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三人と二つのりんご
小川未明、 カズオちゃん
どうして涙を出したんだい? と
太郎さんが聞きました。 よしおさんとしげおさんが引っ張ったんだよ。
何にもしないのに? と
君子さんが言いました。 遊びに来いと言って、両方から僕を引っ張ったのだ。
なんだ。 カズオちゃんが田舎へ行ってきて珍しいからだ。
田舎のおじいさんもいいけれど、東京のおじいさんもいいなぁ。
と 太郎さんが言いました。
おじいさんのところへ遊びに行こうよ。
行きましょう。 おじいさんのお家は近かったのです。
三人は駆け出しました。 おじいちゃま
遊びに来ました。 よく来た。
さあ、おあがり。 何にもやるものがなくて困った。
りんごが二つあるから 知恵試しをしてよくできたものに一つ
あとの二人に半分ずつやるとしよう。 難しい問題?
いいや、優しい問題だ。
お父さんと お母さんと
どちらが好きですか? 一番小さいカズオちゃんが
僕、お母さん とすぐに答えました。
キミコさんは 私、わからないわ。
と答えました。 お父さんに悪いと思ったからです。
僕、どちらも好き と太郎さんが答えました。
みんな、よくできた。 と、
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おじいさんは笑いながら言いました。 そしていろいろと考えた後に
カズオちゃんが一番よく答えました。 ですからカズオちゃんにりんごを一つあげます。
あとの二人には半分ずつ分けてあげます。 と言いました。