がちょうの誕生日のごちそう
がちょうの誕生日、新美南吉、あるお百姓屋の裏庭にアヒルやガチョウやモルモットやウサギやイタチなどが住んでおりました。
さて、ある日のこと。
がちょうの誕生日というので、みんなはガチョウのところへご馳走に招かれていきました。
これでイタチさえ呼んでくれば、みんなお客がそろうわけですが。
さて、イタチはどうしましょう。
みんなはイタチは決して悪者ではないことを知っておりました。
けれどイタチにはたった一つ良くない癖がありました。
それは大勢の前では言うことができないような癖でありました。
何かと申しますと他でもありません。
大きな激しいおならをすることであります。
しかしイタチだけを呼ばないとイタチはきっと怒るに違いありません。
そこでウサギがイタチのところへ使いに行っていきました。
今日はガチョウさんの誕生日ですからお出かけください。
ああ、そうですか。
ところでイタチさん、一つお願いがあるのですが。
何ですか。
あのー、すみませんが、今日だけはおならをしないでください。
イタチは恥ずかしくて顔を真っ赤にしました。
そして、
ええ、決してしません。
と答えました。
そこでイタチはやっていきました。
いろいろなごちそうが出ました。
おからや人参のしっぽや
ウリの皮やお雑炊や
みんなはたらふく食べました。
イタチもごちそうになりました。
みんなはいい具合だと思っていました。
イタチがおならをしなかったからであります。
イタチのトラブル
しかし、とうとう大変なことが起こりました。
イタチが突然ひっくり返って
気絶してしまったのです。
さあ大変。
早速モルモットのお医者が
イタチのポンポコに膨れたお腹を診察しました。
みなさん
とモルモットは心配そうにしている
みんなの顔を見回して言いました。
これはイタチさんがおならをしたいのを
あまり我慢していたのでこんなことになったのです。
これを直すにはイタチさんに
思い切りおならをさせるより仕方はありません。
やれやれ。
みんなの者はため息をして顔を見合わせました。
そして
やっぱりイタチは余分じゃなかったと思いました。