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  2. 主体感を記述する感性工学!違..

感性工学の研究を行っている大学院生をお招きし、感性工学とはどんな分野なのか?主体感についての研究とは?等について語っていただきました。

【ゲスト】

感性工学分野

谷山健作 さん

学生団体BEAST https://twitter.com/Sci_beast

研究ピッチコンテストGENSEKI  https://sci-beast.jp/genseki

12/17 YouTube Liveにて、レンが審査員として登場予定。


【お知らせ】

12/10の科学系ポッドキャストの日では「2022年ベストエピソード」を募集中!

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【トピック】

・感性工学とは?

・物とヒトの境界を考える

・感性工学の自由エネルギー原理

・運動主体感と操作主体感

・ラバーハンドイリュージョンと身体所有感

・自動車を運転する感覚を定量する

・人の反応速度と違和感

・操作主体感の関数

・物理現象と人の間をつなげたい

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【サイエンマニアについて】

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【プロフィール】

研究者レン from サイエントーク

化学と生命科学が専門のおしゃべり好き研究者。サイエンスをエンタメっぽく発信するために様々な形で活動中。ポッドキャスト「サイエントーク」ではOLエマと共に番組を制作中。

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DOVA-SYNDROME

00:00
サイエンマニア。こんにちは、レンです。サイエンマニアはあらゆる分野のゲストを招き、サイエンスの話題を中心にディープでマニアの話を届けるポッドキャストです。
今回のゲストは博士課程で感性工学の研究をされている谷山健作さんです。よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いいたします。
はい、では最初にですね、簡単に自己紹介の方お願いします。
はい、今僕は博士課程の1年で感性工学という分野の研究をしています。
この研究自体は学部の4年生から始めたので、4年目ということになるんですけど、
多分感性工学自体まだまだ知られてないことが多いんじゃないかなと思うので、
いろいろ今日は話せたらと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。ということで、僕もちょっと感性工学全然どんな話になるか今のところ想像がついてないんですけど、
今日ちょっといろいろと素人として聞いていければなと思ってます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
じゃあ初めに、感性工学ってそもそも何ですか?
はい、まず感性工学の漢字がわからない人もいると思うけど、
感性ってどの感性なんだ?みたいな。
はい、感覚の管理、性質のせいで感性と言います。
で、簡単に言うと心理学を工学に応用するような分野だと僕は思っています。
おー、なんか一見真逆そうな感じですよね。
そうですね、やっぱり今までの工学は基本的に、特に今僕が所属している機械工学専攻では、
四力っていう物理を基礎にして、で、それを製品設計に応用する、ものづくりに応用するっていうことをしてきていたんですけども、
その四力の物理とは違って心理学を応用するっていう分野になっています。
なるほど、じゃあ工学のことも心理学のことも勉強してるわけですね。
そうですね、工学のことあんまり実はわからないかもしれないですね。
物理のことはあんまりわからないかもしれないですね。
結構心理学寄りではあるんですか、そこは。
はい、そうですね、学部の時は物理の勉強がっつりしたんですけど、
研究になって使わなくなって割と忘れてしまいました。
あ、そうなんだ。
そもそもこれどんなことしてる分野なんですかね。
はい、感性工学はそういう心理学を工学に応用するっていう分野なんですけど、
03:00
僕がやってることとしては、自分の研究室が目指してることとしては、
今までの工学っていうのは、
製品、機械の構造とか挙動がどうなっていたら、
どういう物理現象を引き起こすのかみたいな、
その構造挙動っていうのと物理現象の関係を記述することをしてきていたんです。
それが物理、四力学とか呼ばれる機械力学、材料力学、流体力学、熱力学っていうのがあるんですけど、
これを使って、その関係性を記述してきていたんですね。
なるほど、なんかいわゆるエンジニアみたいなイメージですかね。
そうですね、はい。まさにそうなんですけれども、
じゃあその物理現象が人間にとってどう感じるのかっていう、
その製品の機能がどういうふうに人間に捉えられるのかっていうところの関係性っていうのがまだ、
俗人的なところがあったりとか、まだ分かっていないこともいろいろあるので、
そこの関係性を記述したいっていうことをやっています。
なるほど、なんか物そのものってよりかは、僕らがどうそれに接するのかっていう。
はい、そうですね。
第三者視点みたいな、なんかそんな感じです。
まさにどう接するのかっていうところをやっていて、
関西工学っていうをやってますって自己紹介するときもあれば、
ヒューマーインターフェース、接する部分のインターフェース境界ですね、
の研究をしてますっていうこともあるくらいですね。
なるほど、なんか身近な例で言ったら何ですかね。
よくスマホとかアプリとかのユーザーインターフェースとか言うじゃないですか。
はい、そうですね。
iPhoneとかのヌルヌル動くUIとか言いますよね。
これもなんか、いわゆるその境界面というか。
はい、そうですそうです。
スマホもありますし、僕が今扱っているのは自動車を扱っていて。
自動車、ほうほう。
人間が運転しやすい自動車はどういう自動車かっていうことを研究していて、
こう、人間が運転しやすくなるためには、
どういう感覚フィードバックを機械から人間に与えればいいのかっていう部分のデザインをしたりしています。
おもしろいな。
車の動きそのものじゃなくて、
例えばブレーキの踏み心地どうかとかそういうことですか?
そうですそうです。
どうやって研究するんだろうって全然想像つかないですけど。
はい、結構、そこの流派もいろいろ分かれるんですけど、
2つ流派があって、
1つはあるものを作ってみましたってなったときに、
06:00
人を呼んできて、
その呼んできた被験者にその製品を使ってもらって、
アンケートでその製品をどう感じたかを評価してもらったり、
あるいは生理計測っていって、
人間のいろいろあるんですけど、
目線がどう動いたかとか、
発感がどうなってるかとか、
そういう身体周りの情報を取ったりとか、
あとはノウハウを取ったりとかすることで、
その製品の特徴っていうのと、
それに対して人間がどうなったかっていうところのデータの関係性を、
データをいろいろとっていって、
人間がこういう状態になってればいいっていうことがわかれば、
逆に製品をこうすればいいっていうのがわかるっていうようなアプローチを取る人もいます。
それが1つの流派。
だから、
それが1つの流派。
イメージで言うと、
だからそういう計測機器とかをつけて、
実際車乗ってもらって、
どういう反応するのかっていうのをいろいろ研究するっていう。
はい、そうですね。
それが1つ目で、
割とデータドリブンな研究というか、
いうものになっています。
僕たちの研究室のアプローチは、
人間の理論があるんですね。
人間がどういうふうに感覚を受け取ったときに、
その感覚を知覚して、
それをもとにどういう行動をするかっていう、
数理的に表された理論が、
自由エネルギー原理っていうものなんですけれども、
そういうものがあって、
ただそれはまだ工学になかなか応用されていない状態で、
機械を扱ったときに、
どういうふうに人間が感覚フィードバックを受け取って行動にするかっていうところへの応用はまだできていないので、
その部分をやるっていう流派が2つ目ですね。
じゃあそれは計測とかじゃなくて、
まずどう感じるのかっていうところか。
ちなみにその自由エネルギーの原理っていうのは、
どんな感じの原理なんですか?
結構難しいので、
僕はまだ勉強中ではあるんですけど、
もともとはカール・フリストンっていうイギリスの人が考えた理論で、
その人の分野は計算論的神経科学とか言われている、
今結構ホットな分野のものなんですけど、
結構AIとか絡みそうな、
そうですね、AIに実装されたりすることが多いのかなと思います。
で、その理論は統計で結構記述されているもので、
09:03
いろいろ説明があるんですけど、
簡単に言うと、自由エネルギーっていうコスト関数って言って大丈夫ですかね?
コスト関数?
自由エネルギーっていう、エネルギーなんて言ったらいいのかな?
情報量があるんですね。
情報量、はい。
僕なんか自由エネルギーってなると、エンタルピーとかエントロピーの話出てくるのかな?みたいな。
はいはいはい、その熱力学とのアナロジーで、
自由エネルギーって言われているものなんですけども、
自由エネルギーは確率で記述される情報量っていう、
ある意味状態量みたいなものですね。
で、解釈としては予測誤差とか解釈されたりするものなんですけれども、
そういう自由エネルギーって呼ばれる、ある関数があります。
で、その関数を最小化するように人間は、
知覚をしたり行動したりしますよっていう、
理論が自由エネルギー原理なんですけれども、
その自由エネルギーっていう関数があったときに、
そのパラメーターを調整したり、
その中のある関数を調整したりすることによって、
自由エネルギーが小さくなるように、
そのパラメーターとかを調整していくっていうのが、
自由エネルギーが言っていることで。
じゃあ、それが変わると、人の行動ってちょっと変わるよねとか、
そういう感じですかね、アウトプット。
はい、そういうことになります。
で、じゃあ、それに合った機械のデザインはどうなんだ、みたいな方向ですかね。
そうです、そうです。
はい、なるほど。
で、これを実際に、その関数をいじったりするみたいなのが、
結構、研究内容になってくるんですかね。
それはもう、ある程度、理論に任せていて、
何と言うんですかね、
自由エネルギー原理に基づいてなんですけども、
僕の研究は主体感っていうものを扱っていて、
主体感。
ちょっとまた新しい概念が出てきて、申し訳ないんですけど。
でも、そのままの意味っぽいですよね、主体感。
あ、そうですね。
自分が主体となっている感覚ですね。
はい、例えば、こうペットボトルを持ち上げたときに、
その持ち上げたのは自分だって思う感覚で、
まあ、ある意味当たり前の感覚なんですけど、
実は当たり前じゃない人もいて、
統合失調症の患者さんとかは、
ある行動をしたときに、誰かにやらされたっていう、
させられ体験とか、作為体験とか呼ばれたりするものがあるんですね。
なるほど、なるほど。
はい、で、主体感というものは、
まあ、正しくは運動主体感って呼ばれるものなんですけれども、
12:03
それは、概念として提唱されたのは哲学の分野なんですけど、
それが、統合失調症とかの文脈で精神医学の分野に導入されて、
で、どういうメカニズムなんだろうっていうことが研究されてきたものになります。
うん、確かに哲学っぽい話ですもんね。
そうですね。
うん、でもこれ確かに車とかで言うと、
車で乗ってるときって、
なんとなく車のボディと自分がちょっと一体になってる感じというか、
はい、はい、そうです。
その感覚ですか?
はい、その感覚です。
まさに、車の身体化っていう言葉もあったりして。
ありますね、うんうんうん。
はい。
それが主体感。
で、その感覚はどんな、どういうことなんだろうみたいなことですか?
そうですね、はい。
その精神医学とかで研究されてきた運動主体感の研究を応用して、
僕たちは操作主体感って呼んでるんですけど、
操作主体感ね。
運動主体感は、自分の身体の運動が思い通りである、
自分がやったっていう感覚に対して、
操作主体感っていうのは、
自分の操作、機械の操作、機械の挙動が思い通り、
自分が引き起こしたっていう感覚というふうにそこを区別して、
で、その操作主体感を実現するような、
自動車のインターフェースっていうのを研究しています。
運動主体感は、もう自分の体そのものみたいなことですか?
はい、そうですね。
あの、なんか動画で見たことあるのが、
あの、手袋とかを置いて、
自分の手じゃないけど、
その手袋を触るのと自分の手触るのを同時にやってるのを見せて、
あ、はいはいはい。
そしたらなんかどんどんその手袋が自分の手な感覚になってくるみたいな。
はい。
あるじゃないですか。
あれはまた別ですか?
あれも。
あれはラバーハンドイリュージョンって言って、
またちょっと違うんですね。
ちょっと違うんだ。
はい、実はそれが身体所有感って呼ばれるものなんですけれども、
身体所有感ってまた別なんですね。
はい、いや、ただすごい近い概念で、
運動主体感と身体所有感が、
事故を構成する要素だ、最小限の事故を構成する要素だって言われて、
哲学でこう、同時に2つセットで提唱された概念になっているので。
あ、そっかそっか。
合わさってみたいな感じなのか。
そうです、はい。
すごく近い概念です。
そうなんだ。
で、今回谷本さん研究してるのはそれじゃなくて、
それを動かすというか操作。
はい、そうですね。
車が右に曲がろうと思って、ハンドル切ったら右に曲がるみたいなその感覚ですか?
そうですね、本当にざっくり言うとそういう感覚になります。
はいはいはいはい。
15:00
これどういう研究になるんですかね?
その操作主体感って、まあなんとなくふわっとしたものだと思うんですけど、
そうですね。
まずそれを定量化しようっていうのが僕の研究になっていて、
操作主体感、いろいろな条件によって自分が思い通りに動かしている程度っていうのが変わるので、
その原因になっているのは何かっていうことをいろいろ研究しています。
で、さっきちょっと説明した自由エネルギー原理に基づいて、
操作主体感の原因がいくつか考えられるんですけど、
その原因と操作主体感の関係性がどうなっているのかっていうのを関数で記述しようとしてます。
操作主体感イコールある関数の、ちょっと何て説明したいのかな。
操作主体感が複数のパラメーターで構成されているような関数として表せないかっていうことを。
これ例えば何か車で言うとどういう動きがあるんですかね。
いろいろあるんですけど、操作主体感が大きく影響するって言われているのが、
応答遅れ時間っていうふうに言われていて、例えばハンドルを切るじゃないですか。
で、例えば高速道路とかで走ってすごい速い状況だと、横加速度っていうのが発生するんですね。
で、ただそのハンドルを切ってちょっと時間が経って横加速度が発生する自動車もあれば、
ハンドルを切るとすぐに横加速度が発生する自動車もあって、
その操作入力から応答までの時間のことを応答遅れ時間って呼んでいるんですけど。
なるほど、本当にラグみたいなことですね。
はい、ラグみたいなことですね。
で、これが遅すぎると操作主体感がないですし、
面白いのが速すぎても実はないっていうことが基礎研究レベルではわかっていて。
えー、なんか速かったら良さそうですけどね、別に。
そうですね、本当にこれが操作主体感の面白いところで、
操作主体感の原因は予測誤差だっていうふうに言われてるんですね。
予測誤差。
はい、で、まあもちろんそのハンドルを動かしてすぐ応答があるっていうことを予測していると、
まあ遅ければ遅いほど操作主体感は低いんですけど、
まあハンドルを動かして、例えば300ミリ秒後に動くっていうことを学習しているとすると、
18:03
100ミリ秒とか200ミリ秒とかちょっと予想していたより早い段階でフィードバックが返ってくると逆に操作主体感がちょっと下がっちゃうんですね。
えー、ちょっとびっくりしちゃうみたいなことですよね。
そうですね、思ったより早くって自分がやったんじゃないんじゃないかって思う。
あー、えー、面白いなそれ。
まあ確かに普通に車運転慣れてる人とかだったら、なんかいつもの感覚とまず違くて早かったらびっくりするかもしれないですし。
はい。
なんか反射神経的にびっくりしちゃうんですかね、その。
あー、そうですね、はい。
手を動かしてそれが認識されるまでの、なんか自分の中のスピードが追いつかなそうっすもんね。
そうですね、そうですね。
結構、これは関係するかわからないんですけど、300ミリ秒後に、ある刺激を人間が受け取ったときに300ミリ秒後に反応するノウハウっていうのがあるんですよね。
えー。
P300って呼ばれてるものなんですけど。
P300、はい。
まあこのP300から言われてるのは、やっぱ人間が刺激を処理するのには300ミリ秒ぐらいの時間は必要なんじゃないかっていうとは言われてますね。
それはもう反射神経の限界みたいな話ですかね。
そうですね、そうですね。
反応速度とか。
だから早すぎると逆にこう、何だろう、人間以上のスピードで反応するみたいなことがあると、ちょっと、はい、主体感が小さかったりとかいうことも考えられますね。
ってことはこれ、今世の中にある車とかって結構それ、わざとちょっとそこ調整したりしてるんですか。
あ、なんかそういうのもあると思います。
おー、ありそうっすよね。
聞いたことがある、僕が聞いたことある話では、アクセルのこう、アクセルをこう踏み込んでからエンジンがボーンってなるまでの時間とかは、
本当はもうちょっと早くできるけど300ミリ秒ぐらいに設定しているっていうのは聞いたことがあります。
あー、でもその方が操作感がいいからそうしてるみたいな。
はい、そうですね。
なるほど、感性工学ってそういうことか。
はいはい。
なんかちょっと身近に感じてきました。
はい。
これなんか谷山さんは特にこれやってるみたいなのあったりするんですか。
そうですね。
えっと、まあ今ちょっと例で出したのは時間的な予測誤差っていう話をしたんですけど、
空間的な予測誤差もまあ同じように書ける、記述できるんじゃないかと思っていて。
空間。
で、はい。今は空間的な予測誤差は扱ってますね。
まあ空間的な予測誤差、例えばハンドルをこれぐらい切りましたってなったら、
21:05
これぐらい横変位が変化しますっていう予測をするんですけど、
それが思ったより横にずれなかったり予想以上に横にずれたりすると、
これも主体感がないっていうふうに言えるので、
その空間的なところを今扱っていますね。
それを指揮にするってことですよね、そのずれた感覚を。
はい、そうですね。
物理的な予測誤差っていうのがそのまま操作主体感に対応してないっていうところも面白いところで、
っていうのは。
グラフを書いたときにですね、
例えば横軸に物理的な予測誤差の軸を取って、
縦軸に操作主体感を取ったときに、
もちろん右肩上がりになるんですけど、
予測誤差が大きければ大きいほど操作主体感も、
逆ですね、右肩下がりですね。
予測誤差が大きければなるほど操作主体感が低くなるんですけど、
その下がり方が線形じゃないと言いますか、
単純な関係性じゃなくて、
下がり方が結構違うんですね。
あるとこで急激に落ちたりっていうような下がり方をするんですけど、
なので、物理的な予測誤差だけが操作主体感の要因じゃないんだろうなっていうふうに考えていて、
で、僕が前に研究したやつでは、
それにプラスして精度っていうのも関わってきてるっていうのが、
具体的な研究内容になるんですけど、
精度の種類も2つあって、
予測精度と観測精度っていう2つになるんですけど、
例えば、ハンドルを切って横変位がこう変わるっていう予測があったとしたときに、
絶対これくらいずれるっていう強い確信を持ってたときに、
ちょっとでもずれると、その差っていうのは大きく感じると思うんですね。
たしかに、たしかに、そうですね。
ただ、その予測の精度がもし低くて、
だいたいこんぐらいずれるかなっていう感じだと、
ちょっとずれてても許容範囲かなっていうふうになると思うんですね。
なるほどな。
それ、なんとなく自分がどんだけ慣れてるかにもよるいそうですけどね、その感覚。
そうですね、そうですね。
重要ですね、たぶん。
その熟練度みたいなのが予測精度で表せるんじゃないかなと思ってます。
僕、今ちょっと思ったのが、マリオカートとかやります?
はい、やりません。
マリオカートで曲がるときって、
24:01
いつもの自分の車だったら、これこれみたいな感じで曲がれるけど、
ちょっと違うキャラクターとか使ったら全然曲がれねえみたいな。
それもその感覚ですよね、予測誤差が大きい。
はい、その感覚ですね。
ちょっとマリオカートの例が急に浮かびましたけど、
あれでちょっと変えたら、なんか全然操作感が悪いというか。
はい、そうですね。
たしかにそうだなって。
それはまさに予測誤差を体験してるんだなと思いますね。
慣れとかがだいぶ影響してきてるような気がしますね。
ですよね、それで練習したらまた、今度は逆に前のキャラクター使ったらまた違和感出るみたいな。
はい、そうですね。
そういうの受けますもんね。
はい。
面白いな、それを。
だから言ったらそれの操作感と、さっき言ってたグラフみたいなのがどういう式で記述できるのかとか、
そういう話ですかね。
はい、そうですね。
僕が前の研究でやったのが、
物理的な予測誤差と予測精度と観測精度っていう3つのパラメーターを持つような関数として、
操作主体感が欠けるんじゃないかっていうのを提案して、
その関数が欠けるとグラフも欠けるんですね。
横軸予測誤差にとって、反例を精度にとって、縦軸主体感にとったような予測誤差と精度がどのように操作主体感に影響するのかっていうところをシミュレーションできるんですね。
実際に実験の中では、その予測誤差を操作したり、その精度を操作して、操作主体感を計測することで、
そのシミュレーションによる実験の予測が、実験結果の予測が合ってるかどうかっていうのを確かめるっていう実験をしています。
あと観測精度か。
はい、観測精度。
観測精度はどういうことになるんですかね。
観測精度はいろいろ考えられるんですけど、
僕が前やったのは、例えばすごい簡単な経緯で、ボタンを押して音が返ってくるっていう経緯があったとすると、
割と音っていうのは、ノイズが入ってたりすると結構聞こえにくいこともあるんですけど、
そのノイズが入ってるか入ってないかとかで観測精度も変わってくると思いますし、
あるいはボタンを押して振動が返ってくる、音と振動が同時に返ってくるみたいな場合だと、
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音だけよりも音と振動が両方あった方がその感覚フィードバックの信頼性が高いっていうふうにも考えられるので、
観測精度が高いっていうふうに言えると思います。
そういうことか。だから極端に言うとボタンを押して音がすごい一瞬だけ出るとかだったら、
あれ今鳴ったかってなっちゃうと観測精度が低いみたいな。
はい、そういうことですね。
そういうことか。確かにそれも絡んできそうですね。
はい。
いや、その辺の感覚って普通に生活してたらめちゃくちゃ定性的な感じがするんですけど、
どうやって数値にしてるんだろうみたいな思いますけどね。
いや、そうですよね。難しいですよね。
感覚、当たり前なんですけど超感覚的な話じゃないですか。
そうですね、そうですね。そこは僕も悩んでるところですね。
これなんというか、誰かに聞いて今どれぐらい遅れたと思いますかとか聞くのも結構人によってばらつきでそうだし。
そうですね。そこがまさに実験の難しいところで、なかなか個人差が大きいですね、やっぱり。
うん、ですよね。
はい。だから、5人数を集めて統計処理をすることにはなるんですけども。
なるほど、なるほど。
はい。それで何か言えることがないかっていうことを探していますね。
ああ、それで優位さ調べるとかなんかそんな感じで。
はい、そうですね。
へえ、面白いな。ボタンを押して大人には分かりやすいけど、そっか、車のカーブか。
その感覚も数値にするのめっちゃ難しそうだな。
曲がった事実は分かるけど。
はい、はい。
言ったら感じた違和感を数値にするみたいなことっすもんね。
そうですね、そういうことですね。
それ結構いろんな人にやってもらうみたいな感じなんですか?
そうですね、本当にいろんな人にやってもらって。
で、自動車は本当に難しいですね。
ボタン押しみたいな実験だとすごく、個人差はあるって言っても、その個人差、そこまで大きくはないんですね。
シンプルだから。
ただ自動車でやってもらうと、上手い下手みたいなのがダイレクトに来てくるので。
はい、はい、はい。
それによって、やっぱり上手い人は操作主体感が高いっていう風に感じやすいですし、
ダメな人は全然上手く思い通り操作できてないって思いやすいので、そこによる個人差っていうのはだいぶ出てきてしまったりしますね。
そうか。
はい。
30:00
その誤差を修正するのもなかなか難しいですよね、きっと。
難しいですね。
一応、限られた実験時間の中で練習してもらって等生を取ったりとか、できる限りの工夫はするんですけど、結構難しかったですね。
ですよね。運転とか本当に得意不得意分かれそうだしな。
はい、そうですね。
でも確かに今聞いてて、逆に操作主体感が上手いか下手かに影響してるみたいなのはちょっと面白いなと思いましたね。
そうですね、そうですね。そうなんですよ。そこの因果もあんま分かってなくて。
そうなんですか。
パフォーマンスが高いと操作主体感が高いのか、操作主体感が高いとパフォーマンスが高いのかっていう関係も分かってなくて。
鳥卵だな。
どっちもあるんじゃないかみたいな話はしてるんですけど。
はいはいはい。
こっちも説明できそう。
そうですね。そこはまだよく分かってないところですね。
でもなんとなく工学的なというか、自分が操作してるっていう感覚を強く持てる製品とかの方が使いこなせる人は増えますよね。
そうですね、はい。
だから製品作る側からしたらやっぱり操作主体感大事だよねっていう感じになりそうだ。
そうですね。まだまだニッチな分野で広く受け入れられてるわけではないんですけど。
そうなんですか。
はい。
多分理系的にはめちゃくちゃ色々気になるところではあるんですけど、その感覚を。
分かりました。分かりました。
定義とかが気になってくるんですけど。
そうですよね。
ですよね。
僕ももともとは機械工学出身なんで。
そうなんですか。
今も機械工学だと一応思ってますけど。
もともとだからそういう機械系のことやってて。
そうです。
自分でなんかそういう心理学っぽいこともやりたいなって思ったんですか。
そうですね。研究室配属が学部4年の時にあったんですけど、
そのタイミングで機械工学の中で色々な研究室があって、
力学みたいなのをゴリゴリやってる研究室もあれば、
もうちょっと広く設計みたいなのをやってる研究室もあって、
その設計っていう分野の中に、
設計工学っていう分野の中に今完成工学をやってる先生が、
研究室が一個だけあって、
で、なんか面白そうって思ってきたんですけど。
なので全然機械工学専攻の中ではすごいマイノリティな分野をやってます。
そうか。
でもその感覚を設計に生かそうみたいなことですもんね。
そうですね。僕的にはその、
33:03
四力と似たようなことをやってると思ってて、
全然内容は似てないんですけど、
四力を作るみたいなことをやってると思っていて。
作る。
その一番最初にちょっと言ったんですけど、
機械の構造とか挙動と物理現象の関係を記述するのが四力ですってなった時に、
その先の物理現象と人間の感覚の関係性を記述するっていうところを僕がやりたいと思ってて、
で、それができるようになると、
すごい簡単な話、例えばフィードバック制御っていうのを機械ではよくするんですね。
簡単に言うと、例えばエアコンだと、
エアコンの環境の温度をセンシングして、
設定温度より低いとちょっと上げて、高いとちょっと下げてっていうようなフィードバック制御をするんですけど、
その目的が人間まで拡張できると思っていて、
人間が暑いと感じているか寒いと感じているかっていうのは、
必ずしも環境とは1対1、環境の温度とは完全に対応してるわけじゃなくて、
湿度とかも関係してくると思うんですね。
で、人間がどう感じているかっていうのをセンシングしたり、
そこを予測できるような数理モデルがあったりすると、
人間がちょうどいい温度と感じている温度より低かったら上げて、高かったら下げてっていう、
フィードバックループの中に人間も入れられるようになる。
なるほどな。面白いな。それ、何というか真の目的はそこですもんね。
はい、そうです。
やはりエアコンの目的って別に部屋の温度を保ちたいじゃなくて、
本質は人が快適であることだから、そこまでアプローチできると。
面白いな。できたらすごいですね、それ。
今までと同じ。そこが結構今独人的になってたりするところがあるので、
人間の感覚の記述みたいなところをもっと理論ベースで記述して、
数学的に書くことができれば、うまく四力とも接続することができれば、
一貫して数理でそのループを説明できるんじゃないかなと思っています。
確かに、どの分野も結局最後のアウトプットは人のために何かするとかなったりしますもんね。
人と触れ合う部分絶対ありますもんね、どの分野も。
そうですね、はい。
それは確かに応用範囲はすごい広そうだな。
なかなか理論と現実のギャップに苦しんでるところではあるんですけど。
36:04
まあ、研究ってそんなもんじゃないですか。
そうですね、そうですね。
まあでも確かに、普通の工学系の物自体を扱うっていうことよりは、
人間の感情とか感覚とかが絡んでくるから、実態を捉えにくいから難しいと思いますけど。
はい、そうですね。
これって車で言うと、なんだろう、車を運転する前提の話か、自動運転とかはそんなに関係ないのか。
あ、え、それすごい関係するんですよ実は。
あー関係するんですか。
37:22

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