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2024-05-07 41:28

#076 芸大学長・日比野克彦さんが語る「才能を伸ばす教育とは?」

第76回は、アーティストで、東京芸術大学の学長をされている日比野克彦さんがゲストで登場。日本人がクリエイティブ思考を武器に海外で戦うためにも、教育の役割は重要。日比野さんは「知らない世界に出ていこう!と導くのが教育の役割」であり、アートが機能する場を社会に増やすために「社会を教育している」と熱弁。レイ・イナモトが日比野さんと「才能を伸ばす教育」について語ります。


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00:03
This is ReinaMoro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考。
Hi everyone. This is ReinaMoro. 皆さん、こんにちは。
ニューヨークと東京を拠点にするグローバルインベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのReinaMoroです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回のゲストは、アーティストで東京芸術大学の学長をされている日比野克彦さんです。
日比野さんとの対談は、すごく内容が濃いもので、今回のエピソードは実は3回目になっています。
前編、中編、後編の構成になっているので、まだ前編、中編を聞かれていない方は、ぜひぜひそちらもお聞きください。
今回は、そんな日比野さんに、才能を伸ばす教育とはについてお話を伺いました。
So, let's get started.
クリエイティブ・ボイス
僕が最近すごく気になっているのはですね、創造性だったりとかクリエイティビティって、もちろんその学問の場でも、そしてビジネスの場でもすごく重要なことだなと思っているんですね。
やっぱりそうやって伸びている国だったりとか伸びているビジネスっていうのは、クリエイティビティが長けているから伸びているんだなと思うんですね。
ただその一方で、これはですね、1年ぐらい前に見た日本の記事なんですけど、学問の効率性っていうことを書いてあった記事があったんですね。
で、それ何かというと、この学部に行ってると就職がしやすいということをちょっとこういう図にしたことがあったんですけども、
美術学部だったりとか音楽部だったりとか建築学部も含めてなんですけども、実は就職には非常に不利だっていうことが書いてあったんですね。
1番から5番ぐらいまでランキングされていて、いわゆるクリエイティブというような部門だと、そのうちの4番目ぐらいってすごく低いんですよね。
僕ってそれは分からなくはないんですけど、今後そのAIだったりとか機械がいろいろこう人間の創造性をだいぶこうできるようになってくると、逆にクリエイティビティが必要だなと思っているのに、
でもその就職とか利便性のところで見ると、そこが重要視されていないんじゃないかっていうちょっと危機感も感じてるんですが、
今その東北芸大という場所で教育という面からクリエイティビティを教えていらっしゃる立場で、そういうことについてどう思われるかっていうことをちょっとお聞きしたいなと思います。いかがでしょう。
芸大、多分芸術系、芸大にかけたやつ、芸術系の人たちっていうのは、芸術系の人たちっていうかアートの考え方の基本的なところで目標を立てるってあんまりないんですよ。
よく最近いろんな企業の人とか評価の話ながらバックキャストって言うじゃないですか。何かを立てて目標立てて、そこに行くマイルストーンをちゃんと想定してみたいなね。
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そのやり方ってアートにはないって言っていいと思うんですよ。だから就職のためにとか何々のために積み上げていくっていう、そのやり方じゃないんだよね。
逆にそれ目標値を立ててそこに突き進むっていうことではなくて、100個やって飽きなかったらまた100個やってっていうことの連続なんです。
どこどこに行こうとはあまりはっきりしていない、やり続ける力、発想し続ける力っていうものが目標値があると逆にそこは窮屈になるんだよね。
どっちに行くか自分でもわからないから、そこはフリーにしときたいっていうのがあって、それこそいろんなクリエイティビティが生まれてくるので。
なので今言われたやり方は効率がよく見えるかもしれないけども、まさに目標値はいくかもしれないけども、その先はまた目標値を立ててっていうところで何か考えられることしか考えられないんじゃないのみたいな言い方になっちゃう。
ところが本来のアートのクリエイティビティとはまた違う言い方になっちゃってるかなっていうのは思いますね。
なるほど。じゃあ教える立場としてその目標をあまり立てないっていうことですと、じゃあ何を目指すとか何をやったらいいとか、その続けることだけが大事なのか、そこが一番重要なのか。
もしくは何かを描くのことが大事なのか、例えば皆さんが生徒何十人とかを目の前にしたときに何を目指すとか何を伝えるのが一番重要だと思われます?
アートって継承するってちょっと苦手なんですよ。あなたの研究を私が引き継いで次の世代に引き継ぎますっていう研究はアートってちょっと苦手なんですよ。
例えばノーベル賞を取る人たち、この研究室で先生の研究を私が引き継いで、この数十年の中で一つのものを研究の成果っていうことを共同研究的なことってよく耳にするけれども、
アートの場合って僕も研究室、学長であると研究室持ってなくて教育者からちょっと一線を隠すんだけども、日々野研究室っていうのがありました。
日々野研究室を卒業する学生たくさんいます。じゃあ日々野のことを引き継いでるかというと、参考にこそすれ、引き継ぐっていうことはできない。
なぜならば日々野は日々野しかいないからっていうような考え方がまず根本にあるね。
もっと単純に言うと、真似したいって気持ちは憧れるところにあるかもしれないけど、真似したところで違う人間が同じものを描こうとしても同じには絶対ならない。
そこが個性なので、その個性こそアートの魅力だし創造力なので。
だから引き継ぐっていうことは本当こう難しくって、難しくってっていうか教えることには入らなくって、それより一人一人の違いってものがあるんだよ。
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そこがアートの一番特性なんですよっていうところは伝えるっていうところはありますよね。
だから大学で好評会とかやると20代の子たちの作品がいっぱい出てくるわけだけども、いつもやはりドキドキするっていうかすごいなっていう。
自分が学生の時にクラスメイトの作品を見て面白いなと思ったようにずっとそれは同じだよね。
自分が何年経験しようが面白いなこれっていう同世代の。だから世代がアートには根本的にはない。
けれどもいろんな地域とか社会でいろんな状況の中に反応した作物が生まれるからその世代を代表するこういう作風とかこの時代のアートでこういう役割があったよねとか。
それは地域とか時代によって何々時代の美術とか出てくるけれども、根本的なところっていうのは本当一人一人が違うというところの面白さ。
そこを教えると気づかせるっていうところが一番の。
だから教えるのは難しいけども教えるのがあるとしたら違いこそがアートの魅力だっていうことを伝えるっていうところがあるのかな。
トップアーティストを目指しているの中でも、例えばアートマーケットをターゲットにする部分とアートマーケット関係なしにとにかく自分の好きなことだけやっていきたいみたいなタイプと。
戦略というか違ってくるじゃないですか。だから好きなことだけやってるっていうものの好きの具合もまたいろいろ違うので、そこは癖だよね。
それは最初に言ったように結構癖は決まってるの。癖直せないので自分の好きなことだけをやっていきたい。
その好きな領域がアートマーケットなのかアートマーケットじゃなくてもいいのかみたいなところは関係なしにその癖はずっとやり続けるところがあるので。
そこは直らないというか、じゃあ俺ちょっとそろそろやっぱり機能するというか社会貢献的なことをやろうかなと思ってもそこは無理があるのでまた戻っていくところはあるだろうね。
で、あとアートっていうものがコミュニティの中で表現したいっていうような意識があると、
例えばアートプロジェクトとかリレーショナルアートみたいなものもアートだよなっていう認識があると、
最初からいやいや自分の好きなことだけやっててもなんだからなっていう意識で芸大に入ってくる子たちも多いので、
そうするといろんな社会の中でのアートの活動みたいなふうにも広がっていくから。
それで言うとちょっと今思った質問はですね、
例えばまだ18歳、20歳、25歳、下手したら30歳になっても自分に何が合ってるかとか分かんない場合って結構あると思うんですね。
で、あるちょっと話を別で聞いてて、スポーツ選手で水泳の選手とマラソンの選手がいますと、
2人はその世界ではトップなんだけども、
例えばその水泳の選手が若い時に自分はマラソンランナーになりたいと思ってマラソンの道に行ったとしたら、
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多分体格とかでそっちの道では多分成功できなかっただろう。
で、ランナーも水泳やりたいって言ったとしても体格的に向いてなかったりするとは思う。
その情熱があったとしても。
そういう学生を例えば見られて、この人はこっちに行ったらもっと何かその癖が合うかもしれないようになって、
やっぱりその20年、30年、40年といろんな人と接すると直感的に思ったりされるんじゃないかなと僕は思うんですけども、
そういうことって、君はこっち行った方が合うんじゃないとかっていうのは、
思っても言わないのか、思ったら何かそっちの方に線を押してあげるのか、その辺はどうですか。
思っても言わないだろうね。
思っても言わないだろうね。
でもさっきの、だから自分が教わったようにしか教えられないみたいなのってよくそういう言い方もするけども、
自分が大学、今の教育環境とずいぶん違うけども、芸大の場合、個人レッスンっていうのはテクニック的に教えるものはあるけれども、
さっき言ったエネルギーっていうものに気づかせるっていう部分で言えば、それを教えて気づくものじゃないので、
自分のエネルギーを横にいて見せてる、見せ続けるっていうところでしかないのかな。
学生からしてみれば、そういうアーティストもいるんだなっていうところで選択肢を増やしていく。
いろんな先生、芸大の中にいるので、その事例は見ていて、
それを先生が無理やりこっちだ、お前こうしろあしろっていう言い方をするシーンはあんまりないかな。
じゃあ自分で気づいてもらうのが一番。
気づくっていうのが何より一番の。
芸大、まさに大学って場でいろんなアーティストも、同級生なんて何百人いて、
先生たちも何百数十人いて、年が60も50も違ったとしても、今地球上に生存しているクリエイターっていうことで同じなので、
同じ時代のアーティストなので、そこは面白いですよね。いろんな人がいるなっていう。
逆に何だろう、テクニック的なところは、この使い方はとか、教えてもらうこともあるかもしれないけども、
根本的にはいろんな表現者がいるなっていう場が、やっぱり大学の面白さなので、気づくっていうのが何よりの力になっているということかな。
そのアートという教育を通じて何を教えたいですか、もしくは伝えたいですか。
人との違いっていうのがアートの特性なんだっていうところをきちんと伝えていこう。
それまですごく技術に特化した世界のトップアーティストみたいなすごい技術もデータも持っていて、
トップアスリートのようなトップアーティストっていうものを目指す、育成するっていう芸大のイメージが強すぎて、
当然今それはやってるんだけども、それだけじゃなくて、もっと横展開、縦展開、横展開にアートが機能する場を作っていこうっていう、
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その一人一人の違いっていうのがアートの特性なんだ。
多様性を認められる社会を築いていこうっていう、今次世代のビジョンがあるとしたら、
それこそじゃあアートの特性を社会の価値観の基盤に引いて展開していくと、その実現が近づくんじゃないか。
社会を教育してる方がちょっと今の立場としては強いかもしれないかな、社会を教育する。
社会の芸術に対する見方、価値観を意見を置いていくっていう場合の方が今多いかもしれない。
今、学長としてやってるところは、アートっていうものの使い方を増やしたい。
アートがよりいろんなシーンで機能するような場を作っていきたい。
じゃあ例えば、まだ今生まれてないこともあると思うんですけども、その40年以上アーティストとして活動されてきて、
秀野さんが20代の頃、それこそ東京芸大からすぐ活動され始めた時になかった、その社会の場で、
今だったらそのアーティストだったりとかアートをやっている人たちが活躍できる場みたいなのは、例えばどんなことがあります?
今かなり増えつつあるよね。
例えば、今芸大の中で初めて10年ぐらいになるんだけども、7、8年間になるんだけども、
福祉×芸術っていうキーワードの授業を始めたのね。
Diversity on the Arts Projectっていうタイトルでやってる。
これは社会人も履修できるプログラムなんだけども、福祉っていうのは、
例えば視覚的な障害がある人に対して、あなたの私は杖になって補助しますが、みたいな生活の手助けをするっていう部分が福祉的な考え方だけども、
アートの考え方っていうのは、視覚的な障害を持っているっていうのは、その人の個性である。
目が見えないっていうものは、一体どんな世界がそこに広がっているんだろうか、ちょっと俺も関心あるなっていうのはアーティストの癖としてあるんですよね。
自分にないものに対しての興味を示すっていうことで言えば。
それは福祉にはない視点で杖になるんじゃなくて、それを特性として自分の表現にも活かしていきたいし、
あなたじゃないとできない表現があるんだっていう、こういう意識を福祉の障害を持っている当事者の人たちにも気づいてもらうってことになってくると、
いわゆる福祉っていうのが見え方が変わってくる。
福祉施設じゃなくて、それはいろんな人との違いとの出会いを提供してくれる文化施設になるんじゃないかって。
文化施設ってどういうことかって、いろんな知らない初めの土地に行って、まず美術館に行こうかって、こんな絵があるんだ、こんな工芸品があるんだって知らないことを知る。
自分とは違うものと出会ってっていうところが文化施設のすごい魅力があるし、
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文化はもともとそういうね、山の幸と海の幸と交換してマーケットでそこで混ざっていって文化が生まれるようなものだから、
その人との違いっていうものを福祉っていうんじゃなくて、それを文化として捉えるとどんどんどんどん街の中の福祉施設が文化施設になっていくって、
そこにアートの活躍の場とか機能する場が増えてくるんじゃないかっていうところでいくと、昔はそんなのなかった。
昔は福祉施設に何でアーティストが行くの?みたいなことだけども、
今は福祉施設とかマイノリティのコミュニティにアーティストがいて、
そこじゃないいろんな価値観っていうものを表現にして発信していくっていうことを今やり始めてる。
それは例えばどっかの地区と協力しながらやるとか、そういうこと取り組むされてるってことですか?
そうですね。ドアって一番最初は東京都と組んでやりました。
ちょうど東京オリンピックが決まったのが2014年間で、それをきっかけにしてパラリンピックもあるので、
パラリンピックの文化プログラムとして、すでにドアは始まってたんだけども、東京都がそれを一緒にやりましょうということで、
より支援してくれることになって、都内の福祉施設に芸大のアーティストがいたりとかして動いていったりとかするっていうのを、
最初はドアの授業の前にターンプロジェクトっていうのがあって、そのターンプロジェクトが今いった東京都との連携でやって、
そのターンプロジェクトの人材育成っていうことでこのドアのプロジェクトが始まっていったっていうことなんですね。
なるほど。それは今も続けられて、だんだん日本国内に広めていくという、そういうイメージですかね、今。
そうですね。今これは今年で8期生ぐらいになると思うけども、最近は社外人もあるし、去年からは熊本市役所の職員がこのドアの授業を受講し始めていて、
いろんな社会的な課題、今ドアは障害だけじゃなくていろんな社会的な課題に対して取り組んでいくっていうこともちょっと広がってるんですけども、
例えば地域住民の社会的な課題を一番よく知ってるのは市役所の中にはいろんな市民の悩みもあるので、
そこと市民が書いてる課題をどう解決すればいいかっていうことを研修するためにこの芸大のドアっていうプロジェクトを市役所の職員が受講したりとかってことで、
上野の芸大だけじゃなくて、オンラインでは全国で受講生いるし、そして地方自治体の中でもこの授業が活用されたりとかしてますね。
ちなみにこのドアっていうのはDOORは何かの略?
これはね、話せば長いっちゃ長いんだけども、最初はDとOとAで、DOAでドアドアと呼んでたんですよね。
でもドアって扉のドアみたいな感じで、これを相性としてはDOORにしようかっていう。
なるほど、ダイバーシティオンリアーツのDOOで。
そこの、これでは具体的に例えば絵を教えるとか彫刻を教えるとか、具体的には技術面のことも教えてられたりするわけですか?
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基本的には座学ですね。いろんな当事者の人が直接受講生に自分ごととしていろんなマイノリティの話をするっていうものが基本だけども、
芸大の大きな、デッサンしてたんですけども、そこに来てデッサンする授業があったりとか、あとプログラム実践練習って、これは僕が担当してるんだけども、
実際にワークショップをする授業があって、現場に行って一緒に、私と一緒にワークショップ体験したりとかっていうのもやってますね。
今後、福祉施設だったりとか福祉の活動以外には、そのアートが世の中、社会の中で活動を広げていくとか、社会貢献をしていくとかっていうのはどう捉えられてます?
今日はちょっといろいろだから、Jさんがそういう質問するだろうなと思って。
芸術未来研究所っていう所は運動場の所、芸術未来研究所っていうのは去年の4月に立ち上げて、
ここの中には5つの領域があって、1つは今言ったケア的な福祉などが含まれるケア&コミュニケーションという領域で、
あとはデジタルとかの今、アートDX、あとクリエイティブアーカイブ、キュレーション、そして芸術教育っていう今5つの領域で、
いろんな専門性の高い企業とか、あとは自治体とか外の組織と組んで、
芸術が今本当に横展開しようとしていることを一緒にやっていこうっていう共生の場を作っていくっていうことで、
この芸術未来研究所っていうのを立ち上げて、今結構いろいろ広げています。
ちょっといいですか、見せてください。ここに今書かれている文化的処方っていうことを少しご説明いただけますか。
社会的処方っていうのはすでにあって、文化的処方っていうのは芸大が作った造語なんですけども、
社会的処方っていうのは、社会の一員としてそこから阻害されちゃうとね、孤独、孤立してしまって、
心身ともにそれはよろしくないですよ、もっと社会に出ましょうね、コミュニティに参加しましょうねというのが社会的処方。
それをもうちょっと文化にフォーカスしていったのが文化的処方ということで、文化に接することによって孤立、孤独を防ぐことができるっていう、
そしてより良い、最近で言うとウェルビングな人生、健康寿命が伸びるっていうようなことをちゃんとエビデンスを作って実証していこうっていうことを、
今文化的処方って言葉を立ててやってます。そこの大きな目的っていうのは、アートって世の中の役に立つの?みたいな。
やっぱりこの間のコロナの時に、とかいろんな予算削減とかすると、まずはちょっと文化予算削れようみたいな、まずはライフラインだろう。
経済とお金と結びつく文化っていうのは、アートマーケットっていう方向はあるかもしれないけど、文化ってどうしても後回し、後回しになってしまっている。
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っていうところで、もっと文化の役割とか価値っていうのをちゃんと芸大自らもある程度低量化する努力。
低量化できるかどうかはちょっといろんな課題はあるけれども、でもそこを目指していこうというのが文化的処方の今研究で、
具体的には、例えば顔認証システムってNECさんがすごくやっていて、じゃあ美術館に入る前の顔と美術館が出てきた顔とかね、コンサート入っていく時の出てきた顔っていうのをいっぱいビッグデータ取って、
なんとなくマイナーな感じがすごくハイな感じになって出てくるっていうのがあれば、これ効くねみたいな。
それを薬を飲んで元気にさせるのにお金で換算したらどれぐらいの効果なの?ってなると、文化にコンサートやればいいじゃん。
薬代よりが全然いいぜみたいなっていう、そういうのを積み重ねていくと、例えばこれから超高齢化社会になりますと。
じゃあどんどんどんどんやはり病院作りましょうとか、医療保険の効能、そしてケアさん、介護さん増やしましょう、施設増やしましょうって、
どこまで増やしていけばいいの?みたいな。
医療費どんどん増大するよねっていうことに対して、いやいや、文化と接し続けることによって健康寿命が伸びて、トータル的には医療費削減になります。
っていうことは文化に投資するっていうことが、よりそれは経済的な効果にもなりますよっていうことをしっかりと言っていく上で、
文化的処方っていうのを作って、今、医学系の大学とかデータ分析とかっていうところの研究者たちと、まさにさっきの芸術ミラー研究所の中でいろいろやってる。
今まで、例えば医学の絵の投資が人の健康に良くなってたって思われたことだけではなくて、
芸術だったりとか文化的なことに投資をすることによって、直接もしくは間接的に人の健康にも貢献することができるんじゃないかということを。
できるし、経済的にも。
経済にも、それは良い効果が生まれることですよね。
なるほど。じゃあ、さっきの一番最初の話で、アートには目標がなくてもいいっていう話では。
ちょっと違ってくるかな。
違うとは思うんですけども、でも逆に今まで、もしかしたらずっと昔は直感的に人間がそう思ってアートっていうことを絵を描いたりとか、
音楽を作ったりしてきたのかもしれないんですけども、ある意味それはそれで目標の一つなのかなって聞いて思ったんですけども。
なので、フィールドを増やしていきたいというところは、目標を作って、エビデンスを作ってという努力をするというところはある。
でも個人の中で自分の表現をこうしたい、ああしたいというところの目標値、その先は絶対あるから。
達成したところでその先は絶対あるので、あまりそこがゴールだってやっちゃうと天井を作っちゃうようなものだから、そこは数限りなく次進もうよっていうところで、
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でも横展開していくときにはここを目標としてまずは横展開していきたいっていうときに、横展開するときにはそうですね、バックキャスト的な考え方は今の中で、自分の中ではやってることになるかな。
分かりました。アートの定義を広げる、そしてそのアートが活躍できる場、活用できる場を広げるというときに、
今、秀野さんがイメージされていることで、まだアートがあまり入っていない領域で、もっとここにアートだったりとか文化的処方っていう言葉でもっと貢献ができそうだなみたいな領域ってあったりします?
そうですね。例えば大学でいうと芸大がさっきの芸術みんな研究所で、それ以前から芸大とお付き合いのある企業っていうのかな、領域っていうのは。
例えば資生堂とかっていうとイメージ的に、資生堂も宣伝部があったりして、感性に対して訴えていく企業。
美しさを追求するみたいな化粧品メーカーっていうとこは相性が良かったり、例えばもっと言えばジャスコニーとか、
ああいうビジュアルとか音響とかヤマハさんとかっていうのは芸術表現っていうものと近しい感じだから、企業としてはこれまでもやってきてるんですよね、いろいろね。
けれども芸大と縁が遠い、距離。あまりうちの会社と芸術関係ないよなって思い出したところが、例えばさっきもちょっと言ったけども、ミズホ、銀行、メガバンク、ミズホールディングスとは昨年包括協定結んだんですよ。
でも銀行の目的何かというと、お金を、預金があったり投資したり、人生の中でお金大事なので計画立てるときには、自分の人生をしっかりと豊かにするためにお金というもの、お金をちゃんと計画的に貯めていくとか使うとか投資するとか。
お金って何なのかというと、お金っていうのは価値を通貨に変えて交換するものとして通貨っていうのが生まれてきたわけだから、もともとの塩何グラムと金何グラムみたいな価値を交換するための共通通貨。
なので、やっぱりその価値の交換が銀行の役割。価値を交換するっていうのはアートにとってみれば、あなたの個性と私の個性の価値を交換しようとか共有しようとかっていうところなので、一人一人の価値っていうものをターゲットにしてるっていうことで言えばアートとつながるところがあるっていう互いの認識の中で今銀行と活動をしているんですよ。
具体的に言うと、ある市店、街の中の市店って今だんだんだんだんATMが進化しちゃってるからあまり役割が少なくなってきてる部分があるんだけども、でもその街の中における銀行っていうのは町内とか住民とかとの信頼性が必要になってきて、市店っていうのは商店街を元気にしたいとか、自分とこの顧客の一人一人の人生をしっかりと育んでいきたいっていう目的があるので、
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そこに文化も取り込んでいきましょうっていうところで今やったりしてますね。
ちょっとさっきの話に戻っちゃうかもしれないんですけども、その教育ということを通じて技術を教えたりとか考え方、思想を教えたりとかいろんなことで教育がその人に役に立つことができると思うんですけども、その一方、さっきおっしゃってみたいにその人が持った個性だったりとか情熱っていうのが結局は源になってるっていうところもあるじゃないですか。
で、そこをもっと、なんか僕が今この日本も十分なおじさんの年になって、例えば20代の子たちとか人たちに関わるとすごくやる気がある子たちとなんかちょっと居心地のいい日本で満足しちゃってて、もうこれでいいんですよねみたいな子たちも結構いて、そこ結構僕衝撃的だったりするんですね。
で、こういうポドキャスみたいなのを通してインスピレーションを与えたいなっていうのは思うんですけども、そういうのって教育では教えられないんですかね。その意欲だったりとか、そのやる気だったりとか。
教育でしか教えられない、教育環境だよね。今、なんか本当、芸大生に限らず、それこそ海外旅行興味ない、別に今でいい、休み取ったらちょっと友達同士でどっか行けばいいや、別にゲームやってるみたいなのは本当ええ、みたいな感じでいますよね、いますっていうか。
でもその子たちの、やっぱりここまでの、その人が20代中末だとしたら、本当幼少期からの環境教育がそういう価値観を築いてるので、それが悪いわけじゃないよね、その人の価値観だから。
でも今、レイさん言われたように、なんかもっといろんな、こう知らない世界に行こうよっていうことに対して、そういうことに反応していけれるような、するような人を育てていくにはやっぱり教育環境だと思います。だからある程度、本当10代とかね、もっと言えば10歳になる前の本当、感性なんかは特にね、そこの時代の環境、教育っていうのは大きいと思いますよね。
じゃあある意味、大学だけじゃなくて、もう高校、中学、小学校、幼稚園ぐらいまでいれて、それぐらいからもう、その教育の環境を提供していくようにしていかないと、大学のレベルまで来ちゃうとある程度、まだ若いとはしても、そのね、人格がある程度はできている年齢、先ほどおっしゃったように20代の後半の人たちもいらっしゃると思うので、どうすればいいんですかねっていうのはちょっとざっくりとした。
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そうですね。でも、いわゆる実際に海外に行くっていうことになれば、例えば芸大に来る学生たちっていうのはある程度自分の、まあ割とはっきりしてるんですよ。もうやりたいことがはっきりしてる。迷ってるっていうよりかもはっきりしてる。特に最近の子たちはよりはっきりしてる。
で、例えば僕が18の時は、大学1年生入ってきた時には、なんとも絵は好きだけども、絵でどうしようかとか自分の絵がどうなるかっていうのはあんまりよく考えてなくって、いろんな絵表現したいなってぐらいのことしか思ってなかったけど、今の1年生っていうのは結構自分の目標を持って課題を持って社会に貢献したいとか、社会的な課題に対してとか、人々のためにとかっていう意識はびっくりするぐらい高い。
で、それもやっぱり教育だと思う。で、今の小学生はSDGs知ってますよ。SDGsの歌ってあるから。みんな歌ってるんです。ある分擦り込みだよね。で、地球環境の問題とか、本当お父さんお母さんがペットボトルポトス、お父さんペットボトル捨てちゃダメだよ。これはマイクロプラスチックになるんだよっていう教育されてるから、意識は高い。社会に対しての意識高い。
だからもう大学生になった頃には、じゃあ自分はアートでどんな作品を作って、どういう影響を人々に与えて、その人々にどういう意識に着いてもらおうかなっていうことをアートで表現したいっていうことになってくる。ただ単なる絵が好きじゃなくて。
ただ単なる絵が好きで入ってくる子もたくさんいるんだけども、でも昔、昔もう40歳なんだけども、いなかったようなすごい社会的な課題をテーマとしてすでに1年生の時から取り組みたいっていう子たちはやっぱり幼少期の時の教育環境がそういう時代だったから。
でもそれはすごく頼もしいですね。
そこも全然そういう人たちもいますよね。
例えばその100人入学生がいたとして、もちろんその音楽の方の学生もいらっしゃいますし、絵とか彫刻とかデザインとか映像とビジュアル系の学生もいらっしゃると思うんですけども、100人の学生がいて、いわゆるもう本当ピュアな作家として卒業した後、それで活動していきたいっていう人と、
アートみたいものを使って、例えばデザインという商業的なものに行きたいとか、工業デザインとかビジネスの方向に行きたい。だいたいざっくりどんな感じですか。
言いにくいかもしれない。ざっくり。
これきっとまた音楽と美術だと結構違うと思うんだけども、ちょうど1週間前、卒業制作展、修了制作展が学内とか隣の東京都美術館であって、ざっと見ると、今レイさんが言った純粋芸術っていうか、本当にペインティングとか彫刻とかかによっても違うけども、
2割、3割ぐらいは社会のためとか世の中に機能するってことは関係なく、自分の美を追求し続けていきたいっていう人たちはそれぐらいな感じかな。
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他は自分の表現を何か世の中と接続して発信していきたいなとか伝えていきたいなとか、機能したいなとか役に立ちたいなとか、まだまだ自分の発想をいろんな人とコラボレーションしながら見つけていきたいなっていう感じのタイプかな。
ここまでお送りしてきました、れいなもとの世界のクリエイティブ思考。今回は東京芸術大学の学長、日見野克彦さんに才能を伸ばす教育とはについてお話を伺いました。日見野さんは東京芸大の学長さんになられて数年経つんですが、芸大ではもう10年以上教えていらっしゃっていて、教育という場に関わっている月日が結構経っているんですね。
僕も実はアメリカでなんですけども、大学院でニューヨークの大学院で教えていて、教育っていうことはすごく興味のある範囲です。今回その日見野さんとお話をしたいなと思っていた理由も、やっぱりその教育っていうのは未来を作っていく大きな鍵の一つなんじゃないかなと思っています。
今回この教育という視点で日見野さんとの会話からの3つのテーカーウェイを紹介します。
まず1つは教えるよりは支える。
2つ目は知らない世界に行こうよと導くのが教育。
そして3つ目にアートが機能する場を社会に作る。
まず1つ目に教えるより支えるということなんですが、日見野さんとの会話の中で、もし学生を見ていて、この学生はこのアートだったりとかこの道はあまり合わないなっていうふうに先生として思ったときに、その学生にそのことは伝えるんですかっていうふうに聞いたんですね。
僕もその教える立場として、そして上司という立場としてやっていることがその人に合っていないなっていうふうに思ったら、実は僕は結構それはっきりその人に伝えるタイプなんです。
というのもなかなかやっぱりそのうまくならないことだったりとか、自分が得意じゃないところでキャリを積んでいこうとしても、それっていい結果につながりにくいっていうふうに思っちゃっているところがあるんですね。
それも踏まえて、そのことは日見野さんには伝えなかったんですが、それが僕が頭の中に持っていたので、そのことをちょっと知りたくて、アートだったりとかやっていることが合わないと思ったときに、それを学生に伝えるんですかっていうふうに聞いたときに、彼はもう最初からいや伝えませんっていうふうにきっぱりとおっしゃっていたのがすごく驚きでした。
36:15
教授としてもちろんやっぱり彼の方が学生の人たちよりも10年、20年、30年、下手したら40年以上ぐらいの経験をお持ちで、やっぱり一目でこれは合ってるなとか合ってないなっていうのはわかると思うんですよね。
でもそれを無理やりこれ合わないよっていうふうに押し付けるのが彼は彼の仕事と思っていなくて、それよりかは支えてあげる、その学生の人がやりたいと思うことを見つけることを支えることそっちに背中を押してあげることが教授として教育者としての役割だっていうことをすごく強く思っていらっしゃる。
なので、たとえそのやっていることがちょっと違和感が教授としてあったとしても、それはあえて伝えずに彼はその学生に自分に気づいてもらうこと、それが大事だっていうことをおっしゃっていたのは、僕は上司として、そして教育者っていうほどの立場ではないんですが、学校で教鞭をとっている人間としてすごく参考になりました。
教えるより支える。これは教育者もしくは親としても非常に大切な視点なんじゃないかなと思います。
あとここで彼がおっしゃっていたことでもう一つ非常に印象になったのは、その才能っていうのはその前回のエピソードで人と違うことが才能だっていう定義のされ方もされているんですけども、別の言い方で癖だっていうこともひろさんがおっしゃってたんですね。
才能とは癖。そして癖っていうのはその人が持っている特質なわけで、人と違うところなんだから、それを変えようと教えても変わるものではない。
だから癖を変えようとか、良くしていこうっていうことを思うこと自体が良くないみたいなことをおっしゃっていて、これもなるほどな。
才能っていうのは人と違うところ、そしてその癖だからそれをいかに伸ばしてあげるかが大切なわけで、変えようとか教えるっていうことではないのかなっていうのは非常に大切な気づきでした。
2つ目にこれはこの教えるより支える2からの延長線上ではあるんですが、知らない世界に行こうよと導くのが教育。
これもやっぱりその教育者もしくは親として若い子どもたちが見ていない世界をたくさん見ているので、もちろん知っている情報の量も共有の量も全然多いんですけども、
それを上から目線で情報を渡す知識を教えるっていうよりかは、その生徒たち、学生たち、子どもたちが知らない世界に導いてあげて、そして自分たちでその新しいことを気づかせてあげるっていうのが教育の意義なのかなというのをひめのさんとの会話の中で気づきました。
39:11
それが2つ目。
そして3つ目は企業との協力を得ながら、その社会でそのアートがその人の心のオアシスになったりだったりとか、その社会的に精神的な癒しを与えるものもしくは場になる。
そのアートとしてのその社会の機能っていうのは、そういうところにそれだけではなくていろんなところにあるんですが、それを見つけて企業だったりとかこの政府と協力しながらアートが機能できる場を社会に作っていくっていうのがこの大学の学長としての役割の一つとして掲げていられているっていうのもこれも意外だったんですね。
なのでその学生を教育するっていうよりかはどっちかというと支えるっていうことをやっている。
それとは別に彼がやっていらっしゃるのは社会を教育するっていうのをやっていらっしゃっていて、ただ学生を育成するだけではなくてその世の中の仕組みだったりとか世の中のあり方っていうのも教育大学というプラットフォームを使いそういう貢献をされているっていうのは新しい気づき、そしてすごく感心することでもありました。
今回の話の3つのまとめなんですが、まず1つは教えるより支える。才能とは癖だから教えても変わるものではない。2つ目に知らない世界に行こうよと導くのが教育。そして3つ目にアートが機能する場を社会に作る。
この3つが今回東京芸術大学の学長氷室さんとのお話との3つのテイクアウェイでした。もしこの番組を気に入っていただけましたらApple PodcastやSpotifyで5つ星の評価をいただけると嬉しいです。次回はリスナーからのお悩みに僕が直接答えるAsk Me Anythingをお届けします。どうぞお楽しみに。世界のクリエイティブ思考、お相手はリーノートでした。
デジタルガレージは危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを創業以来大事にし続けています。これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えたテクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。
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デジタルガレージ
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