作品名:『注文の多い料理店』序
著者:宮沢 賢治
図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43736.html
青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html
ブンゴウサーチ for Kids:https://bungo-search.com/juvenile
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注文の多い料理店 序
宮沢賢治 私たちは
氷砂糖を欲しいくらい持たないでも 綺麗に透き通った風を食べ
桃色の美しい朝の日光を飲むことができます。
また、私は畑や森の中で ひどいボロボロの着物が
一番素晴らしいビロードやラシャや 宝石入りの着物に変わっているのをたびたび見ました。
私はそういう綺麗な食べ物や着物を好きです。
これらの私のお話は みんな、林や野原や鉄道線路やらで
虹や月明かりからもらってきたのです。 本当に
柏林の青い夕方を 一人で通りかかったり
11月の山の風の中に 震えながら立ったりしますと
もうどうしてもこんな気がして仕方ないのです。 本当にもう
どうしてもこんなことがあるようで仕方ないということを 私はその通り書いたまでです。
ですから これらの中には
あなたのためになるところもあるでしょうし ただそれっきりのところもあるでしょうが
私にはその見分けがよくつきません。 何のことだか
わけのわからないところもあるでしょうが そんなところは
私にもまたわけがわからないのです。 けれども
私は これらの小さな物語のいく切れかが
おしまい あなたの透き通った本当の食べ物になることを
どんなに願うかわかりません。
03:00
大正12年 12月20日
宮沢賢治
03:13
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