僕がまず最初に選んだ事例は、これは今年の冬から春先にかけての事例だと思うんですが、
スープストック東京が離乳食の無料提供を全店舗に広げると発表し、SNSで賛否両論になったという、そういう事例のその炎上の後の対応のことについて考えてみたいと思います。
今年の春頃、スープストックが1歳未満の赤ちゃんを連れた方を対象に離乳食の無料提供を発表したところですね、
素晴らしいですねっていう声も上がった一方で、子供連れがたくさん来ちゃったら一人でゆっくりご飯が楽しめないとかですね、
一人客を大事にしないっていうメッセージなのかなとかですね、
女一人でもふらっと入りやすいのが魅力なのに、子供苦手なのでしばらく行くのをやめる、
こういったですね、ネガティブな反応というのもたくさんありました。
僕はこの炎上の話を聞いたときに最初の反応は、なんでこんなことで賛否が分かれるんだろうって逆に不思議に思ったんですよね。
そうですよね、赤ちゃん連れの人にとってはハッピーだし、それ以外の人にとってはあんまり関係ないかななんていうふうにレイさん思われたんじゃないですか。
そうですね、アメリカ、僕はニューヨークですけども、ニューヨークって子供連れだったりとか子供には優しいんですよね。
ああ、そういうのはあるかもしれないですね。日本はちょっと子供連れに目が厳しいみたいなところはあるかもしれません。
ただですね、私ちょっとネガティブな反応も理解できる気がしたんですよね。
スープストックって私も入ったことあるんですけど、駅の構内とかオフィスビルの中によくあって、
仕事が忙しくてゆっくり食事できないなっていう時にぴったりなんですね。
店内も静かですし、働く女性の憩いの場っていう印象を持っている方も多いんじゃないかと思うんです。
だからそこに赤ちゃん連れの方がいっぱい来て、子供が泣いたりとか、ファミレスみたいな感じになってしまったら、せっかくの憩いの場が台無し、そんなふうに思ったのかもしれません。
僕も使ったことがある。東京市公主庁した時とかに使ったことがあるんですけど、確かにそういうちょっと一息つきたいみたいな時に利用できて、
軽食としてちょうどいろんなバランスが取れているところではあるので、そういう気持ちもわからないこともないですし、
あと、逆差別みたいな感じで、お子さんを連れている方たちが優遇されて、そうじゃないと逆に差別されるみたいな、そういう意識を持たれた人もいたのかなっていうのは正直思いました。
でもやっぱりただ、これが炎上するのかっていうのは、最初の僕の反応は結構驚きで、
日本って基本すごく秩序が取れている社会で、東京とか大都市だとあんなに人の数が多いのにすごく社会が組織的になっているというか整理されているじゃないですか、いろんな意味で。
で、人の振る舞いとかも基本礼儀正しいですし、その公共の場では大声を出さないとか、電車の中では音楽を流さないとか、日本だと当たり前だと思うんですけども、逆にこっちだともう爆音で流している人たちも少なくなかったりとかする中で、
ある意味一人一人がすごく勝手な世界に慣れている僕からとしては、別にそんな子供が少し騒ぐ、子供なんだから騒ぐし、逆にお母さんだけではないと思うんですけども、子供連れの方でそういうサービスを提供してもらうってことは逆にありがたくて好感度も持てることなので、
基本いいことだなっていうふうに見てはいたんですが、そこに反応するのかっていうのはわからなくは全くないんですが、反応に対しての感想はそうありましたね。
そうなんですね。ではその後についてちょっとご紹介していただいてもいいですか。
それでこの騒動を受けてスープストック東京は声明を出したんですが、その声明が炎上を上手に鎮火させたと注目されたわけです。
この声明ちょっと簡単にご紹介しますと、離乳食の全店無料提供の取り組みに対し様々なお声をいただきました。
私たちスープストック東京の企業理念は世の中の体温を上げるです。
スープという料理を通じて体の体温を上げるだけではなく心の体温を上げたい、そんな願いをいっぱいのスープに込めて事業を行っています。
その理念の下、様々な理由で食べることへの制約があったり、自由な食事がままならないという方々の助けになればと、スープフォーオールという食のバリアフリーの取り組みを推進しています。
これまでもベジタリアン対応のスープの販売や咀嚼が困難な方のためのサービスを行ってきました。
今後も病院食などの研究開発を進めていく方針です。
この度の離乳食の全店無料提供は、このスープフォーオールの取り組みの一環です。
私たちはお客様を年齢や性別、お子様連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。
私たちは全ての方々の体温を上げていきたい、そう心から願っています。
世の中の変化が激しい中、社会の課題も様々で、私たちが全てを解決できるとは思っていませんが、小さくてもできることをスープフォーオールの取り組みで続けていきます。
どうぞ今後もよろしくお願いします、というちょっと長くなりましたが、こうした声明を出したんですよね。
そうなんです。よく炎上後は謝罪をしたりサービスを中止することが多いんですが、スープストックは経営理念をしっかり説明した上で、なぜサービスを広げるかに対して理解を求めたんですよね。
そうですね。確かにこれだけ丁寧な説明を聞けば、ネガティブな反応をした人たちもちょっと納得できるかもしれないですよね。
この炎上後の対応で僕が特に優れているなと思ったのは、すごくシンプルなんですが意外と難しいなと思うんですが、この企業理念っていうところにちゃんと振り返って、そこからこの活動をしているっていうことをちゃんとストレートに説明していることですね。
このスープストック東京の企業理念は世の中の体温を上げるというすごくシンプルですごくわかりやすくて、物理的に体の体温を上げるっていうこともあると思うんですけども、世の中を温めるっていう比喩としても使ってらっしゃる言葉なんですが、そこがすごく最初からはっきりしていて、それに伴ってこういう判断をしている。
そしてそこがあるからこそ、こういうふうに予想していなかった炎上が起きてしまった時にもそこに振り返って、こうだからこういうふうにするんですよ。
そしてそれをまた貫く、その活動をやめずにまたこういうふうでやっていきますって理念はちゃんと持っているんです。
曲げないんですっていうことをはっきり説明されているっていう、ここの姿勢と行動がすごく僕は素晴らしいなと思いました。
やっぱりきちんと消費者の方とコミュニケーションを取ろうっていう姿勢ですよね。私たちはこう考えているんです。
それは曲げませんが、それを理解してもらえませんかっていうコミュニケーションの取り方ですかね。
そうですね。だから理念から始まって理念、行動、コミュニケーションっていうその線がはっきりしているので、そこは素晴らしいと思いますし。
ちなみにこれが炎上した後、炎上した時は結構話題になったと思うんですけども、この声明が発表されてからなんかその後って聞いたことあります?
その月ってすごくスポーツの観戦をするというのがすごく盛り上がって、それを見ながらビールを楽しもうよというところで、バドライトはビールのブランドなのでみんなで楽しもうよっていうメッセージのもとに、
インクルーシブなことも含めてバドライトが企業がこのトランスジェンダーのインフルエンサーであるディランマルバニーさんに彼女の似顔絵が描かれた缶ビールをプレゼントしたんですね。
それを彼女が自分のソーシャルメディアでTikTokとインスタとかでこんな素晴らしいギフトをいただきました。
私はスポーツのことはちょっとわかんないんだけど、これを見ながら楽しんでみればねみたいなことをほんの30秒から1分ぐらいの短い動画であげているんですね。
その方はちょうどそのタイミングで、ちょうどその前1年ぐらいから男性から女性になるという性転換の手術をされていて、
リアルタイムでその1年間ぐらいの道のりを毎日のように配信して、そしてそれで支持をすごく受けて、何百万人というフォロワーがいるという背景がそれまでにあったわけなんです。
そこに対して、特に保守派の人たちがなんでこんなトランスジェンダーの人をバッドライトが起用するんだというふうに反対をして、ものすごい過激な反対運動をオンラインで繰り広げて、もうすごい極端なことなんですけど、
例えばですね、有名人のロックミュージシャンとかがそのバッドライトの缶を自分の庭に置いて、ライフルでババババーンって撃ってもう飲まないぞとか、そういうような反対運動をオンラインで繰り広げられたことによって売上が下がったっていうのと、
もう一つは、それに対する援助をし始めた時のバッドライトの企業としての対応もすごく曖昧で、どっちもつかずみたいな感じで、ジラン・マルバニーさん、特にHPTQのコミュニティの人たちには全く目を向けずに、
で、その援助した後に、どうやら企業側ではですね、いくつかあったんですけど、まずそのプロモーションをやったマーケティング担当のお二人の人たちを解雇処分しちゃったんですね。
ひどいですね。
解雇というか、求職なんですけど、ほぼ解雇ですよね。してしまいましたと。それプラス、ジランさんにも何の連絡もせずに黙ってたと。
そう、だからもう会ってなかったことのように振る舞って、でも本当その保守派の人たちの方に、もうどんどんどんどんサポート、直接ではないんですけど、我々は誰にも楽しんでもらう商品なんですけど、
言うんですけども、もう明らかに保守派の人たちに目を向けたコミュニケーションで、そしてまたその広告もそういうのを売ったりとかして。
そう、だから炎上になったことに対して、もうすいません、すいません、すいません、みたいな感じで、会ったことなかったことのように振る舞ったという。
もちろんそういう、LGBTQの方たちをサポートせずに、逆にバドライトがそっちに、逆に目を向けずに保守派の人たちにまた向いたっていうことは、そちら側の方は良かったかもしれないんですが、
全体的に見ると、この時代ちょっとこれはあまりにも対応がひどすぎるなっていう、逆にその驚いた対応ですね。
本当ですね。なんか21世紀とは思えないような対応ですね。確かに昔からそういうバドワイザーとかバドライトとかビールの宣伝って、男同士寄り集まってテレビの前でビール飲みながらスポーツ観戦みたいな、そういうCMって結構多かったりするかななんて思うんですけど、
結構それって男らしさとは何かみたいな、マッチョなメッセージだと思うんですよね。ただ、ビール飲むのに性別関係ないですし、なんかその昔の世代のCMみたいなのにまた戻しちゃうっていうのは、ちょっとこの時代なんか違和感感じちゃいますね。
そうですね。だから、この対応っていうことで言うと、スープストックと全然違ったなと思うのは、理念っていうことをはっきり説明に出してなかったですし、そこを貫いてないんですよね。だからこういうことになってるんだと思います。
やっぱりこの一つ目の事例、二つ目の事例通じて、理念って本当に大切ですね。
だから、僕はこれはいいとは思わないんですけども、これも事後に言うのは簡単なんですが、もしバッドライトがもっと保守派の人たちをサポートしたいブランドであるんだったら、最初からその視点で、そういう方向で活動をするべきだとは思うんですね。
僕は別にそれをサポートしてるわけではないんですけども、少なくともその視点をはっきりして、理念を持って視点をはっきりして、それに伴った活動をしていく。それがはっきりしてないから右行ったり左行ったり、今度は左行ったらまた右行くみたいな、そういうブレブレの起用活動になっちゃってるんじゃないかなと思います。