信じる理由がないじゃないですか。
スピーカー 1
しかも暗黒物質がとか聞いたことある人も。
スピーカー 2
ずっと離れた何十億光年も離れた向こうで同じ物理法則が働いているという証拠はどこにあるのかということを考え始めるとまたこれはこれで面白いですよね。
スピーカー 1
逆にどこの距離までは同じ物理法則が成り立つみたいなそういうのはあるんですか。
ここまでだったら証拠があるみたいな。
スピーカー 2
どう思います?どうすればできると思います?
スピーカー 1
でも証拠を集めるのもどんな証拠を集めればいいんだってなりますよね。
スピーカー 2
例えば物が燃えるときにはその物質に応じて色が違うって言うじゃないですか。
花火の色みたいに。
だから宇宙のずっと向こうで光っているものが私たちの地球上の炎と同じような性質を持っているというのがわかったら
これは私たちの物理法則とあの宇宙の彼方のあの星の物理法則はきっと同じなんだろうなってある程度想像できるじゃないですか。
そういうことを積み重ねていくしかないと思うんですけど
そういう意味では今のところ宇宙の向こうで物理法則が違っているという証拠はどこにもないっていうのが
今のところの多分見解だと思うんですけど
どこまで精密にそれが言えているのかっていうのはわかんないから調べると面白いんじゃないかな。
スピーカー 1
そういうのを調べている人もいるんですか?
スピーカー 2
いるはずですよ。
スピーカー 1
ちょっと前にブラックホールの姿は見えてなかったけどこんな感じでしたっていうニュース出てたじゃないですか。
あれも多分未だによくわかってなかったんだって僕はすごい驚いたんですけど
じゃあその本当にブラックホールで観測本当に難しいところは同じルールなのかとかって正直わからないっちゃわからないですよね。
スピーカー 2
そうですよね。大体あの宇宙の穴ずっと向こうから来た光はずっと昔の話なわけですよ。
何億年も前の話で大体その時その昔の物理法則と今の法則は同じなのかとか考え始めると
それもよくわかんなくなってくるし
だから私たちはいろんなことがわかっているようなつもりでいるけど
いやー実はよく考えてみるとわかってないことっていろいろあるんじゃないかなって
いやー楽しいなと思うんですけど。
スピーカー 1
いやーもうきりがないですね。わからないことを考えたらもうなんかわからないことだらけになりますよね。
スピーカー 2
でもおかげで人生楽しくていいんじゃないでしょうか。
スピーカー 1
それがわかった瞬間とかが多分すごく楽しいですよね。
なんかベッドに沈みながらこれ考えたらよく寝れそうですよね。
スピーカー 2
寝なくなる人もいるかもしれないけど。考えすぎちゃって。
スピーカー 1
だから今のところ宇宙の厳密なルールで財布ネコババしたらどうなるかわかんないですけど
どこからが宇宙なんだみたいなのもあるかもしれないし
本当にルールがどこの範囲まで一緒なのかとか考えると
さばかれないともいえない。
そもそもネコババもできないかもしれないしね。物理法則が違ったら。
スピーカー 1
全然違うルールかもしれないんで。面白いですね。そう考えてみると。
面白い。
あとこの方も宇宙で生活することを夢見てる人なんですけど
宇宙で青く乾く地球を生で見たら号泣不可避だと思いますが
宇宙は無重力で液体の涙は目に浮かんだ瞬間
そこにフワフワとどまってしまうのではないかと考えたら怖くなり
ここに投稿しましたっていうちょっとかわいい質問なんですけど
スピーカー 2
楽しそうじゃないですか。
スピーカー 1
フワフワ浮かぶのは浮かぶとは思いますけど
どうなんですかね。
スピーカー 2
フワフワ浮かぶでしょうね。で丸い玉がフワフワ浮かんでてキラキラして楽しいんじゃないですか。
スピーカー 1
先生もやっぱり宇宙に行けるってなったら行きたいですか。
どうか。宇宙でビールの乾杯ができないかもしれないから。
そこですか。
スピーカー 2
やめといた方がいいかもしれないですよね。シューってやるとどうなっちゃうんだろう。
スピーカー 1
なんかそれ用の袋みたいなのに入れて飲むんじゃないですか。
いやでもなんか味わい深さは全くない気がするなそれ。
まずそう。
スピーカー 2
シュワーってトットットットっていうのがないわけでしょ。
そうです。やっぱり行かなくていいんです。
じゃあ地球から宇宙を考えるっていうところですね。
そうです。
スピーカー 1
橋本先生は。
そうしておきます。
ある意味いろんな理論の人とかに聞いてみたら面白いかもしれない。
なんか実験系の人とかの方がもっと現場に行ってみたいみたいな感じで宇宙行きたい人とかいるんですかね。
面白いかもねそれ。
スピーカー 2
きっといると思いますよ。昔ここにいらした研究者の方で宇宙飛行士の試験を受けたと言ってた方がいらしたので。
結構以前まで行ってたんだけど最後の最後でダメだったって聞きましたけど、
自分はどうしても宇宙に行ってみたいとか言ってる人いましたから結構いるんだと思います。
スピーカー 1
それこそ宇宙の研究とかしてる人ってやってたら行きたくなっちゃいそうだなって思いますけど単純に。
スピーカー 2
完敗できないけど。
スピーカー 1
そこが大事なんですね。
リスナーさんの質問としては最後なんですけど、
おもちさんから、この方会社員をしながらアーティスト活動をしている方らしくて、
KEKの一般公開も毎年行くようにしてると。
最近KEKでもアートに関する取り組みが増えてきていると感じる。
アーティストがKEKの研究者の方々にリサーチすることによってお互いどんな効果があるとお考えでしょうか。
リサーチしたいんですかね。もしかしたら。
それかリーチですかね。
アーティストがKEKの研究者の方々にリサーチする。
確かにいらっしゃいました。
アーティストの方々がいらして、
スピーカー 2
1ヶ月滞在して、
いろんな実験装置を見たり、
宇宙物理の話を聞いたりして、
それをアートで表現するっていうのをやっておられた。
私の近くにもいらして、あれこれと話をされてましたけど、
なんかアーティストの方にとっては、
ちょっと普通では得られないインスピレーションがあるかもしれないし、
我々にとってもどうなんでしょうね。
あの研究内容を、
例えばこういう場所でいろんな方々に
全然違う角度から研究についてコミュニケーションができるっていうのは、
え、そうなの?と思うようなところがありますね。
私なんかは絵心も何も持っていないし、
アーティストの方々にとっては、
アーティストの方々にとっては、
アーティストの方々にとっては、
アーティストの方々にとっては
私なんかは絵心も何もないので、
アーティストさんが作った作品を見ると、
なんじゃこりゃっていう感じだけど、きっと、
他の方、いろんな方にとっては、
例えばソリューシーの世界とか宇宙の始まりとかは、
こんな風に見えるんだっていう、
違う見方を提供するとかいう意味で、
面白いんじゃないかなと思いました。
ウィンウィンってことなんですね。
きっと今からいろんなことがあるんじゃないですかね。
似たような取り組みが。
私たちの仕事は科学の研究なんですけど、
科学ってある意味でアートと似てる部分は、
もしかしたらあるかもしれなくて、
つまり新しい世界を開拓するというような側面が多分あると思うので、
お互いに全然違う考えを持った人とのコラボレーションがあると、
また違う世界が見えるっていうことはあるんじゃないかなと。
そういうことで一般の、我々だったよね。
一般の方にアプローチするパスができるっていうのは、
とってもいいことだと思うんです。
だからきっとまたいろんな機会があるんじゃないかと思います。
スピーカー 1
すごいいいですよね。
全然違う分野にいるから、普通にしてたら出会うことはないとは思うんですけど、
そういう人がお互いの分野でどんなことを考えているのかみたいなのをシェアすることで、
また新しいアイデアが生まれるとか、
アート的なこと以外でも、
研究者もやっぱり分野外の研究者を話したら新しいアイデアが出てくるとかもあるし、
意外と一般の方の素朴な疑問とかが、
研究に役に立つとかあるかもしれないし、
って考えたらすごいいいことですよね。
スピーカー 2
そうだ、そう思います。
スピーカー 1
これでリスナーさんの質問は全部、
おそらく触れることができたのではないかなと思います。
これ最後僕らからの質問で、
スピーカー 1
今の素粒子の小さい世界みたいなものと、
僕たちが当たり前だと思っているこの世界の解釈、
違うよねっていう解釈があると思ってて、
そういう量子っていうものを認めましょうねっていう、
偉い人たちの会議とかはあったと思うんですけど、
いつから素粒子研究することが当たり前になったのかなっていう、
受け入れられるきっかけみたいなのがあったのかなっていうのを疑問に思ってて。
私たちの収録でちょうど昨日話してたのが、
昔はやっぱり古典力学が一般で、
素粒子的なのとか量子力学的な考え方は、
受け入れられてないっていう状態があったって知ったんですけど、
それが今までは受け入れられてるじゃないですか、
それがいつから一般的になったのかなっていうのと、
きっかけがあったのかなみたいな、そういう話をしてまして、
せっかくだし橋本先生に聞いてみようよみたいな話になりました。
スピーカー 2
なるほど。これは歴史の話なので、私は実はよく知りません。
でも、全般として言えるのは、
古典力学のままでは理解できないことがあまりにもいっぱいあって、
新しい量子力学というものが、
それこそ原子のスペクトル、文工学の結果を
あまりに綺麗に説明できるということが分かってきた時点で、
これは正しいと考えるしかないと、その限りにおいてね、
いろんな実験の結果を説明できないと、そもそも物理学ではないので、
今までできなかったことがどんどんできるようになってきたっていうのは、
そちらに向かうのはもう必然だと思うんです。
ただ、そう思うと、量子力学のいろんな困った問題、
いろんな状態が同時に存在していますとか、
観測した瞬間に状態がビュッと変わるとか、
そういうわけのわかんないことも一緒に受け入れないといけないことになっちゃうんで、
困ったなとみんな思ったんだと思うんです。
当初は、そういう固いことを言わないで、
ちゃんと計算できるんだからいいじゃんという雰囲気で、
ずっときてたんだと思うんです。
それこそ波速の収縮っていうんですけど、
測定をした瞬間にいろんな状態にあったものが、
キュッと一個に縮まるっていうのは、
それは一体どういう過程なんだっていうのは、
多分あんまり未だに理解されていないはずで、
とはいえ、あらゆるものが計算できて、あらゆるものがちゃんと合っちゃうので、
これをそういう問題があるからといって捨て去ることはできない。
一方で観測の問題って言うんですけど、
波速が収縮するとかいうこと自体は、
実は観測している私たち自身を理論の外側に置いて見ているっていう、
本当は正しくないことをやっているので、
宇宙全体がその量子力学に当然従っているはずなのに、
あたかま私たちがその外側にいて観測をしているみたいな、
本当は正しくないことをやっているっていう側面もあるはずなので、
そう思うとその問題自体が本当に問題なのかどうか、
もうよくわかんないっていう話になって、
だとしたらそこまで考えてもしょうがないじゃんと私は思うし、
専門家の方に行くと、
あいつあのバカ何言ってんだと思うかもしれないけど、
多分全般にはそういうつもりでいるんじゃないかしらと思います。
スピーカー 1
確かにちょっと外側から見ているっていうのは、
確かに人間が作った言葉で、人間が作った数字で、
いろんなことを説明して言ってるけど、
そもそもそうやること自体本当にいいの?みたいな感じですよねきっと。
本当大前提というか、人間がこうわかりやすい形で解釈しようとしているけど、
まあそれはなんかバイアスかかっているのかなとか、
スピーカー 2
正解ないですしね、まだ。
いやこれが正解だって言ってる人もいるかもしれないから、
ちょっと気をつけた方がいいかもしれないんですけど。
スピーカー 1
そのために理論の方たちは頑張ってそれを追求してたりとかするってことですよね。
スピーカー 2
一部のね、問題いっぱいあるので、
いろんな人がいろんな問題を調べているという中には、
そういう本質的な根源的なことを考えている人もやっぱり必要だし、いらっしゃいますよね。
スピーカー 1
いやなんか橋本先生が、自分は専門家なのでっておっしゃったんですけど、
私たちから見たら、橋本先生が専門家だなって思ってたんですけど。
そうだね。
でもじゃあ橋本先生の本当の専門と、橋本先生が成し遂げたいことって何ですか?
スピーカー 2
冒頭にも言われてたかもしれないんですけど、一番成し遂げたいことって何ですか?
私の研究自体はちょっとお話したんですけど、クォークがくっついて容子や中性子ができますという、
それ強い力の理論って言うんですけど、それを理解できるようになりたいというのが私自身の研究で、
特にシミュレーションを使って、なんとなくこんな感じではなくて、
数値的に1%の精度で実験で測定できる量はこのように求まりますというふうに調べるというのがやっていることです。
クォークがくっついて容子ができるその理論があまりにややこしすぎて、
誰もまともに計算できないんですよね。
だからこそ、それをシミュレーションを使って調べるっていうことをやってて、
だからこそ質量がなぜ存在するのか、どうやってできているのかということに興味があるっていうことなんですけど、
クォークがくっついている様子を調べるためには、クォークが住んでいる真空の様子もまず知らないといけなくて、
その上で、じゃあクォークはどうやってくっついて容子になっているのかというのを調べるというか、調べるだけでなくて精密に計算する。
まずそこができたら、ではその反応、そうやってクォークがくっついてできた粒子の反応はちゃんと計算して示すことができるだろうか。
ではそのクォークが容子にくっつく、そのくっつき方とかその反応とかがちゃんと計算で予測できないような状況だけど、それを予測できるような状況にしたいみたいな、そういう。
うちの研究所でも大きな加速器を使って実験をやっているんですけど、そこでは容子中性子のようなクォークでできた粒子が、
もう山のようにじゃんじゃん作られて、そいつが崩壊したりいろんなこと起こすわけですけど、恐ろしいことにそのほとんどは理論的には計算できない。難しすぎて。
それはダメだろうと。
スピーカー 1
確かに完全に理解できたとは言えないですもんね。
スピーカー 2
そういうのを計算して、これはこうなるはずだというのを理解できるところまで持っていきたい。
本当は難しいんですけど、でもそこをどうにかするっていうのは、実験でいろんなことを調べているわけですけど、その前提みたいなものなんで、そういうことはちゃんとしておきたいよねと、そういうことですね。
スピーカー 1
いやー、面白いなあ。
ちなみに今その理解できる状況が100%だとしたら、今何パーセントぐらいまで研究進んでるみたいなのあるんですか?
スピーカー 2
1パーセントかな。
1パーセント。
まだまだ難しいんですよね。
スピーカー 1
こういうのって、理論だからあるときひらめいて、すごい計算式が頭に思い浮かんだら一気に100%とかに行くものなのか、それとも新しい実験技術とかが開発されて、それで新しい種類のデータとかが取れるようになって一気に進むものなのか、どういうふうに進んでいくんですか?
スピーカー 2
やっぱり人間の能力ってすごい限られていて、計算できることってほとんどないんですよ。難しい数学を使っても問題自体が難しすぎて、方程式はあるんだけど、まるっきり解けないんですよね。
スピーカー 1
世界が複雑すぎるみたいな感じなんですか?
スピーカー 2
だから用紙の中だけ取ってみても難しすぎるんですよ。だから、やれちょっとひらめいて、ああできるというほど簡単ではなくて、たぶん新しい技術が必要で、もしかしたら新しい技術って量子コンピューターなのかなとか、そういうことを思ってたりしますね。まだまだ使えないんですけど。
スピーカー 1
計算能力的にとかってことですか?
スピーカー 2
そうですね。やっぱり量子の世界っていろんな状態の重ね合わせでできている。つまりいろんな状態が同時に存在しているんですよね。
その同時に存在しているいろんな状態がお互いにあれこれとやり取りをしあって動いているわけで、それを本当は全部取り入れないと正しい計算できないんですけど、それはあまりに数が多すぎてできないんですよ。
そういうことができるのは、量子コンピューターなのかなと思ってたりします。だけど、何十年後にできるようになるかわかりませんけど。
スピーカー 1
じゃあ橋本先生が今やられているのは、そういうなんか量子コンピューターを開発したりみたいなことなんですか?
スピーカー 2
あの、そういう、そういう野望はないんですけど。
スピーカー 1
使う側って感じですかね、どちらかというと。
スピーカー 2
期待はしたいっていうわけですね。まだまだ私たちが興味のある問題に使えるほどの規模ではないので、まだまだ使えないんですけど。
だけど、私が言った1%を10%にするには、もしかしたらそういうことが必要なのかなと思ってたりします。
スピーカー 1
へー、面白いな。まあでも今そういうのもホットだしな。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
いや、なんかこれ聞いてやってみたい人出てくるといいですよねって思っちゃいました、今。
スピーカー 2
若い人はそう今からだから、あと30年もすればいろんなことがすごく進んでいるはずで、その頃にはできることってちょっと夢が広がりますよね、やっぱりね。
スピーカー 1
やっぱり純粋に、すぐ世の中に役に立ちますっていうやつよりかは、本当に今わかってない世界の謎に挑みますみたいな言及って、やっぱすごいワクワクすると思ってて。
だからそういうのが伝わっていったらいいな、そしてそういう人たちが頑張ってやってくれたらいいなって僕は応援してるだけなんですけど、旗から。
スピーカー 2
私も応援したいですね。
スピーカー 1
いやいや。
自分はね、自分はとりあえず仏教の勉強でもしたほうがいいかもしれない。
これきっかけで仏教のことをいろいろ発信し始めたらちょっと面白いかもしれないですけど。
いや、ありがとうございます。なんか感じでオチがついたかもしれないですね。
最後は仏教で終わるっていうね。
まさかの着地点だったけど、まあまあでもさっきも言ったような結構複雑に地道にいろいろ計算とかもやらないといけないところもあると思いますし、いろんな人と関わり合いながら進んでいってるすごい面白い分野だと思うので、まずぜひ。
ちょっと興味ある人は自分でも調べてみたりとか、祖龍氏のこと関心持ってくれたら嬉しいですね。
スピーカー 2
そうですね。ぜひお願いします。聞いていただけたら私もまた飛び出して参りますので。
スピーカー 1
ちょっと何かわかんないことあったら聞いてみたいとか。
確かに。
これ聞いてなんか聞いてみたいこと出てきた人とかいるかもしれないけど、そういう人たちは一旦僕らに送ってもらえれば。
確かに。だいぶなんかぶっ飛んだ質問とかも普通に答えていただいてたので、なんか聞きやすくなりましたね。
いや、そうですね。すごく面白い話聞けて。
ありがたかったです。
ありがたかったなと思います。
ということで、ちょっと今回すごい長い時間にわたってお話聞いてきましたけども、今回のゲストは橋本先生でした。
いろいろお話聞かせていただいてありがとうございました。
ありがとうございました。
スピーカー 2
どうもありがとうございました。
スピーカー 1
はい、最後にお願いタイムです。
はい、毎回すいません。
お願いタイムって言わないほうがいい?
いいんじゃない?
現在第7回ジャパンポッドキャストアワードのリスナー投票が開催されております。
はい。
もう投票してくれましたか?
はい。
はい。
スピーカー 2
私投票じゃないけど。
スピーカー 1
なんで返事したの?
面白いから使うわ。
まだです。
まだしてない人もいると思います。
なんですけど、ぜひまだしてない方はポッドキャストアワードって検索して投票してもらうなり、概要欄から投票してほしいです。
はい。
今回ね、KEKの先生を呼んで話したりしましたけど、そういう回とかって割とポッドキャストのちょっと信頼感みたいなのも積み重ねないとうまく読めなかったりすることもあるんで。
受賞することは確実にプラスになると思ってます。
そうだね。
昔からずっと私たち言ってきてるけど、ポッドキャストアワードにいつか受賞して、博をつけて著名な科学者をお招きして、このポッドキャストの中で話したいっていう夢があるよね。
しかもポッドキャストってすごい長い時間じっくり話し聞けるじゃん。
そういう場所って絶対大事だと思ってて、そういうのを作りたいっていう思いもあります。
なので今回のコラボ会が楽しいなって思ってくださった方は、こういう回をもっと聞きたいって思われたのであれば、ぜひポッドキャストアワード再演トークに投票してください。
はい。よろしくお願いします。
あれ?
噛んだ。
何?よろしくを噛んだ今?
オロってなった。
何言おうとしたの?
よろしくお願いしますって言おうとしたらオロってなった。
よろしくお願いします。
はい。よろしくお願いします。
それではみなさん。
Ultra 4。